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倒産する大学の4つの特徴:地方、小規模、名称変更、そして...(ニューズウィーク)
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/719.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 12 月 04 日 02:37:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

倒産する大学の4つの特徴:地方、小規模、名称変更、そして...
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2018/12/4-65.php
2018年12月3日(月)10時25分 松野 弘(社会学者、大学未来総合研究所所長) ニューズウィーク


iconeer-iStock.


<「大学大倒産」時代となっているが、つぶれる大学にはそれなりの理由と傾向がある。大学はなぜ、つぶれるのか(大学倒産・後編)>

※前編:忍び寄る「大学倒産」危機 2000年以降すでに14校が倒産している

大学がつぶれるにはそれなりの理由がある。大学「倒産」に至る理由には、(1)立地条件の悪さ、(2)受験生に対する市場調査の甘さ、(3)経営力の欠如、(4)「教育」と「研究」の質の低さなどがあげられる。ここで取り上げる大学は、大半がこのような課題を抱えているにもかかわらず、設置を認められ運営してきた。その結果が倒産である。

前回挙げた14校の大学はなぜ、「倒産」したのか。各大学の特徴を改めてよく見ると、いくつかの共通点が浮かび上がってくる。

まず気づくのは、設立からあまり年数が経っていない大学が多いということである。14大学のうち9大学が2000年以降の設立である。1999年設立の大学も2校ある。歴史が浅いということは、ブランドイメージが低いという言い方もできるだろう。

大学に限らず、ブランドイメージは長い年月をかけて創り上げられるものである。もっとも、2017年に閉学した東京女学館大学は、大学の設立こそ2002年だが、創設が明治期に遡る名門中学・高校のブランド力を背景に設立されており、ここに挙げた大学の全てのブランドイメージが低いわけではないことを申し添えておく。

ただ、大学運営と小・中・高の運営は基本的に異なることは留意しておく必要がある。大学は高等教育機関における最高学府としての「質」が確保されなければ、大学として存続させることはきわめて困難である。

また、ブランドイメージに関連する特徴として、大学名を変更している大学も目に付く。企業名やさまざまなサービス名にも言えることだが、名称を変更することは新鮮なイメージを与える反面、それまで蓄積してきたイメージをリセットするリスクを伴う。社会が納得するような明確な理由がない名称変更は、大学そのものの信頼度を下げることにも繋がりかねない。

下の表は、この10年以内に大学名を変更した大学の一覧である。これを見て読者の皆さんはどのような印象を受けるだろうか。

                  大学名の変更

(出所:文部科学省ホームページ「大学等の名称変更など」をもとに筆者が作成)

■単科大学が経営面で弱くなる理由

次に、学部が1つだけの大学、いわゆる単科大学が多いことも特徴である。今回取り上げた14大学のうち13大学が単科大学だ。

これはすなわち、規模が小さい大学ということのみならず、1つしかない学部に学生が集まらなかった場合、別の学部で入学者数をカバーすることができないという経営面での弱みをも意味する。

2018年度の入学定員充足率を大学の規模別に見ると、定員が3000人以上の大学は100.6%、1500人以上3000人未満の大学は100.5%、1000人以上1500人未満の大学は104.3%、という定員充足率にもかかわらず、300人以上400人未満の大学は98.2%、200人以上300人未満の大学は99.4%、200人以上300人未満の大学は95.8%、100人以上200人未満の大学は95.8%、100人未満の大学は92.8%となっている。

これを見てわかるように、入学定員の規模が大きい大学は定員を充足し、入学定員400人未満の規模の小さな大学は定員割れだ。同調査では、中国・四国・甲信越・北海道の私立大学では定員割れになっている。

しかし、それ以下の規模になると状況が変わってくる。400人未満の大学は、どの区分においても定員割れとなっている(下の表を参照)。

          2018年度 私立大学 規模別 定員充足率

(出所:日本私立学校振興・共済事業団『平成30年(2018)年度私立大学・短期大学等入学志願動向』をもとに筆者が編集)

■地域社会と大学のあやうい関係

倒産した大学の傾向として、これまでに「歴史が浅い」「ブランドイメージが低い(名称変更が多い)」「規模が小さい」という特徴を取り上げてきた。そして、もう1つ、いわゆる三大都市圏以外にある「地方の大学」という点が挙げられる。

下の表のように、首都圏や中核都市がある県の大学では入学定員充足率が100%を超えた一方で、それ以外の地方にある私立大学では、定員割れを起こしている傾向がある。

          2018年度 私立大学 地域別 定員充足率

(出所:日本私立学校振興・共済事業団『平成30(2018)年度私立大学・短期大学等入学志願動向』)

この背景には、すでに指摘されてから久しい印象のある少子化問題に加えて、地方から都市部、特に東京圏への人口流出がある。わが国は2008年をピークとして人口減少局面に入っており、2050年には9700万人程度にまで減少すると予測されている。

