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リビア民兵組織将軍の、裏目に出たトリポリ進軍作戦 交渉失敗なら火の海に(ニューズウィーク)
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/645.html
投稿者 赤かぶ 日時 2019 年 5 月 05 日 04:17:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

リビア民兵組織将軍の、裏目に出たトリポリ進軍作戦
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/05/post-12070.php
2019年5月4日(土)14時20分 ジェーソン・パック(コンサルティング会社「リビア・アナリシス」創業者)、マシュー・シンケズ(同研究員) ニューズウィーク


LNAのハフタル将軍(写真中央)は、最近政治力も付けていて戦わずして権力を握る道もあったはずだ Esam Al-fetori-REUTERS


<内戦の雄として政治力も兼ね備えたハフタル将軍が、首都陥落という勲章欲しさに勇み足を踏んだ>

東西両政府の分断が続くリビア内戦に新展開があった。東部を支配する民兵組織「リビア国民軍(LNA)」のハリファ・ハフタル将軍が、西部の「国民合意政府」が支配する首都トリポリを武力制圧すると宣言したのは4月4日のこと。早くも複数回の空爆を行い、住民2000人以上が市外へ脱出している。

なぜハフタルはこの時期に軍事攻勢を選んだのか。彼の率いるLNAは国内最強の武装勢力だが、最近のハフタルは政治力も付けていて、戦わずして権力を握る道もあったはずだ。4月14〜16日に予定されていた国民会議(国連主導で内戦終結と大統領選挙に向けた枠組みを決める会議)では、最強の政治指導者と認知される可能性が高かった。なのに彼は首都への進軍を決めた。

およそ合理的な戦略とは言えない。ハフタルは強さを誇示したい幻想に酔っている。だから選挙や交渉ではなく、戦闘なり策略なりで国家指導者の座を得たいと思っている。

過去にハフタルと会ったことのある外交官やジャーナリストに聞いてみればいい。

アメリカ政府のリビア特使だったジョナサン・ワイナーは、「彼とは16年に会ったが、『この国の政治家は信用できない、まだリビアに民主主義は早い』と言っていた」と語る。「とにかく軍事的な勝利を積み重ね、自分以外の選択肢がなくなるような状況を生み出す。それがハフタルの戦略だ」

何度もハフタルに取材したというジャーナリストも同意見だ。「15年には東部マルジュの司令部で虚勢を張っていた。自分は大統領になるだけでなく、国内のイスラム原理主義勢力を皆殺しにしてやる、と」

■油田の守り神への期待

平和的な政権交代を実現するに適した人物の言葉とは思えない。11年のカダフィ政権崩壊以降、いわば「はぐれ将軍」のような立場から国際社会で一目置かれる有力政治家へと変身してきた男が、また武闘路線へと回帰してしまった。

だが戦況は思わしくない。4日の宣言から数日の間にLNA兵145人と車両60台が西部政府の民兵勢力に捕らえられた。待ち伏せ攻撃を受けて敗走したLNAの部隊もある。

国際社会でも四方八方から非難の声が上がっている。これでハフタルも思い知るだろう。諸外国が彼を支持してきたのは、彼が戦闘に固執せずに支配地を広げてきたからなのだ。

トリポリへの進軍に伴うリスクは十分に承知していたはずだ。内戦開始以来、東部のデルナとベンガジでイスラム過激派と熾烈な市街戦を何年も続けてきた。昨年までに奪還したが、人的・経済的な損失はあまりに大きかった。

だから今回の進軍宣言も口先だけで、ひとまずトリポリは包囲するが流血の事態は避けるつもりだったのかもしれない。しかし、それだけでも国際社会や国内の有力部族から見放される恐れがある。

国内でも国外でも、ハフタルの株が上がるのは油田の権益と安全な操業の守護者と見なされた場合に限る。油田への攻撃などは論外だ。彼自身は忘れているかもしれないが、この内戦を交渉によって解決し、選挙を実施するという点で、国内の諸勢力は(少なくとも口先では)一致していたのである。

