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米国の中絶率、過去最低に その理由は? 日本でも 10代における妊娠中絶率の低下 「性交経験」を有する者の割合は減少
http://www.asyura2.com/18/social10/msg/258.html
投稿者 鰤 日時 2019 年 11 月 19 日 20:53:11: CYdJ4nBd/ys76 6dw
 

米国の中絶率、過去最低に その理由は?

2019/11/18

BBC News


マックス・マッツァ

アメリカの人工妊娠中絶率が、 連邦最高裁が人工中絶を女性の権利として認めた1973年の「ロー対ウェイド」判決以降で最も低くなっていることが、9月18日に発表された最新の調査結果で明らかになった。専門家は、中絶率の減少理由を特定するのは難しいとしている。

中絶権を支持するガットマッハー研究所は、2017年に約86万2320件の人工中絶が行われたと推定している。これは、2011年の約20万件を下回っている。ピークだった1990年には約160万件の中絶が行われていた。

10年近くにわたり、保守的な州や自治体の政治家が中絶を規制しようと取り組んできたが、同研究所は、中絶件数の減少は必ずしも新しい法律が関係しているわけではないとしている。

では、アメリカの中絶率が史上最低を記録した理由は何なのか。5つの仮説をあげてみた。

生殖医療の改善
病院や中絶クリニックの調査をもとに定期的にまとめているガットマッハー研究所の報告書の著者は、中絶減少の理由の1つが、避妊が容易になり、女性用避妊具が改良されたことである可能性を発見した。

子宮内避妊具やインプラントは過去10年で改良されたほか、2009年に議会を通過した「負担可能医療法(Affordable Care Act、ACA)」(通称オバマケア、医療制度改革法)により、次第に保険会社に補償されるようになっている。

同研究所のエリザベス・ナッシュ氏は、ACAや州法などが避妊へのアクセスを拡大していると話す。

ナッシュ氏は、報告書は全国平均を示している一方で、個々の状況は反映していないと警告する。たとえば、2014年に中絶手術を受けるために女性が移動した平均距離は55キロだが、一部の女性はもっと長い距離の移動を強いられていた。

「自分が住んでいる街に中絶手術を受けられる施設があって、バスや電車で移動できる人がいる一方で、数百マイルもの距離を移動する人もいる」

在宅中絶
報告書によると、中絶手術ではなく在宅での医療中絶を選ぶ女性が増え始めている。ただ、記録が残されている中絶の95%は専門のクリニックで行われている。

クリニック以外での中絶を追跡することは難しい。そのことが、中絶率の減少の背景にあるとみられる。

医療中絶はいわゆる中絶ピルを使って行うもので、2017年には全体の39%を占めた。2014年の20%から増加傾向にある。

報告書によると、2017年に行われた中絶の10件に4件は、手術ではなくピルを用いたものだったという。

法的規制の強化
2011年から2017の間に、中絶に関する394の新たな州法が32の州で成立した。最も厳格な州法の一部は、ガットマッハー研究所の調査が行われた後の2018年に、保守的な複数の州で可決した。しかしその中のいくつかは、裁判所の判断を受けて施行が一時保留されている。

中絶反対派は、各地の法律の効果を証明するものとして、中絶率の減少を喜んだ。

生まれる権利を守る全米委員会(NRLC)のローラ・エシェヴァリア氏は、「地域の法律は影響を与えていると思う。大きな影響がないのであれば、なぜ中絶業界のあらゆる人たちは法律が可決するたびに憤慨するのだろうか」と述べた。

一方、ナッシュ氏は、各地の法律は国内での中絶率の減少において「確実に影響を与えている」が、「数字は事の全容を物語ってはいない」と指摘する。

「中絶率は、減少しようが増加しようが、中絶へのアクセスの指標にはならない。我々に必要なのは、個々人のために中絶制度がどう機能し、手の届く価格で利用できるかどうかを考えることだ」

