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「焼身自殺で抗議しようと思った」地面師被害者を苦しめた警察の怠慢 騙し取られた総額、5億円(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan125/msg/706.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 2 月 02 日 17:30:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


「焼身自殺で抗議しようと思った」地面師被害者を苦しめた警察の怠慢 騙し取られた総額、5億円
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54287
2018.02.02 森 功 ジャーナリスト  現代ビジネス


これでは被害者が救われない

どうにも不可解な「仕事納め」としか言いようがない。世田谷の元NTT寮の土地建物取引を巡る5億円詐取における、東京地検の事件処理のことだ。

これまで書いてきたように、昨年12月4日から5日にかけ、地面師の北田文明や配下の松田隆文ら4人が、警視庁捜査2課と町田警察署に逮捕された。そこからいよいよ年の瀬の押し迫った22日後の昨年暮れ、東京地裁立川支部は2017年最後の仕事として、北田と松田の2人を起訴した。が、4人のうち残る2人は不起訴処分となり、釈放されてしまったのである

世田谷の5億円事件は、内田マイクをはじめとした大物地面師たちの関与も取り沙汰されていた。ホテルチェーン「アパグループ」や住宅建設「積水ハウス」が被害に遭った他の事件との関連も囁かれていた。だが、そうした事件との関わり合いが解明されるどころか、このままでは事件はこぢんまりと矮小化されてしまう公算が大だ。これでは被害者も救われない。

都心で横行する地面師事件は、その規模や悪質性の割に表沙汰にならないケースが多い。文字どおり摘発されるのは氷山の一角なのだが、それすら全貌解明に届かない。なぜこうなってしまうのか。改めて世田谷事件を検証しながら、その原因を探る。

「間違えて振り込んだ」と言い訳

(前回まで・2015年、内田マイクら大物地面師グループに騙され、5億円を支払った不動産業者の津波氏。「実行犯」の一人を捕まえ、5億円の振込先の一つである大阪の会社へと向かったが、そこは看板すらない、誰もいないマンションの一室だった。呆然と立ち尽くす津波。東京に戻って、実行犯を警察に突き出したが、思いもよらぬ反応が…… http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53739

地面師グループに騙されて、5億円を支払った東京都内の不動産業者、津波幸次郎(仮名)が、くだんの取引をおこなったのが、2015年5月27日のことだ。これが詐欺の犯行日である。

地面師の北田から指示を受け、仲介業者として登場した「東亜エージェンシー」社長の松田が、津波の5億円を分配して詐取する。その5億円の中で、振込先となっていた大阪・岸和田のペーパーカンパニー「セキュファンド」への金の流れを、津波たちは独自に追及した。

銀行伝票の控えからその流れを時系列で整理すると、まず松田は、取引当日の27日午後1時頃、騙し取った5億円のうち、3億2500万円をM銀行六本木支店のセキュファンド社名義の口座に振り込んだ。そこが本来、売り主の待っていたM銀行学芸大駅前支店とは別の口座なのは、言うまでもない。そして、その振り込みの11分後、全額近い3億円あまりが口座から引き出され、残金がほぼゼロになる

正確な資金の流れはのちに気づいた事実だが、不審を抱いた津波たちは極めて迅速に動いた。27日中に松田を都内で捕まえ、松田とともにセキュファンドの事務所のある大阪に向かった。翌28日、大阪のM銀行で口座が空になっているのを確認すると、セキュファンドの事務所を訪ねた。津波本人が思い起こす。

「驚いたことに、そこはただのワンルームマンションで、会社の看板も出ていませんでした。『もぬけの殻』とはこのことです。それで東京に取って返し、僕の会社で善後策を練ることにしたのです。

会社には取り引きした銀行の方がお見えになっていました。松田らは間違えて振り込んだと言い張っていました。銀行の方によれば、もし本当に間違いなら組み戻し≠ニいう作業をして、いったん元に戻すこともできるという話でしたので、念のためその作業をしたのですが……」

