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「可視化」を拒む公教育が、貧困連鎖を助長する(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/18/hasan126/msg/241.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 2 月 25 日 13:05:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

「可視化」を拒む公教育が、貧困連鎖を助長する
http://diamond.jp/articles/-/160884
2018.2.25 加藤年紀:株式会社ホルグ代表取締役社長 ダイヤモンド・オンライン



 写真はイメージです


 大阪府箕面(みのお)市では、「公教育改革」が進んでいる。教育委員の過半数を公募することで注目を集める箕面市だが、特筆すべきは、教育現場で“タブー”となりがちな「数値」をもとにした改善だ。生徒の学力の経年変化を追い、校長が現場の教師を指導する際にも数値を根拠にする。こうした取り組みの結果として生徒の学力を引き上げている。この箕面市の取り組みは、公教育のクオリティを飛躍的に高める可能性がある。

 貧困家庭の子どもは貧困に陥りやすいという、いわゆる「貧困連鎖」が日本ならず世界的にも問題視されているが、これを断ち切るためにも公教育の果たす役割は非常に大きい。というのも、私立小中学校の生徒数は全国で31万人[*1]、それに対して、公立小中学校の生徒数は全国で約940万人[*1]と、公立小中学校の生徒数は全体の約97%にのぼるからだ。さらに言うと、貧困家庭の子どもの多くは公立学校に通うことになるため、この人数差以上に公教育にはその責任が問われる。

 ちなみに筆者自身は公立の小中学校に通ったが、率直に言うと、その教え方について懐疑的である。というのも、学力の高い生徒にとっては、難関校の受験に通用しない授業を受けることとなる一方で、授業について行くことができない生徒もいる。多様な生徒一人ひとりにきめ細かな対応ができていないことが懸念される。

学習塾で感じた合理性、講師の評価が生徒の成績推移と連動

 筆者の体験として、中学時代に通った学習塾では、生徒の学力レベルに応じてクラス分けが行われ、成績の上下に伴ってクラスも入れ替わっていた。

 改めて考えると、塾のシステムは非常に合理的だ。月に1度全国模試があり、主要3教科の成績が記録に残る。それによって、自分の強みや弱みを時系列で客観的に把握することができた。

 なにより、塾講師の教え方は極めて工夫・洗練されていたように思う。いま考えるに、学習塾では講師の評価が、生徒の成績推移によって行なわれている点が大きかったのかもしれない。

 正直に言って、もし筆者が塾に通うことができなければ、入学できた高校のレベルは大きく下がっていただろう。公立小中学校の授業だけでは合格のできない中高入試が無数に存在するという現実は、貧困格差を助長する要因の一つであることは間違いない。

文科省の「全国学力・学習状況調査」だけでは不十分

 公立小中学校には、塾のような検証や分析のできる仕組みが充分とは言えない。生徒一人ひとりの学力や学習環境に関するデータが継続的に管理・蓄積されていないためだ。

 近しい仕組みとして、文部科学省が実施する「全国学力・学習状況調査」がある。これは、国・公・私立学校の小学6年生(※小1〜小5は含まれない)と、中学3年生(※中1〜中2は含まれない)の全生徒を対象として毎年実施される。平成30年4月に予定されるテストでは、「国語」「算数/数学」「理科」の3教科、そして、学力テスト以外にも、「学習意欲」「生活の諸側面」などの質問紙調査も行う。

 この試験が存在することはプラスではある。しかし、これだけでは個別の生徒の状況変化を追うことは難しく、母集団の違う各年の小学6年生同士と、中学3年生同士それぞれの比較に終始せざるを得ない。それでは、この調査の目的として掲げられている「教育に関する継続的な検証改善サイクルの確立」に事足りるのかという疑問が残る。

独自に全学年で毎年調査をする箕面市「ステップアップ調査」

 じつは箕面市の公立小中学校では平成25年から「箕面子どもステップアップ調査(以下、ステップアップ調査)」という市独自の調査を行っている。これは毎年、全学年で「学力調査」、「体力調査」、「学習状況・生活状況調査」を行うものだ。

 年によって多少異なるが、学力調査の科目はおおむね以下のものである。小1〜小2は「国語」「算数」の2教科、小3〜小6は「国語」「算数」「理科」「社会」の4教科、中1〜2は「国語」「数学」「理科」「社会」「英語」の5教科と、前述した文科省主宰の「全国学力・学習状況調査」と比較しても実施内容は充実している。

 箕面市ではこの「ステップアップ調査」を毎年行うことで、個々の生徒の「学力」「体力」「学習状況」「生活状況」など多岐にわたる項目の推移を毎年数値で把握し、分析していくことができる。

 この調査の価値はそれだけにとどまらない。各生徒の成績推移を担当教員に紐づければ、教師の授業の質についての検証・分析も可能となる。実際に、校長から教師に対しての指導が数値的な根拠をもとに行えるようになったという。

 毎年蓄積される数値データをもとに、生徒の経年変化を把握したり、教育の質の改善につなげている。

結果を出し始めた「ステップアップ調査」の箕面市、
他地域と教育格差はやむなし


「ステップアップ調査」は、既に様々な切り口で検証結果が出始めている。たとえば、数学の授業を成績別で2クラスに分けたところ、そうでないときに比べて成績の向上が認められた。現段階では次のステップに移り、2クラスに分けた場合と、3クラスに分けた場合の比較検証を行っているという。

 このような試行錯誤の積み重ねによって、文部科学省の「全国学力・学習状況調査」でも箕面市の成績は向上しつつあり、一方で、他地域との教育格差を生みつつある。

 しかし、それはやむなしだと筆者は考える。大きな格差が生まれるほど効果に違いが出るのであれば、取り組みを模倣し合い、格差解消を目指すことで、全体のレベルは底上げされていく。一時の格差を恐れて改善を望まないのは、教育の質の向上を自らが放棄することになる。

