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ホームインスペクション義務化による「市場の失敗」のリスク(Forbes JAPAN)
http://www.asyura2.com/18/hasan126/msg/756.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 4 月 19 日 16:35:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

ホームインスペクション義務化による「市場の失敗」のリスク
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180419-00020650-forbes-bus_all
Forbes JAPAN 4/19(木) 15:00配信


Billion Photos / Shutterstock.com


ホームインスペクション(住宅診断)を説明義務化する「改正宅建業法」が、4月に施行された。具体的には、不動産取引の媒介契約を結ぶ際、あるいは重要事項説明の際などにおいて「インスペクションの斡旋の有無」や「インスペクションをしていればその内容について説明する」というものだ。

要するに、住宅売買に関わる売主・買主は全て、インスペクションの存在を知ることになるわけで、今本改正によるアナウンス効果は絶大だ。

とはいえ、これでインスペクションが本格普及し、中古住宅流通が活発化するかといえば、ことはそう簡単ではない。それどころか、トラブルを生む危険性をもはらんでいる。なぜなら、今回の業法改正にはいくつもの制度的な不備がみられ「市場の失敗」が起こる可能性が高いと思われるためだ。したがってインスペクションの普及は、黎明期を過ぎて「混沌期」に入ったと見ておくのが良いだろう。

では、制度的な不備とは、例えばどういうことか。

例えば「媒介契約時に、宅建業者がインスペクション業者の斡旋の可否を示し、媒介依頼者の意向に応じて斡旋を行う」という点。これは明らかに、売主側がインスペクションを行うことが企図されているのは、不動産売買実務者なら自明だろう。なぜなら、売主とは物件売り出し前に媒介契約を締結するが、買主とは実務上、契約当日に行う。

契約の場になってインスペクションの斡旋の有無を提示されたところで、目の前には売主がいるわけで、時すでに遅しだ。したがってこの制度改正では、売主の側でインスペクションを行うしかないが、ここには問題が潜む。他のインスペクション先進国では例外なく「売主が行うインスペクションは信用ならない」として、買主側がインスペクションを行う制度設計に改められた。

なぜ売主側のインスペクションが信用ならないか。そこには、この業界にありがちな「癒着の構図」があるからだ。宅建業者がインスペクターを紹介する場合「仕事をあげる側」と「仕事をいただく側」といった構図になる。つまりインスペクターは、宅建業者の下請けになるわけだ。

このとき宅建業者は、売主と媒介・売買契約を締結したいといったモチベーションを持っている。いきおい、報告書の不利な文言は削除せよとか、一部画像を差し替えよといった注文がつく。これでは「事実と可能性をありのままに提示する」といったインスペクションの本来的な意義が失われてしまう。

こうした事態がアメリカ・カナダ・オーストラリアなどのインスペクション先進国で例外なく起こった。不動産業者の癒着し、「仕事出すから報告書便宜はかれよ」というわけだ。その後アメリカでは州ごとに「業者によるインスペクター紹介禁止」などで対応。現在はほとんどが買主によるインスペクションだ。契約後5−7日程度のうちにインスペクションを入れ、その結果によって契約条件を再交渉でき、場合によっては白紙解約もできる。

オーストラリアでは、「売主のインスペクションは虚偽が多い」と問題になり、買主がインスペクションするしくみが創設された。アメリカ同様契約後にインスペクションを行い、当日夕方5時までに契約解除や不具合箇所指摘。何もなければそのまま契約条件了承とみなす。インスペクション先進国は「宅建業者とインスペクターの癒着」と闘ってきたのだ。
--{きちんと説明できるのか?}--
日本でもすでにこうした事象は発生しているようだ。筆者が創業したさくら事務所にも、宅建事業者から報告書改ざんの依頼があり、当然のことながらお断りしているが、次から弊社にインスペクション依頼は来ない。ということはつまりどこかで、その依頼に応じているインスペクターがいるはずだ。

次に問題となるのは、重要事項説明時に、宅建士がインスペクションの有無とその内容を説明しなければならないことだ。

宅建士には一般にインスペクションの素養はないことは周知だが、はたしてどのように説明するのか。また説明時には、報告書を提示する義務はなく「雨漏りがあった・なかった・わからない」といった項目がいくつか重要事項説明に提示されるだけ。これは非常に中途半端で、例えば雨漏りがあった場合、その原因は何か、直し方にはどのようなものがあるか、それによってどの程度長持ちするかといったところまで説明できなければ買主は納得・安心しないだろう。

また「雨漏りがあるかどうかわかりません」と言われたところで、不透明さがつきまとうだけ。さらには重要事項説明を行う宅建士も、決して契約を壊すことなく締結したいといったモチベーションがあるから、一部では事実と異なる、営業的なオーバートークが行われるだろう。こうなると、一体何のためにインスペクションの説明をしているのかわからなくなってしまう。

他先進国では、インスペクション結果について宅建士が説明を行うことはない。それは宅建士の専門分野ではなくインスペクターの責任範囲であるためだ。したがって説明責任のリスクもない。

さらに国交省は、インスペクションを行う「既存住宅状況調査技術者」について、年度末には2万4600人になる見込みだとしているが、実務経験に乏しく、半日程度の講習を受けた技術者が、はたしてどの程度のインスペクションを行えるのか。アメリカでは、インスペクターの教育研修を行う企業が多数存在する。

筆者が2016年に訪問した教育機関では一般的にはトータル120時間のうち、机上の知識習得に40時間、現場における実地研修には80時間かけ、考査の上晴れてインスペクターとなる。その後はアメリカインスペクターズ協会(ASHI)などの団体に加盟し、定期的に講習や考査を受けスキルアップに努めている。

ホームインスペクション(住宅診断)はあくまで買い手が、その実績などを勘案しつつ、不動産業者との癒着が起こらないよう自分で選んだインスペクターに依頼するのがよい。

連載 : 事日本の不動産最前線
過去記事はこちら>>

長嶋 修


 

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コメント
 
1. 2018年4月19日 22:17:37 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1071]

>ホームインスペクション(住宅診断)はあくまで買い手が、その実績などを勘案しつつ、不動産業者との癒着が起こらないよう自分で選んだインスペクターに依頼するのがよい

ただし、この場合、売主が、このインスペクションに不服であれば、売買は成立せず

インスペクション費用は、買主の丸損に終わる

仮にインスペクション価格での取引を法的に義務付けるとしたら

今度は、買い手が有利になるから

売買が成立するためには、最低約定価格を決めて、それ以下のインスペクション価格の場合は、取引を拒否できるとするしかない

つまり、いずれにせよ、美味しい話などなく、リスクも0にはできない


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