「松田を釈放する」

もとより振り込みは間違いなどではなく、意図した詐欺である。もはや銀行手続きで取り戻せるはずもなく、あとは警察に委ねるしかない。津波は松田を町田署に突き出した。

「そうして松田を町田警察署に引き渡したのです。そこで松田が具体的に警察へどう説明したのかはわかりません。ただ、そのあと町田警察の係長が言った言葉が、妙に引っかかりました。『あんたたち、みなで松田を責め立てたのはまずかったな』と。その意味があとになってようやく理解できました」

津波にしてみたら、死にもの狂いの訴えだ。こう言葉を絞り出し、当時を振り返った。

「町田警察に行ったのが夕方の18時頃だったと思います。その場で、『しっかり捜査をしてください』と伝えました。ところが係長は、その日のうちに、松田を釈放すると電話で伝えてきたのです

松田を捕まえて5億円の行く先を追及すれば、多少なりとも騙し取られたカネが返って来ると思ったので、『そんなバカな、帰さないで捜査してください』と必死でお願いしました。でも『分かった、分かった』と取り合ってくれない。『もう切るぞ』と係長は言ったきり、一方的に電話を切ってしまい、本当に釈放してしまったのです」

津波は犯行の翌28日18時頃に松田を町田署に連れて行き、20時に松田は釈放されたという。その間、町田署による松田の取り調べはわずか2時間程度でしかない。あまりに杜撰な捜査と言わざるを得ない。

津波はそのあと、長野県にある松田の両親の住む実家まで突き止め、5月中に、担当社員とともにそこを訪ねたという。

「実家は安曇野のあたりで、東京から6時間くらいかかりました。そこで『息子さんが騙し取ったカネを返してくれとは言わないから、せめて警察で正直に話すように説得してもらえませんか』とお願いしたのです。しかし、向こう(松田の両親)は慣れたもんでした。また来たか、って感じで、体よく追い返されました。

それどころか、松田の弁護士を名乗る人物から、えらい剣幕で抗議の電話がありました。それで、その弁護士に『先生は当人が詐欺を働いていることを知っているんですか』と尋ねると、『それなら訴えればいいだろ』と開き直る始末でした」

「焼身自殺をしてやろうとも思った」

その弁護士がどう動いたのか、については定かではない。一方、松田の身柄を押さえられる状況だった町田警察署の捜査は、そこから迷走を極める。その原因は捜査のやる気のなさというより、まったく見当違いな筋立てをしたせいだといえる。あろうことか、町田署では被害者の津波を共犯に見立ててしまうのである。

津波は世田谷の元NTT寮の購入のため、取引先のY銀行からその分の融資を受けた。それについて、津波が地面師たちと共謀し、銀行から融資を騙し取ろうとしたのではないか、と疑ったというのである。

「私は融資に関して個人の連帯保証をしているんですよ。つまり会社が返済できなければ代わって私個人が銀行に払わなければならないのに、なぜそんなことをする必要性があるのか。その間違いがひどいのです。

当初、私は町田署に取引の資料や私の仕事のノートを提出し、担当の係長がコピーしていました。そこには、この件だけでなく、海外の仕事の計画やそれにまつわる資金需要のことも書いていました。それを見た係長が、銀行から融資金を騙し取り、海外に持ち出そうとしたのではないか、と疑ったのです。『ベトナムにカネを運ぶつもりだったんじゃないか』と。そんな明後日の方向の話をしていたのです」

まるっきりの妄想というほかない。が、町田署の係長は現に津波にそう告げたのだという。その上で、前述したように「みなで松田を責め立てたのはマズかったな」という係長の発言になるらしい。

つまり町田署は、「津波が人身御供に松田を警察に差し出したが、当人を苛めすぎたので津波も共犯だと漏らした」と見立てていたのだという。

あまりに荒唐無稽な話だが、事実、いっとき地面師仲間のあいだでは「津波共犯説」が流れた。むろんそれは彼らがよく行う捜査のかく乱のための情報操作であり、当局がそこにまんまと乗せられたともいえる。

この間、主犯格の北田は自ら町田署に出頭。似たような話をしてきたとも伝えられる。津波は今もこう憤る。

「あのときは本当に悔しくて、警察署の玄関先で焼身自殺をしてやろうと思いました。そのくらい絶望的になりました。実際、それを会社の弁護士の先生にも相談したほどです」

津波にとっての救世主が、その顧問弁護士だったかもしれない。

(文中敬称略。次回へ続く)


 

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