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「BRICS+」でトランプに対抗する習近平──中国製造2025と米中貿易戦争(ニューズウィーク)
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/638.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 8 月 10 日 20:33:35: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

「BRICS+」でトランプに対抗する習近平──中国製造2025と米中貿易戦争
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/08/brics2025.php
2018年8月10日(金)16時00分 遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長) ニューズウィーク


BRICS首脳会議 南ア(ヨハネスブルグ)で開催(7月26日) Mike Hutchings-REUTERS


トランプが中国に貿易戦争を仕掛けているのは、中国に「中国製造2025」戦略があるからだ。習近平は「2025」戦略を死守し、31億人を擁するBRICSを周辺諸国に拡張して米国に対抗していこうとしている。

■ヨハネスブルグ「BRICS+(プラス)」で見せた習近平の狙いと野望

7月19日から29日にかけて、習近平国家主席は二期目の国家主席になってから初めての外遊を行なった。アラブ首長国連邦、セネガル、ルワンダ、南アフリカを訪問し、南アフリカのヨハネスブルグでBRICS(ブリックス)首脳会議に参加したあと、モーリシャスを訪問して現地時間28日に経ち、29日に北京に戻った。

BRICS首脳会議はブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)および南アフリカ(S)の「新興5ヵ国」によって構成されているが、昨年の厦門(アモイ)会議から「BRICS+(プラス)」と称して非BRICS構成国を招聘している。昨年は5カ国を招聘したが、今年は22ヵ国を招聘して、より大きな共同体に持っていこうとしている。

22カ国にはアンゴラ、アルゼンチン、トルコ、ボツワナ、コンゴ、エジプト、ガボン、レソト、マダガスカル、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、ルワンダ、セネガル、セーシェル、タンザニア、トーゴ、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ、ジャマイカ......などがある。

中国では「BRICS」を「金磚」と表現し、「BRICS+」を「金磚+」と表記する。「磚[zhuan]」(せん)は「灰色に焼いた中国式のレンガ(brick)」という意味であることから、この文字を当てはめた。

さて、この「BRICS+」=「金磚+」に関して、習近平はどのように位置づけたのか。

習近平がヨハネスブルグで行なったスピーチを中心として、中東・アフリカの旅に関して、7月29日の中国共産党機関紙「人民日報」が伝え、それを共青団の「中国青年網」など多くのウェブサイトが転載している。中央テレビ局CCTVも、連日連夜、世の中にはもうこの情報以上に重要なニュースはないと言わんばかりに、声を張り上げて放送しまくった。

それらを総合すると、習近平のマクロな狙いと野心は、概ね以下のようにまとめることができる。

1.BRICSは主要5ヵ国だけでも31億人の人口を擁し、人類の運命を牽引していく。

2.「BRICS+」が「朋友圏」を拡大していけば、地球の人口のほとんどをカバーし、それはやがて(習近平が唱えた)「人類運命共同体」を形成していくだろう。

3.「BRICS+」においては多国間貿易を堅持し、投資と貿易において自由化と便利性を発揮し、開放型世界経済を牽引する。

4.「BRICS+」朋友圏においては、「旅行(のビザ)、買い物、文化交流」などに関しても、電子通信を通して利便性を高め、自由貿易圏を形成していく。

5.われわれは断固、保護貿易や一国主義に反対し、互いに手を携えて「投資と貿易の自由化」に貢献し、共同体内での低関税や無関税を増やしていく(これは米中貿易戦争を仕掛けるトランプ大統領への声明として発せられている)。

なお、南ア(ヨハネスブルグ)以外に訪問した国々に関しては、「一帯一路」沿線国の港湾強化を狙う目的があった。特にセネガルに代表されるように、アフリカ西海岸まで「一帯一路」をつなぎ、アフリカ大陸ごと、中国が「頂こう」という魂胆だ。

■トランプはなぜ「中国製造2025」にターゲットを絞ったのか

米中貿易戦争が互いに譲らない賭博のような様相を呈しており、それらに関しては日本の多くのメディアが報じているので、ここでは省略する。

ここではなぜトランプが中国に貿易戦争を仕掛けているのか、なぜ「中国製造2025」にターゲットを絞っているのかという、根本問題に関して触れたい(もちろん中間選挙など色々な他の要因もあるだろうが、ここでは「中国製造2025」を中心に考察する)。

「中国製造2025」というのは、説明するまでもないとは思うが、「メイド・イン・チャイナ 2025」(以後、「2025」と省略)という意味で、2015年に決定した中国の経済戦略の一つである。

1990年代に入ると、中国は「世界の工場」としての役割を果たすようになり、3億近い農民工が東海岸に押し寄せて、低賃金で「メイド・イン・チャイナ」の製品を全世界に輸出するようになった。

最初のうちは「安かろう、悪かろう」だったが、中国のGDPが日本を越えた2010年辺りになると、農民工の賃金が上昇し、中国は「世界の工場」から「世界の市場」へと変貌していく。

2014年、「国家新型城鎮化計画」(2014年〜2020年)が発表され、農民工の出身地である内陸部を都市化して、沿海部の農民工を内陸の都市に戻していく政策が実行に移された。

それと同時に、製造に関する「量から質への転換」が推し進められ、「産業革命」の必要性に迫られた。なぜなら、低賃金労働に関しては東南アジアの発展途上国が中国に取り替わって「世界の工場」の役割を果たし始めて中国を追い込み、それでいながら中国の生産技術の多くは「借り物」であって、中国は依然として「組み立て工場」に過ぎなかったからである。

そこで「2025」では、「イノベーション駆動、品質優先、環境保全型発展、構造の最適化、人材本位」など5つの基本方針を打ち立てて、その実現の時期に関しても指標を示した。

すなわち、「2025年までに製造業の基礎部品(パーツ)の核心技術に関して、70%を中国自身が製造(メイド・イン・チャイナに)する」としたのである。

これはたとえば、中国ではスマホやパソコンなど、膨大なメイド・イン・チャイナ製品をアメリカなどに輸出しているが、現在は各パーツの90%ほどをアメリカや日本などから輸入していて、中国ではただ単に「組み立てている」に過ぎない。このままでは中国はいつまでも後進国で、先進国の工場から抜け出すことができないので、各パーツをも、少なくとも70%は中国自身が製造できる核心技術を持たなければならないということを目指したのである。つまり主要産業の70%を中国の国内産業が占めなければならないということになる。

