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<仏大統領選>48歳極右マリーヌ・ルペン氏の数奇な人生
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/592.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 3 月 12 日 15:54:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

          仏大統領選挙の有力候補になったマリーヌ・ルペン氏
  

<仏大統領選>48歳極右マリーヌ・ルペン氏の数奇な人生
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170312-00000012-mai-bus_all
毎日新聞 3/12(日) 9:30配信


 4〜5月に行われるフランス大統領選挙候補で極右政党・国民戦線(FN、Front National)党首のマリーヌ・ルペン氏(48)が急速に支持を拡大している。職業政治家の家庭に生まれた彼女の数奇な人生をフランス研究の第一人者・渡邊啓貴東京外国語大学教授が解説する。【毎日新聞経済プレミア】

 ◇支持率で首位を走る

 マリーヌ・ルペン氏は1968年、FN創設者の父ジャンマリ・ルペン氏(88)の3姉妹の末娘として生まれた。

 父ジャンマリ・ルペン氏が72年に設立した当初、FNは泡沫(ほうまつ)政党に過ぎなかったが、84年欧州議会選挙で大躍進して以来安定して支持率10%以上を得る政党にまで押し上げた。2011年のFN党首選でマリーヌ・ルペン氏は、父親時代からの党内ナンバー2でリヨン大学の教授を務めていたブルーノ・ゴルニッシュ氏を破り、後継に選出された。

 マリーヌ・ルペン氏は次期大統領選で、欧州連合(EU)離脱を問う国民投票の実施、自国通貨の復活、移民受け入れの制限−−などを公約に掲げる。最近の世論調査では支持率26%で首位を走る。

 ◇職業政治家の家庭で育ち親の愛情に飢える

 マリーヌ氏はお酒好き、パーティー好き。ナイトクラブで80年代の「自由な女」というヒット曲を歌ったというエピソードもあり、あけひろげな性格という。3姉妹の中でも彼女は、父親に最もよく似ていると言われる。

 しかしマリーヌ氏の性格形成そのものは単純ではない。8歳の時にパリのアパートが爆弾テロに遭遇し、奇跡的に犠牲者は出なかったが、その時の恐怖から治安対策を強調する。父ジャンマリ氏がFNを設立して4年たったころだった。

 両親は忙しく、彼女の世話は人任せであった。子供たちを夏休みに旅行に連れていくこともなかった。そして彼女が17歳の時には両親は離婚した。後年、彼女は「両親がもう少し私に付き添って関心を持ち、注意していてくれたならと思う。私はたった一人で戦っていたのだから」と告白している。

 姉妹もその配偶者たちもみなFNの関係者で固められた職業政治家の家庭で育ち、彼女は人並みの両親の愛情に飢えていた。20代の最後にメディアに登場したが、かっぷくのいい体で、落ち着きなく大きな声で一方的にまくしたてる様子は、単に若さが露呈されたという感じではなかった。極右政党の家族というイメージも加わって、どこかすさんだ暗さが付きまとっていた。

 マリーヌ・ルペン氏は、パリ第二大学で刑法を専攻し、修士課程を終えた後、弁護士となった。父親は博士課程に行くことを望んでいたという。ただ、ルペンという名前は彼女について回り、弁護士としても功績に見るべきものはなかった。

 97年にFNに肩入れしていた企業幹部と結婚、3人の子供をもうけたが00年離婚した。その2年後にFNの地方選挙事務局長と再婚したが、その結婚生活も4年しか続かなかった。09年からはルイ・アリオFN現副党首と同居している。

 3姉妹の中でも、長女のマリ・カロリーヌ氏は最も政治的関心が高かったが、90年代末にその夫とともにFN内の改革派で父ジャンマリ氏と対立して分派したメグレ氏を支持してFNとは距離を置いた。次女のヤン氏は党の事務の仕事をしているが、政治的野心はもっていない。

 こうして三女のマリーヌ氏が、00年代に入って党の看板の一人として表に出るようになった。特に02年、父ジャンマリ氏が大統領選挙で第2回投票に残った時にメディアに多く露出し、FNの顔として知名度をアップさせた。このころから体重を落として見かけもスリムになり、女性らしいしなやかさがその風貌に加わった。革のジーンズをはくようになったが、それも様になってモダンな若者受けする風体にイメージチェンジした。

 父ジャンマリ氏は演説や対話の際に品性にかけるところはあったが、教養・エスプリがうかがえた。それに比べてマリーヌは本を読まず、人文的素養に欠けるといわれる。しかし7〜8年ほど前からは古典や教養も勉強し、フランスの伝統的ナショナリストや愛国者の人物の名前が演説などでもさかんに盛り込まれるようになった。特に第三共和政時代(普仏戦争中の1870年に樹立した共和政体)への憧憬(しょうけい)が強いといわれている。

 ◇女性票を増やすことに成功

 マリーヌ氏が党首になってからの政治戦略は、これまでのFNを「脱悪魔化」すると称して、婉曲(えんきょく)的な表現で父親時代の排外主義のトーンを緩め、失業・社会保障など福祉政策を優先するようになった。明らかな路線変更だった。

 さらにFNは伝統的右派が否定してきた「共和制」を受け入れ、民主主義政党を標榜(ひょうぼう)するようになった。とくにフェミニズムを強調したことは、女性票を増やすことに成功した。育児と仕事という女性の悩みに理解を示し、女性の解放を主張する発言は、自ら3人の子供を育てたキャリアウーマンとして説得力があった。男性からの支持が多かった父親時代とは異なった路線だ。

 妊娠中絶を容認し、同性愛も認めた。そして反EUや反グローバリゼーションを唱えるのは、それらがむしろ人々の平等を否定するものであるからとし、左翼的な政策をも標榜する。

 FNはエリートに対する「大衆(people)」という意味での「ポピュリスト政党」と自称する。ただイスラム教徒に対しては、移民という言葉は使わないが、テロや治安に対する脅威、さらに一夫多妻制の女性蔑視の社会通念を持つことを批判する。表面上は女性党首によって、ソフトイメージを打ち出してはいるが、父親時代に特徴的であった厳しい排外主義の主張がまだ垣間見えるという見方もできる。
 

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