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入管法改正案は問題が多い 誰も指摘しないのが不可解すぎる「シンプルな大問題」 「外国人労働者が増えれば賃金は上がらない」
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/850.html
投稿者 うまき 日時 2018 年 12 月 10 日 21:59:45: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

入管法改正案は問題が多い

高橋洋一氏
2018-12-03 10:51:52 | 時事
 入管法の改正案は、参院での成立の可能性は高いです。しかし、この改正案は、拙速・杜撰の極みです。自民党内でも、当初反対論、慎重論が少なくありませんでした。野党の多くは問題点を指摘するものの立法者としての実力不足のため、議論の質が上がらないまま進んでしまっています。こうしたなか、元財務官僚で嘉悦大学教授の高橋洋一氏は、今回の改正案は賃金上昇しはじめているアベノミクスの成果を台無しにする可能性があると指摘しています。

 改正案の問題点の一つとして、高橋氏は、本年2月内閣府が出した資料が、少子化で生産年齢人口が減少していることを「人手不足」として、それゆえに外国人労働者を受け入れなければならない、としているのは、誤りだと述べています。「安倍政権になってから進められた異次元金融緩和によって雇用が生まれ、それ故に人手不足になったのであり、決して「少子化だから人手不足」ではないのだ」と言うのです。
 入管法改正の動きは、人手不足を理由とする産業界からの要請によるものですが、高橋氏は「人手不足はマクロ経済にはいいことであり、この際企業がため込んだ内部留保を吐き出して、給与や待遇を改善するのが先である」と述べています。「基本的には外国人労働者を新たに受け入れずに、今まで受け入れてきた留学生アルバイトと技能実習生にきちんとした在留資格を与えて、その後はきっちりと彼らの在留資格などについて管理するというスタンスが望ましい」というわけです。

 安倍政権になってから、「外国人労働者」の数は70万人から130万人へと60万人増加しました。130万人のうち雇用環境に影響を与えるのは、留学生アルバイト30万人と技能実習生25万人。政府がまとめた「たたき台」では、2019年度から5年間で130万〜135万人の労働者が不足するため、最大で34万人を受け入れるとしています。高橋氏は、「今回の入管法改正案が、これらの留学生アルバイトや技能実習生に新たな在留資格を与え、法的にきちんと認める……というものであれば、今の外国人労働者の総数は変化しないために雇用環境に影響ない。しかし、外国人労働者の総数が増えるのであれば、結果として日本人労働者の賃金を下げることにつながるだろう」と分析しています。
 日本経済の現状は、企業がため込んだ内部留保を吐き出して、労働者の給与や待遇を改善するのが先であるのに、逆に外国人労働者の総数が増えることで、日本人労働者の賃金が下がることになれば、アベノミクスの成果が失われることになります。

 高橋氏は、それ以外の課題として、「在留者やその家族の国民健康保険などの適用においても、これまで不適切な使用が何度も指摘されてきたので、しっかりと管理する必要性を論じるべきだ」と主張しています。「世界に誇れる日本の皆保険制度に、3カ月以上の滞在で加入できるというのは、外国人への義務付けというよりは「特権」であろう」とし、実際、この仕組みを悪用する例が後を絶ちません。「この問題については今からでも遅くないので、是非、今国会で取り上げるべきだ。せめて、改正前の「1年の在留資格」に戻すべきである。これは省令改正でもいいが、今後のために法改正で行うほうがいいだろう」と高橋氏は提案しています。
 そして「今のままでの入管法改正はあまりに杜撰すぎるので、受け入れ上限や既存制度のスクラップなど、相当な修正が必要である」と指摘しています。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58527

 わが国は、ヨーロッパ諸国のような移民政策の大失敗を侵してはなりません。外国人の労働力に頼る国は、一時的には経済成長を維持できても、やがて国民の分断と社会の混乱を生じます。そうなってしまってからやり直すことは、もはや不可能です。私は、拙速・杜撰な入管法改正に強く反対します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――
2018.11.19
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58527
誰も指摘しないのが不可解すぎる、入管法改正の「シンプルな大問題」
拙速な動きにため息連発

橋 洋一
経済学者
嘉悦大学教授

拙速、あまりに拙速
 前回の本コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58424)で、現在国会で審議されている入管法改正の問題点として、賃金上昇しはじめているアベノミクスの成果を台無しにする可能性について指摘した。今週は、その議論をさらに深めたい。その上で、日本の入国管理の問題点を指摘したい。
 なにしろ、今回の改正案は拙速な政府内検討を経て出されたシロモノだ。今年2月20日、経済財政諮問会議で検討されはじめたばかり。この種の法改正を行う場合、通常は1〜2年を掛けて検討されるが、今回の入管法は、検討されてからわずか4カ月後の6月15日に、「2018骨太方針」としてその全体像が発表された「超スピード改正案」なのである。
 しかも、外国人受け入れの対策や問題点について、専門家が十分に検討した形跡がない。実務を行った外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会のメンバーは官僚ばかり(http://www.moj.go.jp/content/001268548.pdf)。これでは現実に即した議論などなされるはずがなく、相当不味い。
 その拙速さは、今国会審議で法務省の出したデータに誤りが見つかったことにも表れている(https://www.asahi.com/articles/ASLCJ55GRLCJUTFK00Z.html)。こういうケアレスミスが出て来ると、国会審議に大きく響いてくるので、政府としては痛いところだ。
 また、今年2月にキックオフしたときに出された内閣府のペーパーは、お粗末なものだった。少子化で生産年齢人口が減少していることを「人手不足」として、それゆえに外国人労働者を受け入れなければならない、としている(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0220/shiryo_04.pdf)。
 前回の本コラムでは、少子化は民主党政権下でも同じ状況だったので、少子化で人手不足は誤りだ、と指摘した。つまり、安倍政権になってから進められた異次元金融緩和によって雇用が生まれ、それ故に人手不足になったのであり、決して「少子化だから人手不足」ではないのだ。
(なお、筆者は人口減少・少子化は、日本にそれほど負の影響を与える問題ではないと考えている。興味のある人は、筆者の近著『未来年表 人口減少危機論のウソ』を参考してもらいたい。)

