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原油「膠着相場」を打ち破るシェールオイル勢の大攻勢はあるか?(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/17/hasan123/msg/809.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 9 月 30 日 15:30:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

          今や原油市場の価格決定権を握るのはOPECばかりではない(写真はイメージです)


原油「膠着相場」を打ち破るシェールオイル勢の大攻勢はあるか?
http://diamond.jp/articles/-/143964
2017年9月29日 ダイヤモンド・オンライン編集部


原油相場はどう動く?
シェール勢が台風の目に


「最近、原油の値動きが小さくてつまらない。何とかならないのか?」

「お気持ちはわかりますが、原油価格は市場で決まるものなので、こちらにはどうにもできません」

 ある先物取引会社の関係者によると、最近、取引の電話サービスにおいて、顧客とスタッフの間でこんな会話が交わされることがあるという。

 背景には、長引く原油相場の「膠着状態」がある。原油取引の国際的な指標となるWTI、北海ブレント、中東ドバイ価格(日本の取引における指標)は2014年まで1バレル=100ドルを超えていたが、2015年に入って急落し、低迷が続く。中国の景気減速、米国利上げに伴う新興国経済の失速などにより、原油需要が落ち込んだことが大きな要因だ。

 今年は春から夏にかけ、シリアへのミサイル攻撃やハリケーン襲来など米国を起点とする価格変動タイミングがいくつかあったが、それらも一時的なもの。原油価格は2014年時と比べて半減し、足もとで40〜50ドル台と上値が重い状態が続く。

「今は、原油価格が低位安定している。利益に積極的な投資家は、もっと大きな値幅で勝負するためには相場が上昇しないとダメだと思っている」と前出の先物関係者は語る。原油輸入国の日本にとって原油安は経済への追い風となるが、投資環境については不満の声が少なくないようだ。

 とはいえ、ここに来て中国経済も一時期の低迷から脱出、米国の利上げも当初の予想より慎重路線が続き、市場の不安は遠ざかったかに見える。にもかかわらず、原油相場はなぜ低迷を続けるのか。

 それは、マクロ経済や金融政策の影響を割り引いても需給の「緩み」は当面続くという見通しが、市場を支配しているからだ。OPEC(石油輸出国機構)と米国シェールオイル勢(以下、シェール勢)の競争により、原油の供給が増えやすい状況が続いている。

「シェール勢の動きは、今や原油価格を左右する最も大きな要因の1つ」と指摘するのは、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之・調査部 主席エコノミストだ。

 OPECは長らく世界の原油価格をコントロールしてきたが、2000年代に入ると非OPEC勢、とりわけ米国のシェール勢が台頭してきた。地下の頁岩層に含まれる石油の一種(シェールオイル)を開発・生産するシェール企業の数はここ10年ほどで急増し、稼働リグ(石油掘削装置)数は約750基に達している。彼らの台頭もあり、米国はOPECの盟主サウジアラビアと原油生産量で世界1位の座を争うまでになった。

 複数の専門家の見立てを平均すると、両者の攻防激化の「目安」となる原油価格のレンジは45〜55ドルとなる。シェールは既存の油田と比べて生産コストが高いが、この価格帯はシェール勢にとって原油生産の採算が取れるかどうかの「損益分岐点」に当たる。価格がこれを大きく下回るとコスト圧力が増し、シェール勢は生産からの撤退・様子見を始める。一方、価格がそれを上回ると一気に増産を始める、という流れだ。

 シェール勢の増産は原油の需給を緩ませ、価格を下落させる。そうなると、原油収入に依存するOPEC加盟国の財政は悪化してしまう。それに対してOPECは、原油を減産して需給を引き締めれば価格を維持できる。だが、それもやり過ぎると原油収入が減り、自国の財政を痛めてしまう。

加盟国の足並みが乱れるOPECの焦り、
短期価格を支配するシェール勢の思惑


 こうして、お互いの動向を睨みながら原油の減産・増産に動く「いたちごっこ」のような駆け引きが行われているわけだ。足もとの相場はまさに攻防激化の「目安」となるレンジにある。両者のパワーバランスはどうなっているのか。

 これまでOPECは「シェール潰し」を目指して、供給圧力が高まる市場で減産を拒み続けてきた。ところがシェール勢の粘りは予想以上で、2016年初に原油価格は20ドル台まで下落。ついに「我慢比べ」を放棄して、昨秋の総会で2017年1月から6月までの生産量上限を日量3250万バレルに制限する協調減産に合意した。今年5月には2018年3月までの減産延長を決定。さらに足もとでは、来年4月以降の減産延長も検討されている。