これをトランプ側から見れば、「もし中国が核心技術の70%をもメイド・イン・チャイナにしてしまえば、アメリカが中国との技術革新に負けてしまい後進国に転落してしまう」という危機感を抱かせるものとなることは明らかだ。

一方、中国は、「2025」を達成するために、アメリカなど外国企業の中国市場への参入の際に、必ず「技術移転」を強要して、交換条件を求めるようにしている。これでは「頭脳が丸ごと盗まれる」、「知的所有権の侵害だ」として、この「2025」計画を阻止するために発動しているのが、トランプの対中貿易戦争の真髄だと言っていいだろう。

中国がやがてGDPにおいて「量的」にアメリカを抜く可能性は否定できないが、そのときに「質的」にも凌駕されたら、中国が正真正銘の世界一になってしまい、アメリカは西側先進諸国とともに後進国に転落してしまうのだ。

そんなこと、許されるはずがない。トランプはそう思っているに違いない。

言論弾圧をしている国が、世界のトップリーダーとして君臨するなどということは、あってはならないのである。それは「危険」でさえあると言っても過言ではない。その意味でのトランプの「直感」は正しいのではないだろうか。

■習近平には、負ける気はない

しかし習近平にしてみれば、「2025」を譲歩するわけにはいかない。ここからは一歩も引かないというのが習近平の覚悟だ。だから、トランプが吹っかけてきた高関税額に対して、中国も必ず、ほぼ同額のお返しをしている。負ける気はない。

なんと言っても中国の対米輸出ハイテク製品の90%は、アメリカなどから輸入したパーツで組み立てられているので、トランプがやがて音を上げるだろうと待っている。毛沢東の「持久論」まで持ち出してくる始末だ。

おまけに中国の国家海関(税関)総署が8月8日に発表した7月の貿易統計によると、中国の対米輸出が加速しており、対米黒字は前年同月比11%増の280.89億ドル(約3兆1000億円)になったとのこと。トランプによる対中高関税が何度も発動されているにもかかわらず、今のところ、そう落ち込んでいるわけではない。

また米議会上院は7月26日、1660品目の製品に関して輸入関税を引き下げる(中には撤廃する)法案を可決した。しかしその1660品目のうち、半数ほどが中国製品だとのこと。下院でも今年に入って類似の法案が可決しているため、相違点を調整して一本化するそうだ。中国政府の通信社、新華網ワシントン支局が伝えた。

日本ではあまり伝えられていないが、中国では嬉々として伝えている。

なお、8月6日にコラム<中国政局の「怪」は王滬寧の行き過ぎた習近平礼賛にあった>を書いたのは、「習近平降ろし」とか「権力闘争激化」などという、日本人を喜ばせる(事実とは異なる)情報ばかりを発信していると、上述のような習近平の真の狙いと中国の現実が見えなくなってしまい、日本が損失を蒙るからだ。

米中貿易戦争のゆくえがどうなるかは何とも結論じみたことは言えないが、少なくとも習近平の狙いと野心だけは見落とさないようにしたいものである。



[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。


 

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コメント
 
1. 2018年8月10日 21:36:14 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1214]

#衰えたとはいえ、まだまだ威力は大きい

舐めていると足を掬われることになる

 

世界に広がるトルコリラ安、ユーロに対するドル高が追い打ち
トルコが外貨建て債務の返済に応じられるか疑問視され、リラ相場は今週20%余り下落している
By Mike Bird
2018 年 8 月 10 日 16:50 JST

 トルコリラ相場は10日、ドルに対して前日比10%余り下落した。ドルが1年ぶり高値をつけている半面、トルコの財政を巡る懸念が世界中に広がっている。

 10日午後の香港市場で、リラ相場は1ドル=6.21リラで過去最安値を更新した。その後はやや下げ幅を縮め、現在は7%安の5.95リラ付近をつけている。

 ドルは前日比0.8%高の1ユーロ=1.1445ドルと、2017年7月以来の高値をつける場面があった。目下の取引値は1ユーロ=1.1455ドル前後と、0.6%のドル高・ユーロ安水準にある。

 ウエストパック銀行のショーン・キャロー氏は「ここ何日かは海外市場がトルコリラ安を懸念するというより好奇の目で眺めており、トルコだけの問題と捉えているようだった」とした上で、今となっては「その状況が変化したようだ」と述べた。

 トルコは外貨建て債務の返済に応じられるかどうか疑問視されるようになり、リラ相場は今週20%余り下落した。

 こうした中、ユーロ圏内のいくつかの銀行が抱えるトルコ関連の投融資残高を欧州中央銀行(ECB)が調べているという英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道が、ドルに対するユーロ安材料となっている。

 


 

米の追加制裁に身構えるロシア、経済は崖っぷちに
米国の対ロ追加制裁発表を受けてルーブルは対ドルで一時5%下落した(写真はプーチン大統領)

By Anatoly Kurmanaev
2018 年 8 月 10 日 02:54 JST

 【モスクワ】米国務省は8日、ロシア政府が英国での神経ガスを使った暗殺未遂事件に関与したと断定して追加の対ロ経済制裁を発動すると発表した。ロシアの当局者や企業は、それによって経済が一段の打撃を受けかねないと身構えている。

 米国の追加制裁発表を受け、ルーブルはドルに対して5%下落し、前日比でほぼ2年ぶりの下げを記録する場面もあった。ロシア株は一時9%下落した。制裁の影響で米国市場へのアクセスを失いかねないと警戒された航空最大手アエロフロートや国営銀行が相場の下げを主導した。

 ロシア政府は9日、今年3月にイングランド南部で発生した元ロシア情報機関員と娘の暗殺未遂事件への関与を否定する一方、制裁の意義を一蹴。大統領報道官は、ロシアは「米国との建設的な関係」の構築に今後も努めるとし、制裁の全容を把握するまでは対抗案を策定しないと語った。

