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テクニカルなゲーム? 日本の予算編成 実は止まった国債発行減少記録  復活する独裁主義、共通する不吉な経済兆候  
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 17 日 01:55:00: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

テクニカルなゲーム? 日本の予算編成

上野泰也のエコノミック・ソナー

実は止まった国債発行減少記録
2017年1月17日(火)
上野 泰也
17年度予算案と16年度第3次補正予算案、20日から国会で議論へ

 政府は昨年12月22日、2017年度当初予算案と2016年度第3次補正予算案を決定した。1月20日召集の通常国会で議論された上で、与党の賛成多数で可決成立する見通しである。

 2017年度当初予算案では、高齢化による社会保障関係費の膨張を2016年度当初予算比で5000億円程度に抑えようとした結果、医療・介護分野で所得の高い高齢者の自己負担額が増すことになった。消費税率引き上げが2019年10月まで再延期されたこともあり、こうした苦しいやりくり(というよりも負担可能な層により多い負担を求める動き)が、今後も毎年度の予算編成で繰り返されていくことが確実な情勢である。


政府は昨年12月22日、2017年度予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は97兆4547億円と5年連続で過去最高を更新した。1月20日召集の通常国会に政府は予算案を提出し、3月末までの成立を目指す。(写真:PIXTA)
取れるところから取る

 昨年12月に放映が終わったNHK大河ドラマ「真田丸」は最終回で、徳川家康の重臣として活躍した老境の本多正信が自らの領地の様子を真田信之に見せるという、意外だが実に印象的なシーンで幕を閉じた。領民に慕われている本多正信は「戦と同じ。人の心を読むのが肝要で、領民には無理をさせず、というて楽もさせず、年貢だけはきっちりと取る。その上で、領主たるものは決してぜいたくをしてはならん。これでござりまするよ」と、国づくりの根本的な考え方を信之に説いた。

 だが、これは脚本家の三谷幸喜氏がインタビューで述べていた通り、「百姓は生かさず殺さず」という有名なアイディアにほかならない。慢性的な財政赤字に苦しんでいる日本の毎年度の予算編成にも、通じるものがあると言えはしまいか。

 税制改正以外でも、高齢者医療制度支援のための負担金が膨らむ中で、大企業の会社員らが加入している健康保険組合の保険料率は9年連続の上昇。健保全体の平均保険料率(原則として労使折半)は過去最高を更新中である。「取れるところから取る」という考え方に沿って国民の負担が増している事例が、近年どんどん増えている。もっとも、これは国政選挙を経て日本の有権者がそうした政策コースを選択したことの帰結にほかならないのだが・・・。

国債利払いの積算金利を引き下げることで、国債費を抑制

 閑話休題。2017年度予算案に話を戻すと、防衛費は過去最大の5兆1251億円になった。また、公共事業関係費は2016年度当初を26億円だけ上回る5兆9763億円。当初予算ベースでなんとか5年連続増にしたことには、財政出動論が根強い自民党への配慮があったのだろう。

 歳出面でつじつま合わせに使われたのは、補正予算編成時に「財務省の隠しポケット」と揶揄されることもある国債費である。国債利払い費の前提となる積算金利を2016年度の1.6%から0.5%ポイント引き下げて2017年度は過去最低の1.1%にすることで、2016年度当初予算を下回る額に財務省は国債費を抑制した。

国債新規発行額と、赤字国債発行額の連続減少記録は途切れた

 新しい年度の当初予算案が編成される際の比較対象は一種の慣例で、前年度の当初予算になっている。だが、前年度の数字は補正により、さらに決算時点でも変わってくるので、これはミスリーディングである。今回は「国債新規発行額が7年連続減少」「赤字国債発行額が5年連続減少」と報じられてしまうわけだが、2016年度は第2次補正予算で建設国債が2兆7500億円増発されたほか、第3次補正予算案では赤字国債が1兆7512億円、建設国債が1014億円増発されるので、実態としては、国債新規発行額および赤字国債発行額の連続減少記録はすでに途切れている。

 報道に接した際に、そうした細かい事情までわかる人は少ないのではないか。当初予算ベースでの国債発行減少だけをとらえて「財政再建は順調に運んでいる」と考えるのなら、それは明らかに誤りである<■図1>。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/011100077/zu_ueno_01.jpg
■図1:毎年度の国債(新規財源債)発行額

注:2015年度までは決算、2016年度は第3次補正予算案、2017年度は当初予算案ベース
(出所)財務省


2017年度当初予算案の税収は高めの見積もり

 さらに言えば、2016年度の税収が円高ドル安などを背景に当初予算計上額(57兆6040億円)を下回って推移しているため(2016年度の一般会計税収は11月末時点で前年同期比▲3.6%)、同年度の税収は第3次補正予算案で1兆7440億円下方修正されて55兆8600億円となる。にもかかわらず、「トランプラリー」の下で為替が急速に円安ドル高に動いたことによる企業収益増加見通しを主たる根拠にしつつ、2017年度当初予算案の税収見積もりとしては、2016年度当初予算を若干上回る数字(57兆7120億円)が掲げられることになった。なお、税収を見積る際に材料の1つになる、政府経済見通しの2017年度名目GDP(国内総生産)は前年度比+2.5%で、民間予測よりも高い。

