★阿修羅♪ > 国際18 > 171.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
「唯我独尊」トランプを米国の民主主義は止められるか(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/171.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 2 月 14 日 09:39:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

「唯我独尊」トランプを米国の民主主義は止められるか
http://diamond.jp/articles/-/117807
2017年2月14日 真壁昭夫 [信州大学教授] ダイヤモンド・オンライン


■常に自分が正しい」と考える!?
トランプ大統領

 トランプ氏は米大統領就任以来、「常に自分が正しい」と考え、思うままに政策指示を出しているように見える。その主な例が、中東からの入国制限を指示する大統領令だ。それは米国内だけでなく、国際社会全体をも巻き込んだ論争に発展している。

 この大統領令を見ると、トランプ大統領は本当に米国の三権分立の制度を十分に理解しているのだろうかとさえ考える。トランプ氏の考えを突き詰めると、米国社会の価値観を支えてきた法律さえ、司法制度の権能には及ばないことになってしまいそうだ。

 まさに、天上天下唯我独尊のトランプ大統領だ。衝動的に指示を出し、それに反対する者に激昂する姿は、無分別な独裁者にさえ見えてしまう。一種の恐怖感さえ覚える。

 トランプ大統領は、入国制限に反対したイェーツ司法長官代行を解任した。それでも入国制限が法律に反しているとの見方は強い。シアトルの連邦地方裁判所は入国制限を指示した大統領令の一時的な差し止めを命じた。

 それをトランプ氏は「ばかげている」とツイッターで攻撃した。唯我独尊の大統領の司法軽視を受け、米国社会の混乱と亀裂は深まっている。それでは、米国を一つにまとめ上げて導くリーダーシップを発揮することは難しい。

 トランプ大統領の唯我独尊ぶりは、国際社会にも波紋を投げかけている。電話会談でオバマ政権時の協定に基づき難民を受け入れるよう諭したオーストラリアのターンブル首相に対して、トランプ大統領は激しい言葉を発し、会談は険悪な雰囲気のまま予定された時間の半分程度で終わってしまった。

 トランプ大統領には、国内の司法だけでなく、国家間の合意を遵守する精神もないのだろうか。その見方が正しいとすれば、米国は国のリーダーとしての資質の疑わしい人物を大統領に選んでしまったことになる。

 社会全体がその危険性を冷静に認識し、正常な政治への回帰を目指さない限り、米国の国益は大きく損なわれるだろう。それは、わが国を始め世界の主要国にもマイナスの影響をもたらす。わが国はその場の雰囲気に流されることなく、冷静に、何が正しいかを判断し、その考えをアジア各国などと共有し、国際社会の中での存在感を示していくことが必要だ。

■前代未聞の
唯我独尊ぶり

 ここ一週間ほどのトランプ政権の政策運営を見ていると、今後の米国、国際社会にマイナスの影響が及ぶとの懸念が高まっている。懸念の背景には二つの要因がある。

 一つは、トランプ大統領は、「司法権の独立」という民主主義国家が大切にしてきた基本的な理念をあまり理解していないように見える点だ。大統領は何でも、好きなように決められる全能の存在であるかのように尊大にふるまっている。

 まさに唯我独尊だ。

 二つ目に、その唯我独尊の暴走を諌めるブレーンもいない点だ。そのため、政治経験がほとんどない大統領を補佐し、法律を遵守しつつ実現可能な政策を進めることができていない。この結果、トランプ政権内部でも意見の相違が出始めている。国土安全保障長官に就任したジョン・ケリー元海兵隊大将は、入国制限に関する大統領令の発令は時間をかけて進められるべきだったと非を認めた。

 このように考えると、トランプ政権の中枢が、政治的に上手くワークするとは考えにくい。合法かどうか議論の余地が大きい入国制限が、十分な議論を経ることなく発令されてしまった。

 入国制限は宗教や人種への偏見につながり、差別を助長する恐れがある。それは多様な人材の流入を妨げ、米国社会の活力、国益を奪う恐れがある。それを懸念してシアトルの連邦地方裁判所が大統領令の一時差し止めを命じた。それは客観的かつ正当な判断だ。こうした正論を米国社会全体が共有できるかが重要だ。

 この判断に対してトランプ大統領は、「いわゆる(so-called)判事の意見は、法の執行を奪うばかげたものだ」とこき下ろした。"いわゆる"という言い回しは、法律の専門家の軽視だ。