 政治アナリストらによると、制裁の第1弾はロシアの防衛産業が主な狙いで、当初の影響は限定的とみられる。だが投資家と企業は、報復措置の応酬で経済に幅広い影響が出ると警戒している。ウラジーミル・プーチン大統領が2014年にクリミアを併合して以来、欧米による対ロ制裁が相次いだことで既にルーブルの価値は半減し、ロシアのエネルギー産業への投資は減少。アルミ大手UCルサールを直撃した。

 年内の発動が見込まれる制裁の第2弾には外交関係の見直しや停止、米ロを結ぶ航空便の中止、ロシア製品の輸入制限などが盛り込まれる。米議会は別途、ロシアの海外での資金調達能力をそぐような金融制裁を検討している。

 モスクワのアメリカ・カナダ研究所のシニアフェロー、ウラジーミル・バシリエフ氏は9日、国営テレビに「われわれは経済戦争にはまり込もうとしている」と語った。「両国関係が後戻りできない地点に達しつつある。関係改善のベースが全く見られない」

 ロシアのアントン・シルアノフ財務相は、財務省と中央銀行が制裁に対抗する金融ツールを準備していると語った。インタファクス通信によると、シルアノフ氏は「ロシアの経済と国際収支は、原油価格の変動であれ経済制裁であれ、外部要因に対する抵抗力をここ数年で大きく増した」と話した。

 既に外債発行を米国に制限されているロシア国営銀行2位のVTB銀行は、事業と顧客を保護するために新たな制裁の影響を分析していることを明らかにした。また同国ガス業界2位のノバテクは、地元通貨建てでの販売契約への切り替え努力を倍加させると表明した。

 与党議員らは、米国の政治家がロシアを国内の政争と中間選挙のサンドバッグのように扱っていると非難。上院外交委員会のコンスタンチン・コサチェフ委員長は、新制裁を「リンチ(私刑)」になぞらえた上で、「米国はまたも脅しや拷問で容疑者から証拠をたたき出す警察国家のように振る舞っている」とインタファクス通信に語った。

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2. 2018年8月10日 21:52:44 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1215]

これは「貿易戦争」か? エコノミストの賛否二分

中国は米国が「経済史上で最大の貿易戦争」を開始したと言うが、米国は一連の関税を違う形で表現する傾向にある

By
Josh Zumbrun

2018 年 8 月 10 日 13:40 JST

 米国の新たな関税は今年、ますます多くの物や国を巻き込み、脅威から現実へと変わっている。だがエコノミストの見解は依然分かれている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が民間のエコノミストを対象に行った調査では、これまでに講じられた措置は「貿易戦争」だとの回答と、そこまで達していないとの回答がちょうど半々だった。
 中国は米国が「経済史上で最大の貿易戦争」を開始したと言うが、米国は一連の関税を違う形で表現する傾向にある。ホワイトハウス当局者は「貿易戦争」という言葉を避け、その代わりに貿易議論の最中だと述べることもある。ドナルド・トランプ政権は貿易戦争という言葉を使う時、仕掛けたのは中国だとし、米国は安全保障と知的財産を守っているだけだと説明してきた。トランプ氏は「貿易戦争は良いものだ。そして簡単に勝てる」と話したことがある。欧州連合(EU)は「貿易戦争」への言及を避けてきた。

 どう呼ぶかはさておき、これまでに起きたことを順に並べてみよう。米国は洗濯機と太陽光パネルに関税を発動した。中国はソルガムに関税を設けた。米国はほぼ全ての輸入鉄鋼・アルミニウムに関税を課した。EU、メキシコ、カナダ、中国のほか、トルコのような比較的小さい国でさえ同様の報復をした。米国は知的財産についての懸念を理由に、中国からの輸入品340億ドル相当に関税を発動した。中国は同日のうちに米国からの輸入品340億ドル相当への関税を導入した。米中政府は今月、さらに160億ドル相当の輸入品への関税を発動する見通しだ。
 オックスフォード・エコノミクスのグレゴリー・ダコ氏は「この段階では意味論は重要ではない。これが貿易戦争でないとしても、簡単にそうなり得る」と述べた。
 大半のエコノミストは今後1年で関税の水準が上昇すると考えている。現在、複数の追加的な引き上げを正当化するプロセスが進行中だ。米国は世界を対象にした自動車および自動車部品関税もちらつかせてきたほか、中国からの輸入品2000億ドル相当への追加関税も検討している。そして中国は、米国からの輸入品さらに600億ドル相当への関税で対応するかもしれない。


米国が課す関税は1年後に上昇しているか
?Source: WSJ Survey of Economists
上昇している60.8%変わっていない15.7%低下している23.6%上昇しているx60.8%


