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習近平の金融ブレーンが告発!「中国発の金融恐慌は必ず起こる」 当局に削除された「幻の論文」全訳掲載(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/18/hasan127/msg/639.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 7 月 03 日 21:08:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


習近平の金融ブレーンが告発!「中国発の金融恐慌は必ず起こる」 当局に削除された「幻の論文」全訳掲載
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56377
2018.07.03 近藤 大介 『週刊現代』特別編集委員 現代ビジネス


対中経済制裁の発動

いよいよ世界中が注視する運命の7月6日がやって来る。

サッカー・ワールドカップの話ではない。世界の2大経済大国であるアメリカと中国が、共に相手国に対して340億ドル規模もの経済制裁を課す米中貿易戦争の火ぶたが切って落とされるのだ。「米中冷戦時代」の始まりと言い換えてもよい。

これによって米中両国はむろん、世界中が大なり小なり巻き込まれていくことになる。あのリーマン・ショックから丸10年を経て、またもや人類は懲りずに人為的な巨大リスクを背負い込んでしまうのだ。

中国中央テレビ(CCTV)はこのところ、2018年上半期に、中国経済がどれほど好調で、どれほど各種のデータが伸びているかを、連日これでもかというほど報道している。これまでは、7月中旬に上半期の速報データが発表された際に、この種の報道は行われてきた。それが1ヵ月前倒しで報道されるということは、本当は中国経済が悪化しているから、それを覆い隠すために、いわゆる「豊作報道」を連発しているのではないかと勘ぐりたくなってくる。

そもそも、毎年6月下半期は、中国経済のアキレス腱となる時節だ。なぜなら銀行など金融機関が、上半期のデータを遜色なくするため、一斉に貸し渋りに走るからだ。2015年6月下半期の株式暴落も、そのような中で起こった。

おそらく、そのような周期を見越した上で、米トランプ政権は6月15日に、対中経済制裁の7月6日からの発動を宣言したのではないか。「敵」(中国)のアキレス腱を狙えというわけだ。

中国の経済関係者に中国経済の現状について聞くと、次のように答えた。

「中国経済を牽引してきた消費、投資、輸出の『三馬馬車』が、三頭とも動きが鈍くなってきている。これまでは輸出だけは好調だったが、中米貿易摩擦のあおりを受けて、急速に悪化しているのだ。

おそらく、2018年の中国経済は、『前高後低』の状況になるだろう。すなわち、上半期の調子で下半期を考えてはいけないということだ。

すでに、金融機関の貸し渋りによって、民営の中小企業の資金繰りが、急速に悪化している。この分では、下半期は中小企業の倒産ラッシュが起こるだろう。

業界用語で言う『三殺』も起こっている。株式市場、債券市場、為替市場の3つの市場が、すべて落ち込むことを指す。このことは、中国の金融システムの脆弱性を示しており、金融当局はいま、火消しに躍起となっている」

実際、6月24日に、中国人民銀行(中央銀行)は、預金準備率を7月5日から、16%を15.5%に0.5%下げると発表した。中央銀行が市中の銀行から強制的に預かっている預金の比率を下げて、市中に出回る資金を増やすことによって、銀行の貸し渋りを緩和させようという措置だ。

今回の引き下げによって、計7000億元(約11兆8000億円)が市中に出回るようになる。実施日を、米中貿易戦争が始まる前日の7月5日に設定したところも微妙だ。



金融のプロたちが「内部告発」

そんな中、6月25日に、中国政府内部で、一篇の経済論文が発表された。タイトルは、『金融恐慌の出現を警告する』。その内容は、「いまや中国に、かなり高い確率で金融恐慌が出現するだろう」と断言した驚愕のものだった――。

中国国務院(中央官庁)傘下の中国社会科学院に2015年6月、国家金融・発展実験室という官製シンクタンクが創設された。通貨金融政策、金融改革と発展、金融イノベーションと監督管理、金融安全とリスク管理、全世界コントロールと政策協調の5分野について、中国政府に提言していく専門機関だ。スタッフは、専属の研究員が約30名、兼職の研究員が約50名、共同研究者が約40名の計120名あまりである。

