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メルカリ上場、抱える「法令遵守」という経営リスク…多額広告宣伝費で財務悪化懸念も(Business Journal)
http://www.asyura2.com/18/hasan127/msg/387.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 5 月 31 日 01:16:55: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

メルカリ上場、抱える「法令遵守」という経営リスク…多額広告宣伝費で財務悪化懸念も
http://biz-journal.jp/2018/05/post_23528.html
2018.05.31 文=真壁昭夫/法政大学大学院教授 Business Journal


         「メルカリ」のアプリ起動画面


 5月14日、東京証券取引所は、国内フリマアプリ大手メルカリの東証マザーズへの新規上場を承認した。上場は6月19日の予定だ。上場直後の時価総額は2000〜3000億円に達すると予想される。

 メルカリはわが国を代表する“ユニコーン企業”だ。ユニコーン企業とは、企業価値が10億ドル(約1100億円)を上回ると考えられる新興企業だ。ユニコーン企業の語源となったユニコーンは、勇猛な性格と毒を清める力を持つ伝説上の生き物として描かれてきた。ユニコーン企業は、平均的な企業をはるかに上回る成長期待を秘めると同時に、新しい発想を実現することで付加価値を生み出す企業というイメージだ。

 メルカリの新規上場への期待は高まっている。上場後の時価総額が3000億円程度に達すれば、メルカリがマザーズ最大の時価総額企業に躍り出ることも考えられる。問題は、その期待が一時的なものか、それとも中長期的な同社の成長戦略に裏付けられているかものだ。同社の経営内容を見ていると、さまざまな課題が浮かび上がる。特に、海外事業の強化に向けたコストの増加が見込まれており、同社経営陣が今後の成長戦略をいかに切り盛りすることができるかに注目が集まる。

■メルカリが変えたショッピングの常識

 メルカリは、ある意味ではショッピング=買い物の常識を変えた。有り体にいえば、ありそうでなかったサービス(プラットフォーム)を社会に提供したのである。それが、ネット空間で直接、個人と個人がモノやサービスを取引するプラットフォーム(基盤、場)を提供することだった。それが同社のフリマアプリだ。

 従来、私たちは、小売店などの企業から必要なモノやサービスを入手し、その対価を支払ってきた。これが、企業と消費者間の取引(B to CあるいはB2C、Business to Consumer)だ。B2Cの場合、売り手は企業、買い手は消費者である。

 一方、メルカリは消費者と消費者がダイレクトに取引を行うプラットフォームを開発した。これがC2C(Consumer to Consumer)の発想だ。C2Cでは、個人が買い手にも、売り手にもなる。なお、同社は出品者の売上に10%の販売手数料をチャージすることなどで収益を得ている。いわば、ネット空間でのフリーマーケットの場を提供し、場の利用代金を徴収している。

 メルカリの業績拡大は、同社のアプリを介してモノやサービス(コト)を取引する個人が増加したことに支えられている。それは、人々がモノなどを購入しその所有権を手にすることを重視するよりも、状況に応じた柔軟な利用を重視するようになったからだ。カーシェアなどシェアリングエコノミーの普及にも、同様のことがいえる。

 加えて、メルカリの場合、そのサービスを活用することで、経済的な収入を得ることもできる。自分自身には不要であるモノに、他人が価値を見いだすケースは少なくない。問題は、他人が使ったものでもいいから欲しいと思う人を見つけることができるか否かだ。

 メルカリは、ネットワークテクノロジーを活用して、個人同士のモノやコトの取引を仲介し、手数料収入を得て成長してきた。ネットオークションなどの競合相手との差別化になったのは、メルカリがスマートフォンを重視してテクノロジーを使いやすい環境を整備したからだ。また、出品制限が相対的に緩かったことも、人々が他社のサービスよりもメルカリのプラットフォームを選択する要因だったと考えられる。