2014年から2017年の間に中絶規制が可決した一部の州では、実際には中絶率が増加した。そしてクリニックを新設した複数の州では、中絶率が減少した。

総合的に見ると、この3年間ではアメリカの中絶クリニックの数は増えたものの、2017年以降は一部クリニックが閉鎖している。

出生率の減少
女性が欲しいと思う子供の数は減少しており、昨年米政府が公表したデータによると、米国内の出生率は1987年以降で最も低くなっている。

2018年の報告書によると、出生率と生殖能力は30年間で最も低いという。

アメリカの研究者は、より多くの女性が高等教育や職を求めていることが出生数の減少の要因の1つだとしている。

他の要因には、社会的期待の変化や、避妊へのアクセスが容易になったこと、育児休暇の取得に制約があることなども含まれるかもしれない。

妊娠に対する意識の向上
「生まれる権利を守る全米委員会(NRLC)」などの反中絶団体は、報告書のデータは正しいと認めている。ガットマッハー研究所が、中絶を行う医師らと密接な関わりを持っているからだ。

「アメリカ人に胎児の人間性について啓発し、中絶を規制する法令を可決することを目指す中絶合法化反対運動の取り組みは、影響を与えている」と、NRLC代表のキャロル・トビアス氏は言う。

NRLC広報担当のローラ・エシェヴァリア氏は、直近のスーパーボウルで流れた広告で、おやつを欲する胎児の超音波映像が使われていたことに言及し、「子宮内部で起きていることへの認識」は広まっていると付け加えた。

(英語記事 Why are US abortion rates at a record low?)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-49849434
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17932


第64巻第 2 号「厚生の指標」2017年 2 月

目的
 性に関する正しい知識の普及,エイズなどの性感染症予防,10代の望まない妊娠を回避する
ための避妊法等の啓発を目的として,釧路市では中学生と高校生を対象に,毎年,思春期保健
講座を開催している。講座終了後のアンケート調査の経年集計から高校生における性意識や性
行動の変化を探った。

方法
 産婦人科医・泌尿器科医・小児科医・助産師等の専門の講師による「人工妊娠中絶」「性感
染症」「避妊」「性の自己決定」などについての講義を行い,性意識や性行動,喫煙・飲酒に関
するアンケートを実施した。分析対象は釧路市保健所管内の高等学校10〜14校の 1 , 2 年生で,
1,761〜2,548名であった。平成13年から平成26年までの経年集計を行い,さらに「性交経験」
に関係する要因について解析した。

結果
「性交経験」を有する者の割合は減少しており,平成13年には男子27.6%,女子34.8%で
あったが,平成26年は男子13.6%,女子16.2%となり,半減している。「初めての性交経験時
に避妊を実行した者の割合」は70〜80%程度で推移していたが,最近は女子においてその割合
は減少している。「愛情のない性交渉を容認する者」は男子において高く,平成13年は35.5%
に達していたが,平成26年は14.8%と半分以下に減少している。「自分の体を大切にしている
者」は増加している。「性に関わる自分の行動・意識で影響を受けたもの」では「友人」と答
える者が最も多かった。「インターネット」と答える者は特に男子において増加しており,平
成15年は1.5%であったが,平成26年は17.3%であった。「学校の授業」と答える者も女子にお
いて増えており,平成16年は3.0%であったが,平成26年は10.6%と 3 倍以上に増加した。飲
酒率と喫煙率は男女とも激減している。ロジスティック回帰分析の結果,「性交経験あり」と
有意に関係する因子は,男子では「飲酒経験あり」,次いで「愛情のない性交渉を容認する」
であった。女子では,「愛情のない性交渉を容認する」「飲酒経験あり」「学校の授業」「喫煙経
験あり」であった。「学校の授業」は性交経験を抑制する因子であった。
結論 釧路市の思春期保健対策は着実に成果を上げており,高校生の性意識,性行動,喫煙・飲酒
行動は大きく改善した。学校において避妊と性感染症の知識を徹底的に学ぶことと,喫煙・飲
酒教育の重要性が改めて示唆された。
キーワード 妊娠中絶率,高校生,性交経験,性教育,飲酒,喫煙

投稿
10代における妊娠中絶率の低下および
性感染症の予防を目的とした保健事業の成果
−釧路市における思春期保健講座アンケートの経年集計から− 
* 2
* 1 札幌医科大学医学部公衆衛生学講座講師 * 2 同教授
* 3 釧路市こども保健部健康推進課健康づくり担当主査 * 4 同健康づくり担当専門員 * 5 同課長補佐
* 6 同保健相談主幹


