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内戦の趨勢が決したシリアで、再びアレッポ市に塩素ガス攻撃が行なわれた意味(ニューズウィーク)
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/435.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 11 月 29 日 01:55:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

内戦の趨勢が決したシリアで、再びアレッポ市に塩素ガス攻撃が行なわれた意味
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/11/post-11348.php
2018年11月28日(水)19時20分 青山弘之(東京外国語大学教授) ニューズウィーク


REUTERS-SANA


<11月24日にアレッポ市に塩素ガス攻撃が行なわれた。すでに内戦の趨勢が決したシリアで、今、塩素ガス攻撃が行なわれた意味とは>

反体制派が露わにした敵意を「テロ組織」が実行し、トルコが対応を迫られる──シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構(旧シャームの民のヌスラ戦線)が11月24日に行ったとされるアレッポ市への塩素ガス攻撃は、反体制派をめぐるこうした悪循環の典型だと言える。

シリアでの停戦に向けた動きは、米国とロシアを共同議長国とした国連のジュネーブ会議であれ、ロシア、トルコ、イランを保証国とするアスタナ会議(あるいはソチ会議であれ)であれ、反体制派を「テロ組織」と「合法的な反体制派」に峻別し、前者を撲滅し、後者をシリア政府と停戦・和解させることをめざしてきた。

だが、アル=カーイダ系組織、非アル=カーイダ系のイスラーム過激派、自由シリア軍、ホワイト・ヘルメットが渾然一体化するなか、峻別は困難を極めた。シリア政府、ロシア、そしてイランは、こうした状況に乗じて、一部の反体制派が繰り返す停戦違反を全体の違反行為とみなし、攻撃を正当化し、シリア内戦における軍事的優位を揺るぎないものとした。

ロシアとトルコは9月17日のソチでの首脳会談で、イドリブ県を中心とする反体制派支配地域(緊張緩和地帯第1ゾーン)と政府支配地域の境界地帯に非武装地帯を設け、同地からの「テロ組織」の排除や反体制派の重火器撤去を推し進めることで合意した。両国がこれまで以上に結託を強めたことで、反体制派は半ば強引に峻別された。イスラーム国やシャーム解放機構などといったアル=カーイダ系組織とのつながりの有無が基準だったはずの峻別は、両国の意向に沿うか否かという別の基準のもとで行われるようになった。

両国の意向とは、シリア政府への敵意を剥き出しにしてもよいが、シリア軍との戦闘は控えるか、それができない場合は、シリアから立ち去る、というものだった。これに応じれば、反体制派は延命を保障されたが、拒めば「テロ組織」のレッテルを貼られ、シリア軍による「テロとの戦い」の標的となった。

ロシアとトルコの意向に沿おうとしたのは、シリア・ムスリム同胞団の系譜を汲むシャーム軍団、バラク・オバマ前米政権の支援を受けてきたヌールッディーン・ザンキー運動、アル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動などで、彼らはトルコの庇護のもと、国民解放戦線として糾合した。

一方、こうした流れに抗い、「テロ組織」としての道を選んだのが、シャーム解放機構、新興のアル=カーイダ系組織であるフッラース・ディーン機構、オバマ前米政権の支援を受けてきたイッザ軍、チェチェン人からなるコーカサスの兵、中国新疆ウィグル自治区出身者からなるトルキスタン・イスラーム党などだった(非武装地帯設置合意や反体制派の動きについては拙稿「シリア反体制派の最後の牙城への総攻撃はひとまず回避された:その複雑な事情とは」を参照されたい)。

■シリア軍の非武装地帯内への砲撃で一気に緊迫化

非武装地帯が設置されたことで、シリア軍と国民解放戦線の戦闘はほぼ収束した。ロシア国防省の発表によると、9月17日から11月17日までの2ヶ月間で、停戦違反は依然として530回(1日平均で8回強)を記録した。だが、このうちトルコの監視チームが確認したシリア軍の違反は21件だけで、それ以外の違反は、ほとんどが「テロ組織」によるものだった。