 そうした国債費と税収見積もりのテクニカルな「調整」、および「市況頼み」の色彩が濃い外国為替資金特別会計(外為特会)から一般会計への繰り入れの大幅増額によって、国債発行額の連続減少記録を「延命」させて予算編成の表面を取り繕っても、生産的なことは何もないのではないか。

財政規律が緩みやすくなっていることは大きな問題

 また、日銀が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の下で、長短金利の「ピン留め」と保有残高増加年間80兆円をめどとする長期国債の大量買い入れを実施していることの副作用として財政規律が緩みやすくなっていることも、実は大きな問題である。国債発行による金利負担や借金残高増加が意識されないと、財政はどうしても拡張方向に傾きやすくなる。

 麻生太郎財務相は上記の2つの予算案を閣議決定した後の12月22日の記者会見で、国債利払い費の積算金利を大幅に引き下げた理由について、「国債費は日銀が当面長期国債(の金利)は0.0(%)でイールドカーブ等々抑えるという話をしておられますんで、低金利の環境が今後も続いていく、また日本銀行も続けると言っているので、それでいくと積算金利をわれわれとしては1.6(%)から1.1(%)に引き下げた」と返答していた。

日銀が市場金利を抑え込み続けることが、予算編成の前提に

 要するに、日銀が市場金利を抑え込み続けることが、もはや予算編成の前提になってしまっているわけである。日銀の異次元緩和はもはや臨時異例の政策ではなく、長期的に継続される政策という位置付けだということである。日銀が2年という「短期決戦」に失敗して9月に「長期戦・持久戦対応」へと金融緩和の枠組みを切り替えたことが、かえって財政規律のさらなる弛緩につながりかねないという、皮肉な状況が現出している。

 なお、麻生財務相はこの記者会見で、「マーケットで見れば、国債を発行すればもっと金利が上がらなくちゃおかしい。しかし、金利は下がり続けている。出してるにもかかわらず。昔に比べれば3倍にも4倍にもなっているのに比べて、金利はあの頃6%、7%だったのが、いまは0コンマ何%という話まで落ちているんだから、それは間違いなく、世界から見たら内容が良いというのを意味していますから(後略)」とも述べていた。

 だがそれは、日銀が大量の国債買い入れによって市場の需給を締めあげて、債券市場の健全な価格形成機能をマヒさせていることの帰結に他ならない。

国債全体に占める日銀保有分はすでに4割近くに

 日銀が保有する長期国債の残高は、日本銀行券の発行残高を上回らないという「銀行券ルール」の下で、以前は抑制されていた。日銀のバランスシート上、長期の負債である日銀券に見合う部分には長期の資産である長期国債を充てるという考え方がベースにあったわけである。だが、日銀は2013年4月に「量的・質的金融緩和」を導入した際、このルール適用の一時停止を決定。国債全体に占める日銀保有分はすでに4割近くまで膨張している<■図2>。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/011100077/zu_ueno_02.jpg

■図2:日銀保有長期国債残高と日本銀行券発行残高の比較

(出所)日銀


テクニカルなゲームのような予算編成が繰り返される

 筆者が毎年感じることだが、日本の予算編成は縦割り色が濃く、過年度に決まった事業の延長線上で歳出が計上される部分も大きいなど、かなり硬直的である。歳出に優先順位をしっかりつけて、日本経済が地盤沈下を続けている根源である人口減・少子高齢化の流れを食い止めることにしっかり注力していかなければ、日銀による人為的な低金利状態の維持を当然の前提にしたテクニカルなゲームのような予算編成が、これからも毎年繰り返されていくことだろう。


このコラムについて

上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/011100077


 


 

コラム:復活する独裁主義、共通する不吉な経済兆候

Edward Hadas

[ロンドン 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 世界各国の政治体制に独裁主義が復活しつつある。ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、トルコのエルドアン大統領といったあたりがその先駆けだ。主要国の指導者として権力を手にし、個人崇拝的な支持を確立している。

これらの支配者には多くの共通点があるが、マクロ経済政策となると話は別である。

かつては、強権的な政府というものは似たり寄ったりの経済目標を掲げていた。独裁体制が台頭した過去の時期として最も近いのは1930年代だが、イタリアのファシスト党も、ドイツのナチスも、雇用創出と産業振興を表明していた。スターリン率いるソ連とアタチュルク率いるトルコは、性急な近代化を推進した。少し時代は後になるが、毛沢東体制下の中国も同じ課題を掲げた。いずれも自給自足的な経済を支持し、不正な蓄財を嫌悪していた。

