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冷戦期と逆転した北朝鮮の脅威への日韓温度差 実は増えていない韓国の核保有論(WEDGE)
http://www.asyura2.com/17/warb21/msg/159.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 9 月 20 日 20:47:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

16日に発射された北朝鮮のミサイルが再び日本上空通過したことも、もちろん韓国で報道されているが……(写真:AP/アフロ)


冷戦期と逆転した北朝鮮の脅威への日韓温度差 実は増えていない韓国の核保有論
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10629
2017年9月20日 澤田克己 (毎日新聞記者、前ソウル支局長) WEDGE Infinity


 日本上空を飛び越す北朝鮮の弾道ミサイル発射は日本にとって大きな脅威だが、その感覚を他国と完全に共有するのは難しい。韓国メディアで見聞きする論評のうちのある一言は、そのことを実感させる。韓国のネットでは「日本は騒ぎ過ぎだ」という声が多いというけれど、メディアに出てくる人々がそんなことを言うわけではない。「日本の上空を通過したのだから日本人が大騒ぎするのは当然だ。もし韓国の上空だったら我々だって大変な脅威を感じるはずだ」と言うのである。日本の対応に理解を示しているのだが、どこか他人事という響きは否めない。

 そもそも韓国は以前から北朝鮮の脅威にさらされているから、脅威のレベルが特段上がったとは言えない。あるいは、韓国人は北朝鮮の脅威に「慣れてしまっているから」という説明もされる。どちらも間違っているわけではないが、それよりも冷戦終結後の四半世紀の間に起きた変化の影響が大きいと思われる。

 一方で最近は、過去最大規模の核実験を受けて韓国でも危機感が急上昇していると報道する日本メディアもあるようだ。しかし、これも実態はあやしい。広島型原爆の10倍以上という爆発規模は韓国でも驚きを持って迎えられ、在韓米軍への戦術核再配備や独自核武装を声高に語る保守系政治家や保守系メディアが出ていることは事実だ。ただ、実際には韓国ではこれまでも同様の主張が繰り返されてきたし、世論調査の数字を見れば核実験で脅威認識が高まったとは言えないのである。

9割から6割に減った核保有論

 9月の核実験直後に韓国ギャラップ社が実施した世論調査がある。韓国の独自核武装論に「賛成」という人が60%を占め、「反対」35%を大きく上回ったというものだ。これだけ見ると、今回の核実験で韓国でも危機意識が高まったのかと感じる人もいるだろう。

 だが実際には、この結果はこれまでの調査と変わらない。同社は発表資料に過去3回の核実験直後に行った調査結果を付しているのだが、それを見ると13年2月(3回目の核実験直後)が64%、16年1月(4回目)54%、9月(5回目)58%。今回を含め、ずっと6割前後である。

 米ランド研究所が90年代後半に韓国で実施した「もし北朝鮮が核武装したら韓国も独自核武装すべきか」と聞いた世論調査を見ると、核武装に賛成が96年9月調査では91.2%、99年2月調査で82.3%だった。北朝鮮の核開発を巡る状況が当時とはまったく異なるので同列に並べることは難しいが、長期トレンドで見れば韓国における核保有論は減少しているとさえ言える。

 貿易依存度の高い経済を持つ韓国には国際的孤立を甘受してまで核開発を進めるメリットはなく、核保有論に現実味はない。在韓米軍への戦術核再配備にしても実現可能性の点では同じだ。既に戦略核で十分な抑止力を持つ米軍が管理や警備に莫大なコストとリスクをかけて、韓国に戦術核を持ち込む意味はないからだ。韓国世論の反応は、北朝鮮が核兵器を持つなら対抗しなければという程度の軽い考えでしかない。残念なことだが、唯一の被爆国である日本と他国では核兵器に関する感覚はまったく違う。韓国も「その他の国」の一つなのだ。

世論調査に表れた脅威認識の低下ぶり

 今回の韓国ギャラップ社の調査で興味深いのは、むしろ北朝鮮に対する脅威認識の長期的低下を如実に示す設問である。

 調査では「北朝鮮が実際に戦争を起こす可能性」について聞いている。「大いにある」と答えた人は13%、「ある程度ある」が24%で、両方を合計した「ある」は37%。これに対して「まったくない」22%、「別にない」36%で、「ない」の合計は58%だった。

 「ある」37%と「ない」58%。これだけを見ると判断に迷うかもしれない。ただ過去の調査と並べると、変化を見て取れる。同社の発表資料には92年以降に行った9回の調査結果が並んでいる。

 「ない」58%というのは、今までで最も多かった金大中政権末期の2002年と同じだった。「ある」37%も、02年の33%に次いで低かった。6回目の核実験直後でも、南北首脳会談後の融和ムードが強かった時と同じ程度にしか戦争の脅威を感じていないということになる。

 冷戦終結直後だった92年の調査では「ある」が69%、「ない」24%だったから、四半世紀前と比べたら完全に逆転した。

 背景にあるのは、冷戦終結を境に韓国と北朝鮮の国力差が如実に見えてきたことだ。

 韓国と北朝鮮は朝鮮戦争休戦(53年)後に体制間競争を繰り広げてきた。ソ連や中国から大規模な支援を受けた北朝鮮の方が戦後復興は順調に進め、世界最貧国レベルだった韓国経済に差を付けた。日米から資金と技術を導入した韓国が追い上げ始めるのは60年代後半になってからで、南北の経済力が逆転したのは70年代半ばのことだ。