T 緒   言
図 1 は,母体保護統計(平成14年以前)1)と
衛生行政報告例(平成15年以降)2)から得られ
た全国・北海道・釧路管内(釧路市保健所管
内)の人工妊娠中絶率の経年推移である。15〜
19歳の中絶率は,平成 7 年以降上昇し,平成13
年にピークに達し,その後は減少している。北
海道は15〜49歳の中絶率も高いが,特に15〜19
歳は高く,平成13年には全国の中絶率の1.7倍
に達した。その後は減少し,15〜49歳,15〜19
歳ともに全国との差は縮小している。釧路管内
の中絶率は平成 6 年以降急速に増加し,平成13
年は27.9人(人口千人当たり)であった。これ
は全国の2.1倍,北海道の1.3倍である。その後
は減少し,平成18年に一時増加するも,再び減
少している。全国・北海道との差は縮小しつつ
あるが,平成25年の15〜19歳の中絶率は,全国
の1.6倍,北海道の1.2倍であった。
 このような状況を改善すべく,釧路市は思春
期の保健対策の強化に乗り出し,平成12年より,
中学生と高校生を対象に思春期保健講座を開始
した。これは国保健康ヘルスチェック事業に加
算されたエイズ予防普及事業の一環である。講
座の目的は,生徒が性に対して責任ある行動を
とれるようにすることである。具体的には,性
に関する正しい知識を普及し,10代の望まない
妊娠を回避するための具体的な避妊法等を啓発
して人工妊娠中絶率の上昇を防ぎ,エイズなど
の性感染症を予防することである。
図 1 に示すように,講座を開始した平成12年
以降,釧路管内の10代の中絶率は大幅に改善さ
れた。平成13年からは,毎年,講座終了時にア
ンケート調査を実施し経年的な集計を行ってき
たが,性に対する行動・意識,喫煙率,飲酒率
なども着実に改善している。高校生におけるア
ンケートの回答から経年変化と性の意識,性交
経験に関係する要因の分析について報告する。

U 方   法
 平成12年より毎年,釧路管内の高等学校10〜
14校(定時制 2 校を含む)の1〜4 年生を対象
に,各校につき年 1 回ずつ思春期保健講座を開
催している。内容は「人工妊娠中絶」「性感染
症」「避妊」「性の自己決定」などで,産婦人科
医・泌尿器科医・小児科医・助産師等の専門の
講師による約 1 時間の講義である。対象の高校
生は平成14年の3,794名が最大で,平成26年は
最も少なく1,999名であった。平成13年より,
思春期保健講座終了後にアンケート調査を開始
した。アンケートは無記名で,主な内容は,
「性交経験について」「性交渉についての自分
の考え」「性に関わる自分の行動・意識で,影
響を受けたもの」「喫煙(月数回〜毎日)の有
無」「飲酒(月数回〜毎日)の有無」などであ
る。回収率は約90%である。年により対象と
なった 3 年生の人数にばらつきがあるため,今
回の報告では 1 , 2 年生を対象とした。また,
年齢が高く社会人が多い定時制高校 2 校は除外
した。結局,アンケート対象人数は,平成15年
の2,548名が最も多く,平成17年の1,761名が最
も少なかった。初めて講座を受講する者がほと
んどであるが, 1 , 2 年時両方で受講している
者も10%程度含まれる。そのため,集計結果に
多少のバイアスが入っている可能性は否定でき
ない。
0
5
10
平成 6 年 10 15 20 25
15
20
25
30

釧路管内(15〜19歳)
北海道(15〜19歳)
全国(15〜19歳)
北海道(15〜49歳)
全国(15〜49歳)
図 1  人口千人当たり人工妊娠中絶実施率
注  全国の数値は平成13年までは「母体保護統計報告」による暦年
の数値であり,平成14年度以降は「衛生行政報告例」による年度
の数値である。


