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<間違いだらけのAI論>AIはなぜ経済成長をもたらしていないのか?(ニューズウィーク)
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/889.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 12 月 12 日 18:30:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

【間違いだらけのAI論】AIはなぜ経済成長をもたらしていないのか?
https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2018/12/aiai.php
2018年12月11日(火)20時05分 エドゥアルド・カンパネラ(スペインIE大学フェロー) ニューズウィーク


AIが進化しても庶民がその経済的恩恵にあずかれるのは当分先だ(ニューヨークでの賃上げデモ) ERIK MCGREGOR-LIGHTROCKET/GETTY IMAGES


<現在のAI論は間違いだらけ。私たちの生活はAIでますます便利になるというが、なぜ先進諸国の生産性は低迷しているのか。人工知能の進化が経済成長をもたらす日はいつ来るのか>


※12月18日号(12月11日発売)は「間違いだらけのAI論」特集。AI信奉者が陥るソロー・パラドックスの罠とは何か。私たちは過大評価と盲信で人工知能の「爆発点」を見失っていないか。「期待」と「現実」の間にミスマッチはないか。来るべきAI格差社会を生き残るための知恵をレポートする。
(この記事は本誌「間違いだらけのAI論」特集より転載)

IBMのスーパーコンピューター「ディープブルー」がチェスの世界王者ガルリ・カスパロフを打ち負かしたのは1997年5月のこと。あれは人工知能(AI)技術の開発における歴史的瞬間だった。以来21年、今では携帯電話や車、冷蔵庫やテレビにまでAIが組み込まれている。

しかし私たちは、機械が賢くなったことの経済的な恩恵をほとんど実感できていない。先進諸国の生産性向上ペースは過去半世紀で最低の水準にあるし、各国のGDPや生活水準は何年も前から停滞気味だ。

この状況はある疑問を引き起こす。過去の技術革新は生産性を向上させ、ひいては経済成長や生活水準の大幅な向上をもたらした。例えば20世紀のアメリカでは、電気の普及が労働生産性に年率4%の成長をもたらした(今の成長率の4倍近い水準だ)。なのになぜ、いま先進諸国では生産性が伸び悩んでいるのか。この疑問に対しては2つの答え方がある。

1つは「今日のテクノロジーに問題あり」とする技術悲観論で、1870〜1970年の経済成長を牽引した6つの革新(電気、公衆衛生、化学、製薬、内燃機関、通信)が秘めていた変革力は、例えばAIスピーカーなどと比べて格段に大きかったと考える。

もう1つは技術楽観論で、クラウドコンピューティングやビッグデータ、IoT(モノのインターネット)といった技術には真の変革を起こす力があり、既に世界中の企業や消費者がその恩恵を受けていると考える。それでも人が恩恵を実感できないのは、現在の経済統計にはそれが反映されていないからだとされる。

GDPの概念は1930年代、主に有形財の生産が中心だった経済の評価基準として築かれた。だが今では無形財やサービスが経済に占める割合が大きくなっている。GDPが無形財を適切に評価していれば、生産性の伸び率はもっと高くなるはずだと、楽観論者たちは指摘する。

どちらの主張にも一理ある。確かに電気は仕事や家庭生活に、グーグル・ホームよりも大きな変化をもたらした。一方で、GDPがグーグルやフェイスブックのように人々の生活を豊かにする無料オンラインサービスの効果を計算に入れていないのも事実だ。

■数字に表れるまでに四半世紀

だが生産性低迷の謎には、もっと明快な(そして楽観論と悲観論の折り合いをつける)答えがあるのかもしれない。AI革命は「まだ本当に始まってはいない」から国の経済統計に反映されないという考え方だ。

実際、一般企業が新たなテクノロジーをうまく活用できるようになるまでには長い時間がかかると、経済学者のエリック・ブリニョルフソンやチャド・シバーソンは指摘している。

彼らが全米経済研究所に掲載した論文で指摘したように、いわゆる汎用技術にはこれが当てはまる。新たなテクノロジーや補完的な革新(有形・無形を問わず)は十分に蓄積されて初めて、それが数字に表れるもので、通常それには少なくとも四半世紀かかる。

そして経済学者のボヤン・ヨバノビッチやピーター・ルソーが指摘するように、汎用技術の革新は普及した後も継続的に改善され、さらなる革新を生み出す。こうした革新が19世紀以降の経済革命を駆り立ててきた。

1790年代から1820年代にかけての産業革命の「第1波」の推進力となったのは蒸気機関だ。1890年代から1930年代までの「第2波」を促したのは電気だった。

そして1970年代に始まり「第3波」をもたらしたのがIT(情報技術)であり、インターネットの普及を経て、現在の「第4波」につながった。この第4次産業革命の主な推進力こそがAIだ。それはロボットを賢くし、ビッグデータの利用を可能にし、どんな製品もカスタマイズでき、どんなに精密な製造工程も監督できる。

