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勤労資産vs不労資産どちらが幸福なのか 遺産は"自分で稼ぐ力"を損ねるのか(PRESIDENT Online)
http://www.asyura2.com/18/hasan127/msg/615.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 7 月 01 日 19:27:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

勤労資産vs不労資産どちらが幸福なのか 遺産は"自分で稼ぐ力"を損ねるのか
http://president.jp/articles/-/25552
2018.6.30  行政書士・不動産投資顧問 金森 重樹 PRESIDENT Online


子供には財産を残すべきなのか。平均で年6億円の所得がある富裕層の金森重樹氏は「2人の子供に、教育費をそれぞれ最低3億円以上かけ、それなりの財産も残すつもりだ」という。その判断には根拠がある。4000人以上の富裕層を対象にアメリカで行われた調査によると、「結婚や相続などで財産をもらった人」と「自力で稼いで資産を形成した人」の幸福度はほとんど変わらなかったからだ。「遺産と幸福度」の意外な関係とは――。

もらった資産と働いて得た資産、どちらが人を幸福にするか?


現代に伝わる西郷隆盛の肖像画の一つ(画像=『近世名士写真其1』国立国会図書館蔵)

誰だって幸せになりたいです。

読者の皆さんもそうでしょうし、僕もそうです。だから、この連載では、繰り返し幸福感を得られる「条件」について、国内外の調査統計や書物をひもときながら、考察してきました。

前回の記事では、貯蓄額と幸福の関連性について考えました。要約すると、このようになります。

●「富裕層になる途上の人」は年収を上げるよりも、貯蓄額を増やすほうが幸福度を高めることができる。つまり、たとえ年収が高くなくてもコツコツと貯めている人は幸福度が高い。

●「すでに富裕層である人」は、現在、お金持ちなので収入が上がっても、また何かのきっかけで貯蓄額が多くなっても幸福度にほとんど影響を与えない。つまり、お金持ちは蓄財に血道をあげてもあまり意味がない。

上記の結論は、ハーバードビジネススクールとマンハイム大学の研究者らが、2012年と2013年にある大手金融機関が4000人以上の富裕層を対象にしたアンケートを基に導き出したものです。

▼富裕層には「自力派」と「他力派」がいる

同調査では、別の切り口でも分析をしていました。

それは、富裕層を「(働かないで)結婚や相続などで財産をもらった人(他力の人)」と、「自力で稼いで資産を形成した人(自力の人)」に分類して、それぞれの幸福度を比較するというものでした。その結果は意外なものでしたが、その前にちょっと西郷隆盛の話をさせてください。

「児孫の為に美田を買わず」

NHK大河ドラマ『西郷どん』の主人公、薩摩藩士・軍人・政治家の西郷隆盛が残した漢詩に次のようなものがあります。
偶成
幾歴辛酸志始堅
丈夫玉碎恥甎全
我家遺事人知否
不爲兒孫買美田

これを僕なりに訳してみると……。
たまたまできた漢詩
何度もつらく苦しいことを経験してこそ、志ははじめて強固なものになる。
一人前の男たるもの、玉が砕けるように立派な最期であれば死はいとわず、
むしろ、瓦のようにつまらない人生を長く生きることは恥じるものである。
わが家の遺訓を誰か知っているだろうか。
「子孫のためには、肥沃な田畑を買って残すようなことはするな」

というものです。

西郷隆盛の「美田は残すな」は誤って解釈されている

この漢詩は、しばしば西郷の子育て論として「子供を堕落させる恐れがあるから田畑(財産)を残してはいけない」という意味に解釈されることが多いですが、誤りです。

これは西郷が大久保利通など政府高官たちに向けて、「私利私欲に走る(子供に田畑など財産を残そうとする行為を含む)ようでは志を遂げることはできない。志を果たすためには蓄財ではなくすべてのものを犠牲にする覚悟を持て」とメッセージを送ったものです。

一説には大久保が、明治維新の最高功労者の一人として、西郷に二千石の恩賞を与えた際に、西郷は「我家の家訓」という形で先ほどの漢詩を送り、やんわりと大久保を批判したともいわれています。

また、この漢詩の揮毫の際には「この言葉に違えるようなら、我は言行一致せぬもののそしりを受くるも可である」と伝え、事実、鹿児島の川邊郷で美田の売り物が出た際に、婦人が購入の話をもってきたのを断っています。

▼「資産の額と幸福度」との関係は?