「人手不足」の解釈の誤り
 さて、筆者の指摘をよりよく理解してもらうために、今の雇用環境を確認しておこう。安倍政権下で進められた異次元金融緩和によって、実質金利が相当程度低下し、為替安、株高をもたらし、同時に実質金利低下が継続して、人やモノへの投資も徐々に増加していることは周知のとおり。
特に雇用環境の改善は顕著だ。民主党政権下では減少傾向であった就業者数は、安倍政権以降は反転・増加傾向に転じ、6300万人から6600万人へと300万人程度も増加している。失業率もほぼ下限近辺ともいえる2.5%程度まで低下している。
 このため、名目賃金は上昇傾向にある。実質賃金についても、当初は名目賃金の上昇が物価上昇より遅れるために低下したが、最近では底を打ち反転・上昇傾向に転じている。
さて、今回の入管法改正案がその良好な雇用環境へどのように影響をもたらすのか。それを論じることが今回の主題であり、一番の問題だ。
 現在の日本にも一定数の「外国人労働者」がいる。安倍政権になってから、「外国人労働者」の数は70万人から130万人へと60万人も増加した。130万人の内訳で、雇用環境に影響を与えるといわれるのは、留学生アルバイト30万人と技能実習生25万人であるが、これらは安倍政権でそれぞれ20万人、10万人程度増加した。
 政府がまとめた「たたき台」では、2019年度から5年間で130万〜135万人の労働者が不足するため、約26万〜34万人の外国人労働者の受け入れを見込み、来年度は約60万人の人手不足に対して、最大約4.7万人の受け入れを想定するという。
 ここまでが前提だ。

まずはお金を吐き出すのが
 さて、これまでの外国人労働力の受け入れ数は、上に述べたとおり130万人であるが、それが賃金に対してどのように影響してきたのかを調べてみよう。
 下図は、外国人労働者の浸透度と賃金変化を示したものだ。はじめのものは、アベノミクスが実施された当初のものであり、2枚目は、アベノミクスの全期間である。
各産業で、アベノミクス当初と全期間でどのような変化が起こっているかについて、上の2図を合わせてみよう。

 多くの産業では、今のところ、変化を示す線は横ばいで、大きな賃金低下にはなっていない。しかし、いくつかの業種(複合サービス、不動産・賃貸業、サービス業など)では、右下がりになっており、外国人労働者の浸透と賃金低下が見られる。総じて、右下がり気味なので、今後の動向が気がかりである。
 今回の入管法改正は、人手不足を理由とする産業界からの要請で動いている。筆者は、人手不足はマクロ経済にはいいことであり、この際企業がため込んだ内部留保を吐き出して、給与や待遇を改善するのが先であると考えている。最近では、企業収益が好調であるにもかかわらず、労働分配率は低い。ここ5年間で労働分配率は5%程度低下しているので、今度は労働者が取り戻す番なのだ。
 この観点からみれば、基本的には外国人労働者を新たに受け入れずに、今まで受け入れてきた留学生アルバイトと技能実習生にきちんとした在留資格を与えて、その後はきっちりと彼らの在留資格などについて管理するというスタンスが望ましい。
 例えば、先進国の就学ビザでは原則労働禁止であるが、日本では1週間で28時間以内は可能とか、抜け穴の度が過ぎる。先進国のビザは、就労条件について厳格に定められており、その点日本のビザでは曖昧であることが問題だ。この際、入管法改正によって、先進国並みの在留資格を定めたうえで就労条件を明記することが必要であろう。また、労働者でありながら事実上労働基準法を適用しない「技能実習生」の概念は、そもそも理解しにくいので、これについても議論した方がいい。
 今回の入管法改正で、来2019年度から5年間で最大で34万人を受け入れるというが、そうなると、留学生アルバイトや技能実習生はどうなるのか。
 今回の入管法改正案が、これらの留学生アルバイトや技能実習生に新たな在留資格を与え、法的にきちんと認める……というものであれば、今の外国人労働者の総数は変化しないために雇用環境に影響ない。しかし、外国人労働者の総数が増えるのであれば、結果として日本人労働者の賃金を下げることにつながるだろう。

他の「先進国」と比べても…
 さて、そのことと同時に、在留者やその家族の国民健康保険などの適用においても、これまで不適切な使用が何度も指摘されてきたので、しっかりと管理する必要性を論じるべきだ。
 まず、日本の仕組みを簡単に述べておきたい。民主党政権下の2012年7月、外国人登録制度が廃止された。それに伴い、3カ月を超えて在留する外国人は、国民健康保険に加入することとなった(それまでは在留資格1年未満では国民健康保険に加入できなかった)。
 外国人登録制度を廃止し、在留カードをもとに住民基本台帳で管理するのは理解できるとしても、3ヵ月在留資格により国民健康保険に加入できるのがよいかどうかについては、議論があるだろう。
 この点について、海外ではどうなっているのか。日本と同様、国民皆保険制度を敷いているイギリスでは、6ヵ月以上の長期滞在者へのビザ発行の際、一定の医療保険料を支払うことでカバーされるシステムになっている。
 同じく皆保険のオーストラリアは、オーストラリアへの相互健康保険国(英国、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、イタリア、ベルギー、アイルランドなど)からの訪問者のほか、永住権を保持している人がメディケアの対象となり、「在留資格」では保険対象外となるらしい。
 しばしば社会保障の優等生といわれるスウェーデンも皆保険であるが、滞在が1年以上で、住民登録すれば医療保険制度への加入が可能となるが、1年未満ではできない。
 アメリカは皆保険でないが、留学生などでは事実上民間保険に加入することがビザの要件になっている。留学生の場合、他の国でも民間保険の加入を事実上義務付けている国は多い。お隣の中国でも、アメリカと同様な事情である。