非武装地帯での「テロ組織」の排除と反体制派の重火器撤去の責任はトルコが担った。だが、「テロ組織」はこれに抗った。シャーム解放機構とイッザ軍が11月9日にハマー県北部でシリア軍への攻撃を激化させると、フッラース・ディーン機構、トルキスタン・イスラーム党、コーカサスの兵も、ラタキア県北東部、イドリブ県南東部でこの動きに同調した。交戦を控えていた国民解放戦線は、戦火に巻き込まれるかたちで、アレッポ県西部でシリア軍との散発的衝突を余儀なくされた。

11月24日、シリア軍が非武装地帯の内側に位置するイドリブ県ジャルジャナーズ町の学校を砲撃し、子供4人と女性3人が死亡すると、事態は一気に緊迫化した。この停戦違反に対して、国民解放戦線の幹部でヌールッディーン・ザンキー運動報道官のアブドゥッサラーム・アブドゥッラッザーク大尉は、ツイッターのアカウントで「我々はお前たち(シリア政府)にただちに復讐を行う準備をしている、殉教者たちの魂をもう無駄にはしない」と述べ、報復を約束したのである。

反体制系サイトのドゥラル・シャーミーヤによると、この言葉を行動に移すかのように、「革命家たち」(所属は不明)は、イドリブ県南東部のアブー・ダーリー村、アレッポ県南部のハーディル村、アレッポ市西部の軍事アカデミー、ザフラー協会(ジャムイーヤト・ザフラー)地区にあるシリア軍と「イランの民兵」の拠点にただちに砲撃を加えた。そして、この直後、SANA(シリア・アラブ通信)やイフバーリーヤ・チャンネルといったシリアの主要メディアは、アレッポ市西部のハーリディーヤ地区、ナイル通り地区、ザフラー協会地区が有毒ガスを装填した砲弾の攻撃に曝されたと報じたのである。


アレッポ市への塩素ガス攻撃を伝えるSANA(2018年11月24日)

SANAによると、攻撃で市民107人が呼吸困難などの中毒症状を起こし、市内の病院に搬送された。アレッポ県のズィヤード・ハーッジ・ターハー医療局長は、患者の症状から塩素ガスが使用された可能性が高いとの見方を示した。

一夜明けた25日、ロシアが、一次情報に基づくとして、攻撃に関する詳細な事実関係を明らかにした。イゴール・コナシェンコフ国防省報道官は「負傷者の症状は、砲弾に塩素ガスが装填されていたことを示している」としたうえで、シャーム解放機構支配下のブライキーヤート村(アレッポ市東部)南東部郊外に設置された120ミリ迫撃砲から砲弾が発射されたと発表した。ロシア軍放射線化学生物学防護部隊のコンスタンティン・ポチョムキン報道官も、攻撃を行ったのがシャーム解放機構に所属するグループだと断定した。

なお、ロシアのスプートニク・ニュースは攻撃の数日前、フランス人専門家の一団がシリアに入り、イドリブ市内にあるシャーム解放機構の地下施設で、有毒ガスが装填可能なロケット弾に改良を加えたと伝えていた。同サイトによると、改良されたロケット弾は、アレッポ市への塩素ガス攻撃の直後に、イドリブ県各地に再配備されたという。ロシアとシリア政府は、これまでにもシャーム解放機構とホワイト・ヘルメットが、シリア軍を貶めるためにイドリブ県で化学兵器を使おうとしていると警告してきた。この主張をサポートするかのように、攻撃が敢行されたのである。

■反体制派は反論するが、欧米諸国は黙りを決め込む

反体制派は反論した。報復を約束していた国民解放戦線のアブドゥッラッザーク大尉は25日、「アサド軍は塩素ガスでアレッポ市の複数の地区が砲撃されたというウソを広めようとしている」と述べ、攻撃の事実自体を否認した。国民解放戦線の報道官を務めるナージー・ムスタファー大尉も「革命家たちがアレッポ市を砲撃したという主張、とりわけ塩素ガスを装填した砲弾で狙ったという犯罪者体制の主張を否定する...。シリアで塩素ガスを保有しているのは彼らだけだ」と反論した。

反体制系サイトのオリエント・ニュースアレッポの門も、「某医療筋」の話として、アレッポ市内の病院には有毒ガスによると見られる呼吸困難の症状を訴えた患者は搬送されていないと伝え、政府側の報道がフェイクだと主張した。

