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がん診断後も治療を拒否、引きこもり続けた40代長男の最期 葬式なし、散骨IT化…変わるニッポンの葬送 担い手はもういない
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投稿者 うまき 日時 2018 年 10 月 18 日 20:49:46: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

2017年8月10日 池上正樹 :ジャーナリスト
がん診断後も治療を拒否、引きこもり続けた40代長男の最期

長年、引きこもってきたある男性が「喉頭がん」のために亡くなった。父親は、個人が救われる仕組みの必要性を訴える。いったい、何があったのか(写真はイメージです)
病院に運ばれ2日後に死亡
長男はなぜ治療を拒み続けたか?
 長年、引きこもってきた長男が「喉頭がん」のために亡くなった。48歳だった。

 長男が「がん」の診断を受けたのは、昨年11月に亡くなる9ヵ月前のことだ。しかし、両親にも病名や余命のことを伝えようとせず、その後は一切の診療も治療も拒み続けた。

 食事はまったく喉を通らない状態が続き、水だけで痩せ細っていくなか、看護師が自宅に入院を勧めに来ても、頑として動かなかった。

 しかし、喘ぎ苦しむ声を聞いた次男が心配して救急車を呼んだ。隊員は説得したものの、中からカギをかけで出て来なかった。「中から声が聞こえなくなったら救急車を呼んで」というのが、本人の意思だった。

 ある日母親は、部屋のカギが開いていることに気づいた。本人は、ほとんど声が出ない状態だった。長男は病院に運ばれた2日後、亡くなった。
 
 そんな長男の最期の話を明かすのは、KHJ全国ひきこもり家族会連合会の「KHJ岡山きびの会」会長で、「NPO法人津山・きびの会」理事長の川島〓三さん(〓の字は火へんに亥)。

「救急車に乗せたとき、後ろ目で私の顔をじっと見るんです。“それでいいのか?”と。そのときが眼が生きていた最後でした」

 これまでも筆者は、同じように絶望の中で生きる意志を持てなくなっている引きこもり当事者たちに何人も会い、話を聞いてきた。今回は父親から見た息子像ではあるものの、川島さんの長男もまた、いずれの支援にも反応することなく引きこもり続けてきた。

「引きこもりというのは、欲望の肥大化を否定する積極的な行為ではないか」
 
 以前から川島さんは、感じるままをそう打ち明けていたものの、周囲はなかなか理解してくれなかったという。

 長男がまもなく40歳になろうというとき、国は「ニート」という用語をつくり、対策を始めた。しかし、なぜ対象者に39歳までという年齢制限を設けるのか、川島さんは理解に苦しんだ。

「39歳を超えても働こうとしない人は、障害者かホームレスとして判断するという暗黙の押し付けがあるのではないか」

 引きこもり当事者と同じ目線にどうしたら立てるのかという思考が欠如していると、川島さんはいう。

「我が家の長男の目線はどこにあるのか?」「対話ができない状況はどうして生まれたのか?」「親の教育が悪かったと言えば、それで済むのか?」
 
 川島さんは、どんな人でも社会全体で支え合うシステムができなければ、人類の未来はない、と考えるようになった。

 もともと長男は都会で仕事をしていた。その後郷里に帰り、ホテルでフロントマンを2年ほど務めた。ホテルを辞めた後、「自分の運命だ」と言って清掃会社に勤めた。しかし、熱心に通っていたのは最初の2ヵ月ほど。そのうち気が進まなくなったようで、完全な「引きこもり」状態になった。

息子の情況を病院に聞いても
「個人情報だから」の一点張り
 川島さんは言う。

「長男はいつも時間的な設定を考え約束をするが、守られたことはない。何かを待っているようにも思われるが、その正体は定かではない」

 長男は喉頭がんに侵されていると診断されているのに、頑として診察を拒み、治療を受けようとはしなかった。こうした状況への周囲の対処は、医療の面から考えてどうすればいいのか。親として心配でも、病院に問い合わせると「本人が同伴しなければ『個人情報』のため、お話しできない」と言われた。(親に打ち明けようとしない)息子の目線を、どのように理解したらいいのか。