直すべきところがたくさん
 こうしてみると、世界に誇れる日本の皆保険制度に、3カ月以上の滞在で加入できるというのは、外国人への義務付けというよりは「特権」であろう(議論を進めるために、少し説明を簡略化している。細かい点については各自で調べてほしい)。
 実際、この仕組みを悪用する例が後を絶たない。その悪用例は、2012年の民主党時代からさっそく目立ち始めたが、2014年7月、芸能人のローラの父親が国民健康保険の海外療養費請求詐欺で逮捕されたのには驚いた。在日外国人ではよくある話だというが、これを現場レベルで取り締まるのは困難である。
 しかも、2012年にわずか3ヵ月での在留資格によって国民健康保険に加入できるようにされたのは、法改正によってではなく、民主党の小宮山洋子・厚労大臣(当時)下の厚労省省令改正によってである。
 この省令改正措置に対して、パブリックコメントとして、「外国人の国保加入資格を、現行のまま在留期間1年とすべき」という意見もでた。それに対する厚生労働省担当課の見解は、住民基本台帳法の改正により、3ヵ月を超えて在留する外国人は住民となる……という形式面だけで「国民健康保険の対象になる」と判断している。これは政策的に稚拙であると言わざるをえない。
 この問題については今からでも遅くないので、是非、今国会で取り上げるべきだ。せめて、改正前の「1年の在留資格」に戻すべきである。これは省令改正でもいいが、今後のために法改正で行うほうがいいだろう。さらに、法改正であれば、オーストラリアのように「相互主義」に基づくものにするのも一案である。
 たとえば日本人が中国に留学する時には、中国の保険に加入させるよう政府からの通達が出ているという。これは、アメリカと同じ方法であるので、日本でも中国からの留学生については同じように、日本の保険に加入させることを条件としてもいい。
 なお、中国への日本人の留学生は、中国で医療を受け医療費を支払った後に、国民健康保険の海外療養費請求を行い、日本の役所からその一定割合を還付するという方法もある。
 これについて相互主義に基づいて、中国人の日本への留学生については、日本で医療を受けた場合、まず日本の医療機関に医療費を支払った後で、中国政府が中国人に還付するという方法でもいい。
 いずれにしても、適切な外国人労働者の管理のために入管法改正を行うというのであれば、それはいい方向への改正であるが、今のままでの入管法改正はあまりに杜撰すぎるので、受け入れ上限や既存制度のスクラップなど、相当な修正が必要であることは繰り返し指摘しておきたい。
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/0d3a59ce85cd47e7207c1f2b9f1f164b


 


誰も指摘しないのが不可解すぎる、入管法改正の「シンプルな大問題」
拙速な動きにため息連発…

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拙速、あまりに拙速
前回の本コラム(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58424)で、現在国会で審議されている入管法改正の問題点として、賃金上昇しはじめているアベノミクスの成果を台無しにする可能性について指摘した。今週は、その議論をさらに深めたい。その上で、日本の入国管理の問題点を指摘したい。
なにしろ、今回の改正案は拙速な政府内検討を経て出されたシロモノだ。今年2月20日、経済財政諮問会議で検討されはじめたばかり。この種の法改正を行う場合、通常は1〜2年を掛けて検討されるが、今回の入管法は、検討されてからわずか4カ月後の6月15日に、「2018骨太方針」としてその全体像が発表された「超スピード改正案」なのである。
しかも、外国人受け入れの対策や問題点について、専門家が十分に検討した形跡がない。実務を行った外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策検討会のメンバーは官僚ばかり(http://www.moj.go.jp/content/001268548.pdf)。これでは現実に即した議論などなされるはずがなく、相当不味い。
その拙速さは、今国会審議で法務省の出したデータに誤りが見つかったことにも表れている(https://www.asahi.com/articles/ASLCJ55GRLCJUTFK00Z.html)。こういうケアレスミスが出て来ると、国会審議に大きく響いてくるので、政府としては痛いところだ。
また、今年2月にキックオフしたときに出された内閣府のペーパーは、お粗末なものだった。少子化で生産年齢人口が減少していることを「人手不足」として、それゆえに外国人労働者を受け入れなければならない、としている(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0220/shiryo_04.pdf)。
前回の本コラムでは、少子化は民主党政権下でも同じ状況だったので、少子化で人手不足は誤りだ、と指摘した。つまり、安倍政権になってから進められた異次元金融緩和によって雇用が生まれ、それ故に人手不足になったのであり、決して「少子化だから人手不足」ではないのだ。
(なお、筆者は人口減少・少子化は、日本にそれほど負の影響を与える問題ではないと考えている。興味のある人は、筆者の近著『未来年表 人口減少危機論のウソ』を参考してもらいたい。)
「人手不足」の解釈の誤り
さて、筆者の指摘をよりよく理解してもらうために、今の雇用環境を確認しておこう。安倍政権下で進められた異次元金融緩和によって、実質金利が相当程度低下し、為替安、株高をもたらし、同時に実質金利低下が継続して、人やモノへの投資も徐々に増加していることは周知のとおり。
特に雇用環境の改善は顕著だ。民主党政権下では減少傾向であった就業者数は、安倍政権以降は反転・増加傾向に転じ、6300万人から6600万人へと300万人程度も増加している。失業率もほぼ下限近辺ともいえる2.5%程度まで低下している。

このため、名目賃金は上昇傾向にある。実質賃金についても、当初は名目賃金の上昇が物価上昇より遅れるために低下したが、最近では底を打ち反転・上昇傾向に転じている。

さて、今回の入管法改正案がその良好な雇用環境へどのように影響をもたらすのか。それを論じることが今回の主題であり、一番の問題だ。
現在の日本にも一定数の「外国人労働者」がいる。安倍政権になってから、「外国人労働者」の数は70万人から130万人へと60万人も増加した。130万人の内訳で、雇用環境に影響を与えるといわれるのは、留学生アルバイト30万人と技能実習生25万人であるが、これらは安倍政権でそれぞれ20万人、10万人程度増加した。
政府がまとめた「たたき台」では、2019年度から5年間で130万〜135万人の労働者が不足するため、約26万〜34万人の外国人労働者の受け入れを見込み、来年度は約60万人の人手不足に対して、最大約4.7万人の受け入れを想定するという。
ここまでが前提だ。
まずはお金を吐き出すのが
さて、これまでの外国人労働力の受け入れ数は、上に述べたとおり130万人であるが、それが賃金に対してどのように影響してきたのかを調べてみよう。
下図は、外国人労働者の浸透度と賃金変化を示したものだ。はじめのものは、アベノミクスが実施された当初のものであり、2枚目は、アベノミクスの全期間である。

https://gendai.ismedia.jp/mwimgs/e/c/-/img_ec374f3c79f2eabfbff2b8953b5f4b5b107804.jpg

https://gendai.ismedia.jp/mwimgs/2/3/-/img_23867aa748716741ba333284a20afa8a106463.jpg
各産業で、アベノミクス当初と全期間でどのような変化が起こっているかについて、上の2図を合わせてみよう。

