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世にも奇妙なホワイトハウス公式文書(ニューズウィーク)
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/623.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 11 月 26 日 21:17:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

世にも奇妙なホワイトハウス公式文書
https://www.newsweekjapan.jp/suzuki/2018/11/post-15.php
2018年11月26日(月)15時55分 ニューズウィーク



Eric Thayer-REUTERS


<サウジアラビアのジャーナリスト、ハーショグジー氏殺害にムハンマド皇太子が関与していると疑われる中でトランプ大統領が出した声明は公式文書として極めて奇怪なものだ。その内容を読み解いてみる>

中間選挙以降、これまで以上に奇怪な言動が目立つようになったトランプ大統領だが、サウジの著名ジャーナリストであるハーショグジー氏(日本のメディアでは「カショギ氏」と表記されることが多い)の殺害に関して、サウジのムハンマド皇太子が関与していると疑われる中で、トランプ大統領が皇太子を擁護する議論は、中でも奇怪なものである。

しかも、その議論がホワイトハウスの公式文書として発表され、後世に残る文書となっているのはなんとも奇妙なものである。日本の報道では、その奇妙さがあまりハイライトされず、皇太子の関与について「明言しなかった」という形で報じられることが多かった(NHK、時事通信)。ここではツッコミどころ満載のホワイトハウス文書に逐一ツッコミを入れてみたい。

■冒頭から暴走気味

このホワイトハウスの公式文書を開いた瞬間、その奇妙さが目に飛び込んでくる。まずはこの画像から見て欲しい。



文書のタイトルは「サウジアラビアを支持するドナルド・J・トランプ大統領の声明」という文書であり、「明言しない」どころか、明白に立場を示すタイトルになっており、ハーショグジー氏殺害を巡って国際世論がサウジ批判を強めている中で「サウジを支持する」と立場を鮮明にするリスクなど全く考慮しない、サウジにおもねるタイトルをいきなり出してくる。

しかも、さらに奇妙なのは「サウジを支持する」と言いながら、最初に何の脈略もなく「America First!」とエクスラメ−ションマークをつけた一言を入れている点である。サウジにおもねることがアメリカ第一とどう関係するのかもよくわからない。そして追いかけるように「世界はとても危険な場所である!」とまたエクスラメ−ションマークをつけた文章で、何がどう危険なのか、何を言いたいのかよくわからない文章が続く。公式文書でエクスクラメーションマークをつけること自体が伝統的な公式文書の作法から言っても異様であり、このようなスローガンだけを投げつけるような書き方は公式文書でなくとも奇妙である。入り口から暴走気味の文書で、その先を読んでいくのが怖くなる。

■いきなりイラン

サウジを支持するという文書であるという位置づけのこの声明だが、「世界はとても危険な場所である!」という文章の次に始まるパラグラフでは以下のように進む。


The country of Iran, as an example, is responsible for a bloody proxy war against Saudi Arabia in Yemen, trying to destabilize Iraq's fragile attempt at democracy, supporting the terror group Hezbollah in Lebanon, propping up dictator Bashar Assad in Syria (who has killed millions of his own citizens), and much more. Likewise, the Iranians have killed many Americans and other innocent people throughout the Middle East. Iran states openly, and with great force, "Death to America!" and "Death to Israel!" Iran is considered "the world's leading sponsor of terror."

(一つの例として、イランはイエメンにおけるサウジアラビアに対する血塗られた代理戦争に責任があり、イラクの脆弱な民主主義への挑戦を不安定化させ、レバノンのテログループであるヒズボラを支援し、シリアの独裁者であるバシャール・アサド(数百万の自国民を殺害している)を支えている、などなど。同様にイラン人は中東全域で多くの米国人や無辜の人々を殺害している。イランは、強い勢いで「アメリカに死を!」「イスラエルに死を!」と叫んでいる。イランは「世界的な主導的テロ支援国家」と考えられる)


サウジの話をするはずなのに、いきなりイランを批判するだけの文章となっており、改めてトランプ政権のイランに対する見解が述べられている。サウジとイランは対立関係にあり、イランがひどい国家だからサウジを支持するという議論なのだろうと想像することは出来るが、それにしても、タイトルと関係ないイランの話から入ってくるあたりに、この声明が、サウジの説明を信じて、ハーショグジー氏殺害にムハンマド皇太子が関与しているかどうかよりも、イランに対抗するサウジとの関係を維持することが重要なのだという議論であることを強く示唆する文章となっている。