「ステップアップ調査」を全国で行うとしたら
予算は大学無償化の100分の1以下


「ステップアップ調査」のコストは、箕面市の財源と国の補助金によって賄われているが、一人あたり年間約3000円である。飲み会一回よりも安い費用で教育レベルが向上するならば、賢明な親は喜んで払うだろう。

 ところで、この「ステップアップ調査」を全国で行うことはできないのだろうか。全国の小中学生数は合計約978万人[*1]である。仮に、箕面市と同じく一人3000円として計算すると、総額で約293億円の財源が必要になる。

 ただし、全国の生徒数は箕面市の約1.1万人と比べて、およそ1000倍に及ぶ。規模の経済から考えると、一人あたりのコストは3000円から大幅に軽減できるだろう。

 ちなみに、大学無償化の話もちらつく昨今だが、全国の大学・短大・専修学校の授業料は年間約3.7兆円[*2]と、桁が2つ違う。そして、大学進学は義務ではないが、義務教育課程にある小中学生への投資は、平等で公平な税配分という観点から合理性がある。また、教育経済学の観点から、若い世代への投資がより大きな教育効果を生むことも期待される。

 大学無償化と異なり、「ステップアップ調査」はとても地味な取り組みである。そのため、これが国や地方の選挙を有利に働かせる目玉的な政策になるとは言い難い。さらに言うと、支持団体を敵に回す恐れもあるだろう。しかしながら、「ステップアップ調査」の費用対効果は箕面市の実績から、国・地方を問わず早急に進めることを筆者は強く進言したい。

「教員評価」と「情報公開」の在り方

 ちなみに、箕面市では「ステップアップ調査」をもとに校長からの「教員指導」などは行われているが、「教員評価」は行っていない。また、どの学校の成績が良かったのかを把握できるような、調査結果の公表も行っていない。その判断に影響を及ぼしているのか定かではないが、労働組合から市への要望書には以下の表記がある。

 “「箕面子どもステップアップ調査」については、成果主義に陥ることなく、結果分析をふまえて、条件・環境整備を行うとともに、教員評価につなげないこと。また、学校の序列化や、過度の競争につながらないよう、全国学力・学習状況調査も含め、学校別結果公表をしないこと。[*3]”

 この要望書に対しては、いくつか疑問が浮かぶ。まず、「教員評価」にこの「ステップアップ調査」を利用しない場合、それ以上に妥当性のある教員評価の判断材料を、持ち合わせているのだろうか。むしろ、生徒への貢献度が可視化できていないため、貢献していても報われていない教師が既に存在しているとすれば、そのほうがより大きな問題のように見える。貢献度の高い教師にこそ大きな報酬と裁量を得てもらいたいと、サービス受益者である住民が考えるのは妥当だろう。

 2つ目の疑問は、学校ごとの調査結果の非公開についてである。これを知りたいという住民ニーズは当然に存在する。最近では、通学する学校を選べる地域も増えてきた。「成績や風紀が良い学校に、自分の子どもを入学させたい」と思うのは、親として当然の気持ちではないか。

 さらに大前提として、“公立学校は税金によって運営されている”という観点から、情報公開が進むことが望まれる。非公開とすることで、子どもたちが享受すべき“より良い学習環境の選択肢”が奪われる現状は、強く懸念されるべきではないだろうか。

合理的な公教育が貧困連鎖を断ち切るカギとなる

 最後に、冒頭で提起した問題について改めて述べたい。筆者は公教育の充実こそが、貧困連鎖を断ち切る重要なカギになると考える。そして、その実現のためには、全国の公教育が合理的に検証、分析されることが求められる。

 果たしてそれは、願うことすら許されないほど難しいことなのだろうか。少なくとも箕面市はその未踏の路を、先駆けて歩みつつある。

(株式会社ホルグ代表取締役社長 加藤年紀)

[*1]資料 平成29年度学校基本調査(確定値)の公表について(文部科学省)
[*2]資料 我が国の教育行財政について(文部科学省)
[*3]資料 箕面市への要望及び回答 (日本労働組合総連合会大阪府連合会)



 

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コメント
 
1. 2018年2月25日 15:06:37 : DebL8fyH6c : 7lI6W4Whhds[37]
唯一、金を儲ける方法だけは教えない。
商業高校、商科大学でもだ。
誰かに雇って貰う方法だけしか教えない。

そこで金儲けのあらゆる手口を叩き込む塾を開きたいが、あまり人に教えたくないという二律背反がある。そう、金を儲ける方法は教えたくないんだよ。また、それを知っていたら教師になどならない。研究生活にも入らない。結果、誰もが最も知りたいことを教える能力のある者は教育機関にはおらず、決して学ぶことが出来ないスキルだということになる。


2. 2018年2月25日 15:35:52 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[968]

>合理的な公教育が貧困連鎖を断ち切る

これ自体は、誤りではないが

公教育以前に、貧困層の親の生活態度や、福祉依存などの影響が大きい

そして一番重要なのは、数年間の幼児期の生活状況や、保護者の態度


それに比べれば長期の高コストな高等教育(高校、大学)など、ほとんど効果はない


>>01
ホリエモンに限らず、金儲けを教えるビジネスは氾濫しているが、

現実に、それで金持ちになれる者は少ない


3. 2018年2月25日 19:49:47 : xMV64IZxWY : EyNU@Q2K7lE[28]
教育の 腐敗が閉ざす 将来を

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