では、明治維新から150年経過した現代の日本人は子供に財産を残しているのでしょうか?

日本銀行の金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査(2人以上世帯調査)」(2017年)によれば、なんらかの理由で「子供に財産を残したい」と考える2人以上の世帯は61.1%と高い割合になっています。

10年前の2007年の同じ調査では64.5%でしたので、親が子に財産を残したいという気持ちにはそれほど大きな変化がないようです。日本の一般的な家庭の実態としては、「できれば子供に資産を残してやりたい」という親心があるようです。

では、その子供に残した資産が幸福につながるかどうか。

これについては、前出・富裕層4000人以上を調査したアンケートには次のような結果が残っています。資産の規模が、一般的な家庭とは異なりますが、参考に見てみましょう。

    

これによれば資産レベル1.5Mドル(1.65億円)の富裕層と15Mドル(16.5億円)の超富裕層の間では資産が10倍の開きがあるにもかかわらず、幸福度(人生満足度)は7段階で「5.79」と「5.84」で0.05しか違いません。

資産を手に入れる方法(自力か他力か)で幸福は変わるのか

では、資産を手に入れる方法(自力か他力か)は幸福に影響を与えるのでしょうか。自分の仕事による収入などで資産を築く=自力派か、親からの相続などで資産を引き継いだ=他力派か。どちらが、幸福度が高いのでしょうか。

前出の富裕層を対象にした調査は、文書内に、鉄鋼王で大富豪だったアンドリュー・カーネギーの「莫大な遺産は子供の才能と熱意をダメにして、そうでない場合よりも有益で価値ある人生を送れなくしてしまう」という言葉を引用しています。つまり、他力の資産では、それを相続した子供はダメになってしまうという意味合いに受け取れます。

実際に、遺産は子供の幸福に影響を与えるかどうか、それを調査した結果が次の表です。

     

▼自力資産でも他力資産でも幸福度は「ほぼ同じ」

不労資産とは、遺産や相続のことを指します。不労資産「0%」と「100%」の両極端のケースで比較すると、幸福度(7点満点)はそれぞれ「5.88」と「5.66」。遺産や相続による資産が一切ない人のほうが、幸福度が0.22%高いことがわかります。

ところが、不労所得率「17%」の場合は幸福度「5.22」で、不労所得率「67%」の場合は幸福度「6.02」となるなど、必ずしも不労資産がない(自力)ほうが、幸福度が高いとは言い切れません。

資産が多くなればなるほど幸福度は一定程度高まりますが、その資産が自分の努力で形成したものか(自力)、相続とか結婚とかで受け継いだ不労資産か(他力)によって幸福度はどう変化するかといえば、それは「わずかなもの」であるということが結論としてわかりました。

年平均所得6億円の筆者は子供にいくら残すのか?

となると、「子供に資産を残すことが幸せにつながるかどうか」という点に立ち戻れば、親が子に資産を残しても子供の幸福度に悪い影響はないといえるかもしれません。

    

もちろん、教育上の配慮として「自分で努力して資産をつくらないと幸せになれないよ」と親が伝え、子供に努力を促すことは大切でしょう。ただ、それは実体的なデータとは反するものです。