 米国は外国からの投資の審査も強化しており、ウラン関税を導入する可能性もある。それに、北米自由貿易協定(NAFTA)に何が起きるかは不明だ。
 「貿易戦争」議論に決着をつけるため、WSJは月間調査で「米国は『貿易戦争』の最中にあると思うか」と尋ねた。エコノミストや経済学者48人からの回答のうち、貿易戦争中だと答えたのはちょうど半数の24人だった。
 「いいえ」と答えた残り24人からは別の言葉が挙げられた。6人は、この時点では「貿易の小競り合い(skirmish)」と呼ぶことを提案した。4人は「貿易摩擦(tensions)」、2人は「貿易闘争(battle)」、2人は「貿易紛争(dispute)」と表現した。
 (調査対象には、呼び方はともかく「貿易○○」から直接の影響を受ける企業や業界のエコノミストが多かった)
 以下は、「貿易戦争」かどうかを問う質問に対する回答の一部
*いいえ。「今回の報復合戦はむしろ政治・経済に動かされている交渉術の色合いが濃い」ジム・メイル氏、サム・カーン氏(ACTリサーチ)
*はい。「生産コストを押し上げ、設備投資を阻止し、サプライチェーンを混乱させ、アウトソーシングを促し、インフレをあおっているのなら貿易戦争だ。現在は全ての項目が当てはまる」バーナード・バウモール氏(エコノミック・アウトルック・グループ)
*いいえ。「社内で議論はあるが、私たちはこの状況を貿易紛争と呼んでいる。貿易戦争という言葉は、最終的に世界的リセッション(景気後退)につながる本格的な状態にエスカレートした時にとっておく」ポール・モーティマ=リー氏(BNPパリバ)
*はい。「私は貿易戦争だと思うが、動きは遅い。そして為替市場に広がる恐れがある」スコット・アンダーソン氏(バンク・オブ・ザ・ウエスト)
*いいえ。「まだ小競り合いの段階にあり、EUとは停戦の兆しがある。だが中国との貿易戦争はもっと可能性が高そうだ」ダイアン・スウォンク氏(グラント・ソーントン)
*はい。「米国は中国との貿易戦争にある」ジェイ・ブライソン氏(ウェルズ・ファーゴ)
*いいえ。「そうだとすれば、株価はずっと低いだろう」ジョセフ・ラボーニャ氏(ナティクシス)
*はい。「中国は激しい戦いがなければ都合の良い慣行をやめそうにない。中国との貿易闘争は深刻な結果を生みかねないが、必要な戦いだ」ラッセル・プライス氏(アメリプライズ・ファイナンシャル)
*いいえ。「貿易の取っ組み合いだ。ぬかるみにはまり、素手で殴り合っている。多少のかすり傷はあるが、まだパンチは決まっていない」ガナー・ブリックス氏、エイミー・クルーズ・カッツ氏(エキファックス)
*はい。「合意には程遠い」ジョエル・ナロフ氏(ナロフ・エコノミック・アドバイザーズ)
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• 関税の最大の敗者は? 輸出入の切れない関係

 


 


 
中国の自動車販売失速、投資家は注意を

吉利のSUV「リンク」
By Jacky Wong
2018 年 8 月 10 日 08:16 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 世界最大の自動車市場の失速が鮮明だ。中国国内の自動車メーカーも減速する公算が大きい。

 中国乗用車協会(CPCA)が発表した7月の自動車販売台数は前年同月比5.5%減少し、2カ月連続のマイナスとなった。1-5月期は5.3%増だった。

 CPCAの信頼度が高い訳ではないが、減速は他のデータからも明らかだ。バーンスタインによると、6月の新車向け保険契約件数は前年同月比10.5%減と大幅な落ち込みとなった。メーカー各社の販売データも低調だ。長城汽車(グレート・ウォール・モーター)が今週発表した7月の販売台数は前年同月比21%減。

 通商政策を巡る米中の応酬が激しさを増しているが、販売低迷の原因はおそらく国内に起因するだろう。中国当局が進めるシャドーバンキング(影の銀行)に対する締め付けだ。中国消費者は車購入でローンの依存を強めており、金融環境の引き締まりは自動車メーカーにとっては販売の足かせとなる。価格帯が低・中程度の市場をターゲットとする現地メーカーへの打撃がとりわけ大きいようだ。高めの車には手が出ない層は、一般的な借り入れ手段以外から購入資金を手当てする傾向が強いためだ。

 足元で、ネットを介して個人の資金を融通する「ピア・ツー・ピア(P2P)金融」の破綻が相次いでいることも、地方都市で自動車販売を押し下げているようだ。一方で、BMWやメルセデスなど高級車の販売状況は相対的に良好だ。富裕層はメーカー系列の金融会社や銀行から融資を得ることができる。

 中国自動車メーカーの株価は、この先の暗い見通しをすでに織り込んでいる。長城汽車と広州汽車集団の株価は年初来およそ半減している。中国勢で最も勢いのある吉利汽車控股(ジーリー・オートモービル)は37%値下がり。それでも依然として、バリュエーションは競合勢のおよそ2倍の水準だが、その開きは正当化される。同社の7月の自動車販売台数は32%増だった。

 だがその吉利も減速している。1-6月期は44%の伸びを記録していた。その原動力となったのが、昨年終盤に投入したスポーツ用多目的車(SUV)「リンク(Lynk)」だ。これはスウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーとの合弁が製造を担当しており、吉利の自社ブランドよりも高めの価格設定となっている。

 だが、海外の大手自動車メーカーも近く、現地提携先との合弁を通じて、リンクと同等またはこれを下回る価格で新型SUVを相次いで販売する構えで、リンクは激しい競争にさらされそうだ。しかも、リンクの合弁による吉利の収益への貢献度は低いかもしれない。吉利は利益とロイヤルティーをボルボ・カーと共有する必要がある。

 リンクを除くと、吉利の7月の販売台数は18.5%増と、2016年以来の低い伸びにとどまる。吉利で最も高額なSUV「博越(BOYUE)」の販売台数は11%減少した。販売台数の伸びはより廉価な車種によるものだが、収益の押し上げ効果は限られそうだ。吉利でさえ、業界全体の落ち込みに無縁ではいられないのだ。


 

 

米中貿易摩擦、網にかかったのは米水産業界

米国で水揚げされてから中国に輸出され、加工後に米企業が輸入する水産物は推定9億ドルに上る


米国が検討する対中追加関税の対象品目には、ティラピアからマグロまで数十種の魚が含まれている

SIMON SIMARD FOR THE WALL STREET JOURNAL


By Heather Haddon and Jesse Newman | Photographs by Simon Simard
2018 年 8 月 10 日 10:46 JST

 中国からの輸入品に対する米国の追加関税リストは、元々は米国産の主要産品にも結果的に打撃を及ぼす可能性がある。それは魚だ。

 トランプ政権は先月、中国からの輸入品2000億ドル(約22兆2000億円)相当に対する10%の追加関税を課す方針を示した。その対象品目の中には、ティラピアからマグロまで数十種の魚が含まれている。この追加関税の税率は25%に引き上げられる可能性があり、最終的には米通商当局によって9月に決定される。

 米国で水揚げされた後に中国に輸出され、切り身などに加工されてから米企業が輸入する水産物は、9億ドルに上ると推定されている。

 かつて米農務省で主任エコノミストを務めていたジョゼフ・グラウバー氏は、加工後に米国に再輸入される魚のような産品について「外国で付加価値が付けられているが、基本的には米国産品だ」と指摘。検討されている関税は、漁業者から消費者まで水産物サプライチェーン全般にわたり、利益を圧迫したり、価格を上昇させたりする可能性があると述べている。

