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「日本人は格差を望んでいる」は本当か 橘木俊詔氏 マル激トーク・オン・ディマンド(ビデオニュース・ドットコム)
http://www.asyura2.com/17/senkyo230/msg/643.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 8 月 14 日 00:36:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

「日本人は格差を望んでいる」は本当か
http://www.videonews.com/marugeki-talk/853/
2017年8月12日 マル激トーク・オン・ディマンド ビデオニュース・ドットコム


【ダイジェスト】橘木俊詔氏:「日本人は格差を望んでいる」は本当か



ゲスト 橘木俊詔氏(京都大学名誉教授)

 「日本のピケティ」との異名を取る京大名誉教授の橘木俊詔氏は、1998年に「日本の経済格差」を著し、一億総中流と言われていた日本経済が急速にアメリカ型の格差社会に向かっていることに対して、最初に警鐘を鳴らした経済学者の一人だった。しかし、その後、日本は橘木氏の予想した通り、一気に格差社会への道を突き進んでいった。

 今回は橘木氏との議論を通じ、現在の日本の「格差社会」や「貧困化」の状態が、日本人がそのような社会となることを自覚的に選択した結果だったのかどうかを考えてみた。つまり、われわれ日本人があえて格差が広がり貧困が放置されるような社会を望み、その前提となる税制や社会制度を選んだのか。それとも、無自覚のうちにそのような選択をしていただけであり、それはこれから修正される余地があるものなのかどうか、だ。

 それにしても今や日本は、アメリカと並ぶ世界有数の格差大国となっている。6人に一人が貧困線以下の生活を強いられ、貧困者の割合を示す相対的貧困率でも、富の偏在を示すジニ係数でも、日本はアメリカと並び世界で最も貧富の差が大きく、貧困層が放置されている国であることが、データによって裏付けられている。それもそのはずで、再分配の前提となる国民負担率(租税負担率+社会保障負担率)でも、日本はアメリカと並び先進国では最低水準にある。何らかの形で富める人たちから税や社会保障費の形で富を集め、それを貧しい人たちに分配しなければ、貧富の差が広がり、貧困が放置されるのは当然の帰結だった。

 17世紀以降、ヨーロッパの開拓者たちによって国の礎が作られたアメリカが、伝統的に個人に対する政府の介入を嫌い、自助の精神を重んじる国であることは、広く知られている。そのアメリカができる限り税負担を軽くし、社会保障も公的負担を避け、自助に任せようとする傾向があることは、ある程度説明がつく。無論、そのシステムから漏れた医療保険を持たない非正規雇用労働者や失業者などの貧困層に対する最低限の手当ては必要だが、医療保険を持たない貧困層を救済するためにオバマ大統領の肝いりで導入された「オバマケア」でさえ、いまだに反対意見が根強く、方々で違憲訴訟が提起されるほどだ。

 しかし、今や日本の租税負担率はそのアメリカよりも低い。日本には義務的な年金と医療保険があるため、租税負担率に社会保障負担率を加えた「国民負担率」ではまだアメリカを少し上回っているが、それでも先進国中最低水準の41.6%(2015年度。租税負担率=24.1%。社会保障負担率=17.5%)にとどまる。ちなみに、アメリカの国民負担率が先進国中最低の32.5%(租税負担率=24.2% 社会保障負担率=8.3%)なのに対し、イギリスは46.5%、ドイツは52.6%、フランスは67.6%だ。(国民負担率が95.5%のルクセンブルグを例外とすると)先進国中、国民負担率が最も高いデンマークでは、所得の68.4%が税金と社会保障費として持っていかれるが、それと引き換えに医療や教育などほとんどの公共サービスが無料で受けられるし、失業保険や介護保険なども当然、日本では考えられないほど充実している。

 所得税の最高税率をあげたり、税率の累進性を高めると、労働意欲が削がれるとの説明がなされることが多いが、実際に税率が高い国で人々が真面目に働かなくなることを示すデータは見たことがないと橘木氏は言う。低い所得税率はむしろ、政府の信用度の低さと、国民の再分配に対する否定的な姿勢を反映している。

