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対サウジ原発供与秘密計画の発覚と中東核拡散の危険  フランス、ドイツに核の傘を提供する用意
http://www.asyura2.com/19/genpatu51/msg/263.html
投稿者 うまき 日時 2019 年 3 月 25 日 14:38:16: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

対サウジ原発供与秘密計画の発覚と中東核拡散の危険

2019/03/25

斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)


(iStock.com/flySnow/Purestock)
 トランプ・ホワイトハウスが秘密裡に進めてきた対サウジアラビア原発供与計画内容の一部がこのほど、内部告発で発覚、米下院監査・改革委員会(エリジャ・カミング委員長)が「原子力エネルギー法」抵触の疑いがあるとして真相解明に乗り出した。

 計画では数十基の売却が見込まれており、もしこれが実行に移された場合、サウジは敵対関係にあるイランに続き核開発への転用に乗り出すことも懸念され、最悪の場合、中東での核拡散に発展しかねない危険をはらんでいる。

 カミングズ委員長は去る2月19日、ホワイトハウスが政権発足後の2017年初めからひそかに着手してきたサウジアラビアへの原子力技術供与計画について、「複数の内部告発者」の情報提供を下に作成したという報告書要約版を公表した。


(Martin Janecek/Gettyimages)
 その中で以下のような点が明らかにされた:

「内部告発者たち」はこのほど当委員会に対し、ホワイトハウス関係者たちが法律に抵触する恐れがあるにもかかわらず、サウジへの原子力技術移転計画を大急ぎで推進しようとしていることに対し重大な懸念を表明するとともに、計画をめぐりホワイトハウス内部での主導権争いなど、当事者間で混乱状態に陥っていることを警告してきた。
良識派の倫理問題担当顧問たちはトランプ政権の「高官たち」に対し、サウジとのこうした取引は、外国への原子力技術移転に際し議会の事前承認が必要であるとして繰り返し注意喚起してきたが、彼らはこれを無視してきた。
同計画の推進母体となっているのが、サウジ国内における原発建設を請け負う複数の大手企業からなる「IP3インタナショナル」コンソーシアムであり、2016年米大統領選挙期間中に国家安全保障問題顧問を務めトランプ当選後も大統領顧問だったマイケル・フリン氏が中心的役割を担ってきた。
2017年1月から同年7月までホワイトハウス国家安全保障会議中東北アフリカ担当上級部長だったデレク・ハーベイ氏はトランプ政権発足直後に関係スタッフたちに対し、「IP3原子力計画」はマーシャル・プランの中東版であり、フリン大統領補佐官がすでにサウジへの売却を決定済みであることを告げた。
フリン氏はその後、大統領の署名を得るための「閣議メモ」を作成、その中で、大統領の永年の親友で2017年1月「大統領就任式実行委員長」の要職を務めたトーマス・バラク氏を計画推進責任者に指名した。
大統領は今年2月12日、サウジアラビアなど中東数カ国の原発建設会社代表をホワイトハウスに招き会談したほか、娘婿のジャレッド・クシュナー上級顧問をサウジに派遣するなど、その後も同計画は進行中とみられる。
 これらの指摘のうち特に注目されるのは、クシュナー氏の最近の動きだ。

 同報告書が言及した通り、クシュナー氏は今月初め、サウジの首都リアドを訪問、かねてから親交のあるサルマン国王、皇太子ら同国王室トップと会談した。しかし、電子メディア「Daily Beast」などによると、この会談について現地米国大使館は一切知らされておらず、大使も会談には同席を許されなかった。

核開発に踏み切る可能性
 これに対し、ホワイトハウスは会談が行われたこと自体を認めた上で、その目的については「両国協力関係、イスラエル・パレスチナ問題、中東における経済投資などについて協議が行われた」と型どおりの説明だけにとどまった。

 米国大使館高官やスタッフが有力雑誌「Vanity Fair」記者に語ったところによると、これまでの外交慣例によれば通常、米国政府の閣僚や高官らの外国訪問の際には、スケジュールの調整、身辺警護の徹底、滞在中の行事や会談へのスタッフの同席など現地大使館が一切の準備を担当してきたが、今回だけはつんボ桟敷に置かれ、すべてサウジ王室任せで行われたという。

 このため、米議会では今回のクシュナー氏のサウジ訪問で、原発供与問題含め具体的にどのような話し合いが行われ、どの程度の進展があったのかについて、下院監査・改革委員会、外交問題委員会など各関連委員会が近くホワイトハウスから詳しい説明を受ける予定だ。

 対サウジ原発供与問題がここにきて急にクローズアップされてきたのは、もしいったん核技術が同国に渡った場合、核開発に踏み切る可能性が極めて大きいとみられているからにほかならない。

