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ナショナリズムがもたらす経済的な危険性 勝者が敗者をないがしろにしたツケ トランプ政権重鎮が作た反中映画 貿易戦争勃発か
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/512.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 24 日 21:02:21: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

ナショナリズムがもたらす経済的な危険性
グローバル化の勝者が敗者をないがしろにしたツケ
2017.1.24(火) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙2017年1月18日付)

【写真特集】トランプ氏を大統領とは認めない! 米首都などでデモ
米首都ワシントンでドナルド・トランプ氏の米大統領就任に抗議するデモ隊(2017年1月20日撮影)。(c)AFP/Jewel SAMAD〔AFPBB News〕
人類は同族的だ。我々は社会的動物であり、文化的動物である。文化があるおかげで、人類は家族・親族の中だけでなく、想像上の共同体の中でも協力し合うことができる。そのような共同体のうち、家族(ファミリー)に最も近いのが、祖先を共有しているという意味合いのある「国家(ネイション)」だ。

想像上の共同体を作り出す能力は人類の強みであり、最大の弱みの1つでもある。想像上の共同体は、その中の人々が何を共有しているかをはっきりさせる。

だが、何かが人々を結びつけるということは、結びつけられた人々とそれ以外の人々とを分け隔てることでもある。

今日、指導者たちがかつて見られたように専制政治を、下手をすれば戦争をも正当化するために、怒りに基づくナショナリズムを煽り立てている。

人類の歴史の大部分において、戦争は異なる社会の間に自然に見られる関係だと捉えられてきた。戦いでの勝利は、少なくともエリートたちには、略奪と権力、そして威信をもたらした。戦争のために資源を動員することが、国家の中核的な役割の1つだったし、そうした動員を正当化することが、文化の中核的な役割の1つだった。

繁栄を手に入れる方法にはもう1つ、交易というやり方がある。交易と略奪のバランスは複雑だ。どちらも、成果を上げるのに有効な文化に支えられた強力な制度を必要とするが、戦争では忠誠心を土台とする軍隊が必要になる一方、交易では司法を土台とする安全が必要になるからだ。

恐らく、経済学の最大の貢献とは、相手を征服しようとするよりも相手と取引をしようとした方がお互いに得をするという考え方をもたらしたことにあるのだろう。そのうえ、取引の相手が裕福になればなるほど、お互いが豊かになる交易を行う機会も増える。従って、国家間で結ぶべき賢明な関係とは戦争ではなく協力する関係であり、孤立ではなく取引をする関係であることになる。

この素晴らしい考え方はたまたま正しい。だが、直観に反しており理解しにくいだけでなく、不穏ですらある。なぜか。それは、同胞よりも外国人と付き合った方が得をするかもしれないことを意味しているからだ。想像上の部族への帰属意識を衰えさせてしまうのだ。

多くの人々にとって、この帰属意識の衰えは脅威となる。外国人の自由な流入が認められれば、その怖さは倍増する。我々の国にやって来て、我々の国の恵みを我々とともに享受しているこの知らない人たちは、一体どこの誰なのだろうか、と不安を抱くことになる。

異なる社会が互いと関係し合う最良の方法は、双方が富を得られる取引を行うことである――。これは先日スイスのダボスで年次総会を開いた世界経済フォーラム(WEF)の価値を裏付けるものの見方だ。この理念は、紛争よりも交易を重視し、人類を分断するものよりも人類が共有しているものの方を重要視している。

これは良い教義だ。ところが英国保守党のテリーザ・メイ首相は、この教義の信奉者は「世界市民」であり、結局のところどの国の市民でもないとこき下ろした。

メイ氏が喚起している憤りの感情は、ある程度は正当だ。グローバル化と、共産主義国の体制移行を背景に成功を収めた人々は、そうでない人々にあまりにも注意を払わなかった。上げ潮はすべての船を持ち上げてくれると思い込んでいた。

とてつもなく豊かな暮らしを手に入れていたが、大変な努力をしたのだから当然だとすぐに分かるケースは少なかった。そして彼らは金融危機を引き起こし、正直とか有能といった評判を失い、政治の面で悲惨な結果をもたらした。自分たちがほとんど無意味だと見なした所属の絆は、グローバル化に取り残された人々にとってもほとんど無意味だと思い込んでいた。

