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北方領土返還でプーチンの「餌」にまんまと引っかかった安倍首相  高野孟(まぐまぐニュース)
http://www.asyura2.com/18/senkyo254/msg/107.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 11 月 22 日 22:20:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

北方領土返還でプーチンの「餌」にまんまと引っかかった安倍首相
https://www.mag2.com/p/news/377184
2018.11.21 高野孟『高野孟のTHE JOURNAL』 まぐまぐニュース




北方領土問題に関して、日本政府が従来主張してきた「4島一括返還」から突如「2島+α」に方向転換した安倍首相。この「大幅な譲歩」には、どんな思惑、力が働いたのでしょうか。ジャーナリストの高野孟さんは自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』でその理由を探るとともに、外交手腕に長けたプーチン大統領に足元を見られ、2島どころか「1島+α」に終わる可能性もあると記しています。


※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2018年11月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高野孟(たかの・はじめ)
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

安倍首相流「やっているフリ外交」の危うさ──北方領土「2島+α」論への唐突な転換

プーチン露大統領が投げた餌に安倍晋三首相はまんまと引っかかった。

9月12日にウラジオストク「東方経済フォーラム」の壇上でプーチンが「年末までに前提条件なしで平和条約を結ぼう」と言い出し、その場では困惑してうっすら苦笑いするだけだった安倍首相ではあるけれども(No.963参照)、プーチンが「年末までに」と期限を区切ってきたことに「問題を進展させる意欲があると感じ取った」(11月17日付読売解説)ことから、14日シンガポールでの日露首脳会談で、「平和条約締結後に歯舞、色丹を引き渡す」とした1956年の日ソ共同宣言を「基礎」として交渉を再開するよう逆提案した。

この問題が、まさに2島か4島か、はたまた3島かを巡ってこじれにこじれてきた60年以上の歴史を思えば、「年末までに」何らかの合意が達成されるような生やさしいことでないことは誰にでも分かる。にもかかわらず、安倍首相がその言葉に飛びついて、1月にも安倍訪露、6月のG20大阪サミットの際のプーチン来日で何らかの決着とまで意気込んでいるのは、7月参院選前に何とか外交で成果をあげたいと焦っている証拠である。

北朝鮮の核問題ではトランプ米大統領に梯子を外されて恥をかき、急いで拉致問題に力点をずらして日朝首脳会談への意欲を口にはしたものの実現の目途は全く立っていない。中国との関係改善は少し前進したが、米中摩擦が強まる中でどうポジションをとるか腰が定まらない状態で、それを中国側からも見透かされてしまっている。内政面の最大課題である改憲が、超側近の下村博文氏を自民党の憲法改正推進本部長に据えるというミスキャストが仇となり、衆参の憲法審査会を開くことさえ難しくなっている中で、余計に得意なはずの外交で目覚ましい花火を打ち上げないと、政権運営が立ち行かないという危機感があるのだろう。

しかし、外交に拙速は禁物で、ましてプーチンのようなしたたかな戦略家を相手に軽率に振る舞えば、たちまち手玉にとられてしまう危険がある。

「2島+α」の本当の意味は?

もともと北方領土問題とは、歯舞・色丹の2島の返還問題である。鳩山一郎政権は2島返還で領土問題に決着をつけようとしたが、日ソが親密化することを怖れた米国は、ソ連が決して呑まないであろう国後・択捉を含めた4島返還を主張するよう日本に迫った。そのため鳩山は、共同宣言にソ連側の言い分どおり歯舞・色丹の引き渡しを明記すると同時に、「領土問題を含む平和条約交渉を継続する」という表現で国後・択捉についても今後交渉する含みを残そうとしたが、フルシチョフ第一書記の強い反対で「領土問題を含む」の一句は削除された。