なお、イエメン内戦にイランがどの程度責任を持っているのかについては議論が残る。元々は「アラブの春」の影響を受けた権力闘争が内戦の引き金であり、その背景には1990年にそれまで南北に分かれていた二つの国家が統合して成立するという構造的な対立関係もあり、これらのプロセスにイランはほとんどかかわっていない。内戦の一方の当事者であるフーシ派に軍事的支援をしているのは確かだが、シリアにおける内戦介入とは異なり、イランは武器輸出などでの支援はしているが、フーシ派を支援するためにイランの部隊(革命防衛隊クッズ部隊など)を送ってはいない。他方、フーシ派の台頭を恐れるサウジはUAEなどと合同軍を編成して3年以上空爆を継続するなど、直接介入を行っている。

■フェイクな事実に基づくサウジ支援

第二パラグラフでは一般に知られている事実とは異なる事実(Alternative Factsと呼ぶべきものだろう)に基づいてサウジを擁護している。


On the other hand, Saudi Arabia would gladly withdraw from Yemen if the Iranians would agree to leave. They would immediately provide desperately needed humanitarian assistance. Additionally, Saudi Arabia has agreed to spend billions of dollars in leading the fight against Radical Islamic Terrorism.

(他方、サウジアラビアはイランがイエメンから撤退するなら喜んでイエメンから撤退するだろう。サウジはイエメンが渇望する人道的援助を即座に提供するだろう。加えて、サウジアラビアは過激なイスラム主義テロリズムと戦うための数十億ドルの資金を提供することに合意している)


イエメン内戦からイランが撤退すると言っても、そもそもイランの部隊はイエメンに展開していない以上、何を撤退させるのか、という点が明らかではない。しかも、サウジと対立するフーシ派は国連主導の和平交渉に参加する意図を示し、サウジのサルマン国王もイエメンの和平を望むという発言がなされた直後にサウジはフーシ派の拠点を空爆し、イエメン内戦への介入を主導するサウジの国防大臣も兼務するムハンマド皇太子は国王の意図を無視して和平交渉を認めないという姿勢を示している。

イエメンは現在の世界でも最も危機的な人道問題を抱えている。国連の報告では85000人の子供達が飢餓に直面しており、医薬品の不足からコレラが一時期蔓延したこともある。これらは人道支援物資の供給の拠点となるホデイダ港などが激しい戦場になっていることがあり、人道支援物資を陸揚げすることが事実上困難になっているからである。そのためにも一時的な和平が必要なのであるが、サウジはそれに応じる姿勢は見せていない。

このように、ホワイトハウスの公式文書に書かれている内容は、およそ事実に基づいたものとは言い難い。

■サウジの国防費を超える契約

トランプ大統領のサウジ支持の根幹にはサウジによる武器調達契約があるが、この公式文書の第三パラグラフでも隠すことなくそれが語られている。


After my heavily negotiated trip to Saudi Arabia last year, the Kingdom agreed to spend and invest $450 billion in the United States. This is a record amount of money. It will create hundreds of thousands of jobs, tremendous economic development, and much additional wealth for the United States. Of the $450 billion, $110 billion will be spent on the purchase of military equipment from Boeing, Lockheed Martin, Raytheon and many other great U.S. defense contractors. If we foolishly cancel these contracts, Russia and China would be the enormous beneficiaries - and very happy to acquire all of this newfound business. It would be a wonderful gift to them directly from the United States!

(昨年の私のサウジアラビアへの交渉では、サウジは4500億ドルを支払い、投資することに合意している。これは記録的な額だ。これはアメリカに数十万の雇用を生み、素晴らしい経済成長を可能にし、更なる富をもたらす。この4500億ドルのうち、1100億ドルはボーイング、ロッキード・マーチン、レイセオンや他の偉大なアメリカの防衛企業からの軍事装備品の調達に使われる。もし我々がこれらの契約を愚かにも解除すれば、ロシアや中国が大きく恩恵を受けるだろう。そして彼らはそれを元に新たなビジネス基盤を獲得するだろう。アメリカから直接素晴らしい贈り物を贈ることになる!)