国家金融・発展実験室を率いるのは、中国で著名な金融専門家である李揚理事長(66歳)。安徽省淮南の出身で、安徽大学経済学部を卒業後、復旦大学で修士号を、中国人民大学で博士号を取得。中国社会科学院に入り、金融研究所長、副院長などを歴任。中国人民銀行(中央銀行)の通貨政策を決める通貨政策委員も務めた。

そんないわば「習近平政権の金融ブレーン」とも言うべき経済学者が、部下の尹中立、李拉亜、殷剣峰の3人の研究員と共同で執筆した論文が、『金融恐慌の出現を警告する』である。この論文は中国政府内部で大反響を呼び、インターネット上にも転載されたが、直ちに中国当局によって削除された。

私も入手して読んでみたが、李揚理事長らは、学者生命を賭けて警鐘を鳴らしたのだろうと思えてきた。

この論文では冒頭、概要として、3点が示されている。それは以下の通りだ。

〈 1.今年に入って、債券の不履行、ボラティリティの緊張、為替の下降や株価の下落などが相次いで起こり、しかもそれらはますます勢いを増している。加えて、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げと中米貿易摩擦が長期化し不確実性を高める中、われわれとしては、いまや中国に金融恐慌が起こる確率は極めて高いと認識している。

2.金融恐慌は、集合体がリスク回避する一種の極端な行為である。恐慌の発生は、市場に大規模な金融リスクが出現し、かつそれが日増しに悪化することではなく、広大な市場の参加者が、未来の市場の前景に対して動揺を、そして甚だしくは恐懼を感じることである。広大な市場の参加者は、自己資金が確約できないと見て、それらを逃避させ、自己保全を図ろうとする。それによって金融危機を引き起こすか、悪化させてしまうのだ。

3.金融恐慌への応対は、大規模で、かつ明確に世間に宣布するものとならざるを得ない。主要な措置は、以下のことを含む。第一に、直ちに国務院金融・発展委員会の内部に応急処置を取る機構を立ち上げる。第二に、対策を制定し、適宜果断に、違約や破産事件を処理していく。第三に、いち早くわが国の通貨供給制度をアメリカドル、為替、外貨準備の関係と切り離し、不可避になってくる外部との衝突を防ぐための準備を、うまく取り行うことだ 〉


このように、何ともものものしい内容が示されているのである。あのリーマン・ショックから10年、今度は中国発の金融危機が起こるというのだ。しかも、中国政府の金融のプロたちが「内部告発」しているのだ。

昨年の時点で、中国経済はアメリカ経済の63.2%まで来た。約3分の2だ。詳細な記述は、新著『未来の中国年表』(講談社現代新書)で示してある。

          

だが、「不動のナンバー2」とはいえ、いまだアメリカの3分の2規模しかないのだから、アメリカとがっぷり四つになれば、やはり不利は否めないのである。

そんな不安を隠せないまま、いよいよアメリカとの貿易戦争が勃発する7月6日を迎えることになる――。

全文和訳『金融恐慌の出現を警告する』

以下、参考までに、発禁処分となった論文『金融恐慌の出現を警告する』の全文を訳出しておく。全2章立てになっている。

〈 一.金融恐慌はすでに市場に累積している

2018年6月14日、国家統計局は5月の主要経済データを公表した。前月の4月は、悲喜相半ばするものだったが、5月のデータは、ほぼ全面的に悪化した。工業の増加値は予想を下回り、固定資産投資の伸びは、続けて2000年以来で最低を記録した。消費市場も引き続き落ち込んだ。社会消費品の小売総額の伸びは8.5%にとどまり、2003年7月以来の低さとなった。以前よりも0.9%も下がったのだ。

