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ポピュリズムに傾斜する現代政治−将来社会に大きな禍根を残す(リベラル21)
http://www.asyura2.com/18/senkyo253/msg/468.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 11 月 10 日 00:48:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

ポピュリズムに傾斜する現代政治−将来社会に大きな禍根を残す
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-4559.html
2018.11.10 盛田常夫(在ブダペスト、経済学者) リベラル21


ポピュリズムとは何か

 一昔前まで、ポピュリズムとは中南米の政治経済的に不安定な発展途上国で、民衆の即時的要求を政治スローガンに掲げ、権力を奪取する政治手法を特徴づける用語として利用されていた。しかし、これをより一般化して、「社会の中長期的発展を見据えた政策ではなく、国民の即時的要求に答える短期目標を政治スローガンに掲げる政治」と考えれば、現代のほとんどの政治はポピュリズムに侵されている。それは与党と野党とを問わず、右と左を問わない。世界を見渡しても、現代政治はどこも押し並べて、ポピュリズムに傾斜している。それには理由がある。

 一つは、社会の行く末について不透明さが増しているにもかかわらず、政治家の資質の低下が著しく、社会が進むべき道を明らかにする役割を果たせなくなっている。

 二つは、議会制民主主義が政治を短期的な視野に押し込めている。3〜4年のタイムスパンで実行される選挙で当選しなければ政治家を続けることができない。だから、将来社会への道筋を指し示すより、すぐに目に見える結果が期待できる政策を掲げる。

 三つは、問題解決の道筋を解明するはずの社会科学の研究者が構想力を失っている。冷戦時代には、事の正否は別として、社会主義か資本主義かという長期的視野に立つ理念が存在した。そのイデオロギー的対立が消えた現代では、将来社会が目指す理念や思想が失われ、研究者の構想力も衰えている。

 四つは、現代経済社会のテンポの速い変化にたいして、企業も国民も、追いつき追い越せの適応を迫られ、とても遠い将来のことに関心を向けられない。今の生活を維持し、かつとりあえず向上させる政策があれば、それで良いという感情が支配的になっている。

 20世紀は良くも悪くも資本主義か社会主義かという社会構想をめぐるイデオロギー的対立が政治を主導していた。ところが、そのイデオロギー的対立がなくなった途端に、右も左も政治の中・長期的構想を失ってしまった。

人口減はAIや生産性向上で解決できる?

 日本社会が将来にわたって抱える問題ははっきりしている。人口の急速な減少と政府の累積債務である。日本社会が縮小する時代を迎える中で、巨額の政府債務を抱える日本社会はいったいどうなっていくのだろうか。多くの人々は当面の生活が脅かされない限り、将来社会が抱える問題に目を向けない。自らの生活に直接にかかわるまでは無関心でいるか、いずれ政府が解決してくれるものだと考えている。しかし、その肝心の政府は将来社会の問題に取り組むのではなく、目先の利益だけを追いかけ、国民もまた目先の利益に一喜一憂している。これでは原発や津波と同じように、二進も三進も行かなくなった時に後悔するだけだ。しかし、その時にあがいてももう手遅れなのだ。

 人口が減り、労働力が減れば、社会が生産し維持できるものが限られてくる。人口が2割3割減すれば、巨大な高速道路網や新幹線網の維持すらできなくなる。AIやロボットがトンネルや幹線道路・線路の維持管理の仕事をしてくれることはない。算術計算に毒された経済学者は、「人口が半減しても、労働生産性が2倍になれば、GDPは減ることはない」というが、これは頭で作り出したGDP概念(価値ノルム)の割り算と掛け算にすぎず、現実問題に何の回答も与えてくれない。30年後に人口が半減することが確実な秋田県の人々に、「大丈夫です。AIと労働生産性の向上で、問題は解決されます」と言っているのと同じだ。気休めにもならない、無責任な戯れ言だ。ほとんどの経済学者の構想力はこの程度のものでしかない。プリミティブなトイ(おもちゃ)モデルと現実を区別することもできないほどに知力や構想力が落ちている。

累積債務は誰が解決するのか

 日本政府の累積債務額が財政収入の20年分近くに達しているにもかかわらず、2%程度の消費税引上げに政府が右往左往している。20年分の年収を前借しておいて、1%程度の返済増をためらうのと同じである。とても民度の高い国とはいえない。安倍晋三が2度にわたって消費増税を延期したのは、3分の2を占める議席が減り、憲法改正ができなくなるからにすぎない。安部晋三の頭には将来社会の問題などまったく念頭にない。安倍晋三の民度もこの程度である。

 政府は累積債務をどう解決していくのかを国民に示す義務がある。有権者の支持を得るために、短期的利益を掲げて政権を維持してきたことが、今日の巨額の累積債務となった。歴代自民党政府が積み上げてきた累積債務の解決は、自民党が後世の世代に負った義務であり解決する責任がある。他方、国民は国が与えるものをそのまま有難がるのではなく、その費用がどのように賄われるのかについて、明確な意識を持つことが必要だ。累積債務は、国民が負担なしで、公的サービスを受けてきたことの結果である。その負担は将来世代が払わなくてはならない負債である。「いずれ政府が解決できる」ような課題ではなく、現存世代が将来世代に先送りした「付け」である。公的サービスの受益と負担のあり方を政府に任せるのではなく、国民自身が自分の問題として考える意識を持たなければ、巨額の累積債務問題は解決するどころか、破滅を導くだけである。

