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北朝鮮への安易な「交渉」スタンスはむしろ金正恩の暴走を招く(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/17/kokusai20/msg/325.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 8 月 17 日 10:08:10: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

もはやヤケクソにも見える好戦的なスタンスを崩さない金正恩。安易に宥和政策を取れば、むしろ彼の暴走をさらに加速させかねない 写真:労働新聞より


北朝鮮への安易な「交渉」スタンスはむしろ金正恩の暴走を招く
http://diamond.jp/articles/-/138924
2017.8.17 窪田順生:ノンフィクションライター ダイヤモンド・オンライン


挑発行動をエスカレートさせている北朝鮮に対して、アメリカは宥和政策的な態度を見せ始めた。しかし、歴史をひもとけば、安易な宥和政策がナチスドイツの暴走を引き起こしたように、ひと安心できる話では決してない。(ノンフィクションライター 窪田順生)

金正恩はアメリカから
「交渉」という言葉をもぎとった


「過激な挑発行為をすればするほどおいしい見返りがある」と、さらに事態がエスカレートしていく恐れがはないだろうか――。

 日本列島の上空を飛び越え、グアムからわずか30〜40キロの海に着弾するという中距離弾道ミサイル発射実験をぶちあげた北朝鮮に対し、アメリカのティラーソン国務長官とマティス国防長官が、真摯な態度で核実験やミサイル発射を即時中止した場合は交渉をする用意がある、とウォールストリートジャーナルに寄稿した。

 この「シグナル」を受けて、北朝鮮の金正恩委員長は「愚かなアメリカの行動をもう少し見守る」と述べ、依然にらみ合いが続いているとメディアは報じるが、このギリギリの神経戦の末、アメリカ側から「交渉」という言葉をもぎとった意味は大きい。

 とりあえずテーブルにつくという姿勢だけでも国際社会に示せば、各国の制裁の取り消しを求めることができるかもしれない。また、アメリカと対等の立場で交渉するということなれば、反米を掲げる国からの支援を受けやすい。

 もし仮に交渉がスタートしても、いつものような無理筋の主張を繰り返して協議を長期化させることもできる。それは裏を返せば、アメリカ本土に届くICBMの開発をおこなう十分な「時間」が確保できるということでもある。

 つまり、「交渉」という言葉を引き出した時点で、北朝鮮はこれからのアメリカとの「神経戦」で、かなりのアドバンテージを得たという見方もできるのだ。

 そのような北朝鮮の戦略を見ていると、ひとつの疑問が浮かぶ。いくら駆け引きとはいえ、なぜここまで好戦的な態度を取り続けることができるのかということだ。

反戦平和のために核保有!
日本人にはわかりにくいロジック


「外敵」の脅威を煽り、国民の不満をそちらへ集中させておくというのは独裁統治の基本だが、歴史を振り返れば、挑発行為が武力衝突に発展してしまうケースは少なくない。本格的な対米戦争になれば、金正恩はフセインやビンラディンのように「斬首」される危険もグーンとあがる。

 もはやヤケクソのようにも見える好戦的なスタンスに、なにやら底知れぬ恐ろしさを感じる方も多いだろうが、実は彼らが好戦的になってしまうのはちゃんと理由がある。

 それは、北朝鮮という国が、よその国と比べ物にならないほど、強烈に「反戦平和」を追い求めているからだ。ややこしい話になってしまうが、どんな大きな犠牲を払ってでも、平和を維持したいという欲求が誰よりも強いがため、あの国は戦争も辞さぬという姿勢を先鋭化させているのだ。

 たとえば今、アメリカ国内では北朝鮮に持たせるか持たせまいかと議論が沸いている「核」などがわかりやすい。北朝鮮がNTP(核拡散防止条約)から脱退して、国際社会に対して核兵器の保有を宣言したのは2005年2月なのだが、その少し前の1月1日、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」と「朝鮮人民軍」「青年前衛」という3紙が共同社説として以下のような主張をおこなった。

「反戦平和のための闘争を果敢に繰り広げなければならない」

 この国のメディアはすべて国のスタンスをそのまま広報するものだということは説明の必要がないが、そのなかでも1月1日の共同社説は特別な意味を持つといわれる。その年の方向性を人民に示しているからだ。

 要するに、アメリカという恐ろしい「悪」が攻めてきて戦争を仕掛けてくるので、平和を守るためには「核」を持つしかないというのが北朝鮮の根っこにある信念であり、金正恩も、その「反戦平和のための闘争」という基本路線を踏襲しているにすぎないのだ。

「反戦平和のための闘争」というのは声に出してみると、その支離滅裂さに気づくが、北朝鮮に限らず社会主義国家では、こういう考え方はわりと普通だ。

反戦主義者は好戦的
世界中で見られる傾向


 ソ連文化の研究に詳しい高橋健一郎・札幌大学教授によると、ソ連共産党機関紙「プラウダ」に掲載されたスローガンには、「敵対者」を「平和の敵」と見なして、戦闘的であることにプラスの価値をつけるパターンが見られるという。代表的なのが、以下のスターリンの名言を引用したスローガンだ。

「われらは平和を擁護し、平和の事業を守っている。しかしわれらは脅しを恐れないし、戦争挑発者の攻撃に対しては攻撃で応える用意がある!ソビエトの平和政策万歳!」(高橋健一郎・ソビエトスローガンの詩学)

 こういう過去を見れば、ソ連の系譜にある北朝鮮が、「戦争挑発者であるのはトランプ政権であって、その領土の近くにミサイルを落とすことが、『反戦平和』のためになる」と信じて疑わないというのは容易に想像できよう。

