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AIを使って働かないでメシを食う、は可能か。「生産性」から考えた すべての時間を「消費」に使う未来とは(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan125/msg/374.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 1 月 10 日 10:29:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


AIを使って働かないでメシを食う、は可能か。「生産性」から考えた すべての時間を「消費」に使う未来とは
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54093
2018.01.10 加谷 珪一 現代ビジネス


AI(人工知能)によって多くの仕事が奪われるという話は、社会の共通認識となりつつある。日本人はあまり変化を望まないので、AIによる仕事の代替はネガティブな話題として受け止めているかもしれない。だが一方で、AIの普及は人間を単純労働から解放する救世主との見方もある。

特に日本の場合、AIによって仕事が奪われるという図式だけで物事を見ていると問題の本質を見誤る。日本社会は未曾有の人手不足となっており、AIに仕事を奪われるどころか、積極的にAIに仕事を任せないと従来の経済を維持できない可能性すらある。

そうであるならば、技術革新をチャンスと捉え、より積極的にAIを活用することで人手不足を解消する方向にベクトルを向けた方が得策だろう。AIやロボットを徹底活用すれば、多くの単純労働から解放される。余った時間を新しい製品やサービスの創造に振り向けることができれば、将来についてそれほど悲観する必要はないはずだ。

経済の原理から考えると…

一部の識者は、AIやロボットが本格的に社会に普及すれば、多くの人が労働から解放されるとポジティブに解釈している。要するに働かなくてもメシが食えるようになるという話だが、それはどのようなメカニズムなのだろうか。

当たり前の話だが、経済は需要と供給で成り立っている。モノやサービスを買う人がいるので、それを提供する人が必要となる。買う側と売る側は基本的に同じ人間なので、ほとんどの人が需要側と供給側を兼ねている。経済がひとつの地域で閉じていれば、経済規模は人口に比例することになる。人口が増えれば経済規模が大きくなり、人口が減ると経済規模も小さくなるという話だ。



だが需要が国内だけにあるとは限らない。外国が日本のモノやサービスを欲しがった場合、それは輸出という形で外国に提供される。そうなってくると、供給側は日本人が消費する以上のモノやサービスを生産できることになり、人口が少なくてもより大きな経済規模を実現できる。

だが経済を拡大する方法は輸出だけではない。輸出がなくても、日本人1人あたりの需要が拡大すれば、消費や投資が増え、経済規模が拡大する。輸出に頼らず、国民の需要拡大で経済成長を実現することを一般的には内需拡大と呼ぶ。

純粋な経済学の世界では、需要と供給のどちらが先に来るのかというのは一大論争だが、多くの人にとってこの話はあまり重要ではない。現実の経済運営で求められているのは、需要と供給をバランス良く拡大させることである。

しかしながら、輸出主導であれ、内需拡大であれ、いずれの場合においても超えなければならないカベがある。それは供給力の維持である。たとえ需要があっても、それを満たす供給(生産)を維持できなければ経済を拡大させることはできない。

AI経済の仕組み

この点において日本経済は今、非常に厳しい状況にある。国内は未曾有の人手不足となっており、この傾向は当分の間、継続する可能性が高い。人手不足が激しくなると、一部の企業は生産力を維持できなくなり、製品やサービスの販売を縮小してしまう。

そうなってくると、企業の売上高や利益の減少、さらには労働者の報酬低下を招き、最終的には消費を低迷させる可能性がある(供給制限による経済の低迷)。

日本の失業率は低下の一途を辿っているが、これは必ずしも景気がよいからではない。需要が同じでも人手が足りなければ失業率は上昇するものであり、やがて到来する人手不足による経済シュリンクの前兆である可能性も否定できない。

こうした状況を手っ取り早く解消する方法は移民受け入れだが、日本社会が移民を受け入れる可能性は低く、そうなってくると、従来の経済を維持するためには、AIやロボットによる自動化が必須という結論にならざるを得ない。