 トランプ大統領はこの個人攻撃によって、自身が司法権の独立を十分に理解していないことを米国だけでなく全世界に示したともいえる。大統領令に批判的なメディアを一方的に「フェイクだ」とまくし立てて攻撃するなど、建設的な議論すら展開できない状況が続いている。

■米国の民主主義は
政治の正常化を進められるか

 トランプ政権が自身の修正能力で、唯我独尊の態度を改めることは期待薄だ。テレビインタビューでトランプ氏はプーチン大統領のロシアについて問われ、「米国もロシアと同じで潔白ではない」と発言した。

 これは、シリアへの軍事介入などを進めてきたロシアを牽制し、国際社会の安定を重視してきたオバマ政権とは全く逆の発想だ。トランプ氏が大統領の座に居続ける限り、米国、国際政治の混乱は避けられないかもしれない。

 すでにトランプ政権は、中国製の建設資材は不当に安い価格で米国に輸出されていると判断し、制裁関税の導入を決めた。対外強硬策、保護主義政策が進むにつれて、相手国から報復措置を受ける可能性も高まっている。

 その状況を改善していくためには、社会全体がトランプ政権の暴走の危険性をしっかりと認識するしかない。トランプ大統領の暴走が続けば、多くの人が「憧れるアメリカ」ではなく、「嫌われるアメリカ」になってしまう。民主党に加え、身内である共和党からもトランプ政権への批判は増えている。

 一方、入国制限に対して世論は、へ賛成と反対で二分されている。ボストンの連邦地裁が入国制限を支持するなど司法判断も分かれている。米国の大統領には、移民が米国の利益にならないと判断された場合、入国制限を課す権限がある。そのため、入国制限を課す大統領令を100%ゼロクリアすることは難しいとの見方もあるようだ。

 そうした米国内の亀裂が大統領に対する信認を低下させ、一部にはトランプ氏排斥の動きにつながる可能性も指摘されている。クリントン元大統領が弾劾にかけられたように、まず、下院で過半数が賛成すると、大統領は弾劾裁判にかけられる可能性も出てくる。

 すでに米国内では、トランプ氏排斥の市民活動も増えているという。今後は、世論の変化が党の垣根を越えて、議員の危機感にどう影響するかが焦点になる。すでに企業からも入国制限への反対意見が出ている。このまま、米国社会がトランプ政権を容認するとは考えにくい。

■高まる国際政治の不透明感
わが国はどう対応すべきか

 トランプ大統領の排斥の動きがどうなるか、今のところ不透明だ。ただ、そうした米国の民主主義の力は、衝動的、感情的な対応を繰り返す政治にブレーキをかける一つの方法になることは間違いない。

 オーストラリアのターンブル首相との電話会議でトランプ氏が感情的になり、一国の首相を非難したことは、「米国とは冷静に議論できない」という各国の警戒感を高めた。それを放置すれば、国際社会の連携は後退する。早い段階で、米国はトランプ政権の暴走を止める手立てを考える必要がありそうだ。

 それができないと、米国だけでなく国際社会にも重大な問題が懸念される。自国第一主義を掲げる米国に接近したり、対抗するなど、世界各地で自国のことだけを考える政治が進みやすい。それは各国を保護主義に向かわせ、需要の囲い込みや貿易競争の激化につながるだろう。世界経済が縮小均衡に向かう可能性は上昇している。

 不透明感高まる状況の中、わが国は自国の立場を明確にしていかなければならない。重要なことは、安全保障面では米国との関係を維持しつつ、多国間での経済連携が世界経済の安定に不可欠だとの考えを各国と共有することだ。

 米国のTPP離脱を受けて、すでにニュージーランドは米国抜きでのTPP発足に向けて各国に働きかけ始めている。わが国の政府も、同様の取り組みを進めるべきだ。米国への信頼が低下し始めた中、多くの国が米国に代わって経済連携を促進するリーダーを求めている。TPPは日米を中心とする連携だった。それだけに、潜在的なわが国への期待は強いはずだ。

 わが国がアジアを中心に政治、経済の連携を目指した議論をリードできないと、状況は更に悪化すると考えるべきだ。中国が主導する経済連携の動きに取り残され、わが国が孤立する展開もありうる。

 それを防ぐには、米民主・共和両党の首脳との関係を強化しつつ、トランプ政権の動向を冷静に見守り、同時にアジア各国との関係を強化する取り組みが不可欠だ。大変な取り組みではあるが、それくらいの覚悟がないと、今後の国際政治の混乱を自力で乗り切ることは難しいかもしれない。

(信州大学教授 真壁昭夫)
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 国際18掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
国際18掲示板  
次へ