 様々な事実を並べると、それなりの推測はできる。しかし、それは推理であって、本当の息子の目線であるかどうかがわからない。

 川島さんは、個人レベルの問題意識と地域レベルの問題意識が様々に交差することが人間社会の常であると説明した上で、次のように考えることが重要だと訴える。

「そこには、様々なレベルの矛盾が渦巻いている。この矛盾は、両親の持って生まれた矛盾を引き受けざるを得ないことが多い。引きこもる人の多くは、両親の矛盾を一身に受けてしまうこともある。引きこもる人は、社会の矛盾を一身に抱え込んでおり、自分だけではどうにもならないところまで来ている。そのために、その人に寄り添うことが何よりも大切になる」

個人が全体として救われる
「第4極」の必要性とは?
 この個人的な問題レベルに、社会が十分に気付いていない。これらの矛盾をどこから解決したらよいのか誰も何もわかっていないとして、川島さんは「第4極」の必要性を提唱している。

 第4極とは何なのか。川島さんの説明によると、第1極は政府のガヴァナンス(行政は全体としてここに属する)、第2極は政府に対する反対勢力(野党、組合などがここに属する)、そして第3極としては社会福祉協議会など、第1極と第2極を調整する機関が考えられるという。

 従来は、こうしたシステムによって社会が動かされてきた。しかし、それぞれのシステムの中で必ず個人としての問題が残り、多くの場合、置き去りにされてきた。それは様々ないびつな問題を残したままになっている。

 そこで、個人が全体として救われるようなシステムが必要になる。それが第4極としての個人の救済機関であり、その救済が徹底することにより社会の健全な発達が可能になる。その第4極が社会システムとして健全に機能したとき、社会はさらに全体として発展することが可能になると訴えている。

「私としては、同じような人間を二度と出したくない、と思っているんです」
 
 そのためにも「まず、引きこもっている人たちの気持ちを理解することから始めなければならない」として、川島さんは「第4極」をこれから社会に呼びかけようとしている。

※この記事や引きこもり問題に関する情報や感想をお持ちの方、また、「こういうきっかけが欲しい」「こういう情報を知りたい」「こんなことを取材してほしい」といったリクエストがあれば、下記までお寄せください。
otonahiki@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)
https://diamond.jp/articles/-/138201


 

Special Report

葬式なし、散骨、IT化…変わるニッポンの葬送

担い手はもういない!少子共働き時代のリアル

2018年10月18日(木)
寺岡 篤志/常陸 佐矢佳

守る人がいなくなり打ち捨てられる墓、通夜も弔問客もない葬式。日本の葬送の風景は近年、大きな転換点を迎え、新規参入も増えている。選択肢が増える中でも、家族と「死後」に向き合えば、納得のいく「最期の買い物」ができるはずだ。

(日経ビジネス2018年8月6日・13日号より転載)


岐阜県の民家の敷地内に乱雑に打ち捨てられた墓石の山。投棄した業者は「代行供養」をうたい、墓じまいの需要を取り込んでいた(写真=早川 俊昭)
 まるでむき出しの崖線のように見える石の壁には、近づいて見ると家名や戒名、ハスの花の模様などが彫られていた。岐阜県美濃市の小山の麓に位置する、民家の敷地の一角。ここに不法投棄された無数の墓石が折り重なった、“墓の墓場”がある。

 その高さは3m、幅と奥行きは15mほど。墓石に絡まったツタを引っ張れば、崩れ落ちそうなほど乱雑に積み上げられている。この家の住民、河村誠治さんは「どれだけの数が持ち込まれたのかも分からない。撤去には700万円以上かかるようだ」と嘆く。