 やはり社会主義者とはわかりあえないな、と思うかもしれないが、実は日本国内でも北朝鮮や旧ソ連と同様に、「反戦平和の闘争」を掲げて気を吐いていらっしゃる方がちょこちょこいる。8月9日、長崎の平和公園で行われた式典会場近くに現れ、参加者が鎮魂の祈りをしている間、笛を吹き鳴らしながら「政権打倒」「安倍を倒せ」と喉を枯らせた人々もそれにあたる。

「産経新聞」(8月10日)によると、この集会を主催したのは、「8・9長崎反戦闘争実行委員会」。その名からも、反戦平和のために戦いに心血を注いでいらっしゃる方たちだというのは間違いない。実際、同紙によると、集会はこんなスローガンで始まったという。

「日本帝国主義がアジア各国を侵略したことを踏まえ、どのような立場で、戦いを作っていくのかが問われている」

「反戦平和」を望む人たちが、どうやって相手をぶちのめそうかと考えるなんて、矛盾していると思うかもしれない。ただ、「8・9長崎反戦闘争実行委員会」のみなさんをかばうわけではないが、これはなにもこの人たちだけのことではなく、古今東西の「平和」を愛してやまない方たちに共通して見られる特徴なのだ。

平和を実現するために
戦争を研究する


 英国の著名な戦略思想家、ベイジル・リデルハートは、英ブラッドフォード大学のマイケル・パフ教授の論文の中で、このように述べた。

「たくさんの平和主義者の友人と付き合っていて、彼らの意見にもちろん共感する。しかし、戦争の廃絶ということではほとんどがっかりすることが多い。なぜなら、彼らの強烈な平和主義の中には、ケンカっ早さが見えてしまうからだ」(PACIFISM AND POLITICS IN BRITAIN 1931-1935)

「平和」を愛する人たちは、自分たちの主張が確実に正しいと思っている。だからこそ、自分たちと異なる主張をする者たちを受け入れられない。説き伏せたり、選挙などで失脚させたりすればいいが、それができなければどうするか。「平和の敵」である「悪」は力づくで取り除くしかない、となるのだ。

 ラブ・アンド・ピースを信条として、「反戦」のメッセージを強く押し出した曲も歌ってきたマドンナが、トランプ批判の勢いあまって、「ホワイトハウスを吹き飛ばしたいって、心の底から思ってる」なんて口走ってしまうのは、この「ケンカっ早さ」が原因だ。

 このように「平和の敵」を「打倒」して、徹底的に「倒せ」ということを突き詰めていくと、ユダヤ人たちに憎悪を向けたナチスドイツの姿と重なっていくというのは言うまでもない。

 こういう歴史の教訓がある欧州では、「反戦平和」を唱えるだけでは、その時代や社会のなかで「平和の敵」とみなされた人々が憎悪を向けられるだけで、なんの解決にもならないということに気づいている人が多い。だから、多様な見方をすることが推奨される。その代表が、「戦争学」という学問だ。

 軍事利用される研究を大学側がボイコットすることがブームになっている日本の大学にもし、こんな学部が設立されたら、「反戦平和の闘争」を掲げて笛を吹き鳴らす人々が押し寄せてきそうだが、「戦争」という言葉を耳にしただけで条件反射的に「反対」を叫ぶ「朝日新聞」にも、その存在意義がちゃんと説明されている。

『戦争学部は、英戦略家リデルハートの「平和を望むなら、戦争を理解せよ」という理念を基にする。あらゆる学問の英知を結集して、戦争という現象を徹底的に検証する』(2015年2月20日 朝日新聞)

安易な宥和政策は
北朝鮮の暴走を招く


 では、このような戦争学の立場にのっとって、今回の北朝鮮のミサイル外交を検証したらどうなっていくのか、ということに非常に興味がある。

 北朝鮮の「挑発」に対して、アメリカがいわゆる「宥和政策」を打ち出して、世界中がホッと胸をなでおろしているが、これが中長期的に見ると「平和」につながる選択なのか不透明だからだ。

 ナチスがチェコスロバキアに進出した際、平和主義者として知られるイギリスのネヴィル・チェンバレン首相が、ナチスと衝突するのではなく、彼らの要求に応える「宥和政策」を打ち出した。時のメディアはチェンバレンを英雄だとほめちぎったが、ダムが決壊するようにナチスの要求はさらにエスカレートしてポーランド侵略を招いた。

「宥和政策」を打ち出した側は「平和」を守れたと満足しても、「平和の敵」を倒すべし、と牙を磨いている者からすれば、単なる戦争の準備期間に過ぎない。これこそが、チェンバレンの後に首相になったチャーチルが、その回顧録で第二次大戦を回避することが容易だった「無益な戦争」だと述べた理由だ。

 もちろん、誤解なきように断っておくが、手遅れになる前に金正恩体制を潰しておけ、などと言っているわけではない。ただ、相手は「反戦平和の闘争」を掲げている人たちである以上、安易な「宥和政策」は裏目に出るということを申し上げたいのだ。

「安倍を倒せ!」と喉を枯らしている人たちが、損得や打算で集まっていないように、北朝鮮も損得だけで動いているわけではない。自ら「取引の天才」だと吹聴するトランプとはまったく異なる思想の持ち主なのだ。

 平和を望むなら、戦争を理解せよ――。水と油ともいうべき北朝鮮とアメリカの駆け引きからは、これからの世界で「無益な戦争」を避けるヒントを見つけられるかもしれない。


 

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