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崩れた「ゴーン城」、日産社内に不満のマグマ 世界中をジェット機で飛び回るゴーン氏に対し、日産で長年積み上がっていた失望…
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/173.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 12 月 19 日 12:15:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

崩れた「ゴーン城」、日産社内に不満のマグマ 世界中をジェット機で飛び回るゴーン氏に対し、日産で長年積み上がっていた失望と不満
https://diamond.jp/articles/-/188933
2018.12.19 Sean McLain  Phred Dvorak  Sam Schechner and Patricia Kowsmann WSJ




 カルロス・ゴーン氏が失脚する引き金の一つとなった建物が、レバノンの首都ベイルートにある。高級住宅街にあるローズピンク色の邸宅だ。

 邸宅内の壁には、自動車業界の巨人と言われたゴーン氏の肖像が飾られていた。複数の関係者によれば、1500万ドル(約17億円)の費用を要したこの住宅の購入と改築は、ゴーン夫妻が個人的に指示していた。ワインセラーへと続くガラス張りの床の下には、改築の際に出土した古代の石棺が見えている。

 日産自動車の一部幹部らは今年に入り、ゴーン氏に気付かれないよう極秘に調査を行い、ベイルートの邸宅を含む複数の不動産が日産の資金で購入されていたことを突き止めた。不動産購入は複数のペーパーカンパニーを通じて行われていたという。事情に詳しい関係筋によれば、ベイルートの邸宅の改築費用も日産が負担していた。1999年からゴーン氏に率いられてきた日産だが、仏ルノーとの関係は難しさを増していた。

 世界中をジェット機で飛び回るゴーン氏の生活を日産が資金面で支えている構図が明らかになったことで、長年積み上がっていた失望と不満に一気に火がついた。ゴーン氏は逮捕される数カ月前に日産経営陣の刷新を計画していたとされる。その計画は、日産社内のそうした不満によって結果的に先回りで阻止されたと言えるかもしれない。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は今回、古くからの日産関係者や捜査関係者へのインタビューを実施した。そこから明らかになったのは、報酬過少記載や会社の資金を使った浪費に対する非難が、ゴーン氏による日産長期支配への根深い不満と絡み合っている姿だ。日産の従業員らは、同社の利益がルノーを支えていることに不平をもらしてきた。また、ゴーン氏がルノーと日産の経営統合を準備しているとの不安を抱く者も多かった。

 日産幹部の一部は何カ月もかけてゴーン氏に関する情報を収集し、同氏と同氏の腹心グレッグ・ケリー氏に対する行動へ向けて準備を周到に進めていた。2人は11月19日に逮捕されたが、日産幹部の一部は米国を拠点としていたケリー氏に対し、ゴーン氏と同じ日のフライトで日本入りするよう説得もしていた。関係者によれば、こうした根回しによって検察当局が迅速に2人を逮捕し、そこから数時間のうちに日産本社や東京都内のマンションを家宅捜索することも可能になった。

 ゴーン氏が自ら後継者に選んでいた日産の西川廣人最高経営責任者(CEO)は、従業員向け説明会で事件の経過を報告したが、説明会参加者によれば、それを聞いた従業員らの間からは拍手喝采が起きたという。日産の内部調査に詳しい関係者の1人は、社内でのゴーン氏に対する反感は火山のように「マグマのエネルギー」が膨れ上がっていたと語っている。

 それは、日産の救世主としてあがめられ、自動車業界の最も強力なリーダーの1人だったゴーン氏の急速な転落劇だった。11月の逮捕の後、日産はすぐにゴーン氏の会長解任に動いた。ゴーン氏が会長兼CEOを務めていたルノーは、暫定的な経営トップを置いた。日本の検察当局は12月10日、ゴーン氏が有価証券報告書に報酬を過少記載したとして、金融商品取引法違反の罪で起訴した。ルノーは現在、両社のアライアンスへの「深刻なリスク」に対処するための株主総会開催を日産側に求めている。

 ゴーン氏の日本での弁護士はコメント要請に応じていない。ゴーン氏の弁護戦略に詳しい人物によれば、同氏は引き続き無実を主張しているという。

 こうしたなか、ゴーン氏は逮捕以来、身柄を拘束されたままだ。日本の刑事司法制度の下では、検察が罪状を追加して裁判が開かれるのを待つなか、2019年に入っても勾留が続く可能性がある。