 米国の水産団体によれば、加工作業のため中国に魚を輸出する慣行は、過去20年間に拡大してきた。米国内の加工工場が、高コストや労働力不足などに直面する一方、中国では国内の大規模な養殖漁業を支えるため、より低コストの工場が次々に誕生してきた。

 これにより、中国は米国向け水産物の最大の供給国となった。市場調査会社アーナーバリーによると、昨年の中国の米国向け水産物出荷量は13億ポンドで、2位インドの2倍となっている。

 米国産水産物が他国を標的とした輸入関税の影響を受けることは、世界のサプライチェーンがいかに複雑につながっているかを浮き彫りにする。例えば、アラスカ南東部で漁獲されるピンクサーモンは現地の工場で頭を切り落とし、はらわたを抜いて冷凍にした後、コンテナ船で中国に出荷される。中国に到着すると、切り身やサーモンバーガーなどに加工され、米国を含め世界向けに輸出される。

 アラスカの調査会社マクドウェル・グループのエコノミスト、ギャレット・エブリッジ氏によれば、中国に送られるアラスカ産水産物の半分以上は加工されて再輸出される。シタビラメなどの場合は最大95%が再輸出されるという。漁業はアラスカ州で最大の雇用を抱える産業の一つで、約6万人が従事している。また、アラスカ州の漁獲量は米国全体の60%を占めているという。

 一方、メキシコ湾岸の一部水産業者は、最新の対中関税に水産物を含めるよう政府に働き掛けていた。漁業団体「南部エビ連合(SSA)」は5月にトランプ政権に書簡を送り、中国産の養殖魚は抗生物質を使っていることが多いと指摘するとともに、不当な安値で輸出されSSAを圧迫していると訴えた。

 米通商代表部(USTR)の報道官は、関税発動に当たっては一般から意見を聴取し、「中国の有害な行動を変えさせるべく圧力を強められるよう品目を選定した」と述べた。

水産物輸入業者スレード・ゴートンの加工施設 PHOTOS: SIMON SIMARD FOR THE WALL STREET JOURNAL
 全米海洋大気局(NOAA)によると、米国は自国の天然漁業だけでは国内需要を満たすことができず、水産物消費量の80%を輸入に頼っている。中国からの再輸入に依存している米国の水産業者は今、ビジネスを失うのではないかと身構えている。関税が課されれば水産物の販売が減少し、小規模な家族経営の漁業者だけでなく、大規模な水産物加工業者、さらには漁網や船舶エンジンなど関連製品を販売する無数の業者に打撃を与える恐れがある。

 魚介類販売業は利益率の低いビジネスであるため、価格上昇分をレストランや食料品店などの顧客に転嫁する必要がある。そうすると、消費者向けの価格も上がる公算が大きい。

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 ボストンに本拠を置く水産物輸入業者スレード・ゴートンのキム・ゴートン最高経営責任者(CEO)は、卸売価格の潜在的な値上げに言及し、「1ポンド当たり25から50セントを転嫁するというのは至難の業だ」と話した。同社は米国で水揚げされたタラやサケなどを中国から再輸入している。輸入業者の一部は、関税が実際に発動された場合に備えて、中国の供給業者と価格交渉をしているという。

 水産物は、既に食肉など他のタンパク質源よりも平均価格が高くなっており、価格上昇の打撃を受けやすい傾向がある。ニールセン・トータル・ビューのデータによると、今年6月までの1年間の水産物平均価格は1パッケージ当たり7.22ドルと、前年の6.77ドルから上昇した。ニールセンによると同期間の食肉平均価格は、1パッケージ当たり3.54ドルだった。

 シカゴに本拠を置く中堅卸売業者、フォーチュン・フィッシュ&グルメのショーン・オスカンレイン社長は、「当社が水産物価格を10%上げれば、顧客が受け入れないだろう」と話す。同社は中国から年間約33万ポンドのイカやティラピア、ズワイガニなどを輸入している。同社長は、検討されている関税を回避するため、中国の輸出業者に前倒しで注文していると述べる。

水産物輸入業者スレード・ゴートンの従業員
水産物輸入業者スレード・ゴートンの従業員 PHOTO: SIMON SIMARD FOR THE WALL STREET JOURNAL
 水産物とは対照的に、食肉価格は供給増によって下がっている。連邦統計によると、食肉価格は2015年から6%近く下落しており、牛肉と子牛肉は5%下がっている。

 米国の水産業界の一部は、中国が7月に米国製品340億ドル相当に報復関税を課したことで打撃を受けている。関税負担の少ないカナダの供給業者に一部のバイヤーがシフトしたからだ。

 例えば、メーン州アランデルでステファニー・ナドー氏が経営するロブスター卸売会社は、年間売上高3000万ドルの30%強を中国に依存しているが、関税が実施されて以降は受注が停滞したと言う。

 ナドー氏は「25%の関税を課されていないカナダに対抗して、米国産ロブスターを売れるような魔法はない」と述べた。海外市場向けのロブスターは現在、水槽のなかにいるという。

検討されている関税は水産物サプライチェーン全般に影響を及ぼす

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米シニア世代の苦境、備えなく人生終盤に


老後の財務状況、前の世代より悪化するのは戦後初

債務や医療費、高齢の親の支援などがのしかかるシニア世代 THE WALL STREET JOURNAL
By Heather Gillers, Anne Tergesen and Leslie Scism
2018 年 8 月 10 日 09:14 JST 更新

 いま引退年齢に差しかかっている米国人は、前の世代よりも悪化した財務状況に直面する。ハリー・トルーマン元大統領の時代以降、こうした事態に陥るのは初めてのことだ。

 人生の円熟期を迎えようとするシニア世代。だが社会保障や年金基金の給付金を含めた彼らの収入の中央値はここ何年も横ばいのままだ。1950年代以降は増え続けるのが当然だった。

 一方で平均債務水準は高い。子供たちの教育ローンを返済している場合も多い。年老いた親の面倒を見るため、貯蓄を少しずつ取り崩してもいる。確定拠出年金(401k)がもたらす収入は微々たるものだ。2人世帯の場合、支給額の中央値は年間8000ドル(約88万円)にも満たない。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の分析によると、世帯主が55〜70歳の家庭では、引退後も生活水準を維持できる資金のない世帯が40%以上あることが判明した。約1500万世帯がこれに相当する。

