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国民的議論のチャンスを奪った「ぬるい」新財政健全化計画の罪(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/18/hasan127/msg/525.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 6 月 18 日 14:42:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

国民的議論のチャンスを奪った「ぬるい」新財政健全化計画の罪
https://diamond.jp/articles/-/172603
2018.6.18 森信茂樹:東京財団政策研究所研究主幹 中央大学法科大学院特任教授  ダイヤモンド・オンライン


6月5日の経済財政諮問会議より 写真:首相官邸HP


 6月15日、「骨太方針2018」とともに、新たな財政健全化計画が公表された。これまでの計画の頓挫が明らかになり見直されたものだが、経済政策の検証を踏まえて策定されたというより、甘い経済見通しを前提にして、目標をさらに5年間先延ばした、「ぬるい」内容だ。

成長前提の「ぬるい」内容
アベノミクス“失敗”の検証なく


 新計画の注目点は以下の2つだ。

 第1に、財政健全化の指標である基礎的財政収支(PB=プライマリーバランス)の国・地方を合わせた黒字化時期を、これまでの2020年度から5年間遅らせて2025年度とした。

 第2に、中間年である2021年度に中間指標を設定し進捗を管理する。

 具体的には、PB赤字の対GDP比について2017年度からの実質的な半減値(1.5%程度)とすること、債務残高の対GDP比について180%台前半(2017年度実績見込みは189%程度)にすること、財政収支赤字の対GDP比について3%以下とすることだ。

  この新計画について検証してみたい。

 まず5年間、目標達成時期を延ばした理由について「骨太」は、(1)成長低下に伴い税収の伸びが当初の想定より緩やかだったこと、(2)消費税率引上げ延期や補正予算の影響、(3)人づくり革命の安定的財源を確保するため、2019年10月の消費増税の使途を変更したことをあげている。

 しかし(2)の消費増税の2度にわたる延期やバラマキ補正予算が行われた理由は、アベノミクスの経済政策が効果を上げず成長が予定通りいかなかったためだ。

 そこで、計画見直しにあたっての最大の反省点は、なぜアベノミクスがうまくいかなかったのかという点でなければならない。

 しかし「骨太」には、その分析はなく、幼児教育無償化、高等教育無償化といったバラマキ気味の歳出拡大のメニューが躍っている。

金利急騰などのリスク
歳出抑制の「支え」消えた


 筆者は、今回の財政健全化計画について、人間ドックで検査を受ける際、厳しい検査結果・数値が出てくると、精密検査や入院などいろいろ面倒なので、甘い数値にしてほしいとドクターに頼む患者の姿を思い浮かべる。

 こうしたことすれば、真の原因究明がなおざりになり、それに対する有効な処方箋や治療を遅らせ、いつか手遅れになってしまう。

 つまり甘い経済成長率見通し(図表1)を前提にして作られた新たな財政健全化計画のもとでは、面倒な議論、例えば、団塊の世代が後期高齢者に突入し始める前の2022年を目途にした社会保障改革とか、負担と給付のアンバランスを見直すための消費税率10%超えの議論などは、当分、出てこないことになる。

     ◆図表1:金利とGDP成長率(試算では2025年まで成長率が金利を上回る)




 以下では、より具体的に問題点を指摘したい。

 第1に、2025年にPB黒字化というような悠長な財政健全化計画で、日銀の現在の超金融緩和策からの「出口」との関係を考えても、日本経済のリスク(危機管理)は大丈夫なのかという点だ。

 金利と経済成長率の関係を見ると、「推計」では、2025年まで成長率が金利を上回ることになっている。

 これを実現するためには日銀は低金利を維持せざるを得ず、金融政策に大きなプレシャーになる。ひいてはこのことは、財政赤字をファイナンスするための金融政策だという評価につながり、国債暴落のきっかけになりかねないリスクを負うことになる。

 米国の長期金利(10年債)は2%弱に上昇、欧州でもイタリアが財政問題を発端にきな臭い動きを見せる中、日本だけが超金融緩和策を、今後、数年間にわたって続けるということが本当にあり得るシナリオなのだろうか。

 第2に、歳出削減について、今回の健全化計画では、これまで行われてきたの予算(一般会計)との連動が断ち切られたことだ。

 これでは毎年の予算編成の「よすが」がなくなってしまうので、財務省が予算を厳しく査定する「支え」がなくなってしまった。

 16年度から18年度の3年間、社会保障費については、自然増の7000億円を5000億まで抑え込むという一般会計レベルの具体的目標を策定したので、社会保障費の肥大化は抑えられ、結果的にそれ以外の経費も含めた一般歳出は3年間ほぼ横ばいだった。

 新財政目標では、この支えががなくなったわけだ。折からの不祥事で政治への影響力が弱体化している財務省にとって、目標なき査定ではどこまで効果を発揮することができるのだろうか。