この、2島は当然だが残りの2島についても引き続き交渉するというのが「2島先行」論である。それがいつの間にか「4島一括」でなければ話にならないという強硬な公式姿勢に変わり、それに対応してソ連側も領土問題は「解決済み」という態度に転じて二進も三進も行かなくなった。それを「2島先行」論あるいは両者を並行して協議する「2+2」論に引き戻そうとしたのが、2001年の森喜朗・プーチンの「イルクーツク声明」で、それを陰ながら推進したのが鈴木宗男代議士、東郷和彦外務省欧亜局長(→駐オランダ大使)、佐藤優氏らのチームで、彼らはパージされ、「4島一括」の国是を曲げた極悪非道の者であるかにバッシングされた。

とすると、安倍首相の「2島+α」論も同じように、あるいはもっと酷く国賊扱いされてもおかしくない。というのも、4島一括論者から見れば「2島+α」論は実は「2島先行」論や「2+2」論より、もっと悪い。「2島+α」論について佐藤優氏の解説はこうだ(AERA11月26日号)。


日ソ共同宣言を素直に読めば……歯舞・色丹は日本の主権下、国後・択捉はロシアの主権下にあることを確認し、日露間に国境線を画定する。……これで日露間の戦後処理は完全に終わる。



歯舞・色丹は日本領になるのだから、日本人が往来、居住し、経済活動や文化活動を行うことができるようになる。



国後・択捉はロシアの主権下にあることを日本が認めた上で、経済活動を含む活動について日本に特別の地位を認める制度をつくることができる。この制度について条約を結んでもよい。これで「2島+α」が実現する……。


つまり、国後・択捉返還の断念論なのである。「+α」が付いているので、歯舞・色丹でお終いとはならない「2島先行」論と同じく、まだその先に残り2島の返還があるかの印象を与えているが、その先にあるのは日本人の活動を許す特別の制度だけである。これについては東郷氏も、同じことを述べている(11月16日朝日新聞「耕論」)。


共同宣言は……国後・択捉の2島については何も書いていない。しかし、これまでの交渉経緯を考えると、国後・択捉についても何らかの「アルファ」があるはずだ。具体的には共同経済特区のようなものをつくるといったことではないか。



法的には「2島プラスアルファ」で決着させ、平和条約を結ぶ。長期的には国後・択捉をあきらめないけれど、法的に領土にするのでなく、国後や択捉で日本人がロシア人と仕事し、ともに汗をかく……。


私は昔から「2島返還」論なので、大筋これに賛成だが、安倍首相が本当にこういう考えに転換したのだとしたら、自分の支持基盤である日本会議系の右翼に刺されることにならないか。日本会議は『日本固有の領土・北方領土をとりもどす』と題したパンフを発行し、その中で「4島一括返還」論を掲げて運動してきた経緯がある。

2島さえ無条件では返らない

北方領土問題に詳しい岩下明裕九州大学・北海道大学教授は、この安倍首相の選択は「2島を上限とするより厳しい交渉」に移行することだと指摘する(上述の朝日「耕論」)。


2島先行は、プーチンが一貫して拒み続けて来たもので、国後・択捉を日本に返すことはありえず、宣言にある2島すら無条件で返すつもりはない。それがプーチンの示す姿勢で、本心は「0島」なのだろう。



2島先行を求めても相手は乗ってこない。その現実に突き当たり、日本政府は今、2島をベースにした新しい交渉の入り口にいる。それが共同宣言に回帰することの意味だ。プーチンの誘い水に乗った形だろう。



2島先行でも2島プラスアルファでもない、2島を上限とする交渉の時代だ。なぜならば、スタートラインを2島に設定した交渉の帰結は、それ以下にしかならないからだ。



最終的に「1島プラスアルファ」になるのか、あるいはそれ以下になるのか。誰にも予測できない。



北方領土を大きく失ってまで平和条約を結ぶことに果たしてどういう国益があるのか。平和条約がなくても日露関係は基本的に安定してきた。また、日本にとってロシアの存在は、言われるほど大きな意味を持ってない。安倍首相がこだわるのは自身の実績にしたいからではないかと私は疑っている。憲法改正と同じ「悲願」だ……。