その名のとおり、汎用技術の使い道はいくらでもある。だから、その本格的な導入には長い時間がかかる。例えば、製造業における動力源としての電気が蒸気機関を超えるには20年以上かかったし、家庭にまで普及するには40年近くかかった。

当然だろう。誰もが電気を使えるようにするには、国家が送電網を整備し、起業家が電球や電線、スイッチなどの周辺機器を発明し、官僚が電圧の基準やプラグの形を決める必要があり、産業界が便利な家電製品を次々と売り出さねばならなかった。

現代のIT技術の歩みも同じだった。それらを応用した機器が資本ストックの1%を上回るまでに約20年を要した。その後、1991〜2001年の間に5%になり、2008年には8%となって、それ以後はほぼ横ばい状態だ。

AI革命が始まったのは2011年。IBMのスーパーコンピューター「ワトソン」がテレビの人気クイズ番組『ジェパディー』に挑戦し、賞金100万ドルを獲得した時だ。次に注目を浴びたのはその5年後で、グーグル系のディープマインド社が開発したプログラム「アルファ碁」が、世界最強の棋士といわれる韓国のイ・セドルに勝利した。その後、皮膚癌の分類や言語認識などに進歩をもたらしたが、AI関連の業績は大手のIT企業やこの分野に特化した新興企業にほぼ独占されている。

ヨバノビッチとルソーは電力とITの生産性に共通のパターンを見いだしている。どちらの場合も、新たな汎用技術の登場から最初の25年間は生産性向上ペースが鈍かった。その後の10年間に加速して約4%の伸びを達成し、その後は再び鈍化して約1%になった。

成長の伸びが遅いのは驚くことではない。汎用技術の真の可能性がはっきりするまでには時間がかかり、企業がそれを製品化するにはさらに時間がかかるからだ。つまり、AIが急成長している時期に生産性が停滞していることには何の不思議もない。

■無形資産投資は多いのだが

ともあれ、AI関連ビジネスの加速は喜ばしいことだ。アメリカでベンチャーキャピタルを取り込んでAIシステムを開発している民間企業の数は、2000年の14倍に達している。AIによる工業用ロボットも急増中だ。2003年から2010年にかけて、世界の工業用ロボットの数はほぼ変わらなかったが、2010〜2014年には2倍近くに増加。2020年までには2014年の約3倍になると予想される。

しかし多くのAIプロジェクトは、依然として研究開発の段階にある。つまりソフトウエアやデータベース、デザイン、エンジニアの訓練といった無形資産への投資は多くても、経済統計の数字に結び付く具体的な製品への投資は少ないということだ。

昔ながらの自動車業界を見ても、無形資産投資が増えているのが分かる。自動車に搭載されるソフトウエアの価値が完成車の価値に占める割合は、2000年段階で7%だったが、2010年には10%に達した。この比率は、2030年には30%まで上がると考えられている。

国の統計部門は、国民経済計算の算出法をより現実に即したものにしようと努力している。しかし、よほど革新的な方法が採用されない限り、新たな汎用技術の普及による経済効果をGDPに反映させるのは難しいだろう。

AI分野における期待が大きいからこそ、現実との乖離が目立つのかもしれない。OECD(経済協力開発機構)はこう報告している。グローバルな最先端分野で開発される新しいテクノロジーはこれまでにないスピードで世界に広まっているが、既存の経済において多くの企業が取り入れるようになるにはまだ時間がかかる、と。

中小企業の多くは今も、第3次産業革命であるIT革命の成果を使いこなすのに悪戦苦闘している。AIを取り入れるのはまだまだ先の話だ。

しかもAI導入のプロセスでは経済的な損失が生じる。デジタル資産とそれを使いこなすスキルの習得に多くの資金と時間をつぎ込む必要があるからだ。また移行期には在来の製造工程も維持する必要があるから、その間は二重のコストがかかる。自動運転車がいい例だ。消費者の手に届くのはかなり先だが、企業は既に莫大な資金と人材と時間を費やしている。

しかし、今は我慢の時だ。過去の技術革新の歴史が参考になるとすれば、いずれはAI投資も報われる。ただし、それは2030年以後のことになりそうだ。そこまで耐える知力と体力が勝敗を分ける。

From Foreign Policy Magazine

<2018年12月18日号掲載>



 

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コメント
1. 2018年12月12日 19:28:56 : JIY1sdNlGo : co7U_wqZ@s0[49] 報告
人間が必要とするモノ(情報も含む)の量に限度がある以上経済成長には限度がある。

人間が組織を作って活動する以上、組織にはヒエラルキーがありAIで多くの人間に権力欲を満たすことはできない。

またAIなるものが性欲を理解することは出来ないと考えられる。しかし性欲こそ人間の欲望の原点である。

2. 2018年12月12日 21:32:12 : x5fVhYNPKY : XaaTQ7YAwsg[39] 報告
AI論が間違っているんじゃなくて分配の仕方が間違っているだけ。

