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AIが招く未来:パンとサーカスか?大衆の奴隷化か?
http://www.asyura2.com/18/hasan127/msg/501.html
投稿者 佐藤鴻全 日時 2018 年 6 月 16 日 20:09:25: ubCRqOmrnpU0Y jbKToY2DkVM
 

<この記事のポイント>
●2045年頃とも予想されるシンギュラリティ(技術特異点)到来に伴う、AIによる人類支配等の問題については、多重の安全装置や基準等を設置してそれを防ぐ陣営と、割り切って「AIを神と崇める」陣営が出て来るだろう。
●AI化/ロボット化の果てには、それに関する起業家やコーディネーター、関連技術者、一部の芸術家等だけしか喰えない世界が来る。しかしその産業と職種のシフトの本質は、基本的には嘗ての産業革命によるそれと変わらない。
●これらに伴う失業者の救済や貧富の格差への対策として、ベーシックインカム(BI)の導入が提唱されているが、あくまでも急激な移行期、「淘汰」の過程の方便と位置付けられると思われる。

◆AI制御派 VS 崇拝派◆
自動運転の開発に各グループで多額の研究費が投じられ、イーロン・マスク氏は人間の頭部にAI直結のソケットを埋め込む事を真面目に主張する等、社会はAI化へ向けて加速している。

このAI化社会に関して語られる主要な問題点は、1つは2045年頃とも予想されるシンギュラリティ(技術特異点)到来に伴う、AIが人間の知性を超えることによる人類支配等の問題と、もう1つはAI化/ロボット化に伴う失業問題である。

AIによる人類支配等については、社会の総意として多重のキル・スイッチ等の安全装置や基準、規制、組織を設置してそれを防ぐ事になると考えられる。しかし、中にはそう言った、まどろっこしい事を排し割り切ってAIを神のように崇めて様々な決定を委ね、それをもって経済競争や武力の競争に打ち勝とうとする陣営や国も出て来ると考えるのは自然な事だ。

この「AI制御派陣営」と「AI崇拝派陣営」の共存は難く、恐らく嘗ての資本主義陣営と共産主義陣営のように陣取り合戦で互いに鬩ぎ合う事になると思われる。その結果、前者が勝って社会が比較的漸進的に発展して行くのか、後者が勝って急進的に発展して行くのか、或いはその結果滅びに至るのかの何れかとなるだろう。普通に考えれば是非「AI制御陣営」に勝ってもらいたいものだが、それは今後の国際的な工夫と協調次第となる。しかしもっと色々な事が煮詰まって来てからでないとその具体的な議論は現時点では時期尚早の感がある。

◆ベーシックインカム◆
さて、より我々に切実なのはAI化/ロボット化に伴う失業問題である。移行期にはこうした投資に対してペイしない手作業の工業やサービス業が残るが、技術の発展と低コスト化により、その範囲は徐々に狭められ、究極的にはAI化/ロボット化に関する起業家やコーディネーター、関連技術者、一部の芸術家やエンターティナー等だけしか喰えない世界が来て、労働力がそこへシフトして行くと思われる。

しかしその産業と職種のシフトの本質は、基本的には嘗ての産業革命によって起こった事と変わらない。ただ、それが加速度的に失業者の発生(即ち消費者の消滅)を伴いながら、且つ徹底的に行われるだろう所に違いがある。

そして、これに伴う失業者の救済や貧富の格差への対策として、ベーシックインカム(BI)の導入が提唱されており、既に幾つかの国では地域を限定して実験が行われている。因みにビル・ゲイツ氏は、AI/ロボット所有の資本家と持たざる者との貧富の格差拡大の解消のために、「ロボット(人頭)税」の導入を提唱し、その財源として使う事を想定している。

概ねBI推進論者が想定している画は、現存の各種社会保障を廃止し、代わりに日本円で言えば6〜8万円/人月程のBIを老若男女、収入に係わらず支給し、現行社会保険の事務コストを軽減し、BIを基に柔軟な働き方を後押しし適材適所の雇用流動化社会を円滑に実現するといった所のようだ。

いわばこれは、@善人(積極的に学習し柔軟に職種転換を図れるような人)をモデルとして想定しているが、実際にはA仙人(生涯一切労働しない世捨て人)や、B悪人(労働しない事に加えて、「小人閑居して不善を為す」ような輩)も相当数発生し、かつそれらが世代を超えて階級化し大きな社会問題になると思われる。また例えば、BI導入と同時に障碍者年金等も廃止するのかという議論も当然に起こって来よう。

このため筆者は、格差の解消には、基本的に労働を前提として足りない部分を公的に補う諸外国で既に導入されている「給付付き税額控除」の拡大等が主役となり、BIについては、もし部分的に導入されることがあったとしても、あくまでも急激な移行期、「淘汰」の過程の方便と位置付けられると思う。

◆パンとサーカスか?奴隷化か?◆
表題に掲げた、AIが招く未来は、パンとサーカスか?AIの奴隷化か?というテーマであるが、「AIを神と崇める」ような陣営に於いては、大衆か上級層かを問わず全員がAIの奴隷というか下僕となってしまうとも言える。

一方、そうでない陣営では、究極的には奴隷的労働もAI/ロボットが担うため、奴隷にすらして貰えないような社会になる。

確かにAI/ロボット化により、生活は格段に便利になり労働時間も短くなると思われる。その面では「大衆のAIロボット奴隷所有」が行われるとも言えるだろう。

「パンとサーカス」という有名な言葉があるが、これは一般に帝政ローマ時代にローマ市民が奴隷と属州による生産と奉仕により、衣食住と娯楽を享受した事を言うようだ。それは、植民地としての属州の拡大と維持が限界に達した時に終わったが、AI/ロボット化には少なくともダイレクトには当てはまらす、AI/ロボット版「パンとサーカス」は、その面では持続可能なのかもしれない。

しかし、一切労働しないことは、社会を支える階級からの施しを受けることであり、いわば彼らの「ペット」となる事を意味する。そのペットの存在を、社会を支える階級が許すかというとそれ程酔狂ではない気もするし、第一施しを受ける側は承認欲求を満たされず、前述の仙人や悪人大量発生の様に病んだ社会になって行くだろう。

BIの導入は、AI/ロボット化を推進する論者達からは、大衆の抱く大量失業社会への恐怖心に対する麻酔薬として、また怠け者からは労働から解放されたパラダイスへの期待として、同床異夢で支持されている感がある。しかし、これは少なくとも個人と社会にとって、変化の時代へ対処を鈍らす意味で危険な指向である。

在り来りであるが、個人や企業に於いては視野を広く持って職種転換と業巣転換へのフットワークを軽くすること、政府に於いてはそれを支えて促す政策が必要だろう。


佐藤総研 http://blog.livedoor.jp/ksato123/
 

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コメント
 
1. 2018年6月17日 19:12:24 : JvMjyuMlDz : 24QF9WfCx9M[409]
AIは 両刃の剣の 岐路に立ち

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