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「生活保護目当ての困窮者が押し寄せてくる」と嘆く大阪市の邪推(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/17/hasan123/msg/558.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 9 月 09 日 08:27:25: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

吉村大阪市長が「大阪市が生活保護受給者を呼び寄せている」と解釈し、対策が必要と主張する「福祉のマグネット」現象とは何か


「生活保護目当ての困窮者が押し寄せてくる」と嘆く大阪市の邪推
http://diamond.jp/articles/-/141474
2017.9.9 みわよしこ:フリーランス・ライター  ダイヤモンド・オンライン


大阪市はなぜ「生活保護受給者」
を引き寄せてしまうのか?


 私から見ると“過激”な生活保護制度運用の数々で、絶えず話題と論点を提供している大阪市の動きが、2017年7月以後、さらに活発だ。きっかけは、大阪市・大阪市大が合同で行った、ビッグデータを利用した生活保護の実態検討結果が、2017年7月に公開されたことだ。

 この検討結果は、そもそも“ビッグデータ”と呼べるものであるかどうかも含めて数多くの疑問が持たれる。もちろん、大阪市大の研究者たちは、「こういうトレンドは見られるが、だからといって『これが原因だ』とは言えない」「方法や元データの限界を考えると、『だから、こう対策すべき』とは言えない」と慎重な態度を示している。

 そうでなければ、研究者の世界で恥ずかしい思いをするだろう。しかし検討結果は、大阪市長・吉村洋文氏によって、早速“ひとり歩き”をさせられ始めている。私は“ひとり歩き”というより“暴走”と呼びたい。

 今回は、吉村大阪市長が「大阪市が生活保護受給者を呼び寄せている」と解釈し、対策が必要と主張する「福祉のマグネット」現象を取り上げる。

「福祉のマグネット」とは、「社会福祉の充実した自治体が周囲から福祉を必要とする人々を引き寄せ、その自治体の財政が厳しくなる」という現象だ。「福祉のマグネット(磁石)」論は、大阪市や日本が発明したわけではなく、教育と再分配に関する数多くの研究で知られるポール・ピーターソンが1981年に提唱した概念として、世界中で広く知られている。



 もっとも、ピーターソンが「そのままでは自治体間がマイナスの福祉競争を始めるため、国が介入して自治体間の格差是正を行う必要がある」と主張したことは、日本ではあまり知られていないようだ。もちろん、吉村大阪市長も言及していない。

 右のグラフは、大阪市大と大阪市が2017年7月7日に発表した資料に含まれているものだ。横軸は、大阪市民になってから生活保護を受給し始めるまでの期間で、2005年・2010年・2015年のいずれでも、「1ヵ月未満」が目立つ。

 もっとも、「大阪市民になった日」とは、住民票上の大阪市民になった日であり、「大阪に居住し始めた日」ではない。地方の経済状況の悪化により失職した人々、加齢など何らかの理由で「雇われ力」が低下した人々が、「大都市なら仕事があるだろう」と考えて大阪にやってきた場合、すぐに住民票を移していることは、むしろ少ない。

「大阪市民になってすぐに生活保護開始」という文言から思い浮かぶのは、数年、あるいは数十年、まさに“自己責任”で頑張り抜いた末、病気などで「どうしても生活保護」という状況に陥り、住民登録と同時に生活保護を申請し、緊急性の高さから即日保護開始となる人々だ。

 大都市と貧困にある程度の関心があれば、通常、そういう人々を思い浮かべるだろう。「大阪に来れば仕事があるだろうから、生活を立て直せるだろう」と期待していたが、期待は実現せず、大阪で生活保護を申請することになったという成り行きだ。

 なお、この検討が行われたのは、大阪市がもともと「生活保護目当てに大阪市に流入してくる人々がいるのでは」と考えていたからだ。さらに大阪市は、「生活保護目当てに流入してきた以上、生活保護受給期間は長くなるであろう」という仮説も立てていたが、「生活保護目当てに流入」とみなされた生活保護受給者の受給期間が長いという事実は、データ検討からは見出されなかった。

被害妄想と片付けられない
「大阪市民の税を使うんだから」



吉村洋文(大阪市長)ツイッターより

 しかしながら吉村大阪市長は、この検討結果を受け、すぐにツイッターで対策の必要性を主張しはじめた。

 吉村大阪市長は「困窮者『流入』傾向も」という見出しの産経新聞ニュースも引用し、「大阪市に入ってすぐの生保申請については、原因をさらに分析調査し、受給審査の専門チームを立ち上げる」「生活保護が必要な人に最後の砦として生活保護を認めるのは当然。しかし、大阪市に転入してすぐ保護申請するケースが突出して多い。なんでだ?これを適正に審査するのは当たり前。だって大阪市民の税を使うんだから」とツイートした。

 2番目のツイートの「転入」は、その人が暮らしている地域での生活保護(居住地保護)を前提とする限り、その地域に住民登録されていることが前提となるからだ。なお、生活保護にはもう1つ、「現在地保護」という考え方があり、たとえば「行き倒れていて身元不明」という場合に適用されるのだが、行き倒れているわけでも身元不明であるわけでもない人に対して、「ここに住民票がないんだから、あくまで現在地保護で」というわけにはいかないだろう。

 もちろん、受給資格を「適正」に審査して悪いわけはない。しかし、その「適正」な審査は、迅速さとは相容れないだろう。「適正」な審査は、生活保護を断念させるために、申請から保護開始までの時間を引き伸ばす目的で利用されることもある。徹底した審査を行えば、必要な人件費も増加する。