 各年に集計を行い,平成13年(質問項目に
よってはその後の年)から平成26年までの経年
変化をグラフ化した。「性交経験の有無」と次
の@〜Cの質問項目の間でχ2
検定を行った。
@性交渉についての自分の考え(愛情のない性
交渉を容認する,自分の体を大切にしている),
A性に関わる自分の行動・意識で影響を受けた
もの(友人,インターネット,学校の授業),
B飲酒経験,C喫煙経験。さらに,「性交経験
の有無」を目的変数としてロジスティック回帰
分析を行い,ステップワイズ法で有意な変数を
選択した。有意水準は 5 %に設定し,集計・分
析はIBM SPSS Statistics 22で行った。
 アンケートの計画・実施は釧路市が,入力・
集計・分析は札幌医科大学が行った。本研究は
市町村が行う保健事業の一環であり,疫学研究
に関する倫理指針の適応外である。従って,倫
理委員会の審査は受けていない。
V 結   果
(1) 性交経験について
「性交経験を有する」者の割合は減少してい
る。平成13年には男子27.6%,女子34.8%で
あったが,平成26年は男子13.6%,女子16.2%
となり,半減している(図 2 )。性交経験を有
する者のうち,初めて性交渉を経験したのが
「中学生以下」であった者は,男子63.0%,女
子49.3%(平成26年)であった。「 2 人以上の
性交経験を有する」者の割合は,最近は横ばい
で,平成26年は男子44.1%,女子46.7%であっ
た(図 3 )。「初めての性交経験時に避妊を実行
した」者の割合は70〜80%程度で推移していた
が,最近は女子においてその割合は減少してい
る(図 4 )。避妊法はほとんどが「男性用コン
ドーム」である。平成26年の男性用コンドーム 0
20
10
平成13年 15 20 25 26
30
40
50

女子
男子
図 2  性交経験を有する者の割合
0
40
20
平成13年 15 20 25 26
60
80
100

女子
男子
図3 2 人以上の性交経験を有する者の割合
0
20
10
平成13年 15 20 25 26
30
40
50

女子
男子
図 5  愛情のない性交渉を容認する者の割合
0
40
20
平成14年 20 15 25 26
60
80
100

女子
男子
図 4  初めての性交経験時に避妊を実行した者の割合
70
60
50
平成20年 21 25 22 26 23 24
80
90
100

女子
男子
図 6  自分の体を大切にしている者の割合
―  ―26
第64巻第 2 号「厚生の指標」2017年 2 月
の使用率は,男子87.7%,
女 子83.7 % で あ っ た。
「女性用コンドーム」の
使用は男子4.7%,女子
6.1%であった。「膣外射
精」は男子6.6%,女子
12.2%であった。「経口
避妊薬(ピル)」の使用
はほとんどなかった。
(2) 性交渉についての
自分の考えについて
「愛情のない性交渉を容認する」者は減少し
ている。男子において高く,平成13年は35.5%
に達していたが,平成26年は14.8%と半分以下
に減少している(図 5 )。「自分の体を大切にし
ている者」は増加している。平成26年は男子
88.1%,女子91.5%であった(図 6 )。
(3) 性に関わる自分の行動・意識で影響を受
けたもの(図 7 )
「友人」と答えた者が最も多かった。男女差
はなく,最近は横ばいで19%前後である。「イ
ンターネット」と答える者は増加している。特
に男子において著しく,平成15年は1.5%で
あったが,平成26年は17.3%に増加している。
「学校の授業」と答える者も増えている。特に
女子において,変動はあるが,平成16年の3.0%
から,平成26年は10.6%と 3 倍以上に増加して
いる。
(4) 飲酒率
「飲酒する者(月数回〜毎日)」は経年的に激
減 し て い る。 平成14年 の 男 子35.2 %, 女 子
35.8%と比べると,平成26年は男子10.1%,女
子10.4%と,1 / 3 以下に減少している(図 8 )。
「毎日飲酒者」はわずかで,平成26年は,男子
1.3%(12名),女子0.4%( 4 名)であった。
(5) 喫煙率
「喫煙する者(月数回〜毎日)」は経年的に激
減している。男子の喫煙率が高く,平成14年は
男子21.1%,女子15.7%であったが,平成26年
は男子4.0%,女子2.2%にまで減少した(図 8 )。
平成26年の「毎日喫煙者」は,男子2.7%(25
名),女子1.2%(11名)であった。
(6) 性交経験の有無と性に対する考え・行
動・喫煙・飲酒との関連
 χ2
検定の結果,「性交経験の有無」と有意に
0
5
10
平成15年 20 26 25
15
20
25
30

