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働き方改革にまた暗雲、裁量労働制をやめた三菱電機の決断の重み(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/337.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 11 月 07 日 21:43:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

働き方改革にまた暗雲、裁量労働制をやめた三菱電機の決断の重み
https://diamond.jp/articles/-/184567
2018.11.7 ダイヤモンド・オンライン編集部  


Photo by Hiroyuki Oya


 三菱電機が、社員3万人中1万人に適用していた裁量労働制を今年3月に全廃していたことが明らかになり、波紋が広がっている。

 経団連の老舗企業にして現副会長を送り出している三菱電機が、政府の「働き方改革」と連携し裁量労働制の拡大を求めてきた経団連の考え方を真っ向から否定する格好になったからだ。

 全廃の背景には、裁量労働制で働いていた社員の過労自殺や長時間労働による労災認定がたて続けに起きたことがあるとみられる。

 制度導入時から、残業代をもらえず長時間労働を強いられる制度として、連合などが反対していたが、政府が言う「新しい時代に合った働き方」は「幻想」にすぎなかったと、企業の側も認めざるを得なかったということなのだろうか。

裁量労働制社員の相次ぐ
過労自殺や労災が発覚


 これまでにわかったのは、三菱電機で2014年から17年だけで5件が長時間労働による労災を認定され、うち3件は裁量労働制を適用された社員だったことだ。

 三菱電機が関西に持つ拠点の1つ「コミュニケーション・ネットワーク製作所」(兵庫県尼崎市)に勤務していた40代のエンジニアは、通信システムなどの仕事をしていたが、2015年の秋ごろから、「残業」が急増した。 

 裁量労働制が適用され、仕事のやり方や作業する時間の配分なども、自由に決めてやれるはずだったが、実際は納期などに追われるようになり、結局、「残業」時間が、15年秋以前に比べて約5倍に増え、月80時間前後が続いた。

 こうした状況の中で、精神障害を発症し、2016年2月に自ら命を絶った。家族からの労災申請を受けて、尼崎労働基準監督署は17年6月、長時間労働が原因の労災と認定した。

 裁量労働制は、労働時間と成果や業績が必ずしも連動しない職種を対象に、仕事の仕方や時間配分を働き手の裁量に任せる制度だ。

 労使で1日の労働時間(みなし労働時間)を決めれば、実際の労働時間にかかわらず、一定の賃金が支払われる。多くの場合、この賃金には、毎月一定時間の残業をしたことに相当する「固定残業代」と同程度の手当てが含まれる。

 だが実際の労働時間に応じた残業代は出ないので、企業の中では残業代の支払いを抑えられるという思惑から導入するところがあり、労働組合などは、働き手がただ働きの長時間労働を強いられると、反発していた。

 三菱電機では、この40代のエンジニアの自殺が起きる前にも、社員が長時間労働で労災認定を受けることが続いていた。

 12年8月に、名古屋製作所で技術職の社員(当時28歳)が過労自殺。14年12月に長時間労働が原因の労災と認定された。この社員は裁量労働制ではなかったものの、数年たてば裁量労働制に移行する社員だった。

 その後も、13年6月には、車載用機器を手がける三田製作所(兵庫県三田市)でも男性社員が脳梗塞を発症。16年4月には東京・丸の内の本社で働く男性社員がくも膜下出血を発症。いずれも裁量労働制が適用されたエンジニア社員で、長時間労働が原因だったとして労基署に労災と認定された。

 16年11月には情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)の研究職の男性社員(当時31歳)が精神障害を発症し労災認定され、当時の上司と同社が藤沢労基署労働基準法違反で書類送検された。

 この時は、労基署が事案を公表したこともあって、当時の柵山正樹社長が「二度とこのような事態が起こらないよう取り組む」と、釈明し労働時間の適切な把握を強化する考えを示した。