だが、反体制派の庇護者であるトルコの対応は冷ややかだった。トルコ外務省は25日の声明で、フルシ・アカル国防大臣がロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣と電話会談し、「最近の挑発行為が非武装地帯設置合意を阻害することを狙ったものだとの認識で一致した」と発表し、攻撃が行われたことを認めたのだ。声明によると、両国防大臣は、同様の攻撃が続いた場合の対応についても協議したという。

一方、欧米諸国は黙りを決め込んだ。2017年4月と2018年4月には、シリア軍が化学兵器を使用したと断じ、ミサイル攻撃に踏み切っていた米国は、国防総省が27日に、「シリア政府が偽りの口実につけ込んで、イドリブ県を攻撃しないようにすることが不可欠だ」、「化学兵器攻撃が行われたと疑われている現場を改ざんしないようロシアに警告する」、「公正且つ透明性に基づいた調査がされるようロシアに求める」といった控えめな声明を出しただけだった。

■化学兵器使用の争点化に欧米諸国はことのほか無関心

化学兵器禁止機関(OPCW)のフェルナンド・アリアス事務総長は26日、「シリアに事実調査団を派遣できるかを探っている」と述べ、真相究明への意思を示し、シリア政府もOPCWに正式に調査を依頼した。た。だが、これまでに幾度となく発生してきた化学兵器使用疑惑事件と同様、塩素ガスが使用されたか否か、そして実行犯が誰なのかを特定することは容易ではない。OPCWの調査で何らかの結論が得られたとしても、それについて内戦の当事者たちがコンセンサスに達することはなく、真偽をめぐるプロパガンダ合戦が繰り返されるだけなのだ。

ただ、今回の攻撃に限って見てみると、こうした不毛なやりとりが行われる兆候はない。反体制派の化学兵器使用が争点となることに、欧米諸国がことのほか無関心だからだ。政府支配地域で起きた塩素ガス攻撃について反駁することは、シリア内戦の趨勢が決した今となっては、いかなる情報操作・拡散をもってしても至難の業だ。こうした困難に敢えて挑んだとしても、反体制派の中核となって久しいアル=カーイダ系組織を直接間接に支援してきた欧米諸国の黒歴史が蒸し返されるだけなのだ。

現下の最大の懸念は、ロシアとシリア政府が、今回の塩素ガス攻撃を口実として、一度は猶予したイドリブ県の反体制派支配地域への総攻撃を再開することだろう。だが、こうした懸念も当たらないように思える。

むろん、ロシア軍は25日に、シャーム解放機構を含む反体制派が活動を続けるアレッポ市西部のラーシディーン地区郊外一帯、ハーン・トゥーマーン村に対して、非武装地帯設置合意以後初めてとなる爆撃を行い、シリア軍も同地に砲撃を加えた。だが、ロシア・シリア両軍が攻撃を拡大する気配はない。トルコも、シリア軍の停戦違反を粛々と記録するだけで、ロシアとシリア政府に異を唱えようとはしていないのだ。

そこには、大規模な戦闘をもってイドリブ県の問題を決着させたくないという当事者たちの意思が見て取れる。内戦終結を見据えたロシアとシリア政府は、復興を軌道に乗せるにあたって、住民の間に禍根を残すような戦闘を好ましいとは思っていない。トルコも、自らが支援してきた反体制派が大敗を喫することや、シリア難民が再び国内に流入してくるのを避けたいと考えている。

こうした暗黙の了解のしわ寄せを受けるのは、結局のところは反体制派だ。そして、事態の悪化を回避するため、これまで以上に彼らを手なずけねばならないのはトルコである。その意味で、アレッポ市での塩素ガス攻撃は、ロシアとシリア政府が総攻撃を行う布石ではなく、両国に対してトルコを劣勢に立たせる事件だったと言える。



 

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コメント
1. 2018年11月29日 02:12:36 : SVCUagcYIc : nDRqrsuLWhc[12] 報告
これなら今まででの化学兵器の使用とやらは反政府側の仕業だったと自供するようなものだな。
2. 2018年11月29日 19:02:17 : DwnPRF4fNk : eQd9cSln_3Y[30] 報告
藪蛇だ 下手にコメント 載せるなら

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