男(友人)
女(友人)
男(インターネット)
女(学校の授業)
女(インターネット)
男(学校の授業)
図 7  性に関わる行動・意識で影響を受けたもの
0
10
平成14年 15 26 20 25
20
30
40
50

飲酒率(男)
飲酒率(女)
喫煙率(男)
喫煙率(女)
図 8  飲酒率と喫煙率
表1 「性交経験の有無」と性に対する考え・行動・喫煙・飲酒との関連 (χ2
検定)
(単位 %)
男子 女子
経験あり
(n=127)
経験なし
(n=798) P値 経験あり
(n=150)
経験なし
(n=758) P値
性交渉についての自分の考え
 愛情のない性交渉を容認する 31.3 12.1 <0.001 22.9 4.6 <0.001
 自分の体を大切にしている 85.8 89.4 0.23 86.9 92.9 0.01
性に関わる自分の行動・意識で
影響を受けたもの
 友人 24.8 19.0 0.12 24.8 17.1 0.02
 インターネット 19.4 17.1 0.53 9.8 10.3 0.85
 学校の授業 5.4 5.7 0.9 3.9 11.9 0.003
飲酒経験あり 33.1 6.9 <0.001 29.7 8.0 <0.001
喫煙経験あり 14.2 2.7 <0.001 9.3 1.2 <0.001
―  ―27
第64巻第 2 号「厚生の指標」2017年 2 月
関連していたのは,男子では「愛情
のない性交渉を容認する」と「飲酒
経験」「喫煙経験」であった。女子
では「愛情のない性交渉を容認す
る」「自分の体を大切にしている」
「友人」「学校の授業」「飲酒経験」
「喫煙経験」であった。男女とも
「性交経験」を有する者は「飲酒経
験」と「喫煙経験」のある者が多
かった。「性交経験の有無」と「性に関わる自
分の行動・意識で影響を受けたもの」の関係は
女子において高く,「友人」から性に関する影
響を受けたと回答したのは「性交経験」を有す
る女子に多かったが,「学校の授業」と回答し
たのは「性交経験」がない女子に多かった(表
1 )。
 ロジスティック回帰分析で有意な変数の選択
を行った結果,「性交経験あり」に関係する因
子は,男子では「飲酒経験あり」(オッズ比5.68,
95%信頼区間(以下,95%CI)3.50-9.21)で
あり,次いで「愛情のない性交渉を容認する」
(同2.81,95%CI 1.77-4.49)であった。女子
では,「愛情のない性交渉を容認する」(同4.04,
95%CI 2.31-7.07)であり,次いで「飲酒経験
あり」(同3.45,95%CI 2.12-5.61),「学校の
授業」(同0.42,95%CI 0.18-0.99),「喫煙経
験あり」(同2.94,95%CI 1.06-8.18)であっ
た。女子においては「学校の授業」が選択され
たが,「性交経験あり」を抑制する因子であっ
た(表 2 )。
W 考   察
 全国の15〜49歳の妊娠中絶率は昭和28年の
50.2人(女子人口千人当たり)をピークに減少
し,平成13年に少し増加したが,以後も漸進的
に減少している1)2)。北海道は中絶率が高いが,
同様の傾向で推移している。中絶率が減少した
主な理由は避妊法の普及にあると思われる。一
方,全国の15〜19歳の妊娠中絶率は,図 1 に示
すように,平成 7 年以降に増加し平成13年に
ピークに達した。北海道は大きく増加し,特に
釧路管内は平成 7 年から平成13年までの 5 年間
で2.2倍に増加した。この時期はバブル経済崩
壊後の経済低成長期に相当するが,平成 8 年に
「援助交際」という言葉が流行語大賞を受賞し,
インターネットの普及が進んで,10代の女子の
性が一気に開放的になった時代でもある。イン
ターネットの人口普及率は平成 9 年には9.2%
であったが,平成13年には44.0%に達してい
た3)。
 学校で性教育が行われるようになったのは,
喫煙・飲酒教育よりはるかに前である。第 2 次
世界大戦後,GHQの指導のもとで,男女の生
殖器,月経,射精,青年期の身体的変化につい
て中学校で学習することとなった。マスコミの
影響が大きくなり性に関する情報があふれ出し
た昭和40年代に,学習指導要領の改訂で高等学
校での性に関する指導が大きく取り上げられた。
内容は主に結婚や家族計画についてであった。
昭和56年に日本で初めてAIDS症例が報告され
てから,AIDS教育に重きを置くようになっ
た4)5)。平成12年頃からは,過激な性教育に対
するバッシングも起こったが,図 1 で示したよ
うに,未成年の中絶率は減少しており,性教育
の効果はあると考えていいだろう。
 第 7 回青少年の性行動調査6)によると,高校
生( 1 〜 3 年生)の性交経験率は,平成17年は
男 子26.6 %, 女 子30.3 %, 平 成23年は男子
15.0%,女子23.6%であった。本調査のそれは,
高校1,2 年 生 で あ る が, 平 成17年 は 男 子
19.3%,女子25.5%,平成23年は男子14.5%,