そのように考えていくと、社会や経済の変化によって変貌した世界が、怒りに基づくナショナリズムや保護主義に屈してしまうことは、特に不思議なことではない。

だが、ナショナリストの怒りの政治は、社会の下層から盛り上がってきたものばかりではない。これは、権力を手に入れようとする者たちが使う戦術でもある。その種の政治指導者たちが語る物語は、細かい点こそ異なるものの、エッセンスは常に同じだ。彼らは、自分を支持してくれる「本物の」国民と支持してくれない「国民の敵」を区別する。彼らにとって、人生は戦争だ。戦争なら、どんなことでも正当化できるのだ。

彼らの物語は、自由民主主義を人民投票的独裁*1に変えることを正当化する。ポーランドのアナリスト、スワボミル・シェラコフスキー氏はある才気あふれるエッセイで、自分の国でこの仕組みがどのように機能しているかを説明している。

これによると、かの国の専制君主志望者は個人の自由はカオス(混沌)であり、自分の行動を制約する制度は違法であり、独立した情報源は腐敗しており、外国人は二枚舌で移民は脅威であると決めつけて非難している。猜疑心を強めることで、すべての措置が正当化される。

また、専制君主志望者は叩くべき敵を必要としている。敵はいつも簡単に見つけられる。そして、そうしている間はずっと、大多数は自分を支持してくれていると(たとえそれが事実でなくとも)声高に訴えかける。

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領やロシアのウラジーミル・プーチン大統領のような人民投票的独裁の政治においては、独立した情報源は信頼に足るとの見方を攻撃することが重要な要素になっている。彼らの体制は、真実という概念をどう定義しているのだろうか。その答えは、自分が真実だと言うことこそが真実だ、となろう。つまりこの場合、何が真実であるかは権力が決めることになる。

*1=一般の人々の投票を通じて支持基盤を作り出し、それを背景に独裁を行うこと

ジョージ・オーウェルがかつて教えてくれたように、これはすべての独裁体制、特に共産主義者の独裁に見られる特徴だ。そしてこれは、米国のドナルド・トランプ氏が信じていることでもある。彼にとっては、今日の自分に都合が良いと思ったことは何でも真実なのだ。

米国は圧倒的に重要な事例だ。人民投票的独裁に向かう道のりのどの辺りまで、トランプ氏は米国を連れて行く可能性があるのだろうか。世間は、「それほど遠くには連れて行かない」という見方で一致している。米国には強い制度や機関があるからだ。

しかし、制度や機関が、それを運営する人間以上に強くなることはない。古代ローマ時代のアウグストゥスは最高軍司令官になっても、共和制の制度をすべて残した。米国の司法は言論の自由を擁護するだろうか。議員たちは投票する権利を守るだろうか。それとも、新大統領は、自分と意見の異なる人々をおじけづかせるのに成功するのだろうか。テロリストが非道な行為を引き起こしたら、どんなことが起こり得るのだろうか。

シェラコフスキー氏は、ポーランドのヤロスワフ・カチンスキ氏が福祉国家という考え方を受け入れていると指摘している。トランプ氏も、普通の米国民が頼りにしているプログラムを支持していることを強調し、それに基づいて共和党の支持基盤を得た。だが、共和党の指導部はそうしたプログラムを骨抜きにしたいと思っている。トランプ氏の成功は、公約を守るのか、それとも党に従うのかによって決まるのかもしれない。

イスラエルの思想家、ユヴァル・ノア・ハラリ氏は先日、次のように述べた。「自由民主主義と自由市場に対する幻滅があるとはいえ、何らかの形で世界全体にアピールする代替的なビジョンは、まだ誰も定式化していない」。

これは正しい指摘だが、重要ではない。権威主義的なナショナリズムは、全世界にアピールする要素を内に秘めている可能性がある。そして、このナショナリズムが世界のシステムの中核に入ってしまった。これはすべてを変えてしまうのだ。

By Martin Wolf

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48987


 

トランプ政権の重鎮が作っていた「中国憎し」映画
貿易戦争勃発か 中国に“反撃”の刃を向ける米国
2017.1.24(火) 姫田 小夏
映画『Death By China』のオープニングシーン(映像の一部を抜粋、出所:Youtube「Death By China - Trailer」)
「メイド・イン・チャイナ」と刻まれたナイフが米国本土に刺さり、そこから赤い血が流れ出る――。1時間18分のドキュメンタリー映画はそんなオープニングから始まった。米国の経済学者、ピーター・ナバロ氏(カリフォルニア大学教授)が監督した『Death By China』である。

2012年に公開されたこの映画は、米中貿易によって米国経済がどれほど甚大な被害を受けているかを訴えるものだった。

あらゆる側面から中国を批判

その映像は終始、煽情的だ。

カメラが追うのは、ブラックフライデー(11月の第4金曜日。この時期に米国ではクリスマス商戦が始まる)に買い物を楽しむ市民たちだ。家電量販店「ベストバイ」から出てきた買い物客のカートに乗せられている商品のほとんどはメイド・イン・チャイナである。