 検察当局は、ゴーン氏による支出や会社不動産の利用に関連しては起訴しておらず、疑義も表明していない。しかし、日産が所有して同氏が使用していたベイルートとリオデジャネイロの住宅は法廷闘争の対象になっている。日産がそれら住宅を管理下に置き、鍵を変更したからだ。ゴーン氏の家族は、個人の所有物、美術品および現金を回収したいとして、自宅への出入りを求める訴えを起こしている。

 ゴーン氏の家族は、同氏の逮捕と会社資金の不正使用疑惑は権力闘争の一環だと主張している。 

 家族の弁護士は「彼の逮捕はルノーと日産・三菱との企業間の争いの結果だというのが真実だ」とブラジルの裁判文書で述べ、「カルロス・ゴーンの突然の逮捕は、ルノーとの同盟関係を弱めようとする日産の見苦しい戦略の一環だ」と指摘した。

 関係者の1人によると、子供たちはゴーン氏が日産で享受していた特権について、同氏が率いた業績回復や過去20年間に日産のために創出してきた富と比較して検討すべきだと考えている。

     

 ゴーン氏の4人の子供は文書で、「私たちが覚えている限り、たとえ仕事でどんなに忙しくても、毎週日曜日に必ず父から連絡を受けていた。父と話せなくなってから4回目の日曜日が過ぎた。とても寂しい」と述べた。かつてゴーン家では日産のことを5人目の子供だと冗談を言っていたという。

 一方、日産の広報担当者は電子メールでWSJに対し、これら一連の出来事の原因はゴーン氏の不正行為にあると説明。不正行為に対する社内調査が実施されている間に東京地検が独自に捜査を始め、行動を起こしたと述べた。

 ルノーの広報担当者はコメントを差し控えた。

 ゴーン氏は1999年、窮地に陥っていた日産を救済するためルノーから送り込まれた。その後、両社間で技術とプラットフォームを共有するアライアンスを確立し、三菱自動車を加えて世界最大の自動車連合に育て上げた。3社の当局への届け出資料によれば、ゴーン氏の2017年の報酬総額は約1700万ドルになった。この金額は日本の競合の幹部報酬を大きく上回るものの、米自動車メーカーの経営陣の報酬は下回る。例えば、ゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラCEOは2200万ドルを得ている。

 ゴーン氏にとって、海外不動産やプライベートジェット機などの特権は、家族と離れ頻繁に出張する生活の一部だった。フライト記録やゴーン氏の家族に近い関係者によれば、逮捕されるまでは少なくとも年間100日は各国を飛び回っていた。

 関係者らによれば、ゴーン氏による不動産などの利用に対して日産が負担していた支払いの規模を把握していたのは同社役員のごく一部だったという。

 ゴーン氏関係の支出のうち最も高額だったのは、過去18年間に日産が購入した一連のプライベートジェット機。いずれの機体にも登録番号「N155AN」の文字が描かれていた。

 最も新しい機種は「ガルフストリームG650」で、ビジネス航空機に関するサイト「コーポレート・ジェット・インベスター」によれば、カタログ表示価格は6450万ドル。ゴーン氏の家族に近い関係者によれば、機内には寝室があり、同氏はそこで睡眠を取ることが多かった。

 ゴーン氏は日産のウェブサイトに掲載されていた自叙伝(英語版)の中で、「こうした生活スタイルは肉体的にも社会的な面でも負担を強いるものだ。それは代償を伴うが、自分でやりくりしなければならない」とし、「飛行機の中でぐっすり寝ることができるのは助けになる」と書いていた。

 ゴーン氏の使用した機体は今年、80日間で少なくとも35カ所の空港から離陸している。フライト記録によれば、逮捕されるまでの7週間に同機はベイルートから8回にわたって離陸した。

 こうしたゴーン氏の生活スタイルは日産社内では、利益拡大のためにゴーン氏が採用したコスト削減型の経営方針とは矛盾すると受け止められていた。同氏の生活を日産が資金面で支えていたという疑惑が明らかになって以降、裏切られたという意識は日産社内でさらに強まった。