実体経済の継続した下降が注目されたことで、金融分野でも一連の問題が、さらに警鐘を呼び起こしている。今年に入って、一方ではわが国の金融は、レバレッジ・リスクの回避に初歩的な成果を上げ、一部分野のリスクをコントロールできた。だが別の一方面では、債権の不履行、ボラティリティの緊張、為替の下振れや証券市場の低迷などが相次いで発生し、しかもそれらの勢いは増すばかりである。加えて、FRBの利上げと中米貿易摩擦によって不確実性が非常に高まった。

われわれは、いまや中国に金融恐慌が起こる確率は極めて高いと認識している。そのため、今後数年間は、金融恐慌の発生と蔓延を防止し、手当をすることが、わが国の金融管理部門ないしはマクロ・コントロール部門の最重要任務になってくる。

金融恐慌とは、集合体がリスク回避する一種の極端な行為である。恐慌の発生は、恐慌の発生は、市場に大規模な金融リスクが出現し、かつそれが日増しに悪化することではなく、広大な市場の参加者が、未来の市場の前景に対して動揺を、そして甚だしくは恐懼を感じることである。このような恐怖心理は、いとも容易にある種の外部要素に引火し、それによって広大な市場の参加者は、図らずも資金逃避し自己防衛を求めようとし、金融危機を巻き起こしたり、悪化させてしまったりするのだ。

金融恐慌は、2008年にアメリカで起こった金融危機の中で、十分にその突発性や巨大な破壊力を示した。リーマン・ブラザーズが破産したことが大問題なのではない。それによって市場の参加者たちが「次も何かあるぞ」と恐懼に駆られたことで、アメリカの金融危機は突如として悪化したのだ。

株式市場は崩壊し、大銀行や保険会社は直ちに閉鎖リスクに直面した。さらに素早く経済システム全体に感染し、アメリカの金融危機は全世界の金融危機に発展したのだ。FRBのバーナンキ元議長は、当時の金融危機の教訓を総括した際、まさに明確に指摘した。この時の金融危機の主因はおそらく、金融恐慌そのものにあったと。まだ遠くもない鑑を、われわれは決して軽視してはならない。

事実上、今年に入って、実体経済が依然として下降傾向にある背景の下で、わが国の金融の状況は、すでに一連の高度に注目すべき現象が出現しているのだ。

1.通貨信用総量増大の縮小

5月のわが国の広義の通貨供給量(M2)は、前年同期比で8.3%増加した。これはその前年と同じ水準で、予測の8.5%より少なかった。シャドー・バンキングの規模が継続して縮小し、信用債の違約が熱を帯びて信用債の発行を困難にしている背景の下で、5月の社会融資残高の伸びは10.3%。前年同期の10.5%より低く、これまでで最低の数値だ。

2018年5月の新規の社会融資は大幅に下降し、7608億元にすぎない。予測の1兆3000億元より明らかに低く、前年同期に較べて30%近く低い。また前期比でも50%近く減少している。新たな貸し出しを除いたシャドー・バンキング及び債権一級市場の融資もおしなべて下降傾向をたどっている。5月の新たな人民元の貸し出し額は1兆1400億元で、新規増加分への社会融資の貢献率は150%に達する。この事実が誤りなく告げているのは、現在の実体経済部門の融資環境がひどく先細っていることである。

2.企業への融資環境のあまりの先細り
さらに注意すべきなのは、最も企業の生産活動の活発さを反映できる非金融企業への中長期貸付の新規増加額が、今年に入って史上最低を記録していることだ。この状況下で、今年5月のわが国の製造業PMIが予想以上に上昇したのは、明らかな反発である。このことが物語っているのは、企業への融資環境があまりに先細り、かつ銀行業の企業向け長期融資を行う意向が下向いているということだ。

3.レバレッジ・リスクの除去に加えて、監督管理を強化することが、信用債市場の違約の頻発を招いた
厳格な管理監督体制が組み合わさった中で、経済のレバレッジ・リスク除去の進展は加速し、シャドー・バンキングが委縮していく状況は、明らかに加速している。信託貸付、委託貸付及び割引前ドラフトの3つの合計で、5200億元程度減少した。かつこの2ヵ月来の信用債の違約が増加している影響を受けて、企業債権融資の純額が434億元減少している。これは過去11ヵ月で初めての純額の減少であり、前期に較べて4200億元も減少している。