 投棄が始まったのは9年前。墓石の処分業者を名乗る男が、土地の賃借を申し出た。通常、参拝者がいなくなるなどした墓石は石材店が引き取る。男は石材店から墓石の処分を請け負い、輸送中の一時置き場として土地を使うと、河村さんに説明していた。

 しかし、河村さんが長期入院をしているすきに、男は墓石を大量に持ち込んで放置した。河村さんはたまる一方の墓石の撤去を何度も要請。しかし、男は「(撤去するための)レンタカーの空車がなく、借りられない」などと理由をつけて取り合わなかった。地権者も巻き込んでの民事訴訟に発展したが、男は出廷を拒否。さらに敗訴の直後に美濃市内の自宅を引き払い、行方をくらませた。

 男が雇っていたドライバーの証言で、墓石の処分を頼んだ東海地方や関西地方の石材店が一部判明。岐阜県は各業者に引き取りを求めているが、実際に回収されたのはごく僅かだ。男に依頼した石材店の店主は「家名などを刻む『竿石(さおいし)』は施主の代わりに永代供養し、台座は産廃業者で砕石すると男から説明を受けていた」と証言する。店主は「それなりの処分料を支払っている以上、自費で引き取れといわれてもおいそれとはできない」と困惑顔だ。

 岐阜県によると、墓石を不法投棄した業者は産業廃棄物処理業者でも宗教法人でもない。しかし、この業者が掲げていた「墓の代行供養」というサービスには、どちらの資格も必要なく、行政処分の対象でもない。法の抜け穴をついたビジネスだった。複数の石材店によると、男は竿石1つを1万円で引き取っていた。

 一般社団法人「全国優良石材店の会」の山崎正子事務局長は「全国で同様の投棄事件が散発している」と懸念を示す。継承者の有無に関係なく、先祖伝来の墓を撤去する「墓じまい」をする高齢者が増えていることが背景にあるという。「子どもに墓の世話をさせるのが忍びないという動機の人が多い」

 実際、墓じまいをしたり、故郷から都市圏などに墓を移したりすることを指す「改葬」は、地震の頻発で墓の移動が一時的に急増したとみられる2005〜06年を除き、年々少しずつ増加している。

徐々に増える墓じまいや引っ越し
●墓を処分したり移したりする「改葬」の件数

出所:厚生労働省「衛生行政報告例」
 一部の寺院や霊園は、墓じまいした墓石の供養を請け負っているが、石を安置する土地が不足するケースが増え始めた。施主が墓を産業廃棄物にすることに抵抗を覚える場合は、墓石の行き場がなくなってしまう可能性がある。結果、墓石の不法投棄で暗躍する業者が出てくるという構図だ。

 近代日本の家制度の象徴として、先人をしのび、敬い弔う対象だった墓石。それが、残される家族の重いお荷物に、あるいは悪徳業者の飯の種になる場面が増えてきた。その象徴が美濃市の「墓の墓場」なのである。

ドライブスルーでお焼香

高齢者や障害者向けに、車に乗ったまま焼香ができる斎場がオープン。会場に面した専用通路に車を横付けし、香炉を受け取る(写真=林 安直)
 墓ばかりが重荷なわけではない。別の重荷の正体が、葬式の変化に表れ始めた。長野県上田市に昨年12月、車上で焼香できる「ドライブスルーシステム」を備えた斎場が完成した。専用道路に面した会場の壁に窓を設置。弔問客はタブレット端末で記帳し、車上焼香用の香炉を受け取る。車内でボヤが起きないように、灰の代わりに電熱線でお香を加熱する特注品だ。弔問客は車上から祭壇を見たり、遺族に声をかけたりもできる。

 斎場を運営するレクスト・アイ(同市)によると、足の不自由な高齢者や障害者は、たとえ焼香をして香典返しを受け取るだけでも、家族や職員の介助を受けながらでは30分以上かかってしまう。しかし、車上焼香なら5分程度で済ませられる。約半年間で10人程度の弔問客が利用したという。

