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米中貿易戦争はいつまで続く?日本にとって対岸の火事ではない(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/18/hasan127/msg/607.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 6 月 30 日 17:02:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

米中貿易戦争はいつまで続く?日本にとって対岸の火事ではない
https://diamond.jp/articles/-/173693
2018.6.30 三井住友アセットマネジメント 調査部  ダイヤモンド・オンライン



米中貿易摩擦はいつまで続くのでしょうか?


 皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。

 7月の第1週は、米国に注目です。重要な経済指標が発表される他、米中の500億ドル相当の輸入に対する追加関税が予定通り開始されるかどうかが明らかになる見込みで、今後の内外経済の行方を占うには、極めて重要な週となりそうです。

非常に好調な米国経済、
今週の雇用統計では賃金の伸びに注目


 それでは、早速、世界経済をリードする米国の経済状態をチェックしてみましょう。特に、今週発表される経済指標の中では6月分の雇用統計に要注目です。

 三井住友アセットマネジメントでは、米経済は万全の状況になりつつあると考えています。米国経済は、景気拡大期9年目にしては大変好調で、家計や企業などの経済主体の景況感は良好、雇用情勢は堅調、消費や企業設備投資は堅調に伸びています。この4-6月期の実質GDPの前期比年率成長率は、アトランタFED(米連邦準備制度理事会)のリアルタイムGDP予想モデルのGDP Nowによると+4.5%となっています(6月27日時点)。

 金融市場では昨年の秋頃は、いつ、どのようなペースで米国の経済成長率が減速していくかの議論も聞かれましたが、むしろ米国経済はその頃よりも加速しています。

 米国経済をこの活況に導いたのが、昨年末に決定された大型減税と今年の春に決まった財政支出の増加です。これらにより、今年の米経済成長率の市場予想は、昨年6月ごろには前年比2.3%だったのが、現在は同2.9%に引き上がりました。

 経済全体の成長見通しが高まれば、雇用者数も増加します。実際に雇用統計のトレンドを3ヵ月平均値で見ると、昨年秋の月間15万人程度の増加ペースから、直近5月は約18万人増加ペースに加速しています。

 7月6日に発表される雇用統計も好調な雇用増が発表される見込みで、現在の市場予測は前月比19万8000人増加(ブルムバーグ調べ、6月28日)となっています。

 米国は失業率も3.8%と米国としては歴史的な低水準まで下がっていて、賃金も前年比+2.7%と緩やかながら増加ペースが高まっています。賃金の上がり方は、失業率の低さを考えるとやや力強さに欠ける状況ですが、賃金が大きく上がりすぎるとインフレの高まりにつながりやすくなるため、ゆるやかな賃金の上昇は景気が長持ちするかどうかの観点ではむしろ望ましいと考えることができます。

 雇用統計では、雇用と賃金の伸びが重要ですが、特に今月は賃金の伸びに注目したいと思います。景気は財政支出のために少なくとも向こう1年はしっかりした状態が続くと考えられますが、仮に賃金が上振れし始めると、インフレの更なる高まりが懸念され、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げのペースが加速する可能性が高まります。

 この場合、FRBはいよいよ景気を減速させてインフレを冷やすために積極的な利上げに転じることになります。こうなると、長期金利も含めて金利が一層上昇する事になり、経済活動が弱っていくと考えられます。

 一方、仮に雇用が下振れしたとしても、財政支出が景気を下支えするため、雇用の下振れは一時的なものであるとみなすことが出来ます。また、雇用が上振れた場合でも、もし賃金上昇率が高まらなければ、FRBは今までと同様、緩やかな利上げを続けることが出来、景気を冷やしてしまうリスクが低い状態が継続すると考えられます。

 三井住友アセットマネジメントでは、賃金は引き続き緩やかな上昇が続くと見込んでいます。企業がインターネット企業等との競争激化もあって値上げをしにくいため、収益性を毀損する可能性がある賃上げに対して従来以上に慎重になっていると見られること等が理由です。

 さて、次に、トランプ大統領が世間を揺るがしている貿易摩擦についてチェックしてみましょう。

盤石な経済を背景に
トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争


 まず、経済に重点を置いていたトランプ大統領が、今年に入って保護貿易的な取り組みを始めた理由を考えてみましょう。実は、これまで述べてきた大変好調な米国経済がその背景となっています。すなわち、昨年末から今年の春にかけて決定された減税と財政支出増加によって今年と来年の米経済は力強く成長することがほぼ確実視されるようになったため、トランプ大統領は政策運営上、当面の間は経済を心配する必要がなくなりました。

 今年は、米国では中間選挙が行われる年ですので、トランプ大統領にとって、与党である共和党の勝利をサポートする事が重要な政策目標となっています。そのために、アメリカファーストの大統領選挙公約を実現して、共和党の支持母体である保守系の人々へのアピール度を高めることが重要です。このために、国務長官や大統領補佐官といった主要閣僚を大きく入れ替えて、対外強硬政策重視の取り組みを始めたと考えられます。