もし本格的にAIやロボットを活用できれば経済にとって極めて大きな効果がある。

経済学の分野では、ひとつの経済圏における生産力がどう推移するのかを示した生産関数というツールがよく使われる。生産関数にはいろいろなパターンがあるが、もっとも多く使われているのはコブ・ダグラス型関数と呼ばれるものである。



この式で、Kは資本(設備投資)、Lは労働量(従業員の労働)、αは資本分配率を示している。資本分配率と労働分配率は対の関係になっているので(1―α)は労働分配率を示している。Aは全要素生産性と呼ばれ、イノベーションの度合いを示しているが、とりあえずここではAとαは一定と考えればよい。

「生産性」のカラクリ

この式は、経済を順調に拡大させるためには、労働力と設備を常にバランス良く投入する必要があることを示している。企業が生産を拡大しようとする場合、人を増やすか設備を増やすかの選択を迫られる。

人を増やせない場合、設備を増やすことになるが、最初は設備を増やした分だけ生産量が増えるものの、やがてその効果も薄れてきてしまう。

これは企業のIT化を想像すれば分かりやすいだろう。

最初は2人で1台のパソコンをシェアしていたところに、追加で設備投資を行って1人1台にすれば生産は拡大する。しかし、1人2台になれば生産が2倍になるのかというそうはいかない。

これは、先ほどの生産関数において、労働量Lを一定にし、資本Kを増やすことに相当するが、その時の生産量は、右側のグラフになる。当初は資本を投入すると、生産量が大きく増加するが、投入量が増えてくるにしたがって、生産量の増加分が小さくなってくる。あまり設備投資をやり過ぎると、効果が薄れてくるのだ。

結局のところ、ある程度、設備投資を実施した後は、その設備が十分に稼働できるよう人を雇う必要が出てくる。つまり、人と機械は相互に投入しなければ順調に生産を拡大することはできない。

ところがAIが普及するとこうした状況に変化が生じてくる。



業務のかなりの部分がAIやロボットに置き換えられるとなると、企業は積極的にAIへの投資を行い、労働者への依存度を減らしていくだろう。そうなると経済全体における労働分配率が著しく低下し、逆に資本分配率が増加することになる。

先ほどの生産関数の式において、労働分配率が著しく低下した場合、生産力のグラフはかなり直線に近くなってくる。つまり、ロボットやAIに追加投資をした分がそのまま生産拡大につながり、企業は半ば無制限に生産量を拡大できるという解釈が成り立つ(左側のグラフ)。

結局、人は働くことになる?

もちろん現実には、すべての労働をAIで代替することはできないが、理屈の上ではそうした状況が起こり得るのだ。ここで重要となるのが、需要の問題である。

いくら生産力が無限になっても、そこで生まれた製品やサービスを使う人がいなければ経済は成長しない。

だが先ほど説明したAI経済の世界では、多くの労働者が不要となり、AIが生み出す利潤を何らかの形で国民に再分配する機能さえあれば、多くの人が働かなくても収入を得られるようになる(一部の識者はAI化を実現した上で、べーシックインカムの導入を主張している)。

すべての時間を消費に使うことができるので、1人あたりの需要は飛躍的に伸びるに違いない。そうなってくると従来の常識では考えられなかった水準で、需要と供給が拡大することになる。

一部の人はこうした社会を「生き甲斐がなくなる」と嘆くだろうが、本当にそうだろうか。

労働時間がゼロになるというのは極端にせよ、AI化、ロボット化を本格的に進めれば、1日の標準労働時間が8時間である必然性はなくなってくる。

時間にゆとりがあり、従来と同様の年収が維持されるのであれば、多くの人は、新しい行動を始めるはずであり、そこには別のビジネス・チャンスが生まれてくるはずだ。これによって新規の需要が生まれ、結局は、多くの人が、再び積極的に労働に従事する結果となるかもしれない。

働かなくてもメシが食えるというのは夢物語で終わってしまうが、それはそれで良いことではないだろうか。



 

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