シャドー・バンキングの融資の方式が逐次制限を受けるようになったことに伴い、社会融資の規模と速度が、継続して下降している。5月以来、過去には表外融資に過度に依拠していた企業への融資の方式が制限を受けるようになり、そうした状況下で、再度の融資難の問題が出現している。またそれによって、信用債市場の違約が頻発している。

さらに一歩進んで説明すれば、昨今のレバレッジ・リスク除去と厳格な監督管理政策とが重なった条件下で、企業全体への融資環境は著しく先細っており、実体経済に対する金融面での資金供給が、一定の構造的縮小局面に入っている。

4.株式市場のリスクが再度蓄積
昨今、株式市場の主要な矛盾は、依然としてレバレッジ資金の規模が大きすぎることで、株式市場内部のレバレッジ資金の規模は、すでに3年前の規模に達している。株式市場が継続して低迷し、政策環境が厳しくなっていく背景下で、レバレッジ資金への処置はうまく進んでいない。またシステム的なリスクが起こってくる可能性がある。この2日間の株式市場は、すでに危機が現実味を帯びてきたことを示している。

われわれの試算によれば、昨今の株式市場の各種レバレッジ資金の規模(重複計算を差し引いたもの)は、合計約5兆元に上る。これは2015年の株式市場暴落前のレバレッジ資金の規模に、基本的に相当する。その主要なものは、以下の3種類のものを含んでいる。

第一類は、証券取引所の融資及び融資証券(略称で「二つの融資」)だ。この「二つの融資」に対しては、われわれはすでに、ワンパックの完備されたリスク・コントロール制度を持ち合わせているため、そこに含まれるリスクは相対的に大きくはない。

第二類は、上場企業の株主の担保融資だ。2014年以降、証券の担保式レポ取引が加速的に伸びていて、かつ証券会社の重要な収入源となっている。われわれの試算によれば、2017年末時点でのこの種の取引残高は、約6兆元に上る。

第三類はレバレッジ資金で、これは上場企業の株主の信託もしくは理財通帳の中にある。この種のレバレッジ資金の多くは、上場企業の増資の過程で株式市場に入ってくる。もしくは私募基金を通じて、信託ルートによってもう一つの株式市場に入ってくる。いずれにしても、2015年の株式暴落の後、わが国の市場のレバレッジ資金は必ずしもしっかり粛正されておらず、「蹄を換えただけ」の捲土重来が起こっている。

二.金融恐慌を防止するために必須のしっかりした措置

全体として、わが国の金融市場のボラティリティはいまなお合理的な範囲内にあり、経済と金融の運行はいまなお平穏の範囲内にある。しかし、金融恐慌理論がわれわれに教えているのは、経済の運行が合理的な範囲内にあることは、必ずしも金融危機が発生しないことを意味するものではないということだ。2007年のアメリカの経済成長率、失業率、通貨インフレ率などは、おしなべて合理的な範囲内にあった。それでもまさに金融危機は、突然やって来たのだ。

現在、わが国の経済と金融システムの内部における問題は不断に増加している。それに加えて、中米貿易戦争もこれから加わる。これら新旧の要因が結合して、かなり高い確率で、金融市場のおのおのの行為主体が、神経を高度に高ぶらせることになるだろう。市場リスクも一気に高まって、金融恐慌を誘発するのだ。

事実、今年に入って債券市場は違約事件が頻出していることや、いままさに起こっている株価の下落などは、すべて金融恐慌に近づいていることを示している。そのため、われわれが建議するのは、早急に強力な措置を取ることであり、金融恐慌の発生を防ぐことなのだ。

