W杯の裏で…アベ政権のいつもの手口に加担する大マスコミ　二極化・格差社会の真相
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/232530
2018年7月4日　日刊ゲンダイ

　
　決勝トーナメント進出を決めた隙に…（Ｃ）Norio ROKUKAWA／office La Strada

　ここまで来たら、一般紙はスポーツ紙に、テレビはスポーツ専門チャンネルに衣替えしたらいい。それならこちらは無駄な期待を抱いて絶望させられなくてよいし、記者やディレクターの皆さんも、余計な気を使わずに仕事ができて満足だろう。

　何なんだ、これは。連日連日、朝から晩まで、サッカー、サッカー、サッカー……。先月２９日の朝刊各紙の１面が揃って日本チームの決勝トーナメント進出で埋め尽くされた図には、悲しくてやりきれなかった。前日の参院厚生労働委での“働き方改革”関連法案、事実上の「働かせ方改革」関連法案の強行採決が、例外なく小さく、隅っこに追いやられていた。

　当日に参院本会議で可決・成立した後の紙面では、一応の批判や、過労自殺した電通の高橋まつりさん（当時２４）の母親たちによる無念の記者会見を報じたところもあるにはあった。だが決まった後で何を書こうと遅い。

　企業はこれで人件費を大幅に削減できる分、過労自殺も過労死も珍しくなくなる。働く者の生死に関わる重大ニュースをサッカーが目立たなくしてくれたことで、この間のモリカケも、ウソだらけの政治もチャラになったと、アベ政権の面々は大喜びのはずである。

　大きなスポーツイベントがあるたびに繰り返される最低の茶番。なるほど重要問題のことごとくをそういうタイミングにぶつけてくるアベのやり方には吐き気を催す。だが、連中の本質など初めからわかりきっている。もはや“乗せられた”で済むはずもない。アベ政権の手口に積極的に加担、どころか一体化、もっと言えば演出を買って出ていると軽蔑されて当然だ。

　まがりなりにもジャーナリズムに携わる人間がこうまで堕ちた最大の原因は、やはり軽減税率だと、私は断じたい。この問題の詳細は何度も繰り返したので本稿では割愛するが、最近、自民党税制調査会の元幹部に取材したときのやりとりが忘れられないので報告する。

――権力にオネダリしてしまった新聞は、もはや民主主義社会の必要条件であるチェック機能を果たせなくなるのでは。

「まったくだ。私もそれを心配しているのです」

　権力の側にいる人にまで、そう思われているようではオシマイだ。アベ政権が企てる改憲へのスケジュールと、マスメディア側の改心のどちらが早いか。そもそも現状では後者などあり得ないとみられ、とすればこの国が名実ともに米国の傭兵国家となるのも時間の問題、ということになるのだが。


斎藤貴男　ジャーナリスト
１９５８年生まれ早大商卒業、英国・バーミンガム大学大学院修了（国際学ＭＡ）。『日本工業新聞』入社後、『プレジデント』編集部、『週刊文春』の記者を経て独立。弱者の視点に立ち、権力者の横暴を徹底的に批判する著作を出し続けている。消費税の逆進性を指摘する著作も多数。「機会不平等」「安心のファシズム」「戦争のできる国へ　安倍政権の正体」「ちゃんとわかる消費税」など。

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— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) 2018年7月3日

斎藤貴男氏　アベ政権が企てる改憲へのスケジュールと、マスメディア側の改心のどちらが早いか。この国が名実ともに米国の傭兵国家となるのも時間の問題、ということになるのだが。
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— toripy （Evil to LDP） (@t_toripy) 2018年7月3日

■「使」サイドの《働かせ方壊悪》（https://t.co/TW8BD1BYSW）【斎藤貴男…／W杯の裏で…アベ政権のいつもの手口に加担する大マスコミ】（https://t.co/cTwPkpBseK）／《朝刊各紙の１面が揃って…埋め尽くされた図には、悲しくてやりきれなかった。前日の参院厚生労働委での“働き方改革”関連法案…》