しかしハフタルは話し合いより武力攻撃を選んだ。もはや将軍というより暴君にしか見えない。トリポリ進軍で、東部政府の後ろ盾だったアラブ首長国連邦(UAE)までもが彼を非難する共同声明に名を連ね、国内の有力部族も敵に回した。

彼は従来、フランスやロシア、エジプト、UAEとの良好な関係を深めつつ、西部の国民合意政府を支援する国連やイタリア、イギリス、アメリカとも一定の協調的な姿勢を取ってきた。

一方でソーシャルメディア上の偽アカウントを使って国内外に向けた情報発信も行っているが、外交戦略も含めて、その背後にはロシアの影がちらつく。

南西部でこの3カ月間に行われた進軍や軍事作戦では統制が取れており、彼こそがリビアの新たな支配者にふさわしいと思わせる雰囲気があった。

17年のベンガジ解放宣言以降、LNAは犠牲者を極力出さないよう、少しずつ支配地域を広げてきた。この3年に東部で「石油の三日月地帯」の油田や石油ターミナルを占拠。現地でカネをばらまいて既成事実を積み上げる手法を取り、抗争の泥沼化を避けてきた。16年9月の三日月地帯に続いて、今年2月には南西部のシャララ油田も制圧したが、どちらも派手な戦闘はなく犠牲者も少なかった。

以前からトリポリ制圧を口にしてはいたが、実際に兵を動かすことはなかった。そして順調に支配地域を広げるにつれ、彼は欧米の政府や国際会議に招待されるようになった。油田地帯をほぼ掌握した時点で、国際社会からもリビアの真の実力者、まともな交渉相手と認められる一歩手前まで来ていた。

■交渉失敗なら火の海に

つまり、過去1年間の戦略は功を奏していた。それでも彼は、トリポリを掌握して政治的・軍事的支配者の地位を確立するという夢を捨てられなかった。

この誇大妄想のせいで、彼はせっかく手にした地位を失うような行動に出てしまった。するとフランスやイタリア、イギリス、アメリカ、そしてUAEが共同声明を発表し、事態の即時沈静化を求めるとともに、国際社会は国連主導の国民会議による和平プロセスを支持すると明言した。この時点で、彼の作戦は裏目に出たといえる。

トリポリに乗り込んでも、最初のうちは金銭などに釣られてLNAを支持する勢力があるかもしれない。だが、いずれハフタル体制への反感が高まるのは必至だ。トリポリには、よそ者の支配に力ずくで抵抗してきた長い伝統がある。
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また和平プロセスから手を引いたり、トリポリ奪還作戦で大量の犠牲者を出すような事態になれば、イスラム過激派の一掃という主張ゆえにハフタルを支援してきた諸国も離反する。

国際社会が、当事者全員の面目が立つやり方で慎重に事を進めなければ、戦闘激化の可能性は再び高まる。国連は国民会議を延期したが、このままだとハフタルを利する恐れがある。たとえ軍事衝突が激しくなろうと、そして日程が多少ずれ込もうと、全員参加の会議を開かねばならない。まずは武器を置いて交渉の席に着くよう促すべきだ。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2019年5月4日号掲載>


 

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コメント
1. 2019年5月05日 18:06:46 : q4HLyru6DY : S3M4WHJ5WHg0LmM=[161] 報告
アメリカはカダフィを殺すのには成功したが傀儡政権の樹立には失敗したか。いずれにしても国民はアメリカ言いなりの政権を支持しないか。
2. 2019年5月06日 14:40:38 : 13liS4O30I : dXNXOG0vRWpLak0=[1] 報告
ハフタルはアメリカの影響強いぞ。
もともとカダフィと決裂してリビア内戦までアメリカに住んでいたのだからな。
4月18日にイギリスが国連安保理に提出したリビア停戦決議もアメリカは拒否権を行使している。
3. 2019年5月06日 15:31:42 : KkvnIoT4Do : SHl0MlhNVlhWUFE=[1] 報告
今はどっちかといえばトリポリ側は英伊などの影響が強くて「リビア国民軍」は
米ロの影響が強い。
ただしアメリカやフランスは両天秤でどっちが勝って影響力があるが、石油施設が
被害を受けるのだけは困るという姿勢。
どっちがどこの勢力とかいえないややこしい状況になっている。

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