https://gendai.ismedia.jp/mwimgs/f/4/-/img_f4ca8f373032306ddffa07f2ddc9ba19125955.jpg
多くの産業では、今のところ、変化を示す線は横ばいで、大きな賃金低下にはなっていない。しかし、いくつかの業種(複合サービス、不動産・賃貸業、サービス業など)では、右下がりになっており、外国人労働者の浸透と賃金低下が見られる。総じて、右下がり気味なので、今後の動向が気がかりである。
今回の入管法改正は、人手不足を理由とする産業界からの要請で動いている。筆者は、人手不足はマクロ経済にはいいことであり、この際企業がため込んだ内部留保を吐き出して、給与や待遇を改善するのが先であると考えている。最近では、企業収益が好調であるにもかかわらず、労働分配率は低い。ここ5年間で労働分配率は5%程度低下しているので、今度は労働者が取り戻す番なのだ。
この観点からみれば、基本的には外国人労働者を新たに受け入れずに、今まで受け入れてきた留学生アルバイトと技能実習生にきちんとした在留資格を与えて、その後はきっちりと彼らの在留資格などについて管理するというスタンスが望ましい。
例えば、先進国の就学ビザでは原則労働禁止であるが、日本では1週間で28時間以内は可能とか、抜け穴の度が過ぎる。先進国のビザは、就労条件について厳格に定められており、その点日本のビザでは曖昧であることが問題だ。この際、入管法改正によって、先進国並みの在留資格を定めたうえで就労条件を明記することが必要であろう。また、労働者でありながら事実上労働基準法を適用しない「技能実習生」の概念は、そもそも理解しにくいので、これについても議論した方がいい。

今回の入管法改正で、来2019年度から5年間で最大で34万人を受け入れるというが、そうなると、留学生アルバイトや技能実習生はどうなるのか。
今回の入管法改正案が、これらの留学生アルバイトや技能実習生に新たな在留資格を与え、法的にきちんと認める……というものであれば、今の外国人労働者の総数は変化しないために雇用環境に影響ない。しかし、外国人労働者の総数が増えるのであれば、結果として日本人労働者の賃金を下げることにつながるだろう。
他の「先進国」と比べても…
さて、そのことと同時に、在留者やその家族の国民健康保険などの適用においても、これまで不適切な使用が何度も指摘されてきたので、しっかりと管理する必要性を論じるべきだ。
まず、日本の仕組みを簡単に述べておきたい。民主党政権下の2012年7月、外国人登録制度が廃止された。それに伴い、3カ月を超えて在留する外国人は、国民健康保険に加入することとなった(それまでは在留資格1年未満では国民健康保険に加入できなかった)。
外国人登録制度を廃止し、在留カードをもとに住民基本台帳で管理するのは理解できるとしても、3ヵ月在留資格により国民健康保険に加入できるのがよいかどうかについては、議論があるだろう。
この点について、海外ではどうなっているのか。日本と同様、国民皆保険制度を敷いているイギリスでは、6ヵ月以上の長期滞在者へのビザ発行の際、一定の医療保険料を支払うことでカバーされるシステムになっている。
同じく皆保険のオーストラリアは、オーストラリアへの相互健康保険国(英国、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、イタリア、ベルギー、アイルランドなど)からの訪問者のほか、永住権を保持している人がメディケアの対象となり、「在留資格」では保険対象外となるらしい。
しばしば社会保障の優等生といわれるスウェーデンも皆保険であるが、滞在が1年以上で、住民登録すれば医療保険制度への加入が可能となるが、1年未満ではできない。
アメリカは皆保険でないが、留学生などでは事実上民間保険に加入することがビザの要件になっている。留学生の場合、他の国でも民間保険の加入を事実上義務付けている国は多い。お隣の中国でも、アメリカと同様な事情である。
直すべきところがたくさん
こうしてみると、世界に誇れる日本の皆保険制度に、3カ月以上の滞在で加入できるというのは、外国人への義務付けというよりは「特権」であろう(議論を進めるために、少し説明を簡略化している。細かい点については各自で調べてほしい)。
実際、この仕組みを悪用する例が後を絶たない。その悪用例は、2012年の民主党時代からさっそく目立ち始めたが、2014年7月、芸能人のローラの父親が国民健康保険の海外療養費請求詐欺で逮捕されたのには驚いた。在日外国人ではよくある話だというが、これを現場レベルで取り締まるのは困難である。
しかも、2012年にわずか3ヵ月での在留資格によって国民健康保険に加入できるようにされたのは、法改正によってではなく、民主党の小宮山洋子・厚労大臣(当時)下の厚労省省令改正によってである。
この省令改正措置に対して、パブリックコメントとして、「外国人の国保加入資格を、現行のまま在留期間1年とすべき」という意見もでた。それに対する厚生労働省担当課の見解は、住民基本台帳法の改正により、3ヵ月を超えて在留する外国人は住民となる……という形式面だけで「国民健康保険の対象になる」と判断している。これは政策的に稚拙であると言わざるをえない。
この問題については今からでも遅くないので、是非、今国会で取り上げるべきだ。せめて、改正前の「1年の在留資格」に戻すべきである。これは省令改正でもいいが、今後のために法改正で行うほうがいいだろう。さらに、法改正であれば、オーストラリアのように「相互主義」に基づくものにするのも一案である。
たとえば日本人が中国に留学する時には、中国の保険に加入させるよう政府からの通達が出ているという。これは、アメリカと同じ方法であるので、日本でも中国からの留学生については同じように、日本の保険に加入させることを条件としてもいい。
なお、中国への日本人の留学生は、中国で医療を受け医療費を支払った後に、国民健康保険の海外療養費請求を行い、日本の役所からその一定割合を還付するという方法もある。
これについて相互主義に基づいて、中国人の日本への留学生については、日本で医療を受けた場合、まず日本の医療機関に医療費を支払った後で、中国政府が中国人に還付するという方法でもいい。
いずれにしても、適切な外国人労働者の管理のために入管法改正を行うというのであれば、それはいい方向への改正であるが、今のままでの入管法改正はあまりに杜撰すぎるので、受け入れ上限や既存制度のスクラップなど、相当な修正が必要であることは繰り返し指摘しておきたい。

www.amazon.co.jp/未来年表-人口減少危機論のウソ-扶桑社新書-高橋-洋一



ぺぺ

ベスト50レビュアー
5つ星のうち5.0【新刊・重要】「人口減少≒労働力減少が起こっても、外国人労働者は要らない」等、「人口減少=日本の危機問題」に、著者が論理的に反証してくれる有益な1冊です
2018年11月4日
形式: 新書Amazonで購入
ベストセラーになった「未来の年表」を中心に、「少子高齢化で人口減少時代に突入すると、日本が危機を迎える」という論評に、著者が、論理的に半焼した一冊です
まず、「人口減少=危機」を煽っているのは、地方自治体の合併でポストが減る地方公務員だと看破した上で、今、注目の「外国人労働力≒移民」等に触れています
ここでは、皆さんが、とりわけ関心のある3テーマについてレビューしたいと思います