安倍流改憲も、現実の壁にブチ当たって、もう中身など何でもいいからとにかく改憲をやり遂げたという実績だけを作りたいということで、正面からの全面改憲を回避し、9条の1項・2項はそのまま残して3項を付け加え自衛隊の存在を明文化するという姑息な手段に走ったものの、それすらも国会に持ち込むに至っていない。北方領土も同じで、参院選を控えて来年前半までに目覚ましい実績をあげられる外交テーマはないかという観点からプーチンの「年末までに」という誘いかけに飛びつき、中身はどうでもいい、2島だけでも返ってくればいいじゃないかという安易なところへ踏み出してしまった。これでは足元を見られて、岩下教授が懸念するとおり、1島+αかそれ以下に追い込まれる危険がある。

それ以下というのは、例えば、プーチンは「2島の引き渡し後の主権が日露のどちらが持つのかは協議する必要がある」と言っていて、2島でさえもどういう形で「引き渡し」になるのか未定だということである。それはある意味で当然で、歯舞・色丹は70年以上もロシアの実効支配下にあり、色丹には約3,000人のロシア人が住み、近年はインフラ投資や経済特区の建設も進んでいる。その島を、はい、明日からは日本領ですと言って住民ごと日本に引き渡すことなどできるはずがない。仮に、歯舞は即時返還するが、色丹は日本の潜在主権を認めるけれどもロシアの実効支配は相当長期にわたって続けるということになれば、それが「1島+α」である。

安全保障の側面も難問で、ロシアは、引き渡した島が日米安保条約の適用範囲となって米軍が基地を作りたいと言えば認めなければならない日本の属国性を問題にしている。安倍首相はそうさせないつもりであることを前々からプーチンに伝えているようだが、それについて米国の許可を得ていない。それを米国に求めれば、その代わりにロシアが国後・択捉に置く3,500人の部隊(5,000人に増強計画あり)とミサイル基地を撤去させろと言われるに決まっている。この交渉だけでも何年もかかるだろう。

こうして、何についてもドタバタと手を変え品を変え「やってるフリ」をし続けるという安倍流は、自ら墓穴を掘ることになる可能性が大きい。

《参考》

● 孫崎享『日本の国境問題』(ちくま新書、2011年)
● 岩下明裕『北方領土・竹島・尖閣、これが解決策』(朝日新書、2013年)

image by: 首相官邸

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2018年11月19日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分税込864円)。






























 

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コメント
1. 2018年11月22日 23:06:06 : FLbDBjkjLg : IMQoNLKK@78[5] 報告
日ソ共同宣言を素直に読めば、2島プラスαでなくて、2島マイナスαにしかならないことが、すぐにわかるはず。
たっぷりと日本側から手みやげを持って行って平和条約に盛り込み、やっとなんとか2島を引き渡されるということ。
2. 2018年11月23日 09:05:37 : 9VtnIuWKYE : 2kNHzXpm0UM[4] 報告
鋭い指摘
善い視点。
3. 2018年11月23日 12:58:54 : n6tdnZPoVE : 5aIWo5dTTmQ[4] 報告
ほとんどの日本人は、政府やマスコミが流す、北方四島が、自国領だとする論拠が、まったく薄弱であることを知らない。

朝鮮と日本を分断させるために、竹島があり、中国と日本を分断させるために尖閣列島があり、ロシアと日本を分断させるために、北方四島がある。

このスキームを描いたのは、偽ユダヤ人たちと、それに従属する天皇を頂点とする閨財閥体制だ。

彼らは、ロシア、中国、朝鮮、日本が、共同することを、非常に恐れている。

4. 2018年11月23日 19:29:45 : ughNs283sg : @HlW4yT9_Z8[46] 報告
戻す気が あるとみせたい 堕マスゴミ

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