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5分でわかる景気の現状、「月例経済報告」の読みこなし方(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/17/hasan123/msg/721.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 9 月 22 日 16:51:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


5分でわかる景気の現状、「月例経済報告」の読みこなし方
http://diamond.jp/articles/-/143055
2017.9.22 塚崎公義:久留米大学商学部教授  ダイヤモンド・オンライン


 来週月曜日に発表予定の「月例経済報告」では、恐らく「景気の回復期間が、いざなぎ景気を超えた」ということで話題になるだろう。この「月例経済報告」は、コツさえつかめば「景気の現状」が5分で分かるようにできていて便利である。どこを見れば良いのか、久留米大学の塚崎公義教授が解説する。

景気を知りたいなら「月例経済報告」

「景気の予想屋(エコノミストと呼ばれ、筆者はここに属している)」と「マーケットエコノミスト」は同じように見える。だが、実はさまざまな違いがあるので、景気について知りたいときは、自分の目的を明確に認識した上で、どちらの話を聞くかを決める必要がある。

 エコノミストは、企業が主な顧客で、「景気が悪くなりそうだから材料の仕入れは少なめにしよう」などと考える際の材料を提供する。マーケットエコノミストは、株や為替などの短期取引をする人が顧客で、株価や為替を予想するために経済指標などについて語る。エコノミストとマーケットエコノミストに関しては、拙稿「景気を語る4種類の人々、知っておくべきそれぞれの特徴」を参照いただきたい。

 さて、日本最強のエコノミスト集団と言えば、内閣府と日銀である。経済政策や金融政策を考える際に、景気の先行きを正しく予想することが第一歩であるから、多くの優秀な人材を抱えているのである。その内閣府が毎月出しているのが月例経済報告であるから、質の高さは疑いない。

 加えて、資料も充実している。したがって、景気そのものを5分で理解するためには、月例経済報告を見るのがよいと断言する。もっとも、株式などの短期売買目的で景気について知りたい時は、月例経済報告ではなくマーケットエコノミストの資料を参照すべきであることは、上記の通りである。

 日銀も、かつては「月報」を出していたが、現在では3ヵ月に1度の「展望レポート」だけであり、頻度や図表などの充実度で言えば、月例経済報告に軍配が上がろう。ただ、余裕があれば、日銀の展望レポートものぞいてみてほしい。

(1)3ページ目の「要旨」で概要をつかむ

 先月の月例経済報告を見ると、表紙に「景気は、緩やかな回復基調が続いている」と結論が記してある。先行きの見通しも記してあるので、忙しければこれだけでも十分だが、3ページ目も見てみよう。総論の部分に「需要項目別の状況」(個人消費や輸出などそれぞれの状況)があり、これを一読すれば概要はつかめる。その後の各論は、経済初心者にとっては冗長に感じられるだろうから、総論を見たら「主要経済指標」に進もう。

(2)景気動向指数の「CI一致指数」を見よう

 月例経済報告のホームページには、本文のほか、「主要経済指標」というファイルがアップされている。図表が豊富で見やすく、極めて便利である。ちなみに、経済指標は大きく振れるので、経済指標を見る時には一喜一憂せず、大きな流れを感じ取ることが重要だ。

 まずは、「(参考1)景気動向指数」をクリックして、景気動向指数の「CI一致指数」の推移を見てほしい。景気動向指数というのは、景気に関係の深そうな統計を10個ほどピックアップし、それを「平均」したものであると考えていい。実際には複雑な計算をしているようだが、気にする必要はない。

 景気動向指数には、「CI」と「DI」があり、それぞれに先行指数、一致指数、遅行指数があるので、合計6系列であるが、この中の「CI一致指数」だけを見れば大丈夫だ。これだけで、景気の全体感を視覚的に把握できるという、大変便利なものだからだ。

 じつは、「景気」という統計はない。だから、これが「景気」だと考えればいい。各指標の「平均」であるから、当然ながら各指標より発表のタイミングが遅く、したがって注目度も高くないが、「景気観察」を仕事にしていないような一般の人には、これで十分だ。