 実際、アメリカや日本に代表される、税負担が低く抑えられている国では、得てして国民が再分配に積極的ではない傾向が強いと橘木氏は言う。一億総中流などが叫ばれ、お上意識も強い日本人ではあるが、実はその本性はアメリカ型の自助社会を志向しているというのが、格差問題を研究してきた橘木氏の見立てだ。

 この番組では何度もご紹介しているが、2007年のピューリサーチによる国際世論調査で、「自力で生活できない人を政府が助ける必要はあるか」の問いに対し、日本は先進国中ダントツとなる38%もの人が「助けるべきではない」と回答している。何とこれは28%が「ノー」と答えたアメリカはもとより、中国や貧困に喘ぐアフリカの発展途上国よりも大幅に高いショッキングなデータだったが、実際に今、日本社会に起きている現象は、残念ながらこの調査結果と符合していると言わざるを得ない。

 その裏付けとなるかどうかは議論のあるところだが、日本では相変わらず生活保護の捕捉率が2割を割っている。つまり実際に生活保護を受けられるほどの困窮状態にありながら、様々な理由から生活保護を受給できていない世帯が、8割以上もあるということだ。8割の貧困家庭が放置される一方で、実際は全体の0.3〜0.4%程度に過ぎない生活保護の不正受給に対しては、メディアも含めて凄まじいバッシングが行われる。

 とは言え、もし橘木氏が指摘するように、実は日本人の本性が「助け合い」ではなく「自助」にあるのだとすれば、今日の日本の問題はとても根深いものとなる。なぜならば、困っている他人を助けるために一肌脱ぐことには否定的な一方で、精神的にも実態面でも行政への依存度が非常に高く、何かあればすぐに「お上」に頼る傾向が強いのが日本人だとすれば、日本の財政の帳尻が合わなくなるのは目に見えているからだ。

 実際、今の日本に、社会保障に頼らない老後の見通しが立っている人が、どれほどいるだろうか。結果的に日本の社会保障制度は北欧並みの高福祉ではないにしても、公的医療保険や公的年金のないアメリカや発展途上国に比べれば、中福祉程度の水準は維持しているし、恐らくそれが国民の期待するところなのだろう。ところが、実際日本人はアメリカ並みに自助を重んじ、他人を助けることに否定的であるが故に、高い税金による再分配を望んでいないという。もしそうだとすると、負担はしたくないが給付だけは一定水準を要求する国民ということになってしまう。結果的に、高負担・高福祉の北欧型、低負担・低福祉のアメリカ型に対し、現在の日本は低負担・中福祉になっているのではないか。それでは財政が持たないのは当然のことだ。

 既に財政的には大きな赤字を抱える日本が今後、少子高齢化を迎える中、消費税率を最低でも25%〜30%程度まで上げなければ、現在の「中福祉」の給付水準を維持することはできないとの試算がいろいろなところから出されている。しかし、どうも今日の日本人の国民性は、給付を維持しながら負担水準を上げることで帳尻を合わせるのではなく、むしろ給付を削ってでも負担を下げる方を選ぶのではないかというのが、今回の橘木氏との議論から見えてきた方向性だった。それが貧富の差を更に拡げ、貧困人口を増やすことを意味していることは言うまでもない。

 戦後の急速な工業化によって伝統的な農村共同体が崩壊し、一時期それに取って代わる機能を果たしてきた企業共同体もほぼ消滅した日本には、もはや地域共同体というものがほとんど何も残っていない。社会の基礎を成す共同体が崩壊した社会では、「仲間」のために自分が余分な負担を負うことに意義を見いだせなくなることは、避けられないことなのかもしれない。共同体がない社会では、そもそも「仲間」というのが誰のことなのかが自明ではなくなるからだ。しかし、その一方で、われわれ日本人は、アメリカのような自助を前提とする弱肉強食社会に耐えていくだけの、精神的なタフさを本当に持ち合わせているのだろうか。そもそもトランプ現象などを見るにつけ、アメリカ「自助」社会というものが今、ちゃんと回っているのだろうか。