■上場の目的は海外事業の費用捻出

 メルカリのプラットフォーム上でC2C取引が増加するにつれ、通常では考えられない出品が出始めた。特に、盗品が出品されたことは、同社の法令遵守姿勢への懸念を高めた。それが、本来であれば昨年末に行われると考えられてきた上場が遅れる一因になった。法令遵守に加え、小学校の宿題代行サービスなど、本来の目的や意義、社会的な公正さに照らした場合に疑義のあるサービスなどがメルカリに出されてきた。

 この状況を「新しいテクノロジーに法律や規制が対応していないから仕方がない」と論じることは適切ではない。企業が事業を行い、利益を獲得した段階で、社会的な責任は果たされなければならない。それを実現することは、同社が真正面から取り組まなければならない課題だ。

 この課題を解決するために、法令遵守などを徹底するにつれコストが増加する。たとえば、ネット上のフリーマーケットの取引監視のためのテクノロジーを開発したり、それを開発する人材を確保することは、同社が社会的な責任を果たすために不可欠だ。メルカリにとって、そのための支出は増加していくだろう。同時に、取引のルールが厳正化され、フリマ(C2C)事業の成長性が低下することも考えられる。

 成長を目指すためには、売上高の増加が欠かせない。コストの増加以上に売上高が増えればよい。そのためにメルカリは海外市場の開拓を重視している。国内に比べると、米国などの市場規模は大きく、需要取り込みの余地も大きいと考えられる。米英市場でのマーケティング強化はその考えの表れだ。

 同社の有価証券報告書を見ると、第5期(2016年7月1日〜2017年6月30日)、広告宣伝費の増加によって株主に帰属する当期純損失は約42億円だった。前期の純損失額が約3.5億円だったことを考えると、広告関連のコスト増加のインパクトは大きい。

 すでにメルカリのアプリのダウンロード数は1億件に達した。うち30%程度が米国だ。2016年10月からメルカリは米国で手数料の徴収を開始しているが、宣伝費の大きさを加味すると、海外事業は最終利益に貢献していない。海外での広告宣伝費の増加が収益の増加に寄与するか否かは、メルカリの成長を考える重要なポイントである。

■経営陣の展開能力への一抹の不安

 気になる点は、メルカリ経営陣に、成長への“焦り”が感じられることだ。昨年夏場にメルカリが上場を申請したとき、市場参加者の間ではメルカリが直接、東証第1部に上場するとの見方があった。同社の創業者である山田進太郎会長は、もともと、株式市場への上場で評価を受け社会の公器としての役割を果たすことを重視してきた。それを考えると、多くの投資家の注目を集めやすい東証1部上場の意義は大きかったはずだ。

 それに比べ、マザーズへの上場は、やや異なった印象を与える。社会的責任を果たす企業としての存在感を示すというよりも、むしろ目先の資金確保に追われたとも映る。背景には、今後の成長への焦りがあるのかもしれない。

 メルカリは、国内市場でC2C市場を開拓し急成長を遂げた。今後は、フリーマーケットに加え、ネットワークテクノロジーを駆使して、より利便性の高いサービス=需要を生み出すことが求められる。その一例にフィンテック事業の強化などが考えられる。ただ、今のところ、事業展開の重要性から見てフリマアプリに肩を並べる事業は見当たらない。その分、同社の経営戦略にとって海外の需要取り込みが重要になる。実際、有価証券報告書には相当規模の広告宣伝費が投じられる可能性が明記された。そのための資金を調達するために、メルカリはマザーズ上場を重視したと考えられる。

 成長を追求するアニマルスピリッツは、企業の成長に必要不可欠の要素だ。その意味では、成長資金の確保に上場は重要だ。問題は、海外市場の開拓を急ぐあまり、財務内容の悪化につながるようなリスクの高い意思決定が行われることだ。そこに不安がある。

 現実的に考えると、当面、メルカリの成長は、国内事業に依存する部分が大きい。それをもとにして、成長への資金を生み出す戦略が示されれば、投資家はメルカリが持続性ある成長を目指していると考えることができる。今後は、SNSや金融関連の専門家の採用など、メルカリがこれまでに蓄積してきた経営資源を活用し、新しい事業育成への戦略を提示することが求められる。それができれば、今回の上場を契機に、メルカリ発展への期待が一段と高まるだろう。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)


 

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