テクノロジーが進んで貧困が増えるなんて普通に考えておかしい、
と思わないように洗脳されてるんだよ世界中の人々が。

3. 2018年12月12日 22:10:36 : ioi7C6Azq2 : xSYYRQ2mbpA[111] 報告
AIが本物なるのが時間の問題なら、国籍に関係なく、先進国並みの生産性を多くの人々が手に入れることになろう。

必然的に、一人あたりの所得も全世界の人々で公平に分配されるように経済が進展してゆく。

先進国の人々には耐えられないほど、所得が減らされることになる。先進国に生まれなかった人々の所得は向上する。この流れを不平等と呼ぶことはできない。

4. 2018年12月12日 23:48:14 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1553] 報告

AIやITによる技術革新の恩恵は、生産性上昇といったマネーの世界ではなく

実質的な生活レベルの上昇という形で世界中の人々に恩恵を与えている

その意味では、生産性に焦点を置いた思考は、まさに間違いだらけと言える

5. 2018年12月13日 01:18:26 : HyN9XNwOYg : SdHPcyOWAJc[21] 報告
数字をもてあそぶユダヤ経済学とは次元が異なるからではありませんか?
失礼ですが、Newsweekさんの分析は、革命側には意味無いでしょう。経済成長など
ユダヤ経済学の考え方ですから。
6. 2018年12月13日 02:34:28 : ioi7C6Azq2 : xSYYRQ2mbpA[113] 報告
先進国にいるAさんの生産性が90であって、先進国でないところに住むBさんの生産性が10であれば、二人の賃金格差は相当開いてしまう。90万円と10万円ぐらい収入が開くかも。

ところが、AI技術の進歩によって、両者の生産性の差がなくなってしまたなら、Aさんは90万円もらえず、50万円に所得が減り、Bさんは10万円が50万円に。

AIの発展は経済のグローバル化を促進させ、全世界の賃金を平準化させる力を持つ。

7. 2018年12月13日 05:17:10 : j23wc4VGiA : wqdxmavUCPI[26] 報告
生産性=アウトプット/インプットである。
インプットが少なくなれば向上し
アウトプットが多くても向上する
インプットは労力や資源
アウトプットは価値である。
インプットの方は1単位が伸び縮みしにくい。
一方アウトプットの方は伸縮自在である。
価値が安定しているものなどない。
比較にもあまり意味はない。

では一般的にAIに何を期待しているのか?
おそらく労力が減るということと
より資源が無駄にならないということだろう。
より多くの生産をされても余るほど生産すれば価値が下がるので
すでに生産物に満ち満ちている生産量を上げる方向では期待されていないはずだ。

AIで資源の無駄が減るのか?
AIが人間の欲求を正確に予測して
その正しい予測を元に生産するのならば
資源の無駄は減るのかもしれない。
だが資源の予測に対して用いる資源も増えるのではないか?
正しい予測をするためにはあらかじめ大量の資源を投入してモデルを作っておかなければならない。そうしなければタイミングを逃すからだ。外してもいけない。ハズレはすべて資源の無駄になるからだ。膨大な試行回数と膨大な試作を繰り返してようやく一つ解が出される。
だが恐らくその解はそれらしいのを一つ提案して終わるだけなのではないだろうか?
人間がしていることよりも旨みがあるのかどうか解らない。

AIで労力は減るのだろうか?
多分減るのだろう。だが減った分は誰のものになるのか?

私がAIを使って小説を書いて多くの収入を得たとき
果たして私の作品としてお金を受け取ってもいいものだろうか?
ずるいとは言わないで欲しい。

プロ野球選手がAIを使って連動パワーアシストでホームラン王になったとき
年俸を上げてもらっていいのだろうか?
ずるいとは言わないで欲しい。

なぜならある人がAIを使って1生産単位物を余分に生産できたとき
ある人の生産性向上と解釈されるのだから。
それをずるいとはだれも言わないだろう。

屁理屈をこねて色々主張はできるだろう。
だがそれでいいのかという思いはいつまでも残る。

8. 2018年12月13日 12:52:20 : 6yn9B8LTVp : BAZouRYBf68[10] 報告
>AIはなぜ経済成長をもたらしていないのか?

簡単なこと。
安倍、菅、麻生、平蔵を見てみるがいい。経団連のトップ連中を見てみるがいい。厄人のトップを見てみるがいい。

トップが我利我利亡者ばかりじゃないか?
こいつらが、自分だけ儲けるために国民を犠牲にしているのだ。

やっとプーチンやトランプが出てきたが、世界中見渡してもこの構造は、北欧を除きほとんどの国で変わらない。
AIではなく、なぜ現在の為政者は経済成長をもたらしていないのか? が、正しい問いかけだ。

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