〇人口が減少すると、国力≒経済が崩壊する
・国力を「GDP」で捉えると、「GDP=みんなの平均給与×総人口」と計算できるので、確かに、GDPは減少する
・但し、世界に目を向けると、人口が増える国は、インドをはじめ、多くあり、海外市場に進出すればよい
・また、人口減少の局面では、「人口オーナス」といって、一人あたりGDPは押し下げられるが、これらは、「女性や高齢者の積極的登用」、「AIによる生産性向上」で回避ができる

〇人口減少に伴う労働力不足を補うために、外国人労働者を受け入れよう
・今、空前の人手不足が起こっているのは確かであるが、ブルーカラーも、そのうちAI化されてくるはずであり、労働力という観点では、最終的に外国人は不要になってくる
・逆に、外国人の雇用を増やすと、
ー日本人の雇用を圧迫するし、安い賃金で働くから、日本人の賃金水準も下がる
ー外国人の生活保護受給世帯が増えるという懸念がある
ー外国人が留学生として日本に入国し、日本の高額医療を受けて、母国に帰るという問題がある
ー文化摩擦や治安悪化(最悪はテロ)への懸念も強い
ー何より、外国人参政権により、外国人を日本の政治に組み込もうという意図がある
・要は、安価な労働力を手にしたい経済界とその走狗のマスコミが、外国人労働者受け入れを画策しているだけである

〇現役世代が減れば、年金制度は破綻する
・年金不安の根拠として、必ず持ち出されるのが、「65歳以上の高齢者1人を、15〜64歳の現役世代X人で支える」という理屈である
・内閣府の「高齢社会白書」によれば、2020年には2人、2040年には1.5人で1人で高齢者を支えることになる
・しかし、たとえ現役世代の人口がいくら増えたとしても、所得が増えなければ危機であることに変わりはない
・逆に言えば、所得さえ上がれば、十分に高齢者を支えることができる
・つまり、「人口×所得」の金額こそが大事なのだ
・それには、何よりも経済成長が重要になる
・確かに、昔は6〜7人で1人の高齢者を支えていたが、その頃の給料は今よりもずっと安かった
・そして、国力≒経済が大丈夫なのは、最初に見た通りである

いかがでしょうか
皆さんの不安の払拭に役立ったでしょうか

現在は、メディアの偏向報道で、国民が煽られ、政治的に間違った判断をする可能性もある時代です
そういうフェイクニュースに惑わされ、日本を間違った方向に進ませないためにも有益な1冊だと思います
しかし、フェイクニュースの根源の多くの場合、「既得権益を失いたくない公務員」であるのは困ったものです
そのためにも、元財務官僚で、「ねんきん定期便」等、様々な施策を実行された著者の本は有益だと思います
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waka

殿堂入りベスト50レビュアー
5つ星のうち5.0人口減少は日本社会に危機をもたらさない
2018年11月4日
形式: 新書Amazonで購入
私が中学生だった1973年頃、「これ以上、人口が増えたら、将来必ず、食糧難になる。子供はできるだけ産むな」と盛んに言われていた。「子供は2人まで。3人以上産むのは犯罪行為だ」とさえ言われた。しかし、この掛け声は1〜2年で終わってしまい、10年たたないうちに、今度は少子化が問題になったのである。
著者の高橋氏も「これまでの人類の歴史では、人口減少より人口増加の方が大問題だった。有名なものはマルサスの人口論で、人口は幾何級数的に増加するが、生活資源は算術級数的にしか増加しないので、人口増加は貧困をもたらすというものだ。最近の経済成長理論でも、人口増加は1人当たりの資本を減少させるので、貧困の原因とされている」と述べている。
人口減少が危機だと叫ぶ人たちは、主に地方公共団体の関係者だと、高橋氏は見ている。その地域の人口が減れば、行政規模の適正化のため、市町村の合併が進み、自治体の数が減る。そうなると、課長や係長といったポストも減り、将来的にリストラで職場そのものを失うかもしれない。そこで、地方役人は「地域に人口を増やそう」と主張する。これが人口危機論を主張する”世間”の正体だ」と高橋氏は言う。

人口減少によって起こる問題として挙げられることに「国力が低下する」というのがある。この国力を「国内総生産」(GDP)のことだとする。人口が減少すれば、GDP値は当然減るが、実生活面にはほとんど影響ない。人口の増減は経済活動に影響はないと、高橋氏は様々なデータを挙げて述べている。むしろ、世界全体で見ると、人口減少は1人当たりの実質GDPを増加させる傾向があるという。
また以前の政府の出生率推計は当たらなかったが、最新の2002年の推計は外れていない。人口減少は「想定内」であり、政府は人が減ることに危機感を抱いていないと述べている。

現役世代の人口が減れば年金制度は破綻すると主張する人がいるが、高橋氏はこれも否定する。年金は、数学や統計学を用いてリスクを評価する数理計算で破綻しないように、保険料と保険給付が同じになるように設計されている。国民年金、厚生年金、民間の個人年金は、いずれも「保険」であり、すべての国民に最低限の生活と社会的援助を提供する「福祉」とは本質的に違う。
年金は掛け捨ての部分が大きくなれば保障額が多くなり、小さければ少なくなる。つまり、現役世代の人口が減って保険料収入が少なくなろうが、平均寿命が延びて給付額が増えようが、社会環境に合わせて保険料と給付額を上下させれば破綻しない制度なのである。
また年金は「保険」であり、「社会福祉」ではないので、消費増税は必要ない。にも拘わらず、年金不安を煽ってミスリードする人々がいる。まず財務省であり、経済界であり、厚生労働省であり、マスコミなどである。
消費増税に関しては、民主党政権時代に財務省に支配された野田佳彦元首相が決めたことである。安倍首相は消費増税が景気に悪影響を与えることを理解していたが、安倍首相といえど、一度法律で決めたことをひっくり返すのは難しいのである。
現役世代の人口が減っても所得さえ上がれば、十分に高齢者を支えることができる。つまり「人口×所得」の金額こそが大事で、それには何よりも経済成長が重要になる。年金は人口政策ではなく、経済政策の問題なのである。
なお、「ねんきん定期便」を発案したのは、高橋氏だという。これは国からのレシートである。