1.組織的な準備を完璧にする
金融恐慌が、わが国が今後数年内に対処しなければならない主要なリスクの一つであることに鑑みて、われわれは建議する。直ちに国務院金融・発展委員会を立ち上げ、応急処置を取れる体制を作る。中国人民銀行、中国銀行保険監督管理委員会、中国証券監督管理委員会、発展改革委員会、財政部、税務総署、商務部、工商局、公安部などの力を集め、あらゆる形の金融危機に即時対応、一括処理できるようにする。そして絶対に、2015年の株式混乱の二の舞とならないよう、ある日ある部門が依然として動かないということが再現しないようにする。

2.適宜、果断に違約や破産事件を処理する
われわれが認識しているのは、いったん金融システムに危機の芽が出たら、金融・財政などの総合的な手段を講じて、即座に潰してしまわねばならないということだ。重大な債務違約事件に対処する際、救済を準備したり、つまり資金援助によって元の状態を維持しようとすることは、火に油を注ぐやり方であるばかりか、その資金は徒労に終わるということを覚悟すべきだ。

2008年のアメリカ金融危機の際も、政府が救済しようとするほどに危機は大きくなり、政府は多額の資財を浪費した。つまりアメリカ政府が火に油を注ぐ戦術を取ったことと関係している。

同様に、もしもある企業に膨大な債務違約、もしくは破産事件が生じたならば、関係当局は即時に「活動グループ」(工作組)を当該企業に送り込み、全面的に摂取・管理し、責任者を厳粛に処理し、企業資産を売却して、債務履行の督促に努めるのだ。そうして債務違約問題のリスクが外に広がるのを阻止し、当該企業の債務違約に善処していくのだ。必要時には、中国政府が先に、企業が償還する債務の一部を立て替え、当該企業の資産価格が暴落して連鎖反応が起こるのを防止してもよい。

3.一刻も早く人民元の供給体制を、アメリカドル、為替、外貨準備の関係から隔絶させ、不可避となる外部の衝撃を防止するよううまく準備する
中米貿易戦争がおそらく、金融分野にも蔓延していくことを鑑みて、可能な限り早く措置を講じ、アメリカの通貨政策が起こす中国との衝突から隔絶させる。すなわちいち早くわが国の外貨準備管理体制を改革し、それと国内の通貨供給との関係を切断するようにする。

わが国の外貨準備は、通貨当局(中央銀行)が管理している。こうした制度では、わが国の通貨政策が事実上、外貨準備の人質にさせられているようなものだ。2014年までの20数年間、この種の制度は次のような流れを形成していた。「外貨準備が増長→通貨供給が拡張→中国人民銀行の内部で衝突→法定準備利率を引き上げ→貸出資金が不足→利率レベルが急上昇」。こうした流れの連鎖反応が起こってきたのだ。

2004年以降、外貨準備の伸びは鈍化し、また一つ困ったことに直面する羽目になった。中国は大国として、世界経済に日増しに重要な作用を発揮しつつある大国として、通貨政策が外貨準備の動態の人質になるという由々しき事態から、根本的に脱却しなければならない。中米貿易の衝突が金融分野にも蔓延していく前景を考慮して、われわれは即刻、アメリカドル、為替、アメリカの通貨政策が、中国国内の政策に影響を与えてくるのを隔絶する措置を講じていく必要がある。

行うべき政策とは、中国人民銀行のバランスシートを大規模に改造することだ。基本的な方向としては、外貨準備(資産)とそれに対応する法定準備金を、中国人民銀行のバランスシートから移転させる。もしくはアメリカのように「外貨平準基金」を単独で設置するか、香港のように「外貨基金」を単独で設置するか、日本のように「外貨特別口座」を単独で設置するか、シンガポールやCIC(中国投資有限責任公司)のように「主権財富基金」を単独で設立する。

そのように外貨準備管理部門の仕事を分けた上で、外貨準備資産と応対する法定準備金を剥離させる。そうした前提の下で、中国人民銀行の単独管理(分離口座)か、財政部と中国人民銀行で共同管理するか、財政部が単独で管理するかといった多種の方式の中から選択することができる。われわれは、昨今の切迫した状況と、外貨管理レベル及び管理経験を論じると、第一の方式に強く傾いている。すなわち中国人民銀行が分離口座を作ることを前提に、この問題に一括処理していくということだ。