サウジからアメリカに投資される金額に関して、トランプ大統領はしばしば異なる数字を口にすることがあるが、さすがに公式文書である以上、間違った数字は書かないだろうと考えたいところだが、トランプ政権の公式文書に書かれている内容は、トランプ大統領の口から出てくる言葉と同様に信用が出来ない。とりわけここでは"my heavily negotiated trip"と一人称で書かれていることからもわかるように、公式文書とはいえ、トランプ大統領の個人的な書き物になっており、大統領自身が筆を執った可能性が高い。

仮にこの数字が正しいとして、1100億ドルが軍事装備品に使われると言うが、この数字はサウジの国防予算を遙かに上回る数字である。ストックホルム平和研究所(SIPRI)は2017年の国防予算を694億ドルとみている。1100億ドルが複数年にわたって支払われるものであることは間違いないが、イエメン内戦に介入する費用も含まれる国防予算の中でこれだけの支出をするのは並大抵のことではない。果たしてこの数字が本当にサウジがコミットする金額なのかどうか、疑問は残る。

■シュレディンガーのムハンマド皇太子

第五パラグラフでは盛んにメディアで報じられて有名になった一文がある。


Representatives of Saudi Arabia say that Jamal Khashoggi was an "enemy of the state" and a member of the Muslim Brotherhood, but my decision is in no way based on that - this is an unacceptable and horrible crime. King Salman and Crown Prince Mohammad bin Salman vigorously deny any knowledge of the planning or execution of the murder of Mr. Khashoggi. Our intelligence agencies continue to assess all information, but it could very well be that the Crown Prince had knowledge of this tragic event - maybe he did and maybe he didn't!

(サウジアラビアの代表は、ジャマール・ハーショグジーは「国家の敵」であり、(テロ集団とサウジが見なしている)ムスリム同胞団のメンバーであると言うが、私の判断はそれらに基づいたものではない。これは受け入れがたい、ひどい犯罪だ。サルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子はハーショグジー氏の殺害に関する計画や実行に関して知らなかったと強く否定している。我々のインテリジェンス機関は全ての情報の分析を継続しているが、皇太子はこのひどい事件に関して知っていたという結論になるかもしれない、知っていたかもしれないし、知らなかったかもしれない!)


ムハンマド皇太子の関与は大きな争点になっており、CIAは既に皇太子は殺害を指示したとの結論を出したと報じられているが、トランプ大統領はインテリジェンス機関の判断を知らされているにもかかわらず、皇太子の関与をどちらとも明言しなかった。いや、むしろ関与していたこととしていなかったことが同時に存在しうるような表現を使っている。物理の世界でよく知られている「シュレディンガーの猫(猫が生きている状態と死んでいる状態が同時に存在しうるという思考実験)」を彷彿とさせるような表現である。

■それでもサウジと共にあるアメリカ

国際的な注目を集めるハーショグジー氏殺害事件だが、そこにムハンマド皇太子が関与したかどうかなど関係ないと一蹴する第六パラグラフ。


That being said, we may never know all of the facts surrounding the murder of Mr. Jamal Khashoggi. In any case, our relationship is with the Kingdom of Saudi Arabia. They have been a great ally in our very important fight against Iran. The United States intends to remain a steadfast partner of Saudi Arabia to ensure the interests of our country, Israel and all other partners in the region. It is our paramount goal to fully eliminate the threat of terrorism throughout the world!

(そうはいえど、ハーショグジー氏殺害に関する全ての事実を知りうることは出来ない。何にせよ、我々の関係はサウジアラビア王国と共にある。サウジは我々のイランとの大変重要な戦いの偉大な同盟国である。アメリカは我々やイスラエルや地域のパートナーの国益を守るためにもサウジアラビアの不動のパートナーであり続ける意思を持つ。世界中のテロの脅威を完全になくすことが我々の最上のゴールである。)


イランとの「戦い」と、既にマインドの上ではイランとの戦争を始めているトランプ大統領だが、その「戦い」のためにはサウジとの同盟を維持することが重要であると改めて強調している(なお、アメリカとサウジの間には相互安全保障を定めた条約などはない)。さらに、アメリカだけでなく、イスラエルの国益のためにもサウジとの同盟関係が必要であるという主張をしている。

