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衆院解散、やっぱり無視できない憲法上の疑義アリ 解散権濫用を防ぐ「3つの対応策」とは  木村 草太(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/senkyo232/msg/793.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 9 月 25 日 10:20:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


衆院解散、やっぱり無視できない憲法上の疑義アリ 解散権濫用を防ぐ「3つの対応策」とは
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52964
2017.09.25 木村 草太 憲法学者 首都大学東京法学系教授 現代ビジネス


安倍首相は、9月28日召集の臨時国会冒頭、衆議院を解散する意向だという。小泉郵政解散以降、解散権の濫用気味の事案が多いと言われるが、今回の解散については特に批判が高まっている。憲法の観点から検討してみよう。

衆議院の解散は、天皇の国事行為

まず、衆議院の解散についての憲法規定を確認しよう。憲法7条3号は、次のように定める。


【日本国憲法7条3号】
第七条  天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
三  衆議院を解散すること。



このように、衆議院の解散は、天皇の国事行為とされている。もっとも、憲法7条は、どのような場合に解散できるのかについては何も規定していない。そして、解散が行われる場合を規定した憲法条文は、69条のみである。


第六十九条  内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。


このように、内閣不信任の場合には解散が行われうる。

では、それ以外の場合に、解散をしてもよいのか。この点は、憲法制定当初、政界でも憲法学界でも激しく議論された。

しかし、現在の実務では、69条の場合でなくとも、7条の文言を根拠に、内閣が天皇に解散をするよう「助言と承認」をすれば解散できるとする解釈が定着している。また、憲法学説の多くも、69条非限定説を採っている。

とはいえ、69条非限定説は、解散権行使を内閣の好き勝手な判断に委ねる見解ではない。

そもそも、解散権のみならず、行政権や外交権などの内閣の権限は、公共の利益を実現するために、主権者国民から負託された権限だ。与党の党利党略や政府のスキャンダル隠しのために使ってよいものではない。憲法7条を改めて読み直すと、天皇の国事行為は、政府や与党の都合ではなく、「国民のために」行うものだと規定している。

このため、学説は、内閣が解散権を行使できるのは、国民に選挙で信を問うべき特別な事情がある場合に限定すべきだという。

最近の報道を見ていても、有名政治家が「今回の解散には大義がないのではないか」との疑義を呈しており、実務上も「解散には大義が必要」との認識があるのがわかる。

政策の是非を問うことが解散の理由になる条件

では、今回の解散に、大義はあるのか。

この点、教育無償化の是非、改憲発議、「人づくり革命」といった政策の是非を有権者に問うことが、今回の解散の理由となると指摘されている。

しかし、国民に政策の是非を問うのが解散の理由になるためには、次の二つの条件が満たされねばならない。


条件1:問うべき政策の内容が具体的に提示されていること
条件2:各政党が、その政策をどう評価しているかが明らかになっていること



まず、条件1が欠けると、有権者も各政党も、何を議論してよいかが分からない。また、問うべき政策内容が明確でも、条件2が充たされないと、有権者は、自分の意思を表明するために、どの党に投票すればよいのかが分からない。

現段階では、安倍首相が提案する政策内容は甚だ不明確で、改憲案の条文も示されていない。つまり、条件1が欠けている。

さらに、与野党交えた審議はおろか、首相の考えを説明する所信表明演説の機会すら設けられない見通しだというのだから、条件2も充たしようがない。

こういう状況では、「有権者に問うべき政策があるから解散する」との説明に何の説得力もない。森友問題・加計問題への追及かわしや野党の選挙準備不足を突くための党利党略解散だと言われても仕方がないだろう。

憲法53条を妨害する理由での解散?

さらに、今回は、憲法53条との関係も問題となる。この条文は次のように規定する。


第五十三条  内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。


これは、多数派の横暴により国会が機能不全になるのを防ぐため、少数派の議員に対して、重要案件がある場合に国会召集を要求できる権限を与えた規定と言える。

今年6月22日、民進党や共産党の議員は、森友問題・加計学園問題などの審議のため、憲法53条後段に基づき国会召集を求めた。しかし、安倍内閣は召集を拒み続け、ようやく開会した臨時国会では、審議なしで冒頭に解散する見込みだという。

衆議院が解散されれば、国会は閉会となり、現在の衆議院議員の構成で審議を行う機会は失われる。つまり、この解散は、野党の国会召集要求を妨害するもので、憲法53条に違反すると評価される可能性もある。

解散を行う理由があるとしても、野党の求める審議を一定時間行ってから解散すべきだろう。

今後に向けた対応策を示そう

このように今回の解散には、無視できない憲法上の疑義がある。今後、不当な解散が繰り返されないようにするため、次の三つの対応を検討すべきだ。


対応1:憲法を改正して解散権の行使に限定をかける
対応2:2012年自民党改憲草案53条を実現する
対応3:法律で解散権行使の場合の厳格な手続を設ける



第一に、解散権を制限する改憲を考えるべきだ。今回の解散が報道されて以降、与野党の議員から解散の大義がないのではないか、との指摘が相次いだ。解散権の行使を大義ある場合に限定する改憲は、政治実務の感覚にも適合する。民進党は、今回の解散総選挙で、これを公約に盛り込む意向だというから、選挙を通じて議論を深めるべきだろう。