外貨準備と対応する負債を中国人民銀行のバランスシートから独立させ、かつ中国人民銀行のバランスシートの進行の改造に応対した後、一連の金融の代替的な操作を通じて、少なくとも、以下の5点を、久しく待ち望んだ成果として生み出すことができる。

第一に、中国人民銀行が預金通貨金融機関をコントロール対象に置いて、政府などが純然たる債権者としての地位を保持できる。それによって、中国人民銀行が通貨政策をコントロールする権威を新たに確立できる。

第二に、金融機関が億万の貸出資金を「解放」し、資金市場の需給関係は大逆転を起こす。それによって実体経済の資金は大幅に目に見えて改善される。

第三に、それに基づいて、市場利率が、高い貯蓄率によって起こっていた比較的低いレベルから改善される。実体経済の資金コストも大幅に下降する。

第四に、こうした調整によって、わが国の債券市場もまた、億万の固定収益債権を供給できるようになる。それによって直接融資が、債券市場で長足の発展を遂げ、わが国の金融構造がさらに一歩改善する。

第五に、外貨準備の管理体制を改革し、外貨準備が「国家の外貨準備」という本来の立場を回復する。それによって国家がさらに有用に対外戦略を発揮できるようになる。

これらの改革は複雑そうに見えるが、実際には国際経験はむろん、「図上演習」の詳細な方案を通じて、おしなべて相当程度、成熟してきている。早くも2006年には、中国人民銀行、財政部と学術界が非常に詳細な討論を行ったことがある。具体的な方案は、われわれが2006年に、国務院に報告済みである。 〉

          

本邦初の人口動態から見た中国の近未来(2018年〜2049年)を論じた新著を、6月21日に講談社現代新書から出しました。ご高覧ください!



 

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コメント
 
1. 2018年7月03日 22:54:22 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1166]

>中国に、かなり高い確率で金融恐慌が出現するだろう」と断言した驚愕のもの

中国は過剰投資と過剰債務だから

西欧同様、金融恐慌が起こる確率が高いのは当たり前で、

特に危険でも珍しくもないが


>第一に、直ちに国務院金融・発展委員会の内部に応急処置を取る機構を立ち上げる。第二に、対策を制定し、適宜果断に、違約や破産事件を処理していく。第三に、いち早くわが国の通貨供給制度をアメリカドル、為替、外貨準備の関係と切り離し、不可避になってくる外部との衝突を防ぐための準備を、うまく取り行う

しかも酷い対策

巨額の輸出を行い、海外からの投資を受け入れ、SDRにも加入しているのに、

通貨供給を為替や外貨準備と切り離そうとすれば、どうなるか


このような非現実的な金融・為替政策を行えば、逆に経済危機を増幅するリスクもある


>中国人民銀行のバランスシートを大規模に改造することだ。基本的な方向としては、外貨準備(資産)とそれに対応する法定準備金を、中国人民銀行のバランスシートから移転

そもそも、中銀のBSから移転したとしても、外貨準備や法定準備が通貨価値と無関係にできるわけではない

結局は、元や、中国の金融資産価値を大幅に棄損し、国民の損失と、企業活動の低下により

貧困化を招くことになる


日本と異なり、こうした批判に非寛容で削除されたのは、

内容が危険というより、単に無知な大衆の不安増幅や

政府批判を煽るのを避けるという政治的な理由だろうが


米中貿易戦争が悪化していけば、いずれにせよ、こうした貧困化は加速していき

日本も経済および安全保障において、巨大な損失を被ることになる


2. 2018年7月04日 00:40:12 : 1z0U4r7YxE : qOizxeHsfO8[57]
莫大な貿易赤字と財政赤字を抱えるどこかの国も自分のことを心配した方がよくないか。

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