 しかしここに来て、加盟国間の足並みが乱れている。国内経済の混乱による原油生産の低下を理由に減産適用を除外されているリビアとナイジェリアの生産量が、夏場以降、大きく回復している。2国は生産量を日量125万バレル、180万バレルまで増やすとしており、OPEC全体の減産効果を削いでいる。野村證券 金融経済研究所の大越龍文・経済調査部 シニアエコノミストは、「このまま2国の増産が続けば、他の加盟国が減産目標を遵守しても原油は供給過剰気味になる可能性が高い」と指摘する。

 対するシェール勢は攻勢を強めている観がある。原油の下落局面で投資抑制・撤退が相次いだものの、OPECの減産効果などで価格が50ドル台を回復した年初以降、彼らは堅調な増産に転じている。

 目下、シェール勢の生産量は日量で500〜600万バレル。世界全体の需要約9600万バレルに占めるシェアは5〜6%程度だ。以前より低下したとはいえ3〜4割のシェアを占めるOPECと比べてまだ小さい。だが、その「機動力」は侮れない。

「従来型の石油開発は意思決定から開発・生産まで5〜10年を要するが、シェール企業の中にはその期間が半年程度のケースもある」(野神氏)。足もとの原油動向を見ながら柔軟に生産か様子見かの意思決定を行うため、短期の価格動向に与えるインパクトが大きいのだ。そのため市場シェアは小さくても、事実上、価格の上限・下限を決定する役回りになっている。

 原油価格の動向がシェール抜きで語れなくなったことは、データからもわかる。IEA(国際エネルギー機関)によると、今年4〜6月期における世界の原油の需給格差は日量53万バレルの供給不足となった。だが、肝心な価格上昇には繋がっていない。市場はOPECの減産効果よりも、シェール勢による供給圧力の高まりをより現実的と見ているフシがある。OPECが反応の鈍い市場の「期待」に応えるため、度重なる減産延長を検討する背景にも、そうした危機感があるのだろう。

シェール勢は増産か様子見か?
生産効率と環境変化がカギに


 こうしたなかで注目されるのが、今後シェール勢の「機動力」がどこまで続くかだ。世間では、「シェール勢が大増産を行ない原油は一段安になりかねない」という見方が少なくない一方、「そろそろ増産も限界ではないか」という見方も出始めた。実際はどうなのか。専門家の分析も参考にしていくつかのポイントを検証してみよう。

 1つめのポイントは、「シェール勢が現在の生産効率を維持できるかどうか」(野神氏)だ。米国におけるシェールオイル生産の採算コストは、原油価格急落後のコスト低減努力により、2014年の60ドル台から前述の40〜50ドル台に下がっている。既存の油井(原油を採掘するために使う井戸)をより長く掘り進めシェール回収率を増やすためのノウハウ向上や技術革新、採算性が高い油井への開発集中、下請け企業への値下げ交渉などを通じ、シェール企業は原油価格が下がる中でも生産を維持してきた。

 しかし実際、現在の価格水準ではまだ十分コストを吸収できるとは言えない。またシェールの油井は枯渇が早く、掘り始めてから4〜5年で回収率は9割近く減ってしまうが、新しい油井を探して掘削するとなれば技術的に難しく、コスト増、生産効率低下に陥る可能性がある。そうなると供給は伸び悩むだろう。

 その予兆は足もとで見え始めている。米国エネルギー省の発表を見ると、国内でシェール開発が行われている主要7地区において、年初からの原油価格の回復で生産が目立って増え始めたのは、Permian(テキサス州とニューメキシコ州にまたがる層)とEagle Ford(テキサス州の層)の2地区だけ(日量はそれぞれ約260万バレル、140万バレル)。まだ偏った地域での増産に留まっているのだ。

 生産が多いPermian地区、Eagle Ford地区のシェール企業も、事業効率の面で課題を抱えている。OPEC減産などで原油価格が戻してきたため、採算が悪い油井の新規開発に乗り出したこともあり、新規リグ1基当たりの生産量は低下(生産性が低下)している。シェール層の原油含有量が多く、油井1本あたりの生産コストが低いEagle Ford地区はまだいいが、Permian地区はシェールオイルを精油所に運ぶ輸送費コストが高い。生産性が低下するなかで彼らが生産量を増やそうと思えば、リグの稼働数を増やすしかないが、それにも限度がある。結果として足もとのリグ稼働数は、前者で減少に転じ、後者では増加基調が鈍化している。

