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<緊急事態条項>永井幸寿氏「国家緊急権は政府トップの個人的資質によって大きく左右される制度で極めて危険」(NHKラジオ)
http://www.asyura2.com/17/senkyo225/msg/880.html
投稿者 shimbi 日時 2017 年 5 月 20 日 04:40:20: ibnpLFktmKXy6 c2hpbWJp
 

永井幸寿氏(弁護士)が出演した2017年05月04日放送のNHKラジオ第1「マイあさラジオ 社会の見方・私の視点」の書き起こしです。音声は下記URLで聞くことができます。

「なぜ憲法に“緊急事態条項”が不要か」
弁護士 永井幸寿
5月4日(木)社会の見方・私の視点 
http://www4.nhk.or.jp/r-asa/336/

(書き起こしここから)

キャスター:永井さん、おはようございます。

永井:おはようございます。

キャスター:昨日と今日とこの時間、憲法改正について考えています。特に衆議院憲法審査会でも議論になりました緊急事態条項を取り上げています。緊急事態条項と言いますのは、大規模災害や外国からの武力行使などに対応するために政府の権限や国会のルールを憲法に定めるものです。特に人権や権力の分立を一時的に停止するという側面があるために、賛成・反対、意見が分かれています。

今朝は、反対の立場から永井さんにお話をうかがいます。永井さんは、緊急事態条項を設けることになぜ反対されているんでしょうか。

永井:緊急事態条項というのは国家緊急権を憲法に設ける条項です。国家緊急権というのは、戦争・内乱などの非常事態に人権保障と権力分立を停止する制度です。

人は生まれながら自由と平等の権利を持っています。これが人権です。これを実現するために国家が作られました。しかし、国家の権力が強大になるとかえって人権を侵害することになるので、わざと国家権力を3つの権力、司法・立法・行政に分けてお互いに邪魔し合うようにした。これが権力分立です。

国家緊急権は権力を集中するので一見効率が良さそうですが、人権保障と権力分立をやめるという点で危険性のほうがはるかに高いんです。

昔、ナチスが独裁権を取得した時はワイマール憲法の国家緊急権を使いました。ナチスが政権を取った時に、非常事態ではないのに非常事態だと言って、反対党の党員の人権を停止して何千人もの党員を逮捕・拘束したんです。そして、全権委任法という立法権を政府に委ねてしまう法律を議会で強行採決をして独裁を確立したんです。

緊急事態条項はこのように乱用の恐れがある危険な条項であるということで、私は緊急事態条項を設けることには反対です。

キャスター:「いまの日本ではそうしたことはあり得ないんではないか」という声もありそうですけれども、いかがでしょうか。

永井:いや、あり得ると思います。権力分立の趣旨は、「人は権力を握りたがり、どんな人でもいったん権力を握れば乱用したがる」というものです。「人は弱いんだよ。失敗するんだよ」という経験に基づいて作られた制度です。

例えば自民党の国家緊急権案ですが、本来、法律と予算は国会が決めることになっています。しかし自民党案では、緊急事態に総理大臣が「緊急事態だ」と宣言すると、内閣は法律と同じ効力の政令が制定できる。つまり、法律を作ることができるようになってしまうんです。そしてこの時、予算は総理大臣が一人で決められます。

「どんな場合が緊急事態か法律で定められる」としているので、国会の過半数の決議で、例えば「大規模なデモがあった場合」あるいは「大規模なストライキがあった場合」などと、この緊急事態をどんどん追加していくことができるわけです。

そして、緊急事態の期間にも制限が定められていません。また「政府の作る法律・予算には国会の同意がなくても効力は失わない」となっています。つまり国会のコントロールが全く及ばないんです。まるでナチスの時の全権委任法のようなものです。このような権力を持てば「乱用するな」と言うほうが無理です。

キャスター:では、緊急事態に対してはどう対処すればいいというふうにお考えでしょうか。

永井:これは法律で対処するということです。日本国憲法の趣旨は、「緊急事態条項は危険なのであえて憲法には設けない」、そして「緊急事態に対してはあらかじめ法律で準備しておく」というものです。

災害については、災害対策基本法・災害救助法・警察法・自衛隊法などの法律が十分整備され、また海外からの武力攻撃には、自衛隊法・国民保護法などの法律が整備されています。

そして、例えば災害については災害対策の原則というものがあって、これは準備してないことはできないということです。東日本大震災でも行政の不手際と言われたものがありましたが、その多くは法律があるのに準備がなされていなかった例です。

例えば福島第一原発から4.5kmの双葉病院では、避難の前後に50人の寝たきり高齢者が亡くなりました。法律の制度は、自治体の地域防災計画の策定、防災訓練の実施などが規定されているんですが、原発事故というものは事実上起こらないということになっていたんです。そこで、県境を越えた避難ルートの策定や避難訓練、バスやドライバーの確保、避難者の生活のための避難所などが準備されなかった。こういうことが原因なんです。

災害が発生してから権力を集中しても対処はできないんです。

キャスター:緊急事態条項を憲法に定めることに賛成する声として、「いま法律で想定していること以上のことが起こるかもしれないので必要なんだ」という意見もあります。どうお考えでしょうか。

永井:具体的な事実ではなくて抽象的に「想定外だ」と言って、そのような事態を前提として憲法を設計すると、国の権力はどんどん強大になる。乱用の危険が高まる。ということで先ほど言ったように、「権力の乱用の危険があるから国家緊急権を設けずに緊急事態を法律で対処する」というのが憲法のスタンスです。