 日産の元役員の1人はこう述べる。「トランスパレンシー(透明性)とフルーガリティー(節約)は会社の中で日産ウェイとなっていた。トランスパレンシーはどこへ行ってしまったのか。フルーガリティーはどこへ行ってしまったのかと言いたい」

 ゴーン氏は比較的つつましい家庭の出身だ。自叙伝によると、父方の祖父は13歳の時にスーツケース1つでレバノンからブラジルに移住し、内陸部で幾つかの事業を始めた。後にそこで生まれたゴーン氏は6歳の時に父親の意向でベイルートに移り、祖母、母、きょうだいと暮らした。

 一家に近い関係者によると、ベイルートでの生活は質素だった。ゴーン氏が生まれて初めてレストランに行ったのは15歳か16歳のときで、当時はブドウをぜいたくな食べ物だと思っていた。同氏は後に、ブドウを買ったり飾ったりすることを楽しむようになる。

 パリで工業系のエリート養成校2校に通った後、ゴーン氏は仏タイヤメーカーのミシュランに入社。1996年にルノーに採用され、家族と共にフランスに移った。90年代末には日産は倒産寸前に追い込まれており、ルノーが6430億円を出資し、ゴーン氏が救済策を進めることになった。その際ルノーは日産株を37%取得し、後にこれが43.4%に引き上げられた。日産はルノー株15%を取得した。

 日産の最高執行責任者(COO)として99年に東京に移ったゴーン氏は、「セブンイレブン」のあだ名がつくほど長時間働いた。工場を閉鎖し、人員を削減し、非効率な下請け企業を切り捨てた。こうした経営改革により日産が1年前倒しで「リバイバル・プラン」を達成すると、ゴーン氏は経営の天才とたたえられ、漫画の主人公にもなった。

 2005年、ゴーン氏はルノーのCEOも兼務することになった。最近の調査で注目されている高級マンションの1つはこの時に日産が購入したものだ。関係者の話や物件の記録によると、パリ有数の高級住宅地16区にある約400平方メートルの物件で、購入額は410万ドル(現行レートで約4億6500万円)だった。

 関係者によると、日産は3年後に別の階に約110平方メートルのスペースを買い足した。

 ゴーン家に近い関係者によると、セキュリティーへの懸念も購入の一因だった。パリでは20年前、ルノーのCEOが左翼のテロリストに殺害される事件があった。

 日産の日本人幹部はゴーン氏不在の時間が増えたことに不満を募らせていた。一方で同氏は日産の誰よりも高い報酬を得ていた。日産の調査について知る関係者によると、同社が2009年3月期にゴーン氏に支払った額は1500万ドルで、他の経営幹部9人合わせた金額の2倍を上回った。

 日本では2010年に規則が改定され、年間1億円以上の報酬を受け取る役員名と報酬額を個別に開示することが義務付けられた。関係者によると、この時ゴーン氏は外部からの評判への影響を気にしていた。世界的な景気後退のなかゴーン氏も他の幹部も報酬を既に減らしていた。関係者によると、ゴーン氏は日産に対し、支給額を約780万ドルとし、200万ドル近くについては支払いを延期するよう求めることで開示する金額を引き下げたという。

 処理をしたのは当時CEOオフィスと人事を担当していたケリー氏だった。同僚らはケリー氏について、ゴーン氏に極めて忠実な問題解決係だったと話している。処理は、新開示規則のグレーゾーンだった繰り延べ報酬の取り扱い方法の解釈にかかっていた。関係者によると、監査を担当するEY新日本監査法人は日産が提案した解釈に賛成しなかった。ケリー氏は自身を支持する専門家から意見を聞いていたと同氏の弁護士は話す。

 それでも、開示されたゴーン氏の報酬は日本では上位に入り、日産の株主総会で非難された。ゴーン氏は、フォード・モーターのアラン・ムラーリーCEOが2倍近く稼いでいると言って自身の報酬を弁護した。

 検察側はゴーン氏がその後、報酬のますます多くの部分を繰り延べ続け、同氏が近年の報酬だと話す金額の半分を上回ったと考えている。社内調査について知る人々によると、ケリー、ゴーン両氏は増える借用書やゴーン氏が日産退職後に受け取る予定の金額とその支払い方法についての詳細を表計算シートに記録していた。

