これではダメだと久米豊社長が打ち出した901運動で盛り返すかに見えたが、確かにバブルの時代のシーマ、シルビア、プリメーラは売れた。しかしモデルチェンジで失敗し、これまた顧客は他社に流れた。トヨタに対抗して、トヨタと同じだけの車種を用意し、これまたトヨタと同じ4年ごとのモデルチェンジを繰り返していたのだから、負債は雪だるま式に増え、経営破たんするしかなかったのだ。

これら迷走する日産の車種展開に、顧客の日産に対する不信感は強い。設計思想がころころ変わるから、人気車だったのがモデルチェンジを境に不人気車になる。中古車の下取り価格が低いのも、日産車の人気の低さを象徴している。これは日本だけでなく、豪州やNZやアメリカやカナダでも同じ。日産車は、韓国車と同格に見られている。

ゴーンが支配するようになってから、日産車はグローバル市場を対象にした車種展開をするようになった。つまり日本国内ないがしろである。マーチやキューブなんて、何年キャリオーバーやっているのか。豪州で売っていたパルサーだってそうだ。トヨタ・カローラやマツダ3のような、光るところがない。これ乗ったら私の人生変わるみたいな、ワクワク感がない。いたって凡庸な、ただ走るだけの自動車だ。

●日産自動車は、今や日本国内で5位に転落した。かつてプリンス自動車と合併した頃は、日本最大の自動車メーカーだった。それがトヨタに抜かれ、ホンダに抜かれ、今やスズキやダイハツにも抜かれている。日産の自動車は、今や新車でも中古車でも、選択の対象にならない状態である。日本国内で売れている車種と言えば、ダイハツ・タントやホンダNボックスである。そう言う車種があるのか。三菱の水島工場でつくってもらっているデイズだけじゃないか。

あまりに不人気なので、10台まとめて850万円で販売会社に卸していると言う。これに対してダイハツ・タントやスズキ・ハスラーやホンダNボックスは、顧客が指名買いするのである。昔と違って、顧客は各社の自動車を乗り比べしない。時間がないからだ。人気が鉄板の車種だけを買うのである。そこから洩れたら、もう再起不能である。

下取り価格が高くて、定評のある車種に顧客は集中する。昔と違って、顧客はいろいろなディーラーを廻らない。つまり日産は、廻らないディーラーに入っているのである。長年、顧客を裏切ってきたツケが大きい。1970年代、1980年代の若者は、今は子供が自動車を買う年齢である。日産車に懲りた親たちが、子供に日産を奨めますか…と言う話なのである。

つまり、再起不能と言うことだ。