 影響は幅広い層に及ぶ。先月発表された新しい国勢調査データによると、ベビーブーマー世代の引退が急増し、その結果、より少ない若年労働者が高齢者層を支えることになる。

 70歳を過ぎても仕事をやめない人や、単純労働を引き受ける高齢者が今後は増えるだろう。子供の資金援助に頼らざるを得ないため、若い世代をも苦しめることになる。

 企業は彼らの豊富な経験に頼る一方で、引退時期を延ばすことによる問題に取り組まなければならない。つまり、健康面の衰えに伴うコストを負担し、高齢労働者に再教育を施すことが必要になる。

 米国全体で見れば、引退後の収入不足は公的資金が大量につぎ込まれる前兆となる。特にシニアが課税対象の支出を減らし、当局が高齢者への公的扶助費を増やすと決めればなおさらだ。

米シニア世代の苦境、備えなく人生終盤に
 「この世代は自力で乗り切るしかない」。ボストン大学退職研究センターのアリシア・マンネル所長はこう話す。引退後の生活水準に関しては同センターの推定値および国勢調査データに基づいてWSJが判断した。

 アイオワ州在住のクレッグ・ウィットマイヤーさん(56)は以前、安定した老後のために自分が正しいことをしていると考えていた。ベビーブーマー世代の多くも同様だ。彼は20代で401kに加入した。だが34歳で離婚。このとき全額を引き出した。再び積み立て始めたが、5年後に失業。また全額を引き出したという。

 ウィットマイヤーさんの老後資金は現在10万ドルを若干超える程度。娘の学費ローンが9万2000ドル残っている。自分はいつ引退できるのか、あるいは引退してよいのかどうか分からないと語る。自分の親世代が置かれた立場とは正反対だ。元消防士と元教師の父母は、年金受給が保証されている。「老後の蓄えなど一度も心配したことがない」

 こうした見通しは、高齢者の経済的安定が改善され続けた数十年来の状況を一変させる。戦後しばらくは、社会保障に加えて、政府や企業から確定給付年金が支給されることで、数百万人の収入が保証されていた。経済成長に伴って賃金も上昇した。多くの人は親世代よりも良い財務状況で老後を迎えることができた。

 そんな時代は終わった。ベビーブーマーは401kなどで老後資金を自己責任で運用するよう促された初の世代だ。その結果、投資判断でミスした人、十分資金がたまらなかった人、様子見でスタートが遅れた人などが続出した。

 以下に考えるべきポイントを挙げよう。

・非営利(NPO)調査機関アーバン・インスティテュートがWSJの依頼で国勢調査データを分析した。それによると、55〜69歳の米国人の個人所得中央値は2000年から横ばい状態。1950年にデータを取り始めてから一度もなかったことだ。一方、25〜54歳の個人所得中央値は、ピーク時の2000年を下回るが、ここ数年は徐々に持ち直している。若い世代はまだ老後の貯蓄プランを見直す時間がある。

・ボストン大学退職研究センターが算出した最新の数字によると、401kに加入する世帯で55〜64歳の働き手が1人以上いる場合、2016年時点の年金積立残高(税制優遇あり)の中央値は13万5000ドル。例えば62歳と65歳の夫婦が今日引退したら、年金受給額は月額600ドル前後となる。

・無党派のNPO公共政策調査機関、従業員福利厚生研究所(EBRI)によると、世帯主が55歳以上の家庭で何らかの負債を抱える比率はこの20年余りで徐々に高まり、1992年の54%から2016年は68%になった。

・ニューヨーク連銀のインフレ調整後データによると、2017年の60〜69歳の負債総額は約2兆ドル。1人当たり負債額は2004年より11%増加した。2017年の自動車ローン残高は1680億ドルで、1人当たりのローン残高は2004年より25%増。2017年の学生ローン残高は2004年の6倍を超えている。

「不足」世代

 経済状況と人口動態のダブルパンチにより、米国のシニア層は借金をため込む一方、それを返すための資金は先細りするばかりだ。


未払いの請求書を一つ一つ調べるマコード夫妻

妻のリンダさんが服用する医薬品類

玄関先のポーチでくつろぐマコード夫妻
PHOTOS: COOPER NEILL FOR THE WALL STREET JOURNAL
 長く続いた低金利時代を背景に、ベビーブーマー世代は高騰する住居費や医療費、学費を借金でまかない続けた。低金利は彼らの生活の「安全装置」にも影を落とした。債券利回り低下を受け、多くの保険会社が、将来の生活費の助けとなる貯蓄型生命保険や介護保険の保険料を引き上げたからだ。財政状況の厳しい自治体が年金カットを検討する中、公務員の一部は不安にかられたまま生活している。

 平均寿命が延びたのに加え、教育費が高騰したことで、50代〜60代は成人した子供と年老いた親族の両方を支えることになった。一部はプロの介護者の手を借りねばならないだろう。だがその担い手は不足し、知人などに依頼していた昔に比べて費用が高くつく。

 それに輪をかけるのが医療費の負担だ。カイザー家族財団によると、平均的な労働者が払う個人健康保険の保険料は1999年から281%増の1213ドルとなった。この間のインフレ率は47%だ。EBRIが1518人の労働者を対象に昨年6月に実施した調査では、前年より医療費が増えたという答えが半数近くに上った。その結果、4分の1以上が老後の蓄えを取り崩し、半数近くがそれ以外の貯蓄を減らしたという。

 カイザー家族財団によると、大手企業のうち退職者医療保険を提供している比率は4分の1にとどまる。メディケアの資格要件を満たすまでの期間をカバーするものだ。1999年には40%が提供していた。メディケアの保険料や公的制度でカバーされない費用を払うために、社会保障受給金から支出することが増えているという。2013年には平均月額1115ドルの受給金のうち41%が医療支出に充てられた。この比率は年々上昇傾向にあるとカイザー家族財団は指摘する。

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3. 2018年8月10日 22:02:16 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[1216]

