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サウジと米国で展開される民主主義と無縁の権力抗争(その1)(櫻井ジャーナル)
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/298.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 10 月 17 日 13:21:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

サウジと米国で展開される民主主義と無縁の権力抗争(その1)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201810170000/
2018.10.17 櫻井ジャーナル


 サウジアラビアの現国王はサルマン・ビン・アブドラジズ・アル・サウドだが、実際に国を動かしているのはモハメド・ビン・サルマン皇太子。トルコのイスタンブールにあるサウジアラビア領事館へ入ったままジャマル・カショーギが行方不明になっている事件の責任者もサルマン皇太子だと考えられている。

 この事件に不可解な点があることは本ブログでも指摘した。ここにきて話題になっているのは10月10日にアル・ジャジーラが公表した写真。

 カショーギが行方不明になった10月2日にイスタンブールへ到着した15名のサウジアラビア人が写っている。この15名は行方不明、あるいは殺害に関係した疑いがあるとされたのだが、そのうちのひとり、アブデル・アジズ・シャビブ・アル・バラウィは昨年、死亡しているとこの人物の家族が証言しているのだ。これが事実なら、問題のサウジアラビア人グループが10月2日にトルコ入りしたという話が怪しくなる。ひとりを殺したり誘拐するために15名も必要ないという疑問は当初から指摘されていた。

 行方不明事件が起こった頃、アメリカとサウジアラビアとの関係はギクシャクしていた。例えば10月2日、アメリカのドナルド・トランプ大統領はミシシッピー州で開かれた集会で、​サウジアラビアの現体制はアメリカの保護がなければ2週間で潰れると同国のサルマン国王に対して警告した​と語っている。

 嘘ではないが、アメリカがサウジアラビアの王制を守るのはドル体制を維持するためにほかならない。少なからぬ人が指摘しているが、サウジアラビアをはじめとする産油国に対してアメリカ支配層は石油取引の決済をドルに限定させ、その代償として収入と支配者としての地位を補償したのだ。いわゆるペトロダラーだが、この補償を取り消した場合、ドル体制が揺らぎ、アメリカを中心とする支配システムが崩れてしまう。

 つまり、トランプの脅しが王制の崩壊を意味しているのではなく、モハメド・ビン・サルマンの体制が倒れるという意味だったのだろう。ビン・サルマンが皇太子に就任したのは2017年6月、その前の皇太子はホマメド・ビン・ナイェフだった。

 ビン・ナイェフはネオコンに近かったのだが、2016年のアメリカ大統領選挙でネオコンが担いでいたヒラリー・クリントンが敗北、皇太子の地位を失った。新皇太子はアメリカのドナルド・トランプ大統領やイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に近い。

 カショーギは1980年代から記者をしているが、タルキ・ファイサル・アル・サウド(タルキ・アル・ファイサル)の下でプロパガンダの仕事をしていた。このタルキ・アル・ファイサルは1979年から2001年、9/11の10日前まで(!)サウジアラビアの情報機関GIP(総合情報庁)の長官。この人物の兄弟、ハリド・アル・ファイサルの影響下にあるとされている新聞がアル・ワタンで、カショーギは2003年に同紙の編集者を務め、2007年には編集長に就任した。カショーギが本当に民主主義的な考え方の人物だったなら、タルキ・アル・ファイサルに重用されるということは考えにくい。

 思想的には反コミュニズムでジハードを支援、そうした関係からジミー・カーター政権の国家安全保障補佐官だったズビグネフ・ブレジンスキーが始めたサウジアラビアでの秘密工作に参加、オサマ・ビン・ラディンとも知り合いになっている。ダーイッシュ(イスラム国、IS、ISIS、ISILとも表記)による斬首も賞賛していた。

 形式上、カショーギはジャーナリストなのだが、本ブログでも書いたように、サウジアラビアやアメリカの情報機関と結びつき、オサマ・ビン・ラディンと同じようなタイプの人物。サウジアラビアでジャーナリストは迫害され、処罰の対象になる。カショーギは支配システム内部の人間だった。

 カショーギがアメリカへ逃れたのは権力抗争の結果にほかならない。2017年6月に皇太子がホマメド・ビン・ナイェフからモハメド・ビン・サルマンへ交代、カショーギはアメリカへ移動し、同年9月からワシントン・ポスト紙で書き始める。その2カ月後にサウジアラビアでは大規模な粛清が行われた。

 王族、閣僚や元閣僚、軍人などサルマン皇太子のライバルやその支持者と目される人々が拘束されているのだが、その中には1983年から2005年まで駐米大使を務め、05年10月から15年1月にかけて国家安全保障会議事務局長、12年から14年までGIP長官を務めたバンダル・ビン・スルタンも含まれている。

 この人物はアル・カイダ系の傭兵やチェチェンの武装集団をコントロール、いわば「テロの黒幕」的な存在。ブッシュ家と親しいことでも有名で、「バンダル・ブッシュ」と呼ばれるほどだ。粛清の結果、ビン・サルマン皇太子とCIAとの関係は悪化、アメリカ側から何らかの報復があるのではないかと言われた。(つづく)





 

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