 もう一つ、これも注目度は低いが、「1.国民所得統計速報」に載っている「GDPギャップ」も、景気の大まかな状況を理解するためには有用だ。乱暴に言えば、マイナスならば日本経済が需要不足(景気が悪い)、プラスならば需要超過(景気が良い)と考えていいだろう。

(3)「鉱工業指数」のグラフを見ておこう

 個々の経済指標の中で、圧倒的に重要なのは「GDP統計(経済成長率)」だが、残念なことに日本のGDP統計は振れ幅が大きく、慣れていない人が見れば混乱するだけだ。もちろん、アベノミクス前とアベノミクス後を比較するような場合には便利だが、景気の現状を考える際にGDP統計はお勧めしない。

 代わりに見るべき統計の筆頭は、「鉱工業生産指数」である。鉱工業生産指数は、景気の動きを最も敏感に反映する経済指標の一つであるから、これは見ておこう。

 日本経済に占める製造業のウエイトは決して高くないが、好況と不況の際の変動幅が大きいこと、鉱工業生産が増えると運輸・流通業なども活発になること、ウエイトの高い非製造業の統計が残念ながらいま一つ整備されていないことなどを考えると、鉱工業生産指数が最重要だと言っていい。

 月例経済報告の主要経済指標には、鉱工業生産指数のグラフに「在庫指数」のグラフも載っているので、これも併せて見るようにしよう。生産が好調でも、在庫が増えているようであれば、企業が需要を読み間違えて作り過ぎている、もしくは企業が気づかない間に需要が減り始めている可能性があるので要注意だ。

(4)「設備投資」「輸出数量指数」も重要だ

 需要項目別に見ると、最もウエイトが大きいのは「個人消費」であるが、個人消費は振れ幅が大きくないので、景気に与える影響度合いはそれほど重要ではない上に、景気が動いてからしばらく遅れて動く場合が多い。景気が回復して雇用が増え、家計の所得が増えてから始めて消費が増える、という流れがあるからだ。

 したがって、個人消費の注目度は高くない。加えて、個人消費の統計は整備が遅れているので、見るべき統計がないといった問題点もある。

 需要項目別では、最初に「製造業・非製造業の設備投資(実質)」というグラフを見よう。設備投資は金額も大きく、振れ幅も大きいので、景気に与える影響が大きく、動向が大いに注目される需要項目だ。

 もう一つ、「輸出数量指数」のグラフも見ておいた方がいい。輸出の数量は、海外の景気と為替レートの影響で動き、国内の景気とは別の動きをするので、要チェックなのだ。しかも、輸出は金額も大きく、振れ幅も大きいので、景気に与える影響が大きい。

 特に、日本は内需が弱いので、輸出が落ち込むと景気が後退してしまう場合も少なくない。リーマンショックのような極端な場合のみならず、比較的小幅な輸出の落ち込みでも、国内景気の足取りがしっかりしていない時だと景気が腰折れしてしまう可能性もあるので、要注意である。

(5)最後に「失業率」「有効求人倍率」でイメージを確認

 そして最後に、経済政策がうまく行っているか否かを判断するために、最も重視すべきは「失業率」である。景気対策の本質は失業対策だからだ。

 もっとも最近では、雇用のミスマッチが大きいため(パソコンのできる人、といった求人条件を満たさないがゆえの失業が多いため)、失業率は3%程度が下限で、それを大きく下回ることは難しいと言われている。だとすれば、今後は景気が拡大を続けても、現状レベルで横ばいとなりそうである。であるならば、「有効求人倍率」も併せて見るようにすればイメージがつかみやすいかもしれない。

 最も重要な指標でありそうな「物価」は、金融政策に影響を与えるのでマーケットエコノミストは注目する。だが、景気を動かすことはまれなので、景気を見る上での優先順位は決して高くないことを付け加えておこう。

(久留米大学商学部教授 塚崎公義)


 

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