 日産によると、社内でも何が起きているかを知っているのは一握りだった。幹部の報酬を監督する報酬委員会はなかった。首脳陣の報酬額を決める権限はゴーン氏がほぼ独占していた。

 各種手当もあった。10年末までに、日産はオランダに「Zi-A(ジーア)キャピタル」社を創設した。日産の提出書類や関係者らによると、ケリー氏はベンチャー投資に使う会社だと日産取締役会に説明していた。日産は、その後8280万ドルの資金を得たジーアや他の地域で登記されたペーパーカンパニー数社を通じてベイルートなどの邸宅を購入した。

 ゴーン氏の古い知人によると、その頃ゴーン氏は最初の妻リタさん(リサイクルした服を身に着け、ブリッジを愛する)と別居し、現在の妻キャロルさん(デザイナーのドレスや派手なイベントが好きだ)と新たな関係を始めた。

 リタさんの弁護士は本人へのインタビューを断り、代わって質問に答えることも控えた。

 関係者によると、ゴーン氏の姉は12年、リオデジャネイロ・コパカバーナ地区のビーチに面した4寝室のマンション購入に関わった。ジーアの子会社「ハムサ1」が570万ドルを支払い、会社の所有にした。

 一家に近い人物によると、ゴーン氏がリオ出張中にこのマンションに滞在したこともあった。だがゴーン一家が休暇に集まる場所でもあり、1度に約10人が滞在できたと、ゴーン氏のリオ滞在について知る人物やビルのドアマン2人が話している。

 ゴーン氏の娘ナディーンさんは、ヴォーグ誌ブラジル版に対し、「家族にとって最も詩的なのは、私たちのマンションがあるコパカバーナビーチ沿いを散歩する時間」だと話していた。

 ゴーン氏は再婚から数カ月後の16年秋に、再婚と夫人の誕生日を祝うため、ベルサイユ宮殿でパーティーを開いた。出席者によると、巨大なシャンデリアの下に並べられた長テーブルには枝つき燭台(しょくだい)が置かれ、正装をした招待客120人ほどが座っていた。ペーストリーの山は客の頭より高かった。金のトレーにはブドウがあふれていた。

 米連邦航空局(FAA)の記録によると、この頃日産はより速く大きい「ガルフストリームG650」をゴーン氏に買っていた。ゴーン家に近い人物によると、目的地が同じ方向である場合に限って、子供たちが父親に同乗することもあった。「同機に乗るのは父親と時間を過ごす方法だった」という。 

 飛行記録によると、ゴーン氏の再婚後、同機がベイルートに行く回数が増えた。セキュリティー上の問題から同地の駐機場に機材を置いておけないため、ベイルート行きには追加的なコストがかかった。飛行記録や関係者らによると、乗務員はキプロスまで120マイル飛び、時間が来るとゴーン氏を迎えに戻った。

 ベイルートの邸宅の近くで働く理髪店員は、ゴーン氏が「来たときは車列だった。治安当局者や情報当局のジープを連れてくる。彼は非常に大物だ」と述べた。

 一方、日産内部では、ゴーン氏の経営手法に対する不満が高まっていた。一部のベテラン従業員は、ゴーン氏が日本人の幹部よりも外国人幹部をより早く昇進させることにいら立っていた。

 ゴーン氏は日産とルノーの自動車部品や生産プラットフォームを共通化することでコスト削減を図ったが、エンジニアたちはどちらの技術やどの工場を使うかで言い争いになった。また日産の社員は、ルノーよりも規模が大きくなった同社の売上高が、ルノーの経営を支えるのに利用されていると感じていた。

 昨年の株主総会で日産のある従業員が 、日産はまるでルノーの完全子会社のように感じられるとゴーン氏に質問した。「過去18年間に、あなたの発言を裏付けるような事実が1つでもあったか」とゴーン氏は腹立たしげに答えた。「あなたが言っていることは何一つ 現実に当てはまらない」

 ルノー関係筋によると、日産がルノーを下支えしているというのは「言い過ぎ」だという。「ルノーの人間に聞けば、ゴーン氏は日産びいきだと答える」とこの人物は話す。「連携を成功させるカギはバランスにある。それは実現しにくいものか? 答えはイエスだ」