 だがそれまでに起きた裁量労働制社員らの4件の過労自殺や労災は、先月末、朝日新聞が報じるまでは、伏せられていた。

 今年3月には、全社員約3万人のうちほぼ3割にあたる約1万人に適用していた裁量労働制を全廃していた。

「自由に働ける」と
“幻想”が作られてきた


 三菱電機は、裁量労働制を全廃した理由を、「従業員の健康管理の徹底と、(社員の)労働時間を厳格に把握するため」と説明している。

 裁量労働制の社員と、単純労働制の社員で、労働時間の二つの物差しがあるのは複雑過ぎて、きちんとした労働管理ができないからという。

 裁量労働制だった社員には、一定時間分の固定残業代(みなし残業代)を支払い、それを超える残業については、実労働時間に応じて払うやり方に変えたという。

「裁量性のある働き方は維持する」としているが、労基法上は、以前のやり方にに戻したものだ。

 一方、労災が相次いだことについては「事案が起きたことは重く受け止めている」としているが、裁量労働制全廃の直接の原因になったことは否定する。

「裁量労働制」と聞くと、専門的な技能を持った人が会社に束縛されずに自分で自分の働き方を決められる「裁量」を与えられる、というポジティブなイメージを持つサラリーマンも少なくはない。

 裁量労働制を適用されている人が働く人全体の中で数%しかいないため、「裁量制を適用されるのは一流サラリーマンの証し」と考える人もいる。

 だが、実際は、裁量労働制も、そうでない労働時間制(「単純労働制」)も、労働基準法に基づいて労働時間や残業支払いの規定があり、そのもとで企業の労使が選ぶに過ぎない。

 それにもかかわらず、そこはかとなく裁量労働制に漂う「VIP感」は、経済界と政府によるこれまでの議論の進め方に要因があると思われる。

 戦前の「工場法」の流れをくんで1947年に施行された労働基準法が想定する「労働者」は、工場で働くブルーカラーだった。労働者の労働時間は、工場のシフトに対応し、工場で働く時間かそうでないかによって明確に管理できた。

 しかし高度成長期を経て、ホワイトカラーが大量に出現し、その一部は、会社にいる時もいない時も自らの創意工夫次第で収益を生み出す可能性を秘めた存在として認識されていく。

 どこからが労働時間で、どこからがプライベートなのか、工場労働者のようには明確に把握できない。それどころか、働く時間が長ければそれに応じて生産物も多くなる工場労働者とは違い、ホワイトカラーの「成果」は労働時間には比例しない。

 成果に見合った賃金を支払うためには、工場労働者がモデルの労働時間賃金の制度では対応できなくなった。

 そこで1987年の労働基準法改正時に「新しい働き方」に適応した制度として創設されたのが、裁量労働制だった。

 90年代に入ると、当時の日経連が裁量労働制の対象拡大を政府に要望。それを受ける形で、政府は対象業務を広げてきた。

 こうしてホワイトカラーにとって「自由に働ける」制度というイメージや、企業が働き手の意思を尊重しているような「VIP感」が醸し出されてきた。

 しかし、制度の実質は、経営者側にメリットがあることは明白だ。

 労働者が何時間働いても、労使であらかじめ決めた労働時間(実務上は7〜8時間程度が多いとみられる)を働いた時間とみなす制度だからだ。

 多くの場合、このみなし労働時間を超えた一定の「残業時間」分について、「裁量手当」のように実質的な固定残業代が支給されるが、実際の「残業時間」がどれだけ長くなろうと、固定残業代を超える追加の「残業代」は原則支給しなくてよい。

 つまり、残業時間を正確に把握し、それに応じた残業代を計算して支払う「単純労働制」に比べ、企業側の労務管理の負担は軽くなる上、労働時間が長くなればなるほど、人件費などのコストが格段に安くなる制度なのだ。

 企業側が裁量労働制を「いくら社員をこき使っても、給料は一定でいい」と拡大解釈する危険性があることはこれまで何度も指摘されてきた。一方で、働き手には「給料は一定で、何時間でもこき使われる」という最悪の事態の可能性を否定できない危うい面を持った制度だ。