 当初はシステムの開発について「弔いの気持ちを軽視しているのではないか」などと批判の声も上がった。それでも実現にこぎつけられたのは「世間体と見栄を重視して形式に縛られていた葬式が、より故人の希望や遺族の気持ちに即した形に変わってきているから」と同社の久保田哲雄専務は話す。

葬送を仕切る余裕がない
出生数100万人、死亡数130万人の多死時代
https://cdn-business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150303/278202/080300014/p5.jpg
●人口動態総覧の年次推移

出所:厚生労働省「平成29年 人口動態統計の年間推計」
 葬送が変化を強いられている第1の要因として、「多死社会」の到来がある。厚生労働省によると、05年に出生者数を死亡者数が初めて上回り、17年推計では年間の出生者数94万人に対して死亡者数は134万人と急増した。今後も、送られる側の数は増え続ける。

 第2の要因は、家族構成の変化だ。葬送の現場作業を主に取り仕切っていたのは家庭の専業主婦というケースが多かったが、1997年には共働き世帯が専業主婦世帯を上回った。地方の大家族から都市部の核家族へと家族形態も移り、高齢化に伴い独居も増えている。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2040年には高齢者を中心とした単身世帯が全世帯の4割を占める。残された遺族が高齢で病気がち、子どもは多忙な共働き、などというケースも増え、葬式を身近な家族だけで担うことは、事実上困難になりつつある。

 「葬式のコンパクト化」も、こうした変化の帰結として顕在化している。葬式業者を対象とした、公正取引委員会による16年の調査では、減少傾向にある葬式の種類について、7割の業者が、生前親交のあった人が出席する伝統的な「一般葬」を挙げた。一方、親族や友人など親しい関係者だけが出席する「家族葬」が増加傾向にあると5割の業者が回答している。通夜や告別式をせずに火葬する「直葬」が増えたとの回答も3割近くに上る。

「家族葬」と「直葬」の選択が増える
●葬式の年間取扱件数に占める種類別の増減傾向


出所:公正取引委員会「葬儀の取引に関する実態調査報告書」(2017年3月)
 大企業も動き始めた。コンパクト化のニーズをいち早く捉えたのが、09年に葬式の仲介サービスに参入したイオンだ。

 契約に至る顧客の半分が、同社の相談や終活セミナーを受けて、事前に会員登録をしているという。普段から頻繁に訪れるGMS(総合スーパー)を足場にした同社の営業活動は「終活」をより身近にした。来店客の中心は60歳前後の女性だ。「終活を始める人は、家族の負担を嫌ってシンプルなプランの葬式を選ぶ傾向が特に強い」と葬式子会社、イオンライフ(千葉市)の邉見英二営業部長は話す。

付加サービスが利益の4割
 プランの中で、通夜をせずに1日で葬式を終わらせる「一日葬」も提供している同社では、1件あたりの平均単価は60万〜70万円、都心部で人気の直葬ならば20万円強で実施できる。経済産業省の全国調査による1件あたりの売上高(約140万円)と比べると、イオンの顧客の低料金・コンパクト志向は明らかだ。

 同社は遺書の作成代行や遺品整理などサービスの多様化を進めることで、単価下落を補っている。営業利益ベースでは既に葬式以外のサービスが約4割を占めているという。

 ただし、コンパクト化だけが一本調子で広がるとは限らない。葬祭情報大手、鎌倉新書の小林史生・取締役執行役員は「家族葬、直葬がすぐに主流になるかというと疑問だ」と語る。2年以内に葬式をした40歳以上を対象とした同社の調査では、「家族葬」が4割弱を占める一方で、まだ半数以上が「一般葬」を選択していた。墓の傾向も同様だ。同社サービスを2017年に利用した墓の購入者の半数は「一般墓」を選んだ。