また、家具を製造する零細工場の経営者は「小さな企業が米国を作っている。私たちを殺さないで」と訴え、配給の列に加わる少年は涙をこぼしながら「お腹がすいている」と訴える。こうした市井の人々のみならず、米国の大手企業、中小企業の経営者や経済学者、専門家など多くの人物が登場し、ありとあらゆる側面から中国を批判する。

例えば、次のような具合だ。

中国は為替を操作し、貿易ルールにも従わず、子どもを働かせ、環境問題を無視する。地球温暖化をもたらしたのは中国から舞い上がった微粒子だ。

中国製の玩具からは鉛が検出され、犬や猫が中国製ペットフードで亡くなり、子どもたちは中国製粉ミルクで命を落とす。「メイド・イン・チャイナ」は人々の命を危険にさらしている。

中国は外資企業に市場を開放しようとしない。中国では国内企業が保護されるが、開発力のない中国企業は製品のコピーに徹している。製造業が中国にもたらした富は軍事費に転換される。

国内企業への輸出補助金の交付はWTO協定違反だが、中国はそれを無視する。米国は中国の不正な貿易に抗えない──。

この映画は「中国は米国から工場と労働者を奪い取った」「米国の製造業は雇用創出のために米中貿易を見直すべきだ」と繰り返し主張する。最後に流れるのは次のようなメッセージだ。

5万7000の米国の工場が消えた
2500万人以上がまともな仕事を見つけられない
買い物時にはラベルをチェックしよう
そこにメイド・イン・チャイナと書かれていたら、
「仕事」「安全」、そして「中国の急速な軍事化」のことを考えてほしい

「挑発」に身構える中国

この映画の監督、ナバロ氏は対中強硬派として知られる。

トランプ氏は新政権の通商チームを対中強硬路線の人物で固めた。米通商代表部(USTR)の代表には、1980年代の日米貿易摩擦時に日本に対して鉄鋼製品の輸出自粛を迫ったロバート・ライトヘザー氏を起用。そして、通商政策の司令塔となる「国家通商会議」のトップにはナバロ氏を指名した。

中国のネットメディアでは、通商チームを対中強硬派で固めたのは「中国への挑発」だとし、米中貿易戦争を憂慮する声が高まっている。トランプ氏が「一つの中国」の原則を脅かしていることなどと合わせ、中国は“米国が一方的に喧嘩を売ってきている”と身構える。「人民日報」海外版(12月28日)は、「中国は米中の“新たな変局”に現実的に対応する」としている。

一方で、「米国に勝算はない」という強気の声も聞かれる。なぜなら喧嘩を売った米国が中国市場を失うことになりかねないからだ。中国政府はいざとなったらボーイングやフォード、GMなどを中国市場から締め出すことも辞さないはずだ。また、中国の製造拠点を失うことは米国にとってさらに大きな痛手である。

そもそも中国と米国は互いを責められない。映画によると、中国が米国の工場と労働者を奪うようになったきっかけは、中国のWTO加盟である。だが、中国のWTO加盟は、元々は米国のお膳立てによるものだった。

中国を「世界の工場」にしたのは、まぎれもなく外資企業だ。中国の大気汚染も、中国に言わせれば「外資企業の工場移転がもたらしたもの」ということになる。

さらに強くクサビを打ち込むトランプ新政権

だが、米中の経済が依存関係を強めるにつれて、中国の野望があぶり出されてきた。今や中国は経済力を武器に軍備拡張と領海の拡大に突き進んでいる。

少なくともナバロ氏の頭の中では、中国との「経済の相互依存の関係」は過去のものとなりつつある。そのナバロ氏の影響を強く受けるトランプ新政権は、自国の製造業の復活を目指して、米中の貿易関係にさらに強くクサビを打ち込むだろう。

『Death By China』は米中関係の新局面を十分に予感させる映画だ。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48977
 

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コメント
 
1. 2017年1月25日 09:50:43 : MpDEIVgNks : 5Q94bm6tEZA[59]
>米国の経済学者、ピーター・ナバロ氏(カリフォルニア大学教授)が監督した『Death By China』である

こんな映画を作るのに、だれが資金を提供したのだろうか。


2. 2017年1月25日 20:59:05 : UzMuEv4khI : pzFC3IWA1@E[61]
復讐を 陰で怖れる 勝者たち

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