これに対しては、「東日本大震災の時は法律で対処できなかったので、法改正がその後なされたんだ」という主張があります。しかし、災害対策基本法の改正は東日本大震災の後3年8ヶ月もかかったんです。災害対策は冷静な検証と合理的な判断が必要で時間がかかるものです。災害直後に権力を集中しても冷静な検証も合理的な判断もできません。逆に混乱が生じて住民を犠牲にする危険性があります。平常時から法律で準備しておくことが大切です。

また、東日本大震災の時、菅直人総理が尽力したものの、場当たり的で突発的な行為を行ったために政府への信頼は失墜し混乱が生じました。

緊急事態はトップがパニックに陥りやすい状態です。誰がトップになっても冷静な対処ができるシステムが必要であることは、私たちが東日本大震災で学んだはずです。国家緊急権は政府のトップの個人的な資質によって大きく左右される制度であり、極めて危険であると考えます。

キャスター:「権力の暴走を止めるためには、憲法で明確に書いておいたほうがいいんではないか」という意見もあります。いかがでしょうか。

永井:こういう考えにも反対です。「国家緊急権の発動時に発動の期間を明示する。あるいは発動について調査・責任追及のシステムを設ければいい」という意見があります。しかし、その期間というのは権力者が無視すればおしまいですし、責任追及のシステムは、法的な責任を追及するのではなく政治的な責任を追及するということで、乱用の抑止にはなりません。法的責任、例えば「総理大臣に損害賠償責任が発生する、あるいは刑事責任が発生する」というものではなくて、政治的な責任、「選挙で多数が取れない」というような責任を追及するものであって、乱用の抑止にはなりません。また、事後的なものであって侵害された人権というのは回復されません。

キャスター:「国会や司法がそれをチェックすればよい」という意見もありますが、いかがですか。

永井:この考えにも反対です。例えばアメリカの場合、国家緊急権は何度も行使されて独裁国家にはなっていないので、適正に行使されていると考えられます。これは厳格な権力分立があるからです。

大統領には議会に法案提出権はなく、宣戦布告は議会の権限なので大統領は勝手に戦争ができません。また、裁判所は法令について違憲判決をバンバン出してます。例えば、トランプ大統領の大統領令にも裁判所は違憲の仮処分決定を出しています。

これに対して日本は議院内閣制であり、国会の多数が内閣を形成するので、国会は政府内閣を抑制できません。また、裁判所は憲法判断を回避し政府の行為に追従するような判決を出していますので、政府を抑制することはできません。

一番重要なのは主権者である国民の意識です。アメリカではイギリスから独立した経験があり、権力に対する警戒心があって小さな政府が良いという考え方をしています。

これに対して、日本では独立の経験がなく権力への警戒心がありません。例えば原発事故の避難者はみんなこう言っています。「国が言うから信頼しました」「国が私たちを守ると思っていました」。権力に対する警戒心というのはないんです。

従って、政府がいったん権力を握ってしまったら、これは戻らないと思います。

キャスター:永井さん、改めてこの憲法の改正を考える場合に、どんな視点を持つことが大事だというふうにお考えですか。

永井:憲法には改正規定があるので、憲法改正は憲法自体が予定していることです。しかし、憲法は最高法規なので法律の上に存在しています。従って何らかのニーズがあった場合、まず法律で対処することを考えて、これができない時に憲法の解釈を考えて、それでもできない時に初めて憲法改正を考えるべきです。

いまの憲法改正論は、まず憲法改正することを決定して、そのためのニーズを探している状態です。これは本末転倒であって、このような改正に私は反対です。

キャスター:永井さん、今朝のお話、どうもありがとうございました。

永井:ありがとうございました。

(書き起こしここまで)


[関連]
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http://iwj.co.jp/wj/open/archives/370892
自民改憲草案の怖さとは…意見広告150本の弁護士が語る 升永英俊氏(2016年10月24日 日刊ゲンダイ) 
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/192194/1
緊急事態条項の実態は「内閣独裁権条項」である - 木村草太|WEBRONZA - 朝日新聞社 2016年03月14日
http://webronza.asahi.com/politics/articles/2016030100008.html
【自民党憲法改正草案】見やすい対照表で現憲法との違いが分かる! 第9章 緊急事態 [98~99] 
http://tcoj.blog.fc2.com/blog-category-9.html
明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか): 改憲草案を英訳しました
http://www.asuno-jiyuu.com/2013/11/blog-post.html  

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コメント
 
1. あおしろとらの友[231] gqCCqIK1guuCxoLngsyXRg 2017年5月20日 05:37:51 : JLFXNYbvaQ : DMq@w10fv70[4]
現政権ならではの議論。この上ない反面教師。

2. 知る大切さ[8514] km2C6ZHlkNiCsw 2017年5月20日 05:58:23 : rXmQVSTR26 : wmfWUboB@Eg[4348]
森友・加計学園レベルですら、
チェック機能が働かない今の国会の中枢を握る人々が、
改憲を望んでいる。

人間的に未熟な権力に憑かれた人々が国家の中枢の多数を占める今
はまだ、憲法に手をつける時期では無い。


3. 2017年5月20日 06:28:46 : HUI5SFedJA : 7Sq9gp4YhtY[5]
真の緊急事態とは、権力が緊急事態を宣言した状態のことだ。どう言い訳しようともこの時、法律は全て無効化し幼稚な権力が恣に権力を振るうことになる。トルコを見てみるといい。

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