 保護貿易が今の政策の中心ですが、このほかに北朝鮮との非核化交渉や、イラン核合意からの離脱などの取り組みに積極的になっているのも同じ流れで捉えることができます。

 では、ここまでの貿易摩擦の状況を確認しましょう。

トランプ政権が発表している
対中制裁関税の内容とその影響


 トランプ政権が今年に入って発表した関税案を次の通りまとめました。これは中国だけを対象にしたもの以外も含みます。

1月発表:(1)ソーラー・パネル、洗濯機への関税−対象輸入額はそれぞれ約80億ドルと約20億ドル
3月発表:(2)鉄鋼、アルミニウムへの関税−対象輸入額はそれぞれ約400億ドルと約160億ドル
5月発表:通商法301条に基づく(3)対中制裁(関税と中国からの投資制限)−関税の対象輸入額は500億ドル(第1弾は7月6日に340億ドル)
6月発表:(3)に対する中国側の報復関税が実施された場合、2000億ドルの中国からの輸入に対して追加関税を検討(4)
6月発表:(4)に対して中国側からの報復関税が実施されたら、さらに2000億ドルの中国からの輸入に対して追加関税を検討(5)
6月発表:輸入自動車に対する追加関税(6)−対象輸入額は約3000億ドル

 さて、これらの中で注目したいのが、通商法301条に基づく制裁です。7月6日に第1弾として中国からの輸入品の340億ドル相当の中国からの輸入品に関税をかける見込みですが、中国は報復として同額の米からの輸入に対して関税をかけるとしています。

 問題は、もし中国がその対抗関税を実施すると、米国はそれへの報復として、さらに2000億ドル相当の中国からの輸入に対して関税をかけることを検討すると言っており、中国側はその際にはさらに対抗すると表明、その場合、米国はさらに追加関税をかけることを検討するとしています。

 このように、7月6日の双方の関税が実施され、それに対して米側が2000億ドルに対して追加関税を発動すれば、関税合戦がさらに拡大するリスクが高まると考えることが出来ます。

 日頃報道されている訳ではありませんので憶測の域を出ませんが、そういった事態を避けるため、米中の当局者は非公開で交渉を行っていると思われます。中間選挙で共和党をサポートする事が対外強硬姿勢の背景ですので、関税合戦になり経済が失速してしまう状況は避けると考えられます。7月6日までにある程度の合意が整うことに期待したいと思います。

関税引き上げの影響:
500億ドル相当への関税だけであれば影響は少ない


 それでは、実際に関税が発動された場合の経済への影響を見てみましょう。米中両国が互いの輸入の500億ドル相当の輸入に追加関税をかけ、該当金額の貿易量が半分になってしまうケースを想定して計算すると、米中のGDPへの影響はそれぞれわずかに0.1%程度となりそうです。

 これは500億ドルという金額が、GDP規模と比べると小さいためです。具体的には、米国の名目GDP金額は現在約19兆ドルです。500億ドルは約0.2%にしかすぎません。仮にその輸出金額が半分になっても0.2%の半分ですからGDPへの影響は0.1%ということになります。

 ただし、実際の経済では、部分的にせよ輸出入が大きく減少すれば、人々の心理に影響を与えると考えるのが自然かもしれません。すなわち、貿易戦争のニュースを見聞きしている経営陣が、自らの事業の先々の減速を見越し、あるいは減速の可能性に備える意思決定を行い、設備投資や人員採用のペースダウンや中止等を行うようになれば、経済は減速します。

 つまり、上のような貿易金額の減少の影響は、貿易金額の縮小の計算だけでは求められないと考えた方がよさそうです。

日本への影響:貿易量縮小の影響の試算

 米中貿易摩擦は、日本にとっても対岸の火事という訳には行きません。まず、原材料や部品を日本から中国に輸出し、中国で加工・組み立てて米国に輸出される製品もあります。こういったケースは、これまで述べてきた課税の対象になる可能性があります。

 これらを勘案して500億ドル相当の米中貿易に追加関税がかけられ、貿易量が半減したとすると、日本経済への影響はGDPの▲0.05%に相当すると三井住友アセットマネジメントでは試算しています。経済全体の影響は大きくないとしても、影響を受ける産業では、企業の収益性への影響も含め、業績に大きな影響が出る可能性があります。

いつまで続く、トランプ政権の強硬姿勢

 さて、トランプ政権の貿易面での関税攻勢は、いつまで続くと考えられるでしょうか。トランプ大統領にとって、一連の関税引き上げの動きは今年11月の中間選挙がターゲットです。中間選挙の前には、共和党と民主党が、それぞれの中間選挙への立候補者を決める予備選挙が行われます。6月26日までが予備選が多く行われる日程となっていましたので、最近、トランプ大統領からの情報発信が多かったのは、その予備選に向けたアピールだったとも考えられます。

 今後予備選は8月までは小康状態ですので、しばらくはトランプ大統領からの情報発信頻度が落ちる可能性はあると思います。

 予備選の後は、共和党候補と民主党候補が中間選挙の選挙戦を行います。この期間もトランプ大統領の情報発信が増える可能性があります。このように、長ければ11月の中間選挙直前まで、トランプ大統領の保護貿易主義的な発信が続くリスクは見込んでおいた方がよさそうです。

(三井住友アセットマネジメント 調査部長 渡辺英茂)



 

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コメント
 
1. 2018年6月30日 20:45:45 : pxgwgovz2Q : W8I8Zx2GSxE[369]
臭いもの 蓋して飾る トランプも

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