今日では、独裁政権が掲げる目標はさまざまである。プーチン氏は、2000年に初めて政権の座に就いたときは経済改革に関心を持っていたようだが、2003年には方針を変更した。それ以来、同氏は力強い現代的な経済を構築することにはほとんど関心を示していない。国際通貨基金の試算によれば、2006年の時点でロシア国民1人あたりの国内総生産(GDP)はドイツの53%だったが、10年後でも54%でしかない。

経済制裁が響いていることは確かだが、成長が見られない理由の大半は自業自得である。石油価格が10年間にわたって高水準を続けたことの恩恵は、投資に回されるのではなく、不当に誰かの懐に収まるか、浪費されてしまった。医療、教育、物理的インフラといった主要な公共システムは荒廃したままである。

2008年と2014年に石油価格が急落しても、プーチン氏の政策は変わらなかった。石油・天然ガスへの依存を減らすという点で、プーチン氏はほとんど何の手も打っていない。カーネギー・モスクワ・センターの2015年の分析によれば、ロシアGDPの57%、政府歳入の60%は、石油・天然ガスに依存しているという。

これと正反対に近いのが中国の成長志向だ。貧しかった中国にとって、ここ数十年はGDPの成長がすべての基準とされてきた。習主席は自称「新毛沢東主義」を掲げるものの、それが持続的な経済拡大という公約を妨げる様子は見られない。

この中国の体制のもとで、過去10年間、GDPは年平均10.2%の成長を遂げてきたとされている。だがGDPに執着するあまり、環境汚染や、GDP成長を押し上げるだけの無意味な投資など、それ以外の経済的問題がまん延する結果になっている。債務も急速に拡大しており、中国の金融システムは、定員オーバーの老朽化したジェットコースターのような状況を呈しつつある。

次にエルドアン政権下のトルコだが、これもやはりまったく違う状況だ。前首相の立場から現在では大統領となったエルドアン氏のもとで、独裁政権ならではの経済無策ぶりは驚くほどのひどさだ。プーチン氏同様、当初は経済の改善に関心を示していたエルドアン氏だが、その後はずっと経済以外の問題が優先されている。

結果として、国民1人あたりGDPはこの10年間で対ドイツ比40%から44%に伸びただけで、経済成長の実績はあまりパッとしないが、それさえも巨額の経常赤字に支えられている状況だ。同じ時期、経常赤字は対GDP比で平均5.7%となっている。インフレ率は年平均8.3%と政治不安を招きかねない水準だが、恐らくこれにも貿易不均衡が影響している。

だがエルドアン氏は、危機的なインフレや外国からの資金流入の途絶を心配するどころか、経済安全保障をますます低下させている。大半が高学歴であるギュレン運動支持者を政府から(最近では経済界からも)追放したことで、トルコ経済の能力と信頼性は確実に低下するだろう。

このように、現代では独裁体制をとる諸国の経済は非常に多様になっているが、1つ重要な共通点がある。

それは、独立心に富む企業の不在である。ロシア、中国、トルコの3カ国には、いずれも活発な民間部門が存在するが、どれほど資金と機会に恵まれていても、あえて政府の方針に楯突こうという起業家はいない。強力で恣意的な指導者に抵抗することはあまりにもリスクが大きいからだ。トランプ次期米大統領のツイートを見て投資計画を変更した米国企業も、同じ問題を抱えつつある。

新たな独裁体制のもとでは、厳しい締め付けの代わりにご褒美もある。政府内部であれ民間部門であれ、国家経済の内部に食い込めれば、米国企業のCEOでさえ引け目を感じるほどの巨富を得ることができる。自由な民主主義体制の国では「腐敗」と呼ばれる状況だ。

ロシア、中国、トルコでは、民衆から搾取する半ば公的な許可(ただし気まぐれに取り消されてしまう可能性もある)により、臆病な貴族社会が生まれている。政府に取り入るチャンスがある以上、習主席の進める腐敗撲滅キャンペーンの成功も限定的なものにとどまりそうだ。

独裁体制の復活はまだ最近の話である。だが、経済への関心よりも国内政策を優先する風潮は、グローバルビジネスにとっては不吉な兆候だ。それはより多くの腐敗をもたらすだけでなく、自国の独裁者のご機嫌をとる必要のために国際的な協力が低下してしまうからだ。トランプ氏とその新政権は、「プーチノミクス」を模倣することのコストを慎重に考えるべきだ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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コメント
 
1. 2017年1月17日 02:05:27 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3521]

>日銀が大量の国債買い入れによって市場の需給を締めあげて、債券市場の健全な価格形成機能をマヒさせている

改革を怠り、投資と生産性の上昇が低迷すれば、さらに取れるところから取る姿勢は強化されていく

つまり日本の衰退と貧困化は続いていくが、それでも当面は、海外に比べれば、かなりマシということもありえるw



2. 2017年1月17日 10:12:28 : uFhGmzI4Q2 : iNkZdo_A6Qc[231]
 おそらく、軍需産業がすこしづつ出てきて気づいたときには戦前時の状態になり、先端技術と生産が陳腐と低廉で秘密保全保護主義が拡大されスマートホンなどの移動体通信も一般人に使用禁止になるであろう。

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