— AS (@ActSludge) 2018年7月3日

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その時間、たとえ政治専門のニュースを流した局があったとしても、ほとんどの日本人はサッカーしか見ないから、状況は変わらないんだろうなと思う自分がいて、あらためて日本人の質の悪さに嘆いてしまうよ。

— はひもふ（脱原発に1票） (@haaaaassan) 2018年7月4日

■軽減税率というお零れにすがってしまったマスコミ（https://t.co/7pGSq0Dojw）【斎藤貴男　二極化・格差社会の真相／W杯の裏で…アベ政権のいつもの手口に加担する大マスコミ】（https://t.co/cTwPkpBseK）／《もはや“乗せられた”で済むはずもない。アベ政権の手口に積極的に加担、どころか一体化》

— AS (@ActSludge) 2018年7月3日

先月２９日の朝刊各紙の１面が揃って連日朝から晩までサッカー。前日の「働かせ方改革」関連法案の強行採決が小さく隅っこに追いやられていた。新聞は民主主義社会の必要条件であるチェック機能を果たせなくなるのでは。
W杯の裏でアベ政権のいつもの手口に加担する大マスコミ https://t.co/lVTu72YjHm

— アトン (@aton_blog) 2018年7月4日

コメント
1. 2018年7月04日 16:14:25 : 1z0U4r7YxE : qOizxeHsfO8[69] ▲△▽▼ 面白いように「愛国者」にさせられる多くの日本人。
2. 2018年7月04日 16:21:56 : 0CejVRban6 : urcdmA9xc1s[9035] ▲△▽▼ ⇒《権力にオネダリしてしまった新聞は、もはや民主主義社会の必要条件であるチェック機能を果たせなくなるのでは。》 サッカーでも同じことが言えますね。 https://www.tbsradio.jp/268762 セルジオ越後氏が的確に批評してます。 「日本は（状況分析した策ではなく）決め事をやったんですね」 「こんなに勝てない国で、なんで辛口が一人だけですかね」 政治も批判できないし、サッカーも批判できないし… 要するに勉強不足、専門家不足のシロウトジャーナリズム。そして「スポンサーさまさま」なんでしょう。 拝金土人国家です。
3. 2018年7月04日 20:19:45 : KmxizWASj6 : EEPz40o3@5c[1] ▲△▽▼ ワールドカップを見ているから気がついたのですが、 電通は仕事量をかなり減らしていると思います。 その証拠として、ロシアの球戯場に日本の企業広告を見つけられません。 ACミランの人気が高かった頃、球戯場の周りは世界中の企業広告だらけ。 イタリアらしくデザインがおしゃれでしたが、世界中から観客が集まるほどの人気チームなので、街中も華やかでした。
4. 2018年7月04日 20:52:58 : W4LRdQCP62 : WtXV40Kezu0[5] ▲△▽▼ かくいうゲンダイも、ガス抜きというチンケな商売しかやらないし、本気で日本を良くしたいという誠意は、記事内容や、結果からなーんも感じられないんだけどね。 言われて悔しかったら、電通と対決してみろってーの。
5. 2018年7月04日 20:54:51 : i6yWVad0zo : D8JeQ@N@tW0[1] ▲△▽▼ 北海道農業が大雨と日照０により壊滅いたします。 日本は厳冬の年を迎える 今年はポテト・玉ねぎが消滅 飲食店や食品メーカーも死ぬ 過去に類を見ない危機に直面している 安倍政権下でこの追い打ち…。
6. 2018年7月04日 23:09:19 : pxgwgovz2Q : W8I8Zx2GSxE[479] ▲△▽▼ 改めて　愚民化ツールと　思い知り
7. 2018年7月05日 01:15:08 : mvOXn2mbEw : SShlYFM8dko[1] ▲△▽▼ >>2さん、そんなことは無いですよ。朝日も「これで日本は全世界のサッカーファンを敵に回した」という記事を書いていました。もっとも、あの試合でもっとも忸怩たる思いをしたのは当の監督と選手でしょうが。

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