 冷戦期には、北朝鮮の武装ゲリラが韓国に浸透して青瓦台襲撃を図った事件(68年)や外遊中の全斗煥・韓国大統領暗殺を狙ったラングーン爆弾テロ事件(83年)、ソウル五輪妨害を狙った大韓航空機爆破事件(87年)などが続いた。北朝鮮の脅威はまさに身近なものだったと言える。

 ところが韓国は「漢江の奇跡」と呼ばれる驚異的な経済成長を遂げ、冷戦終結と時期が重なったソウル五輪を契機に旧東側諸国との関係を一気に改善させた。北朝鮮の後ろ盾だったソ連(90年)、中国(92年)との国交樹立はそのハイライトだ。韓国はその後も経済成長を続け、いまや世界10位前後の経済力を持つ。国際社会での地位も、主要20カ国(G20)の一角に食い込むまでになった。

 北朝鮮の境遇はまったく違う。韓国との国交樹立に踏み切った中ソ両国との関係が90年代に冷え込んで孤立の度を深めた。なによりソ連や東欧社会主義国の体制が次々と崩壊する中で、自らの体制生き残りを最優先せざるをえない状況に追い込まれた。頼みの綱だった社会主義圏からの援助を失った上、90年代半ばには天候不順にも見舞われて数十万の餓死者を出すほどの食糧危機に見舞われた。その中で体制生き残りのため必死に続けてきたのが核・ミサイル開発だ。もはや韓国と正面から競争する余力など残っていない。

 冷戦期の韓国では北朝鮮の実情を知らせるようなニュースは統制され、人々が持っている北朝鮮イメージは反共教育で教え込まれた「強くて憎むべき敵」だった。前述のように80年代にも大型テロが続いたから、そのイメージには現実味があっただろう。ところが、冷戦終結後に知るようになった北朝鮮の実情は違った。韓国の人々は、それまで抱いていたイメージとは正反対ともいえる「貧しい北朝鮮」像を眼前に突き出された。それを見た韓国の人々が「体制間競争に勝負がついた」と考えるのは当然だ。だからこそ金大中政権(98〜2003年)の太陽政策が受け入れられたのだろう。そして、韓国人の脅威認識はさらに薄れていった。

日韓でまったく逆方向の温度差に

 脅威認識の逆転は、冷戦終結をはさんだ時間軸だけで起きたのではない。日本と韓国の脅威認識もこの四半世紀の間に逆転した。

 私はソウルで韓国語を学んでいた1989年に夜間防空訓練に出くわした。韓国では当時、北朝鮮からの攻撃に備えた避難訓練が毎月あり、その一環として夜間訓練が行われることがあった。

 夜間訓練では灯火管制が行われる。すべての明かりが消された暗い町でサイレンが鳴り響く。音を正確に覚えているわけではないが、Jアラートのサイレントと同じような感じだったように思う。高台にあった下宿の窓を開けて外を見た私は、心細くなった。時間にしたら10分か15分だったはずなのだが、時間の流れはとても遅かった。

 ソウル五輪を成功させた後ではあったが、冷戦末期の韓国社会にはまだ北朝鮮を脅威だととらえる感覚が強く残っていた。だから、92年になっても世論調査で「北朝鮮が実際に戦争を起こす可能性がある」と考える人が7割に上っていたのだ。一方で日本では70年代のように北朝鮮を「地上の楽園」だとたたえる意識こそ影を潜めていたものの、身近な脅威だとする感覚まではなかった。平和を当然のものとする日本社会で育った20代前半の私には、韓国との感覚の違いは鮮烈だった。

 韓国での夜間訓練は90年が最後となった。前述のように、北朝鮮を脅威と見る感覚はその後どんどん薄れていった。

 冷戦期に脅威認識が薄かった日本は、まったく逆のコースをたどった。93年には日本に到達しうるノドン・ミサイルの発射実験が日本海で行われ、北朝鮮の脅威が認識され始めた。それでも93〜94年の第1次核危機の時に日本が抱いた危機感は、現在とはまったく異なる。北朝鮮の核・ミサイル能力はまだまだ未熟だったから、日本が巻き込まれるなどとは想像しなかったからだろう。

 そうした空気を決定的に変えたのは、98年にテポドン・ミサイルが日本上空を初めて通過したことだ。北朝鮮を脅威と見る視点はさらに、2002年の日朝首脳会談で北朝鮮が日本人拉致を認め、その直後に新たな核開発疑惑が発覚したことで強まった。北朝鮮はその後、核実験やミサイル発射を繰り返すようになり、日本にとって現実の脅威だと認識されるに至っている。

 こうして見ると、過去四半世紀の間に日本と韓国の脅威認識はまるで反対になったことが分かる。北朝鮮との歴史的関係や地理的条件の違いを考えれば、日本と韓国の間に温度差があることは当然だ。それでも北朝鮮情勢を巡る現在の局面では日韓が協力する以外の選択肢がないのだから、日韓の温度差を正面から認識しておく必要がある。その上で、問題解決のために協力する方策について考えなければいけない。そうしなければ、北朝鮮を利するだけなのだから。


 

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コメント
 
1. 2017年9月20日 23:28:21 : GdhjIM1XLk : IvaVM@0cohQ[14]
イラク、アフガン、シリア、そしてウクライナ、戦争を仕掛けたのは実際どこの国だったのかね。どことはあえて言わんが誰でもわかる。

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