 ゴーン氏は、最終的に自身を失墜させることになる勢力がまとまりつつあったことは知る由もなかった。日産の監査を担当するアーンスト・アンド・ヤングはその後も毎年、ゴーン氏の住宅購入に使われたジーア・キャピタルについて疑問を呈していた。この件で報告を受けた人物はそう語る。そのような警告はやがて、日産の製造畑を長年歩み、2014年に取締役会の監査役に就任した今津英敏氏の注意を引くこととなった。

 今津氏はジーアの活動の実態を探ろうとした。だが英領バージン諸島などに設けた複数のペーパーカンパニーを経由しており、実態の解明は容易でなかった。

 そこで6月頃、ジーアの取締役の1人、ハリ・ナダ氏に助力を求めた。マレーシアに生まれ、英国で教育を受けたナダ氏は、弁護士でケリー氏の部下だった。資料によると2012年からケリー氏とともに同社取締役に名を連ねている。ナダ氏は今津氏と共に、ジーアの3人目の取締役である大沼敏明氏に会いに行った。大沼氏は側近としてゴーン氏を長年支え、日産の資料や日産の社内調査について詳しい関係者によると、報酬先送りの書類なども作成した。

3人の情報を突き合わせると、日産がゴーン氏のために支出している資金や、報酬の先送り額などが次第に明らかになった。検察の主張や関係者の話によると、その額は今年度までに約8000万ドル(約90億円)に達している。

 彼らはまず、こうした行為のいずれかが犯罪に該当するかどうかを弁護士らに問い合わせた。その中には元検察官もおり、6月に発効した司法取引を認める新法を利用するよう助言した人物もいた。 

 日産側は夏の終わりまでに、日本の検察当局に非公式に相談した。関係者によると10月初め、検察当局は起訴できる可能性があると判断。今津氏らのグループは、正式に内部告発文書を作成した。関係者の1人によると、その中で、日産の子会社を使ってゴーン氏に複数の住宅が無償提供されていること、有価証券報告書に記載された取締役の報酬に漏れがあることが指摘された。

 同関係者によると、この段階で初めて、西川氏に全ての経緯が報告された。西川氏はゴーン氏が後継者に選んだ人物で、2017年に日産CEOに就任した。西川氏は当初、ゴーン氏に対する疑惑に信じられないという反応を示したという。同氏は自身に直属の内部調査チームを立ち上げた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認したメールによると、ナダ氏は不動産に関連する資料を集め、事実確認のためリオに飛んだ。

 検察に協力するナダ氏は、証拠集めと並行して、ゴーン氏の身柄確保のための入念な準備を始めた。

 日産の調査チームはゴーン氏と自ら対決することを望まなかった。ゴーン氏が調査そのものを力ずくで握りつぶすことを恐れたためだ。事情に詳しい複数の関係者はそう明かす。彼らは検察当局とともに、11月19日にプライベートジェットで羽田空港に到着する直後を狙い、ゴーン氏を拘束することを計画した。検察当局が尋問したいと考える関係者が全員、同じタイミングで日産本社にそろうように、ナダ氏がスケジュールを調整した。

 次に、ゴーン氏と共謀した疑いがあるケリー氏を東京に呼ぶ必要があった。ケリー氏は2015年から非常勤の取締役として普段はフロリダ州に住んでいた。

 ナダ氏はケリー氏に電話をかけ、取締役会に出席する必要があると告げた。事情を知る関係者によると、ゴーン氏は経営上層部を刷新する決議案を提出する計画だった。西川CEOを退任させ、ケリー氏を復帰させるつもりだったとされる。

 ケリー氏は通常、テレビ会議を通じて東京での取締役会に参加するが、ナダ氏はプライベートジェットで来日し、直接顔を出すべきだと主張した。腰部の手術を控えたケリー氏に対し、手術に間に合うように帰国できるとナダ氏は請け負った。

 ケリー氏を乗せた飛行機は11月19日昼過ぎに成田空港に到着。ゴーン氏が羽田空港に降り立つ直前だった。ゴーン氏が逮捕されると、ケリー氏の運転手の電話の呼び出し音が鳴り、車はパーキングエリアに入った。この後ケリー氏は東京地検に引き渡されたと、関係者の1人は話す。