 与党の政治家が増税に対する有権者の批判を避けるために、いろいろな手を使って増税の政治効果を打ち消そうとするのは、国民を馬鹿にしたポピュリスト政策である。「消費の冷え込みを防ぐため」というもっともらしい口実で、各種の複雑な税の還元政策を実行しようとしている。「施し政策」を組み合わせれば、増税による不人気効果を打ち消すことができると考えているからだろう。しかし、複雑な還元策はたんに税の一部を返すだけに終わらない。一定期間しか通用しない制度を作るために、さらに税が無駄につぎ込まれ、それを実行する業者にも負担を強いる。これでは何のための増税か分からない。

 累積債務問題の解決には、政治家の強い意思と国民の明確な意思の醸成が必要だが、そのどれもが現代の日本社会には欠如している。「政府は与え、国民は受け取るだけ」という関係性を変えなければ、永遠に累積債務問題は解決されない。

債務問題の解決法は限られている

 右も左も、政府の累積債務問題はいずれなんとか解決できるだろうという根拠のない楽観論に浸ったままで、問題解決を遅らせている。このコラムでたびたび扱ってきたように、もっとも性質の悪いアベノヨイショは、累積債務そのものが存在しないという論陣を張っている。これは「津波は絶対に来ない、原発は百%安全」というのと同類の俗論である。いつの時代にも、こうやって政権をヨイショする無責任な輩はいるが、こんな連中が大手を振って論陣を張ることができるのも、同じ穴の狢(政治家)が権力を握っているからだろう。

 他方、左派はどうだろうか。20世紀を通して、社会主義政権を担った共産党は、国民経済の構築に失敗してきた。その結末が社会主義経済社会の崩壊である。共産党が政権をとった諸国ではみな、経済問題は政治主導で解決されると考えていた。経済問題は政治問題であるという立場をとっていた。官邸主導の安倍内閣も良く似ているが、それは政治的独裁が陥る傲慢以外の何ものでもない。

 累積債務があるからといって、すぐに国家は崩壊しない。20世紀の社会主義ですら、40年から70年の歴史時間、国家体制を維持することができた。しかし、いずれ債務は何らかの形で処理されなければならない。いかなる政治体制を取っていようと、この経済的処理から逃れることはできない。

 膨大に膨れ上がった日本の戦時国債は敗戦によってチャラにされた。経済社会は過去に積み上がられた債務-債権問題を処理し、リセットしなければ、新しい体制を構築できない。戦時国債も社会主義の体制負債も同じである。戦争終結や体制崩壊が新たな体制構築のための出発点になる。巨額の政府債務がチャラになることで、新しい体制構築が始まる。こうやって、社会体制がリセットされる。

 いずれ日本の巨額債務も処理されるべき時が来る。徐々に削減されるか、それともドラスティックな措置によってチャラにされるか。

 日本が社会主義国で見られたような体制崩壊や、戦争勃発による戦時インフレや戦後処理という過程をたどることはないだろう。徐々に公共サービスの受益者負担を増やして、債務が増えないようにする政策を取らざるを得ないだろうが、日本に賢い政府が樹立されて、50年の長期の時間をかけて、国民負担を増やして債務処理に当たるというシナリオは考えられない。現代の政党も政治家もそのような長期的視野で仕事をするはずがない。

 とすれば、巨額の政府債務は将来の日本にどのような結末をもたらすのだろうか。それは日本社会が体制崩壊や敗戦に匹敵する事態を迎えた時に生じるだろう。大規模な自然災害や人災がそれである。津波や大地震のような自然災害の同時発生や、複数の原発事故が発生すれば、敗戦に類似した状況が生まれる。そうなれば、政府は巨額の再建資金を捻出するために、過去の累積債務から解放され、新たな資金を捻出する道を選ばざるを得ない。もっとも蓋然性の高いシナリオは、政府が非常事態を宣言し、債権-債務凍結政策を導入するものである。凍結政策の間に、物価が高騰し、凍結政策が解けた時点で、債権-債務が半分に減るか、三分の一に減る、あるいは完全にチャラになるかして、新たな社会再建の出発点が形成される。政府は債務から解放されるが、同時に国民は各種債権の多くを失う。

 国民が負担を回避した公共サービスを享受し続ければ、いずれまとめてそれを支払う時がくる。ポピュリスト政策で負担を先延ばしすればするほど、大きな事後的支払いが必要になる。この経済原理は政治主導でどうなるものでもない。左派は経済問題が政治で解決できると考え失敗したが、右派のポピュリズムは社会崩壊の危機まで、国民を騙し続けるだけである。


 

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コメント
1. 2018年11月10日 09:05:21 : p3XDjCDsXc : P6kQ9UuFPjU[152] 報告
よくわからんが,当座、国民の機嫌をとるのがポピュリズムなら、社会保障のために消費税が必要って言われ続けてそれを値上げされたり、おまえらなんかAIに取って代わられて仕事なくなるぞ、って脅かされんのがポピュリズムなんだろうか?

しかもその消費税って後から見れば金持ちと大企業の減税分とトントンだったそうで、社会保障は減るばっか。
最近も年寄りの年金は減らされて医療費の負担分は上がった。

「痛みを伴う改革」とかって小泉の頃から言われてたし、俺なんか口先だけでも少しも甘やかしてもらった気はしないのだが。

これでも自民に入れてきた貧乏人はマゾだな。(笑)

2. 2018年11月10日 19:44:11 : ZrWYZ4HS32 : oF16_M6PzxM[47] 報告
騙すのだ 不安・不満に つけ込んで

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