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まだ終わっていない──ラッカ陥落で始まる「沈黙の内戦」〜ISの占領が終わったラッカに「新たな占領者」/川上泰徳
http://www.asyura2.com/17/kokusai21/msg/168.html
投稿者 仁王像 日時 2017 年 11 月 08 日 20:04:16: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

↑ラッカで勝利を喜ぶシリア民主軍(SDF)の戦闘員たち Erik De Castro-REUTERS

まだ終わっていない──ラッカ陥落で始まる「沈黙の内戦」
2017年11月08日(水)
http://www.newsweekjapan.jp/kawakami/2017/11/post-33_3.php

<10月下旬、シリアの「イスラム国」の都ラッカが陥落。しかし、シリアでは今も内戦が続き、市民が犠牲になり続けている。国際社会の関心が急速にしぼむなか、大きな懸念は――>

 (前半、略)

≪ISの占領が終わったラッカに「新たな占領者」≫

アレッポ東部の包囲攻撃は、政権軍による侵攻と制圧によって終わりを告げた。しかし、シリア内戦は終わらず、かつてバナが陥った苦境は、東グータなどまだシリアの反体制地域の至るところにある。

その中でも、5年に及ぶ東グータ地区の包囲攻撃と、住民の苦境をいかに軽減し、終わらせるかは、国際社会にとって最大の課題となる。それによってロシアが主導する「安全地帯」を設置する和平プランの有効性も試されることになる。

しかし、シリア内戦に対する世界の関心が低下していることから、市民の悲惨な状況がメディアに載らなくなれば、アサド政権やロシア政府に対する和平圧力も弱くなり、市民の苦境と悲劇は国際社会の沈黙の下で続くことになる。

なお、米国の援護を受けたクルド人主体のシリア民主軍(SDF)によるラッカ制圧については、ラッカの市民ジャーナリスト組織サイト「沈黙のラッカ虐殺」の報道の流れによって、何が起こっているかは見えてくる。

このサイトは2014年4月にシリア人の市民ジャーナリスト17人によって秘密裏に創設され、IS支配地域でのISによる人権侵害を報じてきた。2016年11月に米軍・有志連合によるラッカ市街地への侵攻作戦が始まってからは、米軍・有志連合の無差別空爆を批判的に取り上げる報道が増えた。

SDFによるラッカ市街地への侵攻作戦が始まった今年6月には、米軍・有志連合の無差別空爆をこう非難した。

「ラッカ市は市を支配しようとして焦土作戦を行う有志連合とその同盟者(=シリア民主軍)による組織的な破壊を受けている。民間人に対するあらゆる人権侵害に対しても、ごくわずか、もしくは全く非難を受けることはない。そのような行動がISと戦うという口実の下に行われている」

シリア人権ネットワーク(SNHR)はシリア内戦での市民の死者を集計しているが、今年の5月と8月は、米軍・有志連合の空爆による民間人の死者がアサド政権軍による死者よりも多く、軍事勢力の中で最多となった。SNHRのリポートは「有志連合は政権軍やイスラム過激派よりも多くの民間人を殺害」という見出しをつけた。

「沈黙のラッカ虐殺」サイトは、ラッカ陥落の後、10月25日付で「シリア民主軍(SDF)によるISへの報復と民間住居の略奪」と題して、「SDFがラッカに侵攻して以来、運び出して売ることができるすべての物に対する組織的な略奪が続いている」という現地の混乱ぶりを伝えている。

さらにサイトのフェイスブック・ぺージの中央にアラビア語で「ラッカの新たな占領」と書き、右にISの写真、左にクルド人組織の写真を組んで、ISの占領が終わり、クルド人の占領が始まったことを表現した。

≪スンニ派を敵に回すだけで地域の安定に向かわない≫

ISがイラクとシリアで勢力を広げた背景に、イラクではイラク戦争後のシーア派勢力によるスンニ派勢力への抑圧、シリアではシリア内戦後にアサド政権によるスンニ派部族の弾圧というスンニ派勢力の受難があったことは、このコラムでも何度か指摘した。さらにラッカなどシリア東部では伝統的にスンニ派部族の力が強く、それがISと結びついたことは「部族社会に逆戻りするアラブ世界」で取り上げた。

ロシア主導の和平プランが提唱する4カ所の安全地帯の1カ所になっているシリア南部のダルアーも、スンニ派部族の影響力が強く、2011年春、最初に大規模な反アサド・デモが起こった都市だ。それに対する政権軍・治安部隊の武力鎮圧によって、シリア全土のスンニ派部族に反政府の動きが広まった。

IS支配は過酷だったが、スンニ派部族にとってはアサド政権による露骨な暴力からの救済の面があった。さらに、ラッカに近いシリアの原油地帯のデリゾールをISが抑えて、原油から得られる収入を使って、スンニ派勢力・部族にアメを与えたこともIS支配を支える要素となった。

米軍がクルド人勢力を援護してISを力でねじ伏せ、ラッカを解放しただけでは、スンニ派を敵に回すだけで、地域の安定に向かわないことは明らかである。クルド人勢力がIS支配地域を力で抑え、アサド政権の包囲攻撃は続き、市民の犠牲だけが増え続ける。

しかし、国際社会の目は向かず、「沈黙の内戦」となることが今後の大きな懸念である。

 

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