 
社説】トランプ関税が海外に押し戻す雇用
スタンダード・テキスタイルのユニオン工場(米サウスカロライナ州)

RD TEXTILE
2018 年 8 月 10 日 15:46 JST 更新

 米国では1991〜2016年に繊維工場の雇用が75%超失われた。「私の主な目標のひとつはそうした雇用機会を復活させることだった」。スタンダード・テキスタイル(オハイオ州シンシナティ)のゲーリー・ハイマン社長兼最高経営責任者(CEO)はこう話す。ハイマン氏は成功し、米南部の2都市で約400の雇用を創出した。しかし今度は、ドナルド・トランプ大統領の関税がこれらの雇用を海外に押し戻そうとしている。トランプ氏が主張する関税の効用とは正反対だ。

 スタンダード・テキスタイルは病院やホテル用のシーツやタオルといった繊維製品の生産に特化した企業だ。02年以来、約6600万ドル(約73億円)をサウスカロライナ州ユニオンとジョージア州トーマストンの製造施設や装置に投資してきた。

 同社が雇用する労働者に大卒資格は必要ない。正しい姿勢と仕事への適正を示せば、会社が実地研修を提供する。給与と諸手当を合わせた従業員の平均年収は4万4000ドル。ユニオンの家計所得の中央値3万5000ドル、トーマストンの同2万7500ドルを優に上回る金額だ。

 スタンダード・テキスタイルが主材料とするのは加工されていない生地で、毎年約3000万ドル相当を中国から輸入している。ユニオン工場の労働者は生地の汚れを落とし、漂白や染色を行ったものをロール状にしてトーマストンに送る。トーマストンの工場では裁断、縫製、包装をする。だがトランプ政権は7月、中国製品2000億ドル相当に関税10%を課すことを提案した。加工されていない生地も対象だ。トランプ大統領は8月1日、これを25%に引き上げるよう米通商代表部(USTR)に指示した。

 これにより、スタンダード・テキスタイルは外国の競合他社に対してかなり不利になる。昨年は未加工生地の関税に290万ドルを支払った。今回の動きで製造コストは最大750万ドル増える見通しだ。一方、中国の労働者が生産した最終繊維製品に課されるのは6.7%の古い関税のまま変わらないとみられる。

 ハイマン氏は、関税の引き上げが重荷となり、国内の一部工場閉鎖や数百人の解雇、生産拠点の海外移転を迫られる恐れがあると話す。

 2016年の大統領選でトランプ氏は、ユニオンとトーマストンで過半数票を獲得した。ユニオン工場の責任者ラス・オウグル氏によると、工場の労働者はトランプ関税に当惑している。「トランプ陣営が選挙で繰り返していたのは、米国、特に製造業に雇用を取り戻すという約束だった」とオウグル氏は述べる。

 同氏はさらにこう続ける。「私たちはここで、世界中の低賃金国に対する競争力を得ようと戦っているのだ。この関税とそれがもたらし得る影響は壊滅的だと思う。間違いなく壊滅的だ。収入が失われるだけでなく、無意味だ。この政策は米国のメーカーや雇用を犠牲にして、海外から最終製品を調達する企業に不当な優位性を与えている。私たちが求めているのは施しではなく、公平な条件だ」

 多くの企業が同様の疑問を投げかけている。トランプ氏本人は話したがらないが、関税による有害な影響に彼らは耐えているのだ。

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ワールド2018年8月10日 / 11:11 / 8時間前更新
人民日報、米中貿易摩擦で政府の国家主義的姿勢への批判に反論
1 分で読む

[北京/上海 10日 ロイター] - 中国政府の中枢では、米国との貿易戦争を回避するために政府が低姿勢で臨むべきとの批判が強まっているが、共産党機関紙の人民日報は10日、中国を象に例え、その大きさと力強さは隠すことができないと反論した。

複数の政府関係筋によると、米国との貿易摩擦の激化が共産党内に亀裂を生じさせており、党内では、過度に国家主義的な中国の姿勢が米国の態度硬化を招いた可能性があるとの批判が出ている。

人民日報は長文の社説でこうした批判層に直接狙いを定め、ホワイトハウスは内外で非難されている一方、インターネットで「まことしやかな」見解を流布させている向きがいると説明。

「見解の1つは『中国の戦略が自信過剰で高姿勢過ぎ、米国からの連続パンチを招いている』と中国を批判している。中国は反撃すべきでないとの批判もある。中国が降参している限り、米国は慈悲深く手を出さず、中国と米国の貿易戦争は起こらないだろうという意味だ」と指摘した。

しかしながら、貿易摩擦は中国が招いたものでは全くなく、旧ソ連や英国、日本など、米国の覇権を脅かす恐れがあるとみなした国を米国が追い込もうとするのは歴史が示しているとし、中国は巨大で成長する経済により、その最前線に立たされているとの見方を示した。

社説は「1世紀以上にわたる大変な努力を経て、中国は世界の舞台の中心に帰ってきた。中国と米国の貿易摩擦において、われわれが踏まえねばならない基本的な事実だ」とし、「象が苗木の後ろに隠れることができないように、中国の大きさや重さは『控えめな姿勢』では隠せない」と強調した。

また、米中貿易摩擦の激化は中国が米国の覇権を脅かす最大の存在になっているとの懸念が背景にあり、中国が米国に対する「前例のない敵」として浮上していると説明。

「中国が何をしようと、米国の目には中国の発展が既に『米国の優位性を損なっている』ように映る」とし、「このような『敵』に対しては、米国はまず敵の存在を利用し、『米国を再び偉大にする』ため国民の支持を呼びかけ、その上で敵の優位性をあらゆるレベルで抑制する、という2つの措置に出るのが必至だ」と指摘した。

 

 


 
2018.8.9 11:30
【石平のChina Watch】トランプ政権が発動した貿易戦争が狙う「中国潰し」

米中貿易摩擦などをきっかけに、苦しい立場に追い込まれている中国の習近平国家主席=7月26日、南アフリカ・ヨハネスブルク(ロイター)
 現在展開中の米中貿易戦争の背景には、米国が長年抱えている対中貿易の莫大(ばくだい)な赤字がある。2017年、米国の中国からの輸入総額は4297億ドルであるが、中国に対する輸出総額は1539億ドル。簡単に計算すれば、昨年において米国の対中貿易赤字は2758億ドル(約30兆5千億円)に達している。