 「お葬式、墓を常識的に選びたいという希望もまだ根強い」と、同社ライフエンディング事業2部長の中村慎介氏は予測する。「日本の供養の文化がそう簡単に薄れるとも思えない」。弔う儀式の宗教色を排除して、有志が企画して故人をしのぶ「お別れの会」への関心も高まっている。

 つまり、葬送のトレンドに影響しているのは、低料金・コンパクト化というコスト面だけではない。見栄や世間体による「縛り」が緩み、個々人にとってより望ましい弔いの形を模索する形で、多様化が進んでいると見るべきだろう。

 多様化の中で生まれた新たな選択肢の一つが、「海洋散骨」だ。

なぜ海に骨をまくのか

自分自身の散骨を検討するために体験ツアーに参加した川端裕さん(写真=村田 和聡)
 晴れやかな夏日となった6月上旬のある日、東京・晴海の船乗り場から出発した海洋散骨体験クルーズに約20人が参加した。元会社経営の川端裕さん(79)は一人娘の長女と乗船。「正直言って最初は散骨に抵抗があった。でも墓を守っていくことは本当に大変。散骨という選択肢がある時代が来たことがありがたい」としみじみ語る。今年1月に亡くなった妻の遺骨も、本人の希望で海にまいた。「私には、お墓を守っていくことはできない」という長女の言葉も背中を押した。

 同じ船に乗っていた鶴見弥生さん(62)は「夫は亡くなり、子どももいない。誰の手も煩わせない散骨という選択は、私にとって実に自然な流れ」と晴れやかに笑う。既に死後の散骨を予約済みだが、今回のツアーには顧問弁護士を伴って参加した。鶴見さんからの委託を受け、実際に遺骨をまくのはこの弁護士だ。「弁護士から『実際の様子を確認したい』という希望があったので参加した。これで心置きなく身仕舞いができそう」

 体験クルーズを主催したハウスボートクラブ(東京・江東)の村田ますみ社長は「海洋散骨を始めた07年の依頼はわずか6件だったが、16年には250件、昨年は300件以上に増えた。日本全体でも海洋散骨は右肩上がりで、17年は1万件に達したのではないか」と推測する。村田氏が中心となって14年に立ち上げた一般社団法人「日本海洋散骨協会」は、加盟社10社未満からスタートし、現在は40社近くからなる。

 ハウスボートクラブの場合、一家族のみの乗船は25万円、他家族との合同散骨は12万円、同社に散骨を委託する場合は5万円。海洋散骨自体は死者数全体から見れば1%程度のシェアだが、認知度の高まりを受け、今後墓じまいを希望する層の受け皿にもなり得る。

 ただし、海洋散骨が現時点では法律のエアポケットになっている点には、注意が必要だ。遺体の処置を定めた墓地埋葬法には散骨についての記述がなく、法務省は「祭祀として節度を持って行うこと」と曖昧な見解を出すにとどめる。村田氏は「供養の気持ちを持たない業者も参入していることに危機感を覚える。業界内のルール徹底を進める必要がある」という。

 デジタル技術も葬送の選択肢を広げるのに一役買っている。6月下旬に2日間にわたってパシフィコ横浜(横浜市)で開かれた「フューネラルビジネスフェア」。主催の綜合ユニコム(東京・中央)が発行する「月刊フューネラルビジネス」の編集長、大坪育夫氏は「手書きで見積もりを出すなどIT(情報技術)化が著しく遅れた業界だったが、今回はITを活用する出展が目立った」と、指摘する。

葬儀×IT=「葬テック」

遺影写真事業大手の「アスカネット」が取り組む「葬テック」は、業界に浸透するか
 スクリーンなしで遺影が浮いて見える焼香台、応対するAI(人工知能)会話ロボット――。会場でひときわ異彩を放っていたのが、葬儀×ITを意味する「葬テック」の看板を掲げた「アスカネット」(広島市)のブースだ。スーツ姿の係が厳かな雰囲気で応対するブースが多いなか、ここでは青いポロシャツ姿の係がカジュアルに対応、この一角だけテック系イベントの様相を呈していた。関心を集めたのは、スマートフォン、SNS(交流サイト)に対応して「訃報」「弔電」「供花・供物」を発注できるサービス「tsunagoo(つなぐ)」だ。