 この点について、前述の下院報告書も以下のように指摘している:

 「多くの専門家は、もし、機密性の高いアメリカの核技術を供与した場合、サウジは核兵器生産に乗り出し、ひいてはすでにきわめて不安定な中東全域での核拡散につながることを憂慮している。げんにモハメド・ビン・サルマン皇太子は昨年の時点で、こう公言している『もしイランが核爆弾を開発した場合、わが国は間違いなく、ただちにそのあとに従うことになる』」

 事実、サルマン皇太子は昨年3月、米CBSテレビ番組で具体的に「わが国は、いかなる核爆弾も確保しようとは思っていない。しかし、もし、イランが核爆弾を開発した場合、われわれは間違いなく、できるだけ早く同じ道を追求していくことになる」と述べた。

 またその数日後には、ファリ同国エネルギー大臣がさらに具体的に「同盟国であるアメリカがわが国に原発技術を提供することは自然の成り行きであり、それに続いて核燃料サイクル、そのモニタリングについても援助してくれることを期待している」と一歩踏み込んで発言、核開発への強い意欲を示し注目された。

 サウジ側のこうした姿勢は、同国の核開発がイランの出方次第にかかっていることを内外に明確に示したものだ。

パキスタンが核開発援助
 問題はそのイランだ。

 イランは去る2015年7月、米英仏独の欧米4カ国と中露を加えた6カ国との最終協議で、イランの核開発抑止をめざす最終取り決めいわゆる「イラン核合意」を受け入れたばかりだった。ところが、皮肉にもトランプ大統領は2018年5月、オバマ前大統領がとりまとめた同合意からの離脱を発表、このままではかえってイランにフリーハンドを与え、核開発に踏み切らせる口実を与えかねない状況になりつつある。

 今のところイランは、トランプ政権が「イラン核合意」無効宣言をした後も、他の加盟5カ国が合意を順守し続けているため、今後の対応については様子見の状態だが、米政府の対イラン経済制裁が長期化し、国内経済への打撃が深刻化した場合、合意自体の見直しを迫られる事態もありうる。

 この点に関連し、イランのモハメド・ザリフ外相は、米下院報告書要約版が公表された翌日の先月20日、ツイッターを通じ「イラン核合意を破棄する一方でサウジに対し核技術を提供しようとしていることは偽善以外の何物でもない。反体制ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏殺害に関与したサウジ政府に今また原発技術を供与しようとするアメリカは今や、人権問題にも核拡散問題にも無関心であることを世界に知らしめるようなものだ」と激しくトランプ政権を非難した。

 米下院調査委員会がサウジへの核技術供与にとくに神経をとがらせる背景には、サウジはかつて、同じイスラム教スンニ派が支配するパキスタンに資金援助を行い、結果的に“最初のスンニ核爆弾”と揶揄されたパキスタンの核開発をおぜん立てしたことがある。

 両国はパキスタン建国の1947年以来、政治、安全保障、通商、文化交流、宗教に至るまで幅広い緊密な協力関係を維持してきており、パキスタン政府は対サウジ関係を「アラブ世界における最強、最重要の関係」として重視してきた。

 こうしたことから、ニューヨーク・タイムズ紙も「パキスタンは隣国インドに対抗できる核保有国になれたことについて、サウジに特別の恩義を感じていることは明らかであり、サウジがその気にさえなれば、パキスタンが核開発援助をすることは否定できない」と報じている。

 また、パキスタンは2002年時点で、北朝鮮に対し、核爆弾技術を供与したことが、米情報機関によって確認されている。そしてその北朝鮮は近年、とくにサウジとの関係強化に乗り出してきており、最悪の場合、外貨稼ぎのために、すでに開発に成功した核兵器技術を今度はサウジに売却するというシナリオも考えられる。

 しかし、最大の問題は、こうした中東を舞台にした多くの安全保障上の将来的不安要因があるにもかかわらず、トランプ米政権が、イラン核合意の廃棄を決定する一方、他方でライバル関係にあるサウジに対し、核開発転用の危険がある原発技術供与に乗り出そうとしている点だ。戦略的視点を全く欠いた近視眼的な外交というほかない。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15732


 
フランス、ドイツに核の傘を提供する用意

2019/03/25

岡崎研究所

 1月22日、ドイツの町アーヘンの市役所で、メルケル首相とマクロン大統領が、独仏両国の協力と欧州統合を一層推進する条約に署名した。このアーヘン条約は、平和と安全保障、文化、教育、研究、気候、環境開発、経済など、多岐にわたる包括的な独仏協力をうたったものだが、最も重要なのが防衛、安全