女子23.6%であった。調査対象は少し異なるが,
釧路地域の高校生の性交経験率が全国と比べて
高いとはいえない数字である。にもかかわらず
表 2   「性交経験あり」に影響を与える性に対する考え・行動・喫煙・飲酒
(ロジスティック回帰分析)
回帰係数 オッズ比(95%信頼区間) P値
男子
飲酒経験あり 1.74 5.68(3.50-9.21) <0.001
愛情のない性交渉を容
認する
1.04 2.81(1.77-4.49) <0.001
女子
愛情のない性交渉を容
認する
1.40 4.04(2.31-7.07) <0.001
飲酒経験あり 1.24 3.45(2.12-5.61) <0.001
学校の授業 -0.87 0.42(0.18-0.99) 0.039
喫煙経験あり 1.08 2.94(1.06-8.18) 0.045
―  ―28
第64巻第 2 号「厚生の指標」2017年 2 月
妊娠中絶率が高かったのは性教育の不足が原因
ではないかと考え,釧路市は思春期の保健対策
の強化に乗り出したのである。
 北海道や釧路管内の妊娠中絶率が全国と比べ
て高い理由は,性行動も含めた生活習慣全体に
対する意識に問題があるからとも考えられる。
北海道は喫煙率が高いことに注目すべきである。
2013年の成人喫煙率の全国平均は男性33.7%,
女性10.7%であったのに対して,北海道の喫煙
率は男性39.2%,女性17.8%であった。都道府
県別の順位では男性は第 3 位,女性は断トツの
第 1 位であった7)。釧路市も喫煙率が高い。釧
路市は40代以降の年代別の喫煙率を公表してい
るが,平成23年の40代男性の喫煙率は47.1%
(全国平均は40.2%),40代女性は29.1%(全
国平均は16.5%)であった8)。高校生の喫煙率
については,健康日本21(第二次)の分析評価
事業では,平成24年の高校 3 年生の喫煙率(調
査日を含む30日間に 1 回でも喫煙した者の割
合)は男子5.6%,女子2.5%であった9)。平成
24年の本調査では,高校 1 , 2 年生の集計であ
るにもかかわらず,男子6.1%,女子3.8%と高
かった。
 未成年者の飲酒率は,全国平均が男性21.7%,
女性が19.9%(平成22年)に対して,釧路市は
男性19.9%,女性19.8%(平成23年)であっ
た8)。また,健康日本21(第二次)の分析評価
事業によると,平成24年の高校 3 年生の飲酒率
(調査日を含む30日間に 1 回でも飲酒した者の
割合)は,男子16.1%,女子16.6%であるが9),
平成24年の本調査の高校 1 , 2 年生の集計では,
男子14.0%,女子13.7%であった。
 喫煙率と比べると飲酒率はずっと高く,本調
査でも男子10.1%,女子10.4%(平成26年)が
飲酒するのに対して,喫煙率は男子4.0%,女
子2.2%(平成26年)であった。「喫煙」と「飲
酒」をクロス集計すると強い関連がみられたが,
喫煙者の77.0%が飲酒をしていたのに対して,
飲酒者のうち喫煙する者は23.7%であった。
「喫煙」と「飲酒」は男女ともに「性交経験の
有無」と有意な関係にあったが,ロジスティッ
ク回帰分析では,割合の高い「飲酒」の方が選
択され回帰係数も大きかった。10代において性
行動と喫煙・飲酒の間に関連があることは報告
されている10)11)。高校生の飲酒場面として「冠
婚葬祭」「家族との食事の席」「クラスのパー
ティー時」「友達の家」「パブやカラオケボック
ス」などがあり,少量飲酒群では「冠婚葬祭」
「家族との食事の席」がほとんどであるが,飲
酒群や問題飲酒群では「クラスのパーティー
時」「友達の家」「パブやカラオケボックス」で
の飲酒も多い12)。飲酒は自制心を低下させ性的
衝動が抑制できなくなる可能性が高く,高校生
の飲酒場面が性交経験へと向かいやすい環境に
あることも,性交経験と飲酒が強く関連する理
由であろう。
 高校生の性意識・性行動に影響を与えるもの
として「インターネット」が増加している。特
に男子において著しいが,男女とも性交経験と
の関連はなかった。「学校の授業」も増加して
いるが,女子においては性交経験に対して有意
に抑制的に働いている。性意識・性行動を良い
方向へ向かわせるためには,やはり「学校の授
業」による性教育・喫煙や飲酒に関する健康教
育が最も大切であると考えられる。その結果と
して,愛情を伴った性交渉を望むように意識が
変わっていくのではないだろうか。
 釧路市の思春期保健対策は着実に成果を上げ
ており,高校生の性意識,性行動,喫煙行動,
飲酒行動は着実に改善しているが,本調査に
よって今後の課題がふたつみえてきた。ひとつ
は「 2 人以上の性交経験を有する」者(図 3 )
が減少しないことである。性交経験の人数に関
してはネットの出会い系サイトが影響している
可能性がある。平成26年の本調査によると,性
交経験のある者で「出会い系サイトを利用した
経験がある」のは14.9%であったが, 2 人以上
の性交経験がある者では20%を超えていた。も