 米国の赤字はそのまま中国にとっての貿易黒字。この巨額の対米貿易黒字を含めて、4225億ドルに上る対外貿易の黒字は中国の経済・政治・外交にとって実に大変重要な意味を持つものである。

 中国の稼いだ貿易黒字は当然、中国の持つ外貨、すなわち外貨準備高になる。2018年6月末、中国は世界一の3兆1129億ドルの外貨準備高を持っているが、それは中国経済だけでなく、中国の国民生活、産業発展、そして政治と外交の多方面にとっての「虎の子」なのである。

 中国は今や食糧輸入大国となっていて、2017年には海外から1億3062万トンの食糧を輸入している。国民1人当たりで約100キロの食糧を輸入しているから、食糧の対外依存度が非常に高いことがよくわかる。

 中国は石油輸入大国にもなっている。2017年、中国の石油輸入量は4億1957万トン、日本のそれの倍以上となっている。

 中国は自国の製造業を支えるのに、毎年海外からは、付加価値の高いハイテクの技術・製品を大量に輸入しなければならない。中国製のラジオ、テレビ、通信機、コンピューターなど、あらゆる電子機器は、その心臓部分の集積回路が海外からの輸入に頼っている。そのために中国は、昨年、海外から3770億枚もの集積回路を輸入している。こうしたハイテク技術・製品の輸入無しでは中国の製造業が成り立たない。

 このようにして、国民生活に直結する食糧の輸入から経済と産業全体を支える石油の輸入やハイテク技術・製品の輸入まで、中国は今や世界有数の輸入大国になっているが、大量の輸入を支えるためには豊富な外貨準備高を持たなければならない。そのために毎年のように莫大な貿易黒字を稼がなければならない。そしてその中で、中国の対米貿易黒字は、貿易黒字全体の6割以上も占めている。

 つまり米国こそは、中国の貿易黒字稼ぎの最大のお得意さまであるのだが、米国から本格的な貿易戦争を仕掛けられると、貿易黒字と外貨保有の大幅減は避けられない。そうなれば肝心なところで輸入に頼っている中国の産業がダメになるだけでなく、食糧・エネルギーの安全までが脅かされ、社会的・政治的不安が拡大するのは必至である。

 それに加えて、中国は一帯一路と称する国際的投資プロジェクトを進めていくのにも資金源となる豊富な外貨を持たなければならないし、南シナ海戦略の推進に当たって一部の関係国を経済援助で籠絡するためにも外貨は必要である。貿易黒字と外貨の大幅減は、習近平政権の国際戦略を無力化してしまうのである。

 こうしてみると、中国からの貿易赤字(すなわち中国にとっての貿易黒字)の是正を目標とした米国の貿易戦争は、中国の対外輸出を直撃し中国の稼ぐ貿易黒字と外貨準備高の大幅減をもたらすことによって、中国の経済・産業、国民生活・外交戦略に多大な打撃を与えかねない状況であることが分かる。そして中国の立場からすれば、米国の仕掛けた貿易戦争は単なる貿易領域の戦争ではなく、中国の経済と産業、そして政治と外交に大打撃を与えようとする「全面戦争」なのだ。

 あるいは、貿易戦争を発動したトランプ政権の狙いは最初からそういうところにあるのかもしれない。トランプ政権は、貿易戦争の発動で本格的な「中国潰し」に取り掛かろうとしているのである。

                  ◇

【プロフィル】石平(せき・へい) 1962年、中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。


4. 2018年8月10日 22:16:46 : 86wNaCGoz6 : eBgazD6EyTw[36]
長過ぎるコメントで読む気が失せる
何のためのコメントなんだろう?
コピペなら、リンク先のアドレスをはればいいじゃん
意図はわかりませんが「管理人に報告」にしておきます

5. 2018年8月11日 10:36:47 : UHGoz7a2sA : gmERwS3X2y0[1]
>>4

コメントスパムの一種と言って良いでしょうね。

大体、アメリカエスタブリッシュメントを批判する内容の記事であれば、関係あろうとなかろうと反米非米国家を中傷する記事を大量に貼り付ける。

それによって、まともなコメントを読みにくくしているのですから、心ある投稿者なら初期非表示の対象としているところです。


6. 2018年8月11日 10:49:56 : fhiYlcivmo : RBytx5ZyLMo[21]
石平さんのコメントを出してくるだけで、中国を敵視していることになります。

元首相の鳩山由紀夫さんが最近ツイッターで書かれていた内容ですが、友人と話していて米中貿易戦争はアメリカの敗北に終わるだろうと。行き詰ったアメリカと、どんどん成長する中国とですから、もう勝敗は見えています。


7. 2018年8月11日 12:31:07 : 0CejVRban6 : urcdmA9xc1s[9423]
⇒《トランプによる対中高関税が何度も発動されているにもかかわらず、今のところ、そう落ち込んでいるわけではない。
また米議会上院は7月26日、1660品目の製品に関して輸入関税を引き下げる(中には撤廃する)法案を可決した。…日本ではあまり伝えられていないが、中国では嬉々として伝えている。》

もう軟化ですね。やはり中間選挙用のポーズでしょう。
選挙が終わり次第、また元に戻すんじゃないですかね。


8. 2018年8月11日 14:57:35 : 86wNaCGoz6 : eBgazD6EyTw[40]
結局、中国すごい
の記事になっているように読めるんだが
米国のバッシングで必死になった中国は、米国の思惑とは裏腹に
技術力が加速していくんじゃないかな それだけの地力はついていると思う
分散している人材を集中して、共産主義の強みを生かして
客観的に見て、トランプ氏の対策は遅かったかな

>少なくとも習近平の狙いと野心だけは見落とさないようにしたいものである。

いや、米国の暴力外交よりはいいよな遠藤さん


9. 2018年8月11日 20:58:07 : YD5so7puk6 : uO2KHR3irnA[2] 報告
アフリカに 中国の手が 深く伸び

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