 全国で労災認定された裁量労働制の働き手は、わかっているだけでも、14〜17年度の4年間に42人にのぼる。

 このうち三菱電機の社員だけで3人を占める。数百万にのぼる企業がある中では、突出した数字だと言わざるを得ない。関係者によると、三菱電機は長時間労働の問題が多発している「ブラック企業」として厚生労働省が社名公表する一方手前だったという。

 厚労省との間でどういったやりとりがあったのかはつまびらかではないが、このまま裁量労働制を続けると、社員の過労自殺や労災認定が繰り返され、「ブラック企業」として公表されかねない。そんな懸念を三菱電機の首脳陣が抱いたことは、想像に難くない。

企業にもデメリット多い?
経団連の足元、揺らぐ


 これまで、裁量労働制は企業にとって「社員をいくら働かせても残業代は一定以上支払わなくてよい」ということでメリットがあると思われてきた。

 しかし長時間労働を社員に強いていれば、いつか「労災」という形で社員が犠牲になる。そうなれば当局が動き、ブランドイメージも急落しかねない――。三菱電機の制度「全廃」を機に、裁量労働制はメリットよりもデメリットの方が大きい制度だとの認識が企業の間で広がれば、裁量労働制の存在意義そのものが問われることになりそうだ。

 安倍政権は「裁量労働制拡大」の路線を一貫して唱え続け、先の通常国会に提出した働き方改革関連法案にも、これまで適用されていなかった営業職の一部に適用範囲を拡大する方針だった。

 しかし、恣意的ともとれるような「不適切データ」が入った厚労省の労働時間調査を基に、安倍首相が国会で、「(裁量労働制で働く人の労働時間が)一般労働者より短いというデータもある」と答弁したことから、野党や世論の追及を受け、裁量拡大は法案から撤回を余儀なくされた。

 それでも今でも、政権は裁量労働制拡大の旗は下ろしていない。経団連側も働き方改革関連法が成立した6月末、すぐさま、「裁量労働制の拡大については、法案の早期提出を期待する」(中西宏明会長)とのコメントを出した。

 政府もそれに応える形で、9月20日、「有識者会議」を開催、事実上の裁量労働制度拡大の議論を再スタートしたばかりだった。

 しかし、政府側もこの事態の発覚後には「対象拡大の方針を決めているわけではない」(厚労省の担当課長)とトーンダウンせざるを得なかった。

 対象拡大を盛り込んだ法改正案を再来年の国会に提出する青写真を描いてきたが、「適用職種拡大は、少なくとも向こう10年は無理だ」(厚労省関係者)との声も出ている。

 また、このことは、「働き方改革」の一環で、来年4月から導入が予定される「高度プロフェッショナル制度」にも影響を与える可能性もある。

 裁量労働制よりもさらに労働時間などへの規制が緩く、連合や野党が猛反対してきた。制度の詳細を議論する厚労省の労働政策審議会が始まっているが、対象業務や年収要件を巡り、経営者側と労働側が早くも対立している。

 政府と財界のもくろみ通りに制度設計が進むかは、ますます見通せなくなった。

(ダイヤモンド・オンライン編集部)


 

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コメント
1. 2018年11月08日 03:08:46 : CsqrExXCGk : fkOqA@eANVc[10] 報告
裁量制ねえ。
個人、部署間の業務が平準化(量、難易度)してないといろいろ不満が出るだろうね。
2. 2018年11月08日 03:32:20 : ilJSHK3wFg : KcxsNYas5Us[64] 報告
安倍は、成長だ!と言い日本を壊している。

安倍政権でどこが成長した?下らん政策、スローガンばかり出して、日本崩壊中だ。

一刻も早く、首にしろ! 安倍、お前は首だ!(トランプ)

嘘ばっかりいい放ち、日本は倫理崩壊してきた。

嘘が通る世の中は、ありえない。

3. 2018年11月08日 19:01:56 : o4ZxWSpuaU : GJN2zyS682U[88] 報告
音を上げた 悪意に満ちた 幻想に

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