 この日の午後10時、いつになく感情を高ぶらせた西川氏が記者会見を開いた。

 「何と表現していいか難しいが、残念という言葉をはるかに超えて、強い憤りと落胆を覚えている」と語った。

 ゴーン氏の勾留が1カ月の節目に近づく中、各地で法的な小競り合いが続いている。

 ゴーン夫人と同氏の娘の1人は、レバノンで訴訟を起こした後、ベイルートの家に立ち入る許可を勝ち取った。この家族をよく知る人物によると、一家はそれ以降、家族写真や衣類をはじめ、自分たちが購入したものを全て持ち出した。

 ブラジルでは、ゴーン氏の長女キャロライン氏が訴訟を起こし、リオのアパートは日産が自宅としてゴーン氏に与えたものであり、家財には日産の所有権がないと主張した。キャロライン氏は13日、ブラジルの司法当局者および日産の弁護士らと共にアパート内に入り、金庫2つと鍵つきの小さな箱1つを開けた。金庫の1つにはブラジルの通貨レアル(約2万ドル相当)が入っていた。

 日産では、従業員がゴーン氏のいない体制に慣れようとしている。日本では、被告がひとたび起訴されれば、有罪判決を受ける比率は95%以上となる。だがたとえ同氏が無罪になったとしても、企業トップとしての立場を利用したという印象はぬぐえない。

 首都圏のある日産工場の外で、日産に42年間務めたベテラン従業員(現在は関連会社に勤務)が、ゴーン氏の身に起きたことは残念だと語った。

 日産のV字回復を成し遂げたゴーン氏の功績を踏まえ、「最初に10億だったのは日産を立て直したので当たり前だと思った」とし、ゴーン氏が逮捕された今も、「悪い感情はない。(ゴーン氏の)役目は終わったと感じる」と話した。














 

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コメント
1. 2018年12月19日 12:32:22 : ioi7C6Azq2 : xSYYRQ2mbpA[119] 報告
会社の報酬以外にその会社から金銭的な利益を自分の懐に入れない。報酬をガラス張りにすることも高額な報酬をもらう要件である。これを守っていたら、ゴーン氏は、もっと高額の報酬をもらっていても、尊敬されていた。
2. 2018年12月19日 13:04:54 : FeBmwTYCBk : DMQNGWqNHUc[228] 報告
レバノンの家を日産からもらったものだと主張することは、その分、所得になるから、申告していなかったら、脱税だよね。馬鹿な娘だ。
3. 2018年12月19日 13:06:07 : FeBmwTYCBk : DMQNGWqNHUc[229] 報告
レバノン=>リオ 訂正
4. 2018年12月19日 23:23:58 : 1hFwhl5XF6 : A44FqszPm3Y[952] 報告
ゴンゴンは、ハムサ1(ペーパーカンパニー)を使ってコパカバーナの高級住宅を、ハムサ2(ペーパーカンパニー)を使ってベイルートの高級住宅を手に入れていた。
ゴンゴンの手口は、会社名義で購入して、その後に自分名義に名義変更する単純な手口のようである。
しかし、2つの会社はタックスヘイブンにあるので、ハムサ1、ハムサ2の所有者が日産なのかもわからないだろう。

だから、ジーア・キャピタルに入れたカネ50億円は、ゴンゴンの指示で使われたものと考えられる。
そのままであれば業務上横領だし、報酬だとすれば脱税である。

5. 2018年12月19日 23:40:29 : US6Lc2qqhA : 1I4@i3yDzrk[1] 報告
つまらん妬み記事だな。脱税も横領も背任も何にも出てこないじゃないの。
もらってない金を決まっていたか決まっていなかったかという神学論争みたいなことして、書いた書かないを最大の争点にして40日も身柄拘束して狭い牢屋に閉じ込めるなんて、近代国家のすることじゃありませんな。
検察が出る幕ではなく、日産の社内のガバナンスや浄化能力の話でしょ。
変に検察が飛び出したから、ぐちゃぐちゃになってしまった。
国際的な大批判はまぬがれないでしょう。国連の人権委員会で日本政府(司法)は孤立無援になるのかな?いや、北朝鮮が助けてくれるかもしれないな。

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