 ここは一旦立ち止まり、今われわれが突き進んでいる道が本当に自分たちが選んだ正しい道なのかどうかについて、一考してみる価値はありそうだ。

 経済学者の橘木氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。


橘木 俊詔(たちばなき としあき)
京都大学名誉教授・京都女子大学客員教授
1943年兵庫県生まれ。67年小樽商科大学商学部卒業。69年大阪大学大学院修士課程修了。73年ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了。大阪大学教養部助教授、京都大学経済研究所教授を経て、2003年京都大学大学院経済学研究科・経済学部教授。07年定年退任し、名誉教授に就任。同志社大学教授を経て14年より京都女子大学客員教授を兼務。著書に『貧困大国ニッポンの課題: 格差、社会保障、教育』、『子ども格差の経済学』など。


 

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コメント
 
1. 2017年8月14日 04:01:30 : CZQtKCrjKg : xyPI4PVriWE[37]
日本人は格差を望む以上に
序列による自分の位置づけを
欲求する傾向があるのでは
よそ様から自分がどう評価されてるか
自分のレッテルがどうかが
関心の一大事なのだ
つまり格付けされるのが好きなんだな

2. 2017年8月14日 06:00:46 : s05B96nosI : 0UmISGru4oE[2]
「貧困対策のため予算の組み換えをしますか?」

という質問ならほとんどの人は賛成する。

「貧困対策のため増税しますか?」

という質問なら賛成する人は少なかろう。

日本国民の願いは「シロアリ退治」で一貫している。


3. 2017年8月14日 07:21:11 : UQJ9d5SLn2 : l74Lp42vfCs[51]
シロアリが、経済の発展が止まってしまった社会の中で増殖をつずけたけっかである。
まじめに働いてきた中流階級が格差を望んだわけでなく官僚が税制をうまく変えてきて
退官後にシロアリとして社会に寄生できるようにその結果、彼らの思う世界がここにあるのである

4. 2017年8月14日 08:16:06 : s05B96nosI : 0UmISGru4oE[4]
特別会計はともかく、天下りなんざどうだっていい

5. 2017年8月14日 10:38:41 : qHXyw9I3kQ : cvZHKNcRs3E[1]
>>2
組み替えの結果、享受している恩恵が無くなる、減らされるとなれば
反対するだろう
日本人はその程度

6. 2017年8月14日 10:46:22 : qTGaHhuWDw : fm2dsqUb3@k[2]
日本の場合、社会保障制度自体に問題がある。
今までも指摘され続けてきたが、いわゆる中流標準家庭には厚いが、それにはずれる人たちには薄い。「福祉カテゴリー」といわれる高齢者、子供、子育て世代、障碍者以外への給付が乏しく、純然たる低所得者への援助が生活保護以外なく、その生保自体攻撃され削減対象になっているくらい。
これでは低所得の単身や子供なし現役世帯はなんら得るところない。また財源が消費税中心に考えられており、これも低所得者に不利でありひたすら取られるばかりである。

再分配後の字に係数が悪化するなどという「逆分配」状態が続く限り、
低所得者の支持を得るのは難しいと思う。


7. 2017年8月14日 10:58:02 : uqeHFKdlhI : fgsK7oNpLwo[133]
新自由主義の政策で、一環して富の分配を金持ちファーストに
してきたから貧困になった。
”シロアリ退治”は、
本当の事に矛先を向けさせない為のプロパガンダとみる。

8. 2017年8月14日 11:09:01 : qHXyw9I3kQ : cvZHKNcRs3E[2]
この国では自分より下がいることがなにより安心感を与えている
だから、常に多数の中流標準家庭より下を絶対に作る
多数の批判が上に向かわないように

最近どうも綻び始めて上手くいってないようだけどね

ただ、日本人の本質は格差によって安心感を覚える民族であると
考える


9. 2017年8月14日 14:29:07 : XvWx9SvQeA : KbKEQFTjgFA[1]
>7
「シロアリ=天下り官僚」というのは矮小化。

10. 2017年8月14日 15:38:20 : WrvV6a5R42 : rlPc6N_NSa8[186]
異常な格差拡大は治安維持の観点からも好ましくない。

11. 2017年8月14日 19:19:47 : qFLrcoO25I : IwCZRvTYQMk[427]
番付の リスト大好き 日本人

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