第二に、現行の憲法53条には、少数派の要求があった場合、いつまでに国会を召集すべきかが規定されていない。このことが、安倍内閣が、国会召集の要求をかわしてきた原因の一つとなっている。

他方、2012年発表の自民党改憲草案には、憲法53条に「二十日以内」という期限を設ける提案が盛り込まれている。野党は、総選挙で、この規定の実現を訴えてみてはどうだろうか。自民党の内閣が起こしてきた問題を繰り返さないために、自民党草案53条を実現しようというのは、何とも味わい深い改憲理由である。

第三に、憲法を改正しなくとも、法律で解散の手続をコントロールする方法もある。解散権が濫用される原因の一つは、内閣が、公式に解散の理由を表明する手続がないことである。

そこで、次のような手続を設けてはどうか。


1. 内閣が衆議院を解散する場合には、あらかじめ解散の意向を表明しなくてはならない。
2. 解散の意向表明から、正式に解散を宣言するまでには、最低でも48時間の時間をおかなくてはならない。
3. 意向表明から正式な解散宣言がなされるまでの時間、衆議院で、首相出席の下で解散の理由についての審議を行う。



このような手続があれば、解散の理由が不明確なまま総選挙に突入する事態は避けられる。国民は、解散理由の適否も投票の判断材料とするようになるので、不当な解散権行使を抑制できる。

このような手続の設定は、内閣の解散権を縛るものではなく、手続を定めているだけなので、憲法改正ではなく、法律で実現することも十分可能である。

以上のように、解散権の濫用を防ぐためになすべき対策はいろいろある。総選挙では、こうした点について、ぜひ議論を深めてほしい。


            



 

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コメント
 
1. 2017年9月25日 10:44:07 : B99Tjwo2HY : @qLstAAD3Vw[1]
現憲法下において解散権は何の制約も受けない権利となっている

若し、制約を設けるべきと言うなら現野党が大嫌いな憲法改正議論になるし、7条69条で色々な学説が有るが、これも現野党が大嫌いな解釈論

今回の解散について異論があるなら、この条文も含めて次の国会では憲法改正を論議すべきだが、それこそ安倍の術中に嵌るってことかな


2. 知る大切さ[9649] km2C6ZHlkNiCsw 2017年9月25日 10:56:51 : EFhzPJHfgM : nNZRQLw@UJY[140]
第六十九条  以外の解散をそもそも憲法は想定していなかった。

当時の憲法草案者も今のような権力側に有利な恣意的な解散を
そもそも想定していなかった。 戦後の日本にそんなセコイ奴が国を
牛耳るとは想定できなかった。

>このような手続の設定は、内閣の解散権を縛るものではなく、手続を
>定めているだけなので、憲法改正ではなく、法律で実現することも十分可能である

別憲法をいじらなくても国民目線で作る法律で規定すればいいだけの話し。


3. 2017年9月25日 11:30:01 : B99Tjwo2HY : @qLstAAD3Vw[4]
何を知る大切さか知らないが、貴方は「法治主義」と「法の支配」の違いを勉強しなさい

知れば、他の法と憲法の絶対的な違いが判りますよ


4. 知る大切さ[9652] km2C6ZHlkNiCsw 2017年9月25日 12:02:23 : 8bF95bj0LI : CAgij4HmSXI[1]
3

法律で対応している先例とかみたら?

 しかし、日本とイギリスとでは、今や首相の解散権行使をめぐる仕組みに大きな違いが生まれている。

 かつてはイギリスでも首相が自由に解散権を行使できた。しかし、2011年の「議会任期固定法」によって、現在では首相の解散権には制限がかけられるようになった


憲法いじるのは手続きで金がかがんだ。 コスト抑えていい国目指そう。


5. 真相の道[3071] kF6RioLMk7k 2017年9月25日 12:18:23 : T8iD3fD606 : kQK1OSr0eCg[1986]
  
> 現在の実務では、69条の場合でなくとも、7条の文言を根拠に、内閣が天皇に解散をするよう「助言と承認」をすれば解散できるとする解釈が定着している。
また、憲法学説の多くも、69条非限定説を採っている。
   
  
その通りです。

憲法第7条により、総理の判断でいつでも衆院の解散ができます。

「国のために」という文言は具体的規制ではなく、どうでも説明のできる極めてあいまいなもの。

つまり実質的に総理は自分の判断でいつでも解散ができるのです。
   
それが嫌だというのなら、憲法を改正するしかありません。
   
    


6. 2017年9月25日 14:22:04 : FeBmwTYCBk : DMQNGWqNHUc[76]
天皇陛下は、7条解散を拒否することはできないのでしょうか?政治に関与できないことは承知で、「行う」は「行える」か「行わなければならない」両方に解するができるあいまいな表現なので。他の法律では、「できる」と「しなければならない」もしくは「してはならない」がほぼほぼ明確なのであるが。わざとあいまいにしたのでしょうか?