しかし、イエメンに介入してから3年以上も経つのに、一向に軍事的な勝利を得ることがなく、相当な戦費をかけ、アメリカの支援を受けているのにフーシ派との戦いに決着をつけることが出来ないサウジが、果たしてイランとの「戦い」でどのような役割を果たすのかは興味深いところである。トランプ大統領はサウジの軍事力をどのように評価しているのかは不明だが、アメリカの最新鋭の武器を揃えても、それが自動的に軍事的な力になっていないという点は留意しておきたい点である。

■アメリカ第一のためのサウジとの同盟

最後の第七パラグラフでは、国内の共和党も含むムハンマド皇太子への批判勢力(とりわけ共和党のグラハム上院議員など)へのメッセージで締めくくり、アメリカ第一主義とサウジとの同盟の重要性が説かれている。


I understand there are members of Congress who, for political or other reasons, would like to go in a different direction - and they are free to do so. I will consider whatever ideas are presented to me, but only if they are consistent with the absolute security and safety of America. After the United States, Saudi Arabia is the largest oil producing nation in the world. They have worked closely with us and have been very responsive to my requests to keeping oil prices at reasonable levels - so important for the world. As President of the United States I intend to ensure that, in a very dangerous world, America is pursuing its national interests and vigorously contesting countries that wish to do us harm. Very simply it is called America First!

(政治的な動機ないしは他の理由で議員の中に異なる主張をする人たちがいることを私は理解している。彼らがそうするのは自由である。彼らが示すいかなるアイディアも、アメリカの完全なる安全と安全保障と矛盾しない限りにおいて考慮する。アメリカに次いでサウジは世界でも最大の産油国である。彼らは我々と緊密に協調し、原油価格を合理的なレベルに抑えて欲しいという私の要求に非常に積極的に対応している。これは世界にとってとても重要だ。アメリカ大統領として、このとても危険な世界において、アメリカが国益を追求し、我々に害をなそうとする敵対国家と強く対抗することを推し進める。簡単に言えば、これがアメリカ・ファーストだ!)


このパラグラフでは、サウジはイランに対抗し、原油価格を下げる努力をしてくれる国でもあり、それは世界のため(実質はアメリカのため、しかもトランプ支持者のため)になることをしてくれる国である、ゆえにサウジとの関係はアメリカ第一主義なのだ、という論理が展開されている。それはアメリカの価値や道徳を優先するという意味ではなく、アメリカの利益を優先するアメリカ第一主義である。

つまり、気に入らないジャーナリストを殺害するのは、アメリカが掲げる報道の自由や言論の自由といった価値に反すると考え、サウジを批判するグラハム上院議員のような人に対し、アメリカの利益のために報道の自由などはたいした問題ではないというのが、このホワイトハウスの公式文書の主旨である。言い換えれば、アメリカの役に立つことであれば、ジャーナリストを殺害するのも問題ないと言わんばかりの議論である。すでにトランプ大統領はこうした価値や正義よりも利益を優先するという姿勢は何度も見せてきたが、それが赤裸々に公式文書で語られるということに相当な違和感がある。

■結局道具扱いのサウジアラビア

この文書を通して読んでみて気がつくのは、アメリカがサウジを守るために努力をするという話を一切していないことである。サウジはイランの脅威を強く感じており、とりわけムハンマド皇太子はイランを最大の脅威とみているのだが、そのムハンマド皇太子に安心を供与するということを目的としているというニュアンスはほとんど感じられない。

むしろ、このパラグラフの表現からにじみ出てくるのはアメリカはイスラエルのためにイランと戦っており、そのための手段としてサウジが必要と感じている、ということである。つまり、トランプ大統領にとっては、ムハンマド皇太子が殺害に関与したかどうか、イランから脅威を抑えることで安心するかどうかには関心がなく、あくまでもアメリカとイスラエルのために役に立つからサウジと同盟を組んでいるということになっている。

果たしてトランプ大統領の頭の中では、日本はイスラエルのような、真に守らなければいけない国家に見えているのか、それともサウジのように都合の良い道具のような国家に見えているのか、トランプ時代の日米同盟を考える上で避けては通れない問いなのかもしれない。



 

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