「そのような手間ヒマや費用は節約したい」ということならば、「生活に困窮していそうな人、福祉ニーズの高い人を転入させないため、そのような人々が住めない町にする」ということが根本的“対策”となる。大阪市の場合、現実になったとしても不思議ではないし、「現実になりつつあるのかも」と思わせる事実の数々もある。思わず、溜息が出てしまう。

「大阪市民の税を使うんだから」というツイート内容に対しては、「『資源を必要とする社会的弱者のせいで、あなたが苦しんでいる』という主張は、そういえばナチス・ドイツも使ってましたっけ?」といった感想しか出てこない。

 しかし、この問題は根深く、しかも大阪市限定の問題ではない。とても「大阪市の思い込み?」「吉村市長の被害妄想?」と片付けるわけにはいかない。

2010年には判明していた
大阪市への生活困窮者の「押し付け」


 2010年2月、朝日新聞は、大阪市「生活保護行政特別調査プロジェクトチーム」で示された、生活保護を目的として大阪市に流入する人々の存在を報道した。

 報道によると、大阪市で2009年12月に生活保護を申請した2816人のうち、約10%にあたる275人が、その半年前以後に大阪市外から来て申請していた。別の自治体から、大阪市での申請を勧められたケースもあったという。

 また同報道によれば、2009年4月〜12月に大阪市外から来て生活保護を申請した人々のうち、27人について大阪市は、最初に相談した自治体に対して申請を受理するよう申し入れたという。しかし協議は進まず、その人々は生活保護を必要としていたため、大阪市は27人の大半を受け入れたという。

 27人が最初に相談した居住地は、大阪府内の他地域が12人、府外(九州・四国など)が15人だった。相談に行った自治体の担当者が、「大阪市西成区なら申請が認められやすい」と話したり、大阪までの片道運賃を渡したりした例もあるということだ。大阪市は「こうした事態が今後判明すれば、自治体名の公表も検討する」と述べたという。

 しかし同報道には、現在ほとんど論点にならない重要なポイントが含まれている。平松邦夫市長(当時)は、この2010年の会合において「生活保護費は全額、国が負担すべき」と述べたという。これはまさに、ピーターソンの「福祉のマグネット」論が必要性を主張している、国による自治体間の格差是正だ。

 現在、生活保護費のうち75%は国が負担しており、自治体規模や福祉ニーズによる若干の調整も行われている。しかし大阪市のように、人口の多い政令指定都市でありながら福祉ニーズの高い人々も多い地域に対しては、もともと不十分すぎたのだ。

どこかに存在する
「福祉のアンチマグネット」


 社会福祉と社会保障削減が進む現在、福祉ニーズの高い人々が自治体財政にとって負担であることは間違いない。子どもの保育と学校教育、子どもの医療に関しては、人道的見地から、また「将来、納税者になってくれるかもしれない」「人口減少に歯止めがかかれば」という期待から、「福祉ニーズが高いけれども引き寄せたい」と望まれる可能性もある。しかし「人がいなくなることこそ最悪なので、わが町は生活保護を必要とするあなたを歓迎します」という自治体が現れる可能性は……ほとんど考えられない。

「居住していた地域で生活保護を申請するのは難しい」という状況は、様々な事情によって発生する。たとえば、派遣労働によって職業・収入・住居(寮)を維持していた人々は、失職すれば、そのすべてを同時に失う。住居も喪失した場合、近隣の大都市に仕事を求めて移動し、「仕事が見つからなかった場合、そこで生活保護」ということにしかなりようがない。

 DVから逃げてきたシングルマザーも、夫に居場所を知られることを恐れて住民票を動かせないことが多い。「そこに住民票がないから」といって、このような人々が、少し前まで勤務していた会社と寮のある町や、自分と子どもに暴力を振るう夫のいる町でしか生活保護を申請できなくなったら……。それは、その人々が生存や成長や職業生活の継続を失うことにつながる。

 今必要なのは、“維新”や吉村大阪市長や大阪市役所に対する批判ではない。もちろん批判は必要なのだが、原因は生活保護制度の設計そのものにあり、対策するには国政を動かす必要がある。

 そのためには何をすればよいのだろうか。「即効薬」的な対策は存在しない。ただただ、知って理解し、考え、日常の様々なコミュニティの中での会話や投票などの行動に結びつける人々が、少しずつ、少しずつ増えていくことを願うばかりだ。



 

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コメント
 
1. 健奘[155] jJKa9w 2017年9月09日 11:43:51 : 7lVWgtCxYQ : e1xd5fKWMp0[7]
誰だって、安倍の友達になって、税金を回してもらおうと、思うんじゃね 。

2. 2017年9月09日 14:56:32 : R0LxjIRplA : OnvgoDyWq5A[234]
大阪都じゃなくて、大阪県になります。


3. 2017年9月09日 20:24:07 : LHSMhfLcno : cTj_KsH6DrU[215]
 答え。
 生活保護受給者を喰いものにするビジネスモデルが成立してるから。西成に行かなくても、ミナミの外れにも生活保護者歓迎(相談にのります)と書いた看板をあげる不動産屋が見つけられる。

4. 2017年9月09日 21:46:31 : qNApj6abVo : pmR1FMr_lBA[1314]
破綻市政、、、。

しっかりやれよ!大阪維新。

期待できないわね〜これ、大阪市民、自業自得です。


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