 「共働き、核家族の家庭が増え、葬式準備に手間をかけられない層が増えている」と同社執行役員の村上大吉朗氏は話す。訃報を電話やファクスで伝える負担は小さくなく、行き届かないケースもある。

 前出の、公正取引委員会の調査では、葬式1件当たりの参列者数は「増加」が1.1%に対して「減少」は86.8%にも及んだ。村上氏は「葬テックで故人を悼む参列の機会を増やしたい」と意気込む。

 多様化した選択肢の中からどんな葬送を希望するか。葬送業者の多くは「ほとんどの人は、周囲の人に迷惑をかけないことを重視している」と口をそろえる。ならば、墓を撤去し、シンプルな葬式に徹するのが正解なのだろうか。ことはそう単純には運ばない。

 例えば遺族に負担が少ないとされる家族葬は、一般葬のように香典がない分、喪家が全額負担することになる。また訃報を省略すると、後になって逝去を聞きつけた友人が「手を合わせたい」とばらばらに自宅を訪れてくることもある。返礼品を後日発送したりと、葬式なら1日で済むことを延々と対応しなければならないかもしれない。かつて、家庭を守る専業主婦が担ってきた役割でもある。

直葬、家族はイヤ?
 「葬式もお墓も、自分でなく残される人が担うもの。慌てて終活をする前に、この大前提を肝に銘じてほしい」。葬送の問題に詳しい第一生命経済研究所の小谷みどり主席研究員は話す。

 小谷氏が提唱する「迷惑をかけない葬送」に最低限必要なことの1つ目は、誰が自分の遺志を実行してくれるのかを確認することだ。「配偶者は第一候補になることが多いが、先に亡くなってしまうことも当然ある。年齢に応じて複数の候補を想定してリスクヘッジをする」。家族との縁が希薄化している場合は、友人も選択肢だ。

 「本人が『告別式は必要ない』と言っていても、家族の葬式を直葬ですませることに抵抗がある人も一定数いる。裏返せば、周囲の人は最後ぐらいあなたに迷惑をかけてもらいたい、と思っているかもしれない」と小谷氏は助言する。葬送を託す候補者と自分の望む葬送方法について事前に話し合い、ギャップを解消しておくことが重要だ。

 次に必要な準備は、自身が参列を希望する友人知人をあらかじめリストアップしておくことだ。

 これまでは、そこまで考えなくてもよかったかもしれない。だがニーズに応えた新規参入が葬送の選択肢を増やしているがゆえに、変化の間隙を突いた悪徳業者による冒頭のような不法投棄などのトラブルにつながっている側面もある。自分で考えなくても、身内の誰かが安心安全に弔ってくれる時代は終わりつつあるわけだ。

 葬式に関するトラブルは、通夜振る舞いや精進落としの料理など、弔問客数によって変動する費用が関連することが多い。思わぬ弔問客の増加で予算を超過してしまうからだ。「友人が葬式の案内状をSNSを使って善意で拡散してしまい、弔問客が押し寄せるケースもある」(小谷氏)

 事前にリストを準備すれば、こうしたトラブルは避けられる。喪主が「近親者と親しい方で実施する」と記してリストの友人知人に案内状を送れば、弔問客を過不足なく呼ぶことができる。

 3つ目の準備は、資金をどれだけ用意しておくかについてだ。小谷氏は「お金が心配になったら見積もりを取ること。高齢になるにつれ、来てほしい友人知人は減っていくから、今この時以上に葬式費用が上がることはない」と話す。