加えて地方と東京圏の経済格差等が、若い世代の地方からの流出と東京圏への一極集中を招いている。これにより首都圏(東京、埼玉、千葉、および、神奈川県の一都三県)への人口集中は全人口の3割という、諸外国に比べても圧倒的に高い一極集中を生み出してしまった(首相官邸『まち・ひと・しごと創生総合戦略 (案)』P1)。

その結果、地方経済の縮小に拍車がかかり、それがさらに東京圏への人口流出を呼ぶという「負のスパイラル」が生まれはじめているのだ。

地方の大学もこの「負のスパイラル」とは無縁ではいられない。地方の若い世代は大学進学時と卒業時に東京圏へ流出しており、その要因として政府は、地方に魅力ある雇用が少ないことと、地域ニーズに対応した高等教育機関の機能が不十分であることを挙げている(前掲著P38)。

そして、その対策として、大学生が地元に定着するための取り組みを行うほか、2014年12月に「大都市圏、なかんずく東京圏への学生集中の現状に鑑み、大都市圏、なかんずく東京圏の大学等における入学定員超過の適正化について資源配分の在り方等を検討」(前掲著P39)することを発表した。

すなわち、首都圏などの大都市部にある私立大学の定員超過を抑制するということである。これによって政府は2020 年までに地方における自県大学進学者の割合を平均 36%(2013 年度全国平均 32.9%)まで引き上げることを目標としている。

■文部科学省が私立大学の定員超過を抑制へ

それでは、どのようにして大都市部の私立大学の定員超過を抑制するのか。

政府が私立大学に交付している補助金は定員割れの度合いに応じて減額されるが、これは定員割れだけではなく、定員超過に対しても同様の減額措置が取られることになっている。

現在、定員8000人以上の大規模大学の場合、定員超過率が120%以上になると補助金は交付されない。この交付停止の基準を、大都市部の大学に限って110〜107%まで厳格化する方針を打ち出したのだ。

対象となるのは首都圏(東京都、埼玉、千葉、神奈川)、関西圏(京都、大阪、兵庫)そして中部圏(愛知県)の私立大である(毎日新聞2015年2月22日朝刊より)。これによって三大都市圏における私立大学の定員超過を抑制し、その分の学生を地方大学に回すという算段である。

しかし、これは問題の本質に対する解と言えるであろうか。補助金という「外圧」による定員の数字合わせよりも、現在、日本の大学が抱えている多くの課題にこそ取り組むべきであろう。

すなわち、有名私立大学を除く大半の私立大学にみられる大学生の学力低下や、AO入試・推薦入試という名による事実上の無試験制度、そして、大学教員の質の向上や大学における教育・研究活動の質と量の向上である。

本来、これらの課題は都市部か地方かを問わず、大学の本質と役割という点で違いはないはずである。真に魅力のある大学であれば優秀な学生や教員が集まるものであり、そのような大学だけが「大学大倒産」の時代を生き延びるべきなのである。

最近では、大学倒産にからんだ話になると、「大学はビジネスだ」「金儲けができれば、どんな学部でもつくるべきだ」「受験生は何でもかき集めればよい」等と、およそ高等教育機関の責任者とは思えないような発言を耳にする。

企業でも、いい商品づくりができなければ、どんな大企業でも倒産する時代だ。大学の財産であり商品は大学教員であり、それを支えるのはすぐれたスタッフであり、大学を存続させるのはいい学生が集まり、大学教育を通じていい学生を社会に送り出すことだ。こうした大学における経営・教育・研究の改革を放棄した大学は「必ず」淘汰されていくことになるだろう。

[引用参考文献]五十音順
1)asahi.com 「母校が消える 学校法人、相次ぐ破綻」
2)MSN産経ニュース「神戸ファッション造形大廃校へ 定員確保が困難」
3)衆議院会議録情報 第009回国会 文部委員会 第3号
4)首相官邸 まち・ひと・しごと創生会議(第4回)資料2「まち・ひと・しごと創生総合戦略 (案)」
5)首相官邸 教育再生実行会議『「学び続ける」社会、全員参加型社会、地方創生を実現する教育の在り方について(第六次提言)』
6)日本私立学校振興・共済事業団『平成30(20184)年度私立大学・短期大学等入学志願動向』
7)日本経済新聞2012年4月30日『東京女学館大、16年3月閉校 ブランド力生かせず』
8)毎日jp 「三重中京大:短大ともに廃止 来年度から募集停止」
9)松野弘(2010)、『大学教授の資格』NTT出版
10)松野弘(2015)、『大学教授になるための戦略的勉強術』PHP研究所
11)文部科学省『大学設置基準』最終改正:平成二六年一一月一四日文部科学省令第三四号
12)文部科学省ホームページ「大学等の名称変更など」
13)読売新聞「開学当初から経営難、14年で閉学した大学」2013年3月16日



 

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