うひとつは「初交時に避妊を実行した」者の割
合(図 4 )が増加しないことである。女子は逆
に減少している。性交時に避妊をしないのは
「めんどくさいから」「準備していないことが
多いから」という理由が多いことから,妊娠や
性感染症に対する危険性の認識不足が大きいと
―  ―29
第64巻第 2 号「厚生の指標」2017年 2 月
思われる。本調査では,初交時のみならず現在
の性交渉も聞いているが,避妊の実施率は低く,
「いつも避妊している」者の割合は男子で
64.6%,女子で45.8%であった。また,近年,
日本ではAIDSや梅毒などの性感染症がすべて
の年齢で増加している。15〜19歳のAIDS感染
の報告は2000年に 4 例であったが,その後増加
し,2014年は16名報告されている13)。梅毒も
15〜19歳の男女で増加しており,先天梅毒は年
間数例報告されている14)。淋菌感染症も減少し
ているとはいえない14)。20代女性の子宮頸がん
も増加している15)。本調査の「性について知り
たいことはなにか」という質問に対して,「エ
イズ」と「性感染症の知識」は毎年回答率の高
い項目である。初交年齢は中学生以下が多いこ
とを考えると,高校はもちろんのこと中学での
性教育も大切で,特に避妊と性感染症の知識を
徹底的に学ぶことが重要と思われる。
文   献
1 )厚生労働省.母体保護統計報告(http://www.estat.go.jp/SG1/estat/GL08020101.do?_toGL0802010
1_&tstatCode=000001024040&requestSender=dse
arch)2015.6.18.
2 )厚生労働省.衛生行政報告例(http://www.e-stat.
go.jp/SG1/estat/GL08020101.do?_toGL08020101_&
tstatCode=000001031469&requestSender=dsear
ch)2015.6.18.
3 )総務省.平成14年 通信利用動向調査(http://
www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/
data/030307_1.pdf)2015.6.18.
4 )松下清美,玉江和義.性教育の現状と課題−性教
育の歴史的変遷に着目して−.宮崎大学教育文化
学部紀要 2012;25・26:9-20.
5 )山本信弘,大道乃里子,戸田百合子,他.性教育
の歴史的変遷の文献的一考察.大阪教育大学紀要 
1991;39(2):203-15.
6 )日本性教育協会.第 7 回青少年の性行動調査
http://www.jase.faje.or.jp/jigyo/youth.html
2015.7.23.
7 )厚生労働省.平成25年 国民生活基礎調査(http://
www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/
k-tyosa13/index.html)2015.9.30.
8 )釧路市.健康くしろ21(http://www.city.kushiro.
lg.jp/kenfuku/kenkou/tsukuru/kushiro21/cat
00000468.html)2015.9.30.
9 )厚生労働省.健康日本21(第二次)分析評価事業
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/
kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21/kenkou
nippon21/data05.html#c04)2015.9.30.
10)李美錦,川畑徹朗,菱田一哉,他.中学生の性行
動と心理社会的変数との関連.学校保健研究 
2012;54:418-29.
11)野々山未希子,江守洋子,永井秦,他.10代女性
のSTI感染とその影響要因.母性衛生 2008;48
(4):531-41.
12)江藤和子.神奈川県内の中学生・高校生の問題飲
酒群の飲酒行動.学校保健研究 2012:54(4):
340-4.
13)厚生労働省.エイズ発生動向年報(http://api-net.
jfap.or.jp/status/2014/14nenpo/hyo_06_01.pdf)
2016.1.13.
14)厚生労働省.性感染症報告数(http://www.mhlw.
go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html)2016.1.13.
15)国立がん研究センター.がん情報サービス(http://
ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html)
2016.1.20.
https://www.hws-kyokai.or.jp/images/ronbun/all/201702-04.pdf  