 もう1つのポイントは、経済環境の変化による影響だ。焦点は米国の利上げである。シェール企業は数あれど、潤沢な自己資金で開発・生産できる大企業は全体の2割程度と一握り。大多数の小規模企業は、油井の埋蔵量を担保にして金融機関から融資を受けたり、投資家向けにハイイールド債(投資信用格付けが低い一方、利回りが高く設定されている社債)を発行したりして、資金調達を行なっている。

 これまでは金融緩和の追い風で資金調達が比較的容易だったが、今後利上げが続くと、彼らの多くは資金調達コストが膨れ上がり、事業継続がままならなくなるのではと言われている。ただ、「現在のように利上げペースがゆっくりなら、シェール生産に大きく影響する可能性は小さい」(大越氏)という見方もある。

 目下、新たな不安材料は人手不足だ。金融緩和の出口が模索されていることからわかる通り、現在米国経済は好調で雇用が回復している。人手不足で労働コストが上がるなか、これまでシェール企業がコストの値下げを要求してきた下請けがそれを飲まなくなり、人件費の値上げを求めてくる可能性がある。

 こうして見ると、シェール勢が急激な増産により原油価格を一段安に導く可能性が高いとは、一概に言えなそうだ。中期的な供給圧力になることは間違いないが、少なくとも足もとでは、一進一退の動きが続くのではないか。

供給側ばかりに目が向くが
重要なのは世界需要の伸び


 今の膠着相場は容易に動かないように思えるが、中期的にはどうなのか。供給サイドの動きにばかり目が行きがちだが、原油価格はそれだけで決まるものではない。重要なのは、この先世界の原油需要が堅調に伸びて行くかどうかだ。

 世界の実質GDP成長率と原油需要の伸びは基本的に連動する。IMFの予測では2017、18年の世界のGDP伸び率は3%程度となっており、足もとの需要は安定的と見られる。これから欧米先進国や中国でエネルギー効率の改善が進み、原油の需要は頭打ちになると言われる一方、2020年頃から人口の爆発期を迎えるインドなどでは、堅調な需要が期待できる。それらを考え合わせると、今後原油需要は緩やかに伸びて行くと考えられる。

 このような状況に鑑み、専門家は今後の原油相場を次のように予測する。

「シェール勢があと1年ほど今の生産コストを維持できるとしたら、上下5ドル程度のブレを加味して、しばらく40〜60ドルくらいの相場が続くと見るのが現実的。ただ金融関係者のなかには、シェールの埋蔵量に限りがある一方、世界需要が伸びるため、中期的には60〜70ドル台を回復すると見る向きもある」(野神氏)

「世界需要の底堅さを受け、原油の需給は徐々に引き締まって行くと見る。価格はシェール勢が生産を増やす55〜60ドルあたりが上限、世界の原油のベースとなる陸上・海底油田の平均的な開発・生産コストに鑑みて40ドル台が下限になるだろう」(大越氏)

 原油相場はしばらくボックス圏で推移しながらも、需給の改善で徐々に値を戻していく、というところか。

競争原理が働きやすい市場への
過渡期にさしかかっている?


 原油市場は供給サイドの思惑に大きく左右されるという宿命がある。そもそも相場に40ドル、50ドルなどの「節目」ができる理由はシンプルだ。原油のプレーヤー自身も、自らが生産した原油をヘッジするため、取引に参加していることが少なくないからだ。価格誘導が目的ではないにせよ、「結果的に彼らにとって採算が取れるレンジ内で値動きが起きやすい」(先物関係者)のは必然と言える。

 ただし、シェール勢などの新たなプレーヤーが市場の攪乱要因になっているというのは、一面的なものの見方だろう。OPECが絶対的な価格決定権を有していた時代は、市場に競争原理が働かない不健全な時代でもあった。それがシェール勢の台頭により、不完全ながらも本来あるべき姿になりつつある、とも言えるからだ。逆に、もしもシェール勢が市場から「退場」すれば、OPECが支配する時代へと逆戻りだ。

 当面は、OPECとシェール勢の攻防が相場を動かす状況が続くだろうが、シェールオイルに埋蔵量の減少や技術革新の壁が指摘されるなか、今後は新興勢力の登場も考えられる。採算性に課題はあるが、カナダが一大生産地となるオイルサンド(粘性の高い鉱物油分を含む砂岩)の実用化に向けた試行錯誤も始まっている。原油は今、より競争原理が働きやすい市場へ移行しようとする過渡期にあるのかもしれない。

 原油の投資やビジネスに関わる人も、そうでない人も、世界経済に大きく影響を与える市場を読み解く上で、持っておきたい視点だ。

(ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)



 

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