労働力不足はAIで補えばよく、外国人労働力を受け入れる必要はない。政府は移民受け入れを拡大する方向に動いているように見えるが、本質は逆で、水際ではじくことを考えているはずだと、高橋氏は言う。移民を受け入れれば、必ず社会問題が起こるからである。マイナスの方が大きく、そんなリスクを冒す必要は全くない。出入国管理法を再整備し、移民法を制定する流れになっていくだろうと述べている。

人口減少は問題ではなく、財政危機の不安を煽ってミスリードする勢力の方が問題だとよく分かった。
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ベスト500レビュアー
5つ星のうち5.0ニュースには、必ず「まやかし」が混じっている。
2018年11月7日
形式: 新書Amazonで購入
年金等については、既に、著者出版のものもあるので、「移民問題」、「人口問題」に絞る。
移民問題は、ECを始め豊かな国で重要問題となっている。
例によってリベラルの責任を取らない「綺麗ごと」が発端であるので、各国で混乱が進行中である。
経団連は、国家的見地は頭になく単純な導入論である。瀕すれば鈍するである。
経済人の劣化は、高度成長期に較べれば別人種のようである。
メディアは、いつもその走狗となる。

世界の受入国は、北欧が多いが今、一番困っている。日本は、27位である。
スウェーデンは、その比率24%と高い。
受け入れ結果は、綺麗ごとでは済まないので、各国で受け入れ可否の議論が浮上してきている。そして、移民政策は、厳しくなってきている。
日本では、一周遅れの未だ、綺麗ごとの議論がなされているが、その前提に誤りが多い。
先ず、人工増減率と経済成長率は、無相関であることが解っている。
GDP減少は、生活及び経済活動に殆んど関係ない。
「デフレ人口原因論」ではなくて「デフレ金融政策原因論」である。
日本に於ける「人手不足」業種は、今後急速にAI化が進み補われていく。AIは、社会問題を引き起こさず管理も圧倒的に楽である。

移民を受け入れようと叫んでいる言論人は、無責任なええ恰好しや外国人を日本の政治に組み込もうとしている。そういう政党がある。
移民政策は、人口増加、経済成長、財源増加にあまり寄与しない。
方向として、出入国管理法を再整備し、移民法の制定の流れとなろう。
政府は、西欧諸国の混乱を知悉しているし、コントロールが必要であることも承知している。
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SMD

5つ星のうち5.0良作
2018年11月13日
形式: 新書Amazonで購入
なかなか新書としては良い一冊でした
(・∀・)
『未来年表 人口減少危機論のウソ』
○デフレに限らず、何でも人口減少のためと言っておけば、誰も傷つかないので、これはいい方便になる
○日本は人口減少が避けられないという前提で見ておけば、将来の人口動向を予想し、それに備えた様々な制度設計ができる
○子どもを育てるには、最低でも2900万円以上、場合によっては4800万円以上かかるから、経済的合理性だけで考える人は子どもを産むという選択はとらないはずだ
○子どもを産ませる政策と、生まれた後の子育て政策は全く別物
○国民の幸せ=人口の増加ではない
○世界全体でいえば、人口増加は不味いが、人口減少は不味くない
○全体の物価は個々の価格とは関係なく動いていく
○人口の増減はマクロ経済指標にはほとんど影響がない
○移民の労働場所はAIが奪っていくから、移民を無理して入れることはない
○国民年金、厚生年金、民間の個人年金は、いずれも正確に言えば「保険」であり、すべての国民に最低限の生活と社会的援助を提供する、いわゆる「福祉」とは本質的に違う
○消費税は応益税になるため、地方自治体の基礎的業務に使われるのが適している
○所得税は応能税になるため、国の業務に使われるのが適している
○国の責務は、あくまで金融緩和で完全失業率を下げて、市場全体のパイを大きくすること
○人口が減っても地方自治体以外の人間は誰も困らない
○地方が税率決定など自主課税権を持つ税財源がなければいけない
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上杉

5つ星のうち2.0この人がいるので儲けるチャンスが生まれる
2018年11月11日
形式: 新書
理路整然とアベノミクスと自民党を擁護する学者さん、元大蔵官僚。
このような人の論説が世の中を動かしている。素晴らしい。
しかし、この論理は長期的には破綻するだろう。今は良いが続かないので星2です。
欧州中銀にこの人の論理を主張したら、ギリシャ人ですかと聞かれそう。
昔、バブルに踊っていた時、高橋先生同様、まだ大丈夫という人が沢山いた。
逆に、外人は株を空売りし、破綻後に銀行や会社を安く買って大きく儲けた
今のバブル擁護論者である高橋先生の逆をやって儲けられる日が来るでしょう。
破綻が来る日まで、頑張って論陣を張ってほしい。私は逆張りして儲けたい。
反面教師として一読に値する。自分の知識が試される本。
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よーぴー

5つ星のうち1.0データ、効率、、じゃあ人間は???
2018年11月7日
形式: 新書
人口減少を危惧しているのは地方公務員である。彼らは合併が進むと職を失うからだ、と書かれていますが、それだけでしょうか。彼らにはその町や市のために働いてきた思い入れがあります。自分の町がなくなることがどれだけ大きなことか。地元であればなおさらでしょう。

自分にしたって、例えば母校がなくなることはとても大きな問題です。そこが自分が育った愛着のある母校であり、財産だからです。地元では人口減少により統廃合が進んでいます。

効率や市場原理ばかり気にする新自由主義の著者にはここらへんのことが分からないようです。
経済学は冷たい学問ですね。
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温泉大好き。