 このことはは、今後の財政運営を考える場合に、ボディブローのように効いてくるかもしれない。

「消費税率10%後」の増税と
社会保障改革の論議は封じられた


 最後に、PB目標を達成するための手段の一つである「歳入増の努力」については、具体的なことが全く記述されなかったとことだ。

 図表2は、OECD諸国における社会保障支出と国民負担率の関係(いずれもGDP比)を見たものだが、日本は先進諸国のトレンドからすでに外れており、2025年にはさらに乖離が大きくなる。

     ◆図表2:OECD諸国における社会保障支出と国民負担率の関係



 先進諸国の中で日本だけが、高齢化の下で、負担増なくして給付が継続できるということになっているが、これがどこまで信憑性のあることなのか。

 新しい黒字化目標は、2020年代を見据えることになり、消費税率10%までは織り込まれているが、歳出削減努力や経済成長によってもなお不足する財源は、増税に頼らざるを得ない。

 そのことを正直に議論することが新目標の役割だったはずだ。逆に言えば、「消費税率10%後の増税議論は当面、封じられた」ということである。

 その結果、将来を見通した社会保障のグランドデザインは策定されず、パッチワークの社会保障削減策でのやりくりが続くことになる。

 団塊の世代がすべて後期高齢者になる2025年というのは大きな節目である。それを前に、社会保障の在り方やそのための負担をどうするのか、国民的な議論にしていく絶好の機会を失った(失わせた)といえよう。

(東京財団政策研究所研究主幹 中央大学法科大学院特任教授 森信茂樹)



 

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コメント
 
1. 2018年6月18日 17:34:46 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[836]

アベノミクスの定義が曖昧な上に、投稿者があまりに分析不足すぎて全く意味がない議論になっているが

>最大の反省点は、なぜアベノミクスがうまくいかなかったのかという点
>骨太」には、その分析はなく、幼児教育無償化、高等教育無償化といったバラマキ気味の歳出拡大

一般に、アベノミクスの定義は
1、機動的な財政政策
2、大胆な金融政策
3、投資を喚起する成長戦略
となっている。

しかし、現実には、2番目の日銀による金融緩和政策以外、ほとんど動かなかったと言える。
それも、2%が達成できない、金融機関の収益が悪化している、ハイパーインフレリスクが高まった
などなど多くの見当違いな批判を浴びてきた。
さらに海外景気の拡大で、そろそろ終焉に近づいている。

また1の財政拡張効果は、消費税増税と海外金融危機によるデフレマインドの強化によって減殺され、
これまでどおりの地方と高齢者医療など社会保障への非効率なバラマキだけが膨張し続けている


さらに3の成長戦略(規制緩和、市場化、自由経済の拡大による需要拡大・生産性の上昇)は、最悪で、
ほとんど進んでいない上に、トランプ政権による貿易戦争で、今後さらに悪化していく可能性すら高い

つまり、超少子高齢化とシルバー民主主義の拡大が続く日本では、

まともに財政再建など目指しても、政治的に無意味だろう


勿論、どの政権にも、まともな改革を訴える政治家はいるし、官僚もいるが

国民が、このレベルでは、どの政権になってもやることは本質的には変わらない


現実に唯一の解決策は、日銀の財政ファイナンスによるインフレ圧力の強化しかないから

現状は、ほぼ必然的なコースであり、それ以外を政府や日銀に期待したところで無意味だろう

当面は、財政ファイナンスで、最低レベルの生活保護や年金、医療、介護の維持は、可能だろうが

今後、よほどAIやロボット化で、生産性が上昇しない限り

日本人全体の生活水準が下がるのは確実であり、今後の生態系や自然環境の破壊、

海外の生産性上昇がより高まれば、下落速度は加速する


最終的には、自分の生活は自分で守るしかないという当たり前の結論になる



2. 2018年6月18日 19:11:45 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[842]

ちなみに消費税を廃止し、

富裕層増税で社会保障を賄えると信じている大衆は多いが

高齢者はいずれ人口の4割を超えることは確実であり

特別会計も含めれば、既に200兆円(GDPの4割)まで膨張する


所得税や法人税で賄うのはもちろん不可能だし

仮に行おうとすれば、国内投資が消滅して、アフリカ同様の悲惨な状況に陥る

資産課税でも、同じことであり

1600兆円程度の家計資産など数年で尽きるし

超円高の後、国内産業も国民生活も崩壊する


厳しい改革を避け、現状を維持するのであれば

財政ファイナンスしかないというのが現実ということだ



3. 2018年6月18日 22:04:28 : vp0qFSAK7E : r4lkoDG6mzM[3]
※1,2
冗長な文。書き手の無能さがよくわかる
もう少し、推敲してから投稿しろよ

4. 2018年6月19日 18:29:03 : WMItqkkphY : 74i02WJzbPU[2]
それでまだ法人税を減税しようとしているのはどうしてか。法人の内部留保ばかり増えても国民の福祉にも生活にも貢献せんが。

5. 2018年6月19日 19:01:54 : pxgwgovz2Q : W8I8Zx2GSxE[132]
有耶無耶に させて負わせる 重いツケ

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