僕には小学生1年生の双子男女(6歳)がいますが、もし彼らに「美田を残すか否か」と問われれば、「残す」ことになるかと思います。

やはり表向きは経済的自立を促し、自力でバリバリ稼いでいけるようなスキルを身につけられるように叱咤しながら、彼らが将来「事業」することを望むなら、その事業の立ち上げ資金や、事業を維持・向上させる経営能力を習得するための「広い意味での教育費」(専門技術習得への投資や海外留学、見聞を広めるための特別な体験、良き人脈との交流の費用など)は残してやりたいと考えています。

子供をひとり大学まで進学させると2000万〜3000万円はかかるといわれています。僕は学校教育の費用に留まらずその10倍以上の「教育費」を与えるつもりですし、事業立ち上げの資金も出すつもりです。子に残すお金についてはまだ、深く考えていませんが、10数年後、彼らが社会人になる際に改めて考えてみたいです。

▼僕が子供に教育費3億円と事業立ち上げ費を払うわけ

なぜ、美田を残すのか。

それは、事業は10回立ち上げて成功が1回あるかないかという確率的に低いものだと考えるからです。しかし資金力があれば、最初の1回目の失敗でノックアウトされることはありませんし、その後、数回のチャレンジも可能でしょう。そうすれば、成功を手中にできる可能性は高まります。親バカに見えるかもしれませんが、僕は、子供にぜいたくをさせるために美田を残すというわけではありません。成功するためのチャンスを与えるだけです。

僕が展開するビジネスを子供に継がせればいいではないかとの声もあるかもしれませんが、経営をする上で各地に所有している事業や、ホテル、メガソーラー、商業施設、立体駐車場、それに何軒かの自宅などを子供に残す気持ちはありません。なぜなら、事業の維持、固定資産税、維持管理費で苦労させることになるのが目に見えているからです。

子供たちには自分の気に入った事業をゼロからやってもらったほうが仮に本人たちが苦労したとしてもいいと考えています。残そうとしているのは、実物資産よりも稼得能力とそれを実現するための機会を作り出す金融資産です。

(写真=iStock.com)



 

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コメント
 
1. 2018年7月01日 20:29:39 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1161]

>勤労資産vs不労資産どちらが幸福なのか

ケースバイケースだろう

無能で賃金も低く、労働が苦痛な人にとっては、勤労資産を築くのは大変な苦労になる

当然、遺産やBIがあれば助かるだろう


一方、有能で高賃金で、仕事が人々に評価され、働くのが好きな人の場合

自然に資産が増えていくから

遺産や不老所得など、全く必要ない

>遺産は自分で稼ぐ力を損ねるのか

そうとは限らない

有能な人間は、働くこと自体が楽しいから、遺産の有無は勤労意欲には関係ない


また家族や親族などに生活を頼れないケースでは

遺産によって、生活のための労働に迫られずに済むなら

自己投資が増やせるし、より自分に適した仕事やビジネスを見つけるのに

役立てることもできる


そして現代では、遺産の代わりに奨学金があるから、有能で利他的な人間にとっては、さらにチャンスは広がっているが

無能で強欲な人間が、単に、良い仕事にありつこうと高額な奨学金をもらうと悲劇が起こるので

本来は、需給者の能力や意欲、人間性の選別が非常に重要になる


2. 2018年7月01日 20:58:05 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1162]

>事業は10回立ち上げて成功が1回あるかないかという確率的に低い
>実物資産よりも稼得能力とそれを実現するための機会を作り出す金融資産

米国などであれば有望なビジネスへのエンジェルは多いし

良いアイデアで失敗した場合は、日本に比べ、再チャレンジは容易だ

また税制も優れているから、本来は、そちらでチャレンジした方が、大きな成功を収めるには良いだろうし

その場合、別に高額な遺産など、あまり必要ない


ただし、それほど有能でなく、国内で起業したい場合、遺産があった方が有利だろう

当然、無能で怠惰な子供の場合も、奨学金をもらうより、親から遺産を相続して浪費してくれた方が

社会全体にとっては有益だろう


3. 2018年7月02日 19:02:16 : pxgwgovz2Q : W8I8Zx2GSxE[407]
人次第 カネを活かすも 腐らすも

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