ベスト100レビュアー
5つ星のうち5.0日本人よ、情報選別能力を研ぎ澄ませ、メディアに蔓延る噓情報に振り廻されない見識を身に付けよ。
2018年11月6日
形式: 新書
 元大蔵(財務)官僚である著者が、十年一日の如く、古巣がマス・メディアと御用学者を手先に自らに都合のよい噓情報を撒き散らしている実態を、理路整然たる筆致で徹底的に暴いた一冊。『日経新聞にそう書いてあるのだから、間違っているはずがない。』という安易な思い込みが如何に危険であるかを、本書を通じ、多くの人に知っていただきたいものである。
 序章の冒頭に、「人口が減少すると日本は危機に陥る。」と不安を煽っているのは、人口が減ると地位を失う虞(おそれ)のある地方自治体関係者と、デフレの原因を人口減少に求めたがるコメンテーターだ、とあるものの、わたくしは、むしろ、「日本はこの先人口が減少するので、経済は先細りで、未来は明るくない。」という気分を人々に植え付け、「だから、消費税率を段階的に上げざるを得ないのだ。」と思い込ませようとする財務省(及びその手先)こそが張本人であると考えている。
 続く第1章では、人口の増減と経済成長との間にも、人口の増減と物価上昇率との間にも、何らの相関関係がないことが、データによって示されている。物価上昇率は、飽くまで通貨の供給量によって決まるのであり、人口が減ったところで、マクロの指標には何らの影響も生じないのである。たったこれだけのことを、一体今日どれほどの人が理解しているであろうか。
 第2章では、外国人労働者の安易な受け入れが深刻な社会問題を引き起こすことに警鐘が鳴らされている。わたくしは、昨今の新聞報道等で、安倍総理が、移民の受け入れを積極的に推進しようとしているような印象を受けており、これが安倍氏の本意ではなく、何らかのしがらみを断ち切れず、已むを得ずにそのような政策を実行しているのだろう、と推察しながらも、後で取り返しの付かない事態に陥らなければいいが、と気を揉んでいた。しかし、本書を読み、実は安倍氏は、移民を厳格に精査し、水際で排除する方向に進もうとしていることを知り、安心した。自称「リベラル」の主張に乗り、移民受け入れを拡大したヨーロッパが、今どんなことになっているかは、多くの日本人が直接間接に見聞きしているところである。日本は断じて同じ轍を踏んではならない。
 第3章では、著者が大蔵省時代から、厚生年金基金の問題点を指摘し、厚生省から睨まれた逸話が披露されている。蓋し、人々に将来への不安を煽りたい勢力は、この時の前例を念頭に、「このままでは将来年金を受け取れなくなる。」「少子高齢化で年金制度は破綻する。」と頻りに喧伝しているわけであろう。一般に、日本人は、猜疑心が乏しいために、『テレビ・新聞・雑誌で繰り返しそう言っているし、そのように書かれた本が出廻っているのだから、その通りなのだろう。』と何の疑いもなく受け入れる傾向が非常に強い。これからの日本人は、「世の中には、そんな日本人のお人よしに付け込んで悪巧みを仕掛けようと考える一派が存在するのだ。」という事実を見抜かなければならない。また、本章では、「消費税は『応益税』であり、年金保険料の穴埋めには所得税のような『応能税』が適しており、『社会保障費の増大に備え、消費税率を上げなければならない。』という財務省の主張はまやかしである。」と論破されている。
 第4章では、雇用政策におけるミクロとマクロの視点の混同がもたらす根本的な誤解が指摘されている。「デフレで物価が下がれば、出費が減って好都合だ。」という考えなどは、その典型と言えよう。人々が豊かさを実感できるためには、まず雇用を確保し、失業率を下げなければならない。そのためには、緩やかな経済成長によって緩やかな物価(価格ではない)の上昇が維持されなければならない。これによって、企業は雇用を増やし、設備投資を増やし、賃金が増え、企業業績が上向くという好循環が生まれるのである。
 第5章では、ふるさと納税を批判する総務省の筋違いが採り上げられるとともに、中央と地方の望ましい役割分担のあり方が提唱されている。
 これまでの著者の本へのレヴューにも何度か書いて来たことだが、著者は、頭脳明晰である一方で、何らかの成心から事実に反することを読者に吹き込むという狡賢いことは決してしない人である。自らの利益を図るために噓情報を垂れ流したい勢力にとっては、著者のようにそれを真正面から論駁し、正確な情報を突き付ける人ほど、邪魔で目障りな存在はないであろう。
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frederick0001

5つ星のうち2.0批判は整然としているが、、、
2018年12月8日
形式: 新書Amazonで購入
批判については理論・数値を交えながら根拠を多数並べて、なるほどなぁと思える本です。
しかし、解決・対応策については提示が少なくあまりにもざっくりしていて具体的な例示に欠けます。
「人口減少危機論のウソ」というタイトルなので「ウソ」であることを暴くことに主眼が置かれているのはそれは仕方ないことなのですが、、、。

宣伝文句である

だから、どうした?
人口が減ると、何か問題でも?

の一歩先を見た本かなと期待していただけに、
「ウソ」であることの根拠の羅列になっていて、ちょっと残念です。
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Mizurino

5つ星のうち5.0人口減少に対して必ずしも悲観的になる必要がないことを、豊富な図表から納得させてくれる一冊
2018年11月14日
形式: 新書
人口減少に関わる俗説に対して、データに基づく統計分析(クロス・セクション分析)により軽快に論破している。

例を挙げれば、
・先進国の人口増加率と1人当たりのGDP成長率に相関はない
・物価上昇率と人口増加率に相関はない。物価上昇率と相関があるのは通貨増減率。
・婚外子の割合と合計特殊出生率の間には相関あり(相関係数:0.5)

また、人口減少から派生して、将来の年金/社会保障制度、雇用、財政、地方分権にも触れている。さらに図表が合計47も掲載されており著者の主張の説得力を高めている。

感心した主張は以下のとおり。
・子供を産ませる政策と生まれた後の子育て政策は全く別物。p31
・年金は、当初は積立方式て運用されていた。しかし、インフレに弱いという理由で賦課方式が取り入れられた。賦課方式では100兆円に及ぶ巨額な積立金は不要。GPIF不要論。p.111
・日本は所得の捕捉率が他国に比べて低いため法人税率か下げられない。p.126
・民主党政権で失業率が低下した理由は、就業者数(分子)よりも労働力人口(分母)の減少の方が大きかったから。p.155
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男性・古代遺跡ファン

ベスト500レビュアー
5つ星のうち5.0人口減少を、危機と捉えるか、好機と捉えるか。
2018年11月26日
形式: 新書
日本が、人口減少し、少子高齢化社会になる事はほぼ間違いないので、後はそれをどう捉えるかだと思います。

一部メディアや、安倍政権の政策もそうかもしれませんが、日本社会全般に、これを危機と捉える悲観論の方が多い様に思います。それだけに著者の様な楽観論を主軸とした言説には価値がある様に感じました。

また、寧ろこれを好機と捉えた方が理に叶い、有効な政策が提言できるようにも思います。
確かに、人口減少は残念な事ではありますが、ことさらに危機感を煽り、外国人労働者を無理をしてでも入れ、支えさせるというのは筋違いかと思われます。

AI等も活用しながら、日本国民の利益を既存しない形での、新しい国家像を作るべきだと思います。
だからこそ、メディアも危機感ばかり煽るなと言いたい。

個人的に思うのですが、企業の労働力不足が深刻なら、本書でも触れられている様に、人口増が見込まれる第三世界に委ねればいいし、国内の、例えば接客業なんかも、もっとセルフサービスで済ませても良いと思います。