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コメント
1. 2020年2月06日 20:04:23 : iFn8MDLkzI : MDE3MTROVWk5anc=[279] 報告
「夜泣き謝らなかった」2歳児へ傷害容疑、34歳再逮捕

2020/02/06(木) 18:39:32.14ID:CAP_USER
 東京都荒川区の自宅で女児(2)が頭などを大けがして重体になり、母親の交際相手の男(34)が
暴行容疑で逮捕された事件で、警視庁は6日、男を傷害容疑で再逮捕し、発表した。
男は容疑をおおむね認め、「夜泣きを謝らず腹が立った」などと供述しているという。

 男はさいたま市の無職落合光太容疑者。人身安全関連事案総合対策本部によると、
1月5日夜、交際していた30代女性が住む荒川区のマンションの一室で、女性の長女の女児を居間の床に投げ飛ばすなどし、
急性硬膜下血腫や右手骨折を負わせた疑いがある。

 調べに対し、「以前から夜泣きがうるさくていらいらしていた」と供述。夜泣きや寝つきが悪いことについて
同日午後7時に謝ることになっていたとし、「約束の時間になっても何もせず眠そうにしていたので腹が立った」と話しているという。
女性は、抱え上げられた女児をいったんは助けたものの、すぐに奪い返されて投げ飛ばされた、と説明しているという。

 同日午後7時55分ごろ、女児のぐったりした様子に気づいた女性が119番通報。捜査関係者によると、
落合容疑者は救急隊員らに、女児は自分でけがをしたとの趣旨の話をしたという。2日後の7日、
傷の状況から虐待を疑った病院が警視庁に届け出た。

 同庁は1月26日、同2〜3日に女児を布団の上に投げ飛ばしたなどとする暴行容疑で落合容疑者を逮捕し、捜査を進めていた。

ソース 朝日新聞デジタル 02/06 18:26
h ttps://www.asahi.com/articles/ASN2661VDN26UTIL007.html

h ttps://rosie.5ch.net/test/read.cgi/liveplus/1580981972/

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