 事前に見積もりを依頼すれば、悪質な業者を排除する手がかりにもなる。「費用の細目が見積書にしっかり記されていて、費用が変動するリスクまで説明してくれる業者ほど安心」(小谷氏)


(写真=PIXTA)
 いつか来る死から目をそらすことなく、過度に心配をすることもなく、できれば残される人とともに考えて準備をする。そうした気構えがあれば、誰もが納得のいく「最期の買い物」をすることが、できるはずだ。

葬式業界、透明化なお遠く
 2017年に国民生活センターに寄せられた、葬式に関するトラブルの相談件数は636件。08年から50%も増えた。同時期の死者数の増加(18%増)を考慮しても、トラブルが頻発していることが分かる。ピークの15年からはやや減少しているが「依然、高止まりしている」(同センター)。特に目立つのが「見積もりよりも請求金額が大きかった」といった料金面での相談だ。

 05年の公正取引委員会の調査で、約半数の葬式業者が書面を交わさず口頭で契約している実態が明らかになるなど、葬式業界はもともとトラブルを生みやすい商習慣があった。しかし、イオンをはじめとした他業種が均一料金を掲げて葬式仲介に参入したことで「既存業者の間でも取引の適正化が進んだ」(大手葬式会社)。それなのになぜ、トラブルが増えるのか。

 多くの葬式業者の顧問を務める武内優宏弁護士は「一部の業者に、単価下落への焦りがあるようだ」と指摘する。

 家族葬や直葬などシンプルで安価な葬式の割合が増えれば、収益は落ち込む。そこで、各業者は終活イベントによる囲い込みやサービスの多角化で補おうと動いている。

 しかし、経営余力がない中小業者は「料金設定で自由がきく、病院や警察を通じた従来ルートの深掘りで、追加オプションを積極的に売り込んでいる。遺族はまだショックを受けている段階で営業を受けるので、オプションについてよく理解できない。結果的に遺族への説明が不足しがちになる」(武内弁護士)。仲介業者の目を盗んで勝手にオプションをつけたとみられる事例もあるという。市場の変化に、業者の対応が追いついていないというわけだ。「喪主が密葬を希望しているのに、故人の知人からきた葬儀の問い合わせに業者がつい回答してしまい、トラブルになる例もある」(同)という。

 冒頭で紹介した墓じまいを巡る不法投棄のように、新しいサービスには悪質な業者が混じることもままある。海洋散骨についても「台風がきたのでキャンセルをお願いしたが、『台風だろうとうちは出航する。乗船しなくても正規料金は払ってもらう』と言われた」「業者に散骨を委託したのに報告書が届かない。どこかに捨てられたのではないか」といった相談が、国民生活センターには数多く寄せられている。

トラブルの件数は高止まりしている
●国民生活センターに寄せられた葬式サービスのトラブル件数

出所:国民生活センター

(写真=PIXTA)

このコラムについて
Special Report
日経BP社の媒体の中から、読者の反響が高かったものを厳選し、『日経ビジネスオンライン』で公開します。
https://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150303/278202/080300014


   

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コメント
1. 2018年10月18日 21:10:25 : wTqrxDwRMY : vEeN2335v8Q[1337] 報告
 
 セミが 土の中から出て 繁殖を行い 力尽きて死ぬ

 飛び出した時から 餌も食べず 水も飲まないで 干からびて 死を迎えるのが 一生だ

 ===

 人間も 食べ物が 喉を通らなくなって 水も飲めなくなると 干からびて死ぬ

 その時には 脳内モルヒネが出て 痛みを感じさせない

 ===

 セミが 死ぬ時も 同じように 脳内モルヒネがでて 安楽死する

 ===

 蛇が カエルを飲み込んで 消化液で 身体が溶かされて 激痛が走るのだが

 その激痛が 脳内モルヒネをだして 食べられたカエルは 観念したがごとく

 じたばたしないで 消化されていくのだ
 
 ===

 生と死は 裏返しで 自然界では 辻褄が あっている
 
 

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