実際、ガソリンスタンドとか、そういうシステムの場所増えてますよね。
そういうやり方でも、全然補えると思います。
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https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58527

 


入管難民法改正案〜「外国人労働者が増えれば賃金は上がらない」という事実
2018/11/28 11:40
政治・経済

ライフ
番組名
飯田浩司のOK! Cozy up!
タグ
飯田浩司
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」11月28日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。入管難民法改正案について解説した。


入管難民法改正案が衆議院を通過

外国人労働者の受け入れ拡大に向けた入管難民法改正案は昨日の夜、衆院本会議で採決が行われ、賛成多数で可決、参議院に送られた。与党側は本日28日の参院本会議で法案の審議に入りたい考えだ。

飯田)国会で焦点となっていた重要法案と言われておりますが、リスナーの方からもご意見を頂いています。こちら“タリー”さん、「国会で議論されるときに想定されている外国人労働者の姿と、実際に外国人労働者を雇いたい業者と、この制度に反対する勢力とで想定している外国人労働者像が違い過ぎるのではないでしょうか。この溝を埋めないままでは議論が進むはずは無い、拙速と言われても仕方がない」と頂きました。

高橋)拙速というのは間違い無いでしょうね。もともと諮問会議でやり始めたのが今年の2月か3月、そういうレベルでしょう。普通の感覚からしたら1年違うという感じはします。

飯田)1年早い。

高橋)普通は1年間くらい、いろいろな審議会でよく揉んでからです。諮問会議はほとんど議論できないから、もっと違うところで揉んでやるというのが普通ですけれどね。その外形的なところを見ても、役人の印象で見ても早くやっているなと、答弁もきちんとできていないという印象がありますね。中身自体も労働者を入れたら賃金が上がらなくなります。「賃金が上がらなくなってまでやるのか」という議論はありますよね。


外国人労働者が増えれば賃金は上がらない

飯田)ここに関しては賃金が上がらないのではないか、むしろ下押しになるのではないかという話は、よく答弁でも突っ込まれていましたけれども。

高橋)それはそうでしょう。

飯田)「基本的にそんなことはない、待遇は一律にするのだ」という話をしています。

高橋)一律と言ったって、業界の方は安い労働力が欲しいからという理由でやっているだけですから。

飯田)結局、表では言わないけれどそういうことですよね。

高橋)それはそうですよ。人数が増えれば必ずそうなりますし。私はいろいろな分析をしているのですけれど、業種ごとに外国人の浸透度というものがあって、賃金の上りの度合いを見ると、やっぱり浸透度の大きい方が上がらないのですよ。いままでも100万人以上受け入れて来て、賃金が上がらないというのは事実なのです。外国人が増えれば増える程上がらなくなるということは、データとして明らかに出ていますから。


長距離輸送〜自動運転が今後カギとなる

飯田)その賃金についてです。53歳トラックドライバーの“ひで爺”さん、「他の業界の人手不足というのはよく分からないですが、我々運送業界に至っては、どこの会社もドライバー不足。特に若者の様子は見込めないのが現状です。最大の原因は低賃金にあります。ドライバーの賃金を上げるには運賃の値上げなしにはあり得ません」と。30歳から大型のドライバーをされているそうですが、「3回賃金がダウンして20年間ボーナスをもらっていません。そんな業界に若者は来ませんよ」と頂きました。

高橋)そうですね。このような大変な業界は、できれば自動運転にするということです。高速でしたらいまでも自動運転できます。高速の長距離のところはみんな自動運転になって、最後ターミナルの後だけ人間となる確率は高いのではないですか。

飯田)なるほど。長距離輸送はそちらにシフトして行かざるを得ないということですね。

高橋)少なくとも高速は自動運転にできますから。

飯田)運賃の適正化ですが、一時期各社値上げというものがありましたが、最近はあまり聞かなくなってしまいましたね。

高橋)そうですね。どうしたのですかね。

飯田)市場原理で行くと、値下げ圧力みたいなものもあるのでしょうけれど、現場のコストを積み上げて行ったら、「これではとてもやれない」ということがいくらでもあるということですか?

高橋)そのときに自動化とか、そういうものがカギになるのですよね。これは業界によって対応がさまざまですが、基本はやはり総枠の外国人労働者を抑えるくらいのことをしないと、実は上手く回らないと思うのですけれどね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00
http://www.1242.com/lf/articles/143113/?cat=politics_economy,life&pg=cozy  

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1. 2018年12月12日 01:46:42 : C2i4eDKWA6 : LkymBlZY1Dk[508] 報告
治安対策では問題なさそうですが?

 ↓

【AI】万引き犯をAIが検出 防犯カメラの映像解析で逮捕

2018/12/12(水) 01:24:31.30ID:CAP_USER

AI=人工知能を使った新しい動きです。万引きをした人物の特徴を学習したAIを活用して、横浜市内のコンビニエンスストアの防犯カメラの映像、3000時間分を解析した結果、不審な動きをする男の姿が検出され、逮捕につながったことがわかりました。映像を解析した会社は万引きの被害を防ぐ新たな対策として期待できるとしています。

警察などによりますと今月6日、横浜市内のコンビニエンスストアで帽子を万引きしたとして80歳の男が逮捕されました。

この店では、半年間で100万円以上の被害が出るなど、相次ぐ万引きに困っていたということで、都内の映像解析会社と提携し、万引きをした人物の特徴を学習したAI=人工知能を活用して店の6台の防犯カメラの映像、3000時間分を解析しました。

AIは、陳列棚から取った商品をそのままかばんに入れたり、レジを通らずに商品を外に持ち出したりした場面を抽出するようプログラムされています。また、歩幅や関節の動きなど100以上のポイントから同じ人物かどうかも判別できるということです。

解析の結果、事件の前に店を訪れた男の不審な動きが検出され、警戒していた店員が帽子を隠し持って店を出た男に声をかけ、逮捕したということです。捜査関係者によりますと、AIを使った防犯カメラの映像の解析が万引きをした人物の逮捕につながったケースは、極めて珍しいということです。

映像解析会社の田中遼社長は「防犯カメラを常に監視することは人手の問題もあり難しい。AIを活用することで容疑者の特徴や行動を把握し、万引きの被害を未然に防ぐ対策が取れるようになるので期待できる」と話しています。

h ttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20181211/k10011743361000.html

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