7. 2017年9月26日 01:07:53 : 76lN1x59zQ : Y_rdCIzz5OQ[31]
衆議院は内閣不信任の可決により解散できうる、@それ以外は解散はできない。

解散できうる場合、10日以内に解散するために、内閣は天皇に
「衆議院は解散すべき事となりました、このため衆議院解散の宣言を行ってください」
となる。

これにより、A衆議院解散の宣言は天皇が国民へ行うのである。
しかし天皇が拒否した場合など何らかの理由により10日以内に解散できない場合、内閣は総辞職しなければならない。

以上、憲法の日本語の解釈からすると、
自民党はこれまで@A憲法違反の衆議院解散をくりかえしてきたのである。

これまで法律学者、憲法学者は(意図してか?与党への忖度か利権のために)
間違った事を公にしている。

つまり国民は騙されて解散選挙を強いられてきたのだ。


8. 2017年9月26日 04:22:38 : DumFS5lRHI : QZFa4q3Kd_s[45]
木村草太への次のご褒美は、東京大学法学部教授の椅子かな?

ミッション:「7条解散権の濫用を防ぐには、憲法改正しかない」
という結論に導く事が可能な論を

展開せよ(←大学補助金分配決定権限を保有する事が出来るので
大学人事権を保有することが出来る「憲法23条が保障する大学の
自治権を侵害している」官僚様からの指令です)。

実際、木村草太の影響かどうか、民進党は、憲法改正の余地の
ある条文として、「衆議院解散権の制約」を選挙公約とする事が
決まっています←不必要な憲法改正推進を打ち出しました。

ミッションの目的は、7条解散権の濫用を防ぐには、「憲法81条
保障の裁判官による違憲審査を行えば、解決してしまう事実」を

主権者国民に絶対に知られない様にする事と

「この際、何でもいいから憲法改正に繋がる理由を見出せ」です。

で、なぜ、以上の様なミッションが必要かですが、

「憲法81条保障の裁判官による違憲審査を行えば、解決してしま
う事実」を

「無理やり憲法オンチに仕立て上げた主権者国民」(←憲法違反
状態です、なぜなら政府には憲法第1条「主権が、天皇から国民
に移行」を担保できる

法制度(例えば、主権者教育)を整備する義務が発生している
から)に

知られると、(違憲審査判断を拒否し続けた)田中耕太郎最高
裁裁判長以来の歴代最高裁裁判長に大恥をかかすことになり、

最高裁裁判長の権威(そんなモノは端から存在しなかった)が
地に落ちてしまうからです。

実際、GHQが日本に居る間は、7条解散権の濫用を防ぐことが出来
ていました←新憲法を熟知したGHQが最高裁裁判長の役割(「違憲
審査」)を果たしたからです。

が、GHQが日本を離れる時を待っていたかの様に、「7条解散」が
再び仕掛けられ、

しかも、田中耕太郎最高裁裁判長は、「俺は、東大を主席で卒業
した人物なので、恥さらしになる(適切な判断理由を考え出せ
ない)違憲審査判断を拒否するぞ!」と言い張ったので、

官僚様は困り、「それでは先生は判断を回避して下さい、後は
我々が適当に回避理由を決定しますので」ということで、

「統治行為論」が回避理由になり、その後も様々な理由を編出し
歴代の最高裁判長は、違憲審査判断を拒否し続けています←最近
では「夫婦別姓訴訟」がそうです。

(裁判官の義務である違憲審査行為に関する)そもそも論ですが、

米国で、憲法と矛盾する内容の法律が作成されました。

どちらかを優先させ、採用するのかの決断が迫られ、「憲法は、
米国の最高法規」(日本国憲法98条に同じ内容の条文「憲法は、
日本国の最高法規」が存在)に従って、

その矛盾する内容の法律の法的効力を無くすことを決定した瞬間
から、裁判所の違憲審査権を権威付けることが可能となり、

世界初の違憲審査権を権威付ける出来事が誕生した瞬間が生まれ
ました←200年以上も前の出来事です。

要するに、憲法と違憲法律は共存できないので、優先順序の低い
違憲法律の法的効力を無効とした←優先順序が、憲法>法律
だからです。

例えば、韓米FTAが韓国で批准されたので、政府関係者は韓国
国内法の修正に大童でした←優先順序が、憲法>条約>国内法令
だからです。

ですから、米国憲法には、日本国憲法81条(違憲審査範囲と
裁判所の違憲審査権行使義務を明記)の様な条項が存在しません。

要するに、「憲法が米国の最高法規」で十分な訳で、

更に憲法に追加すると重複する事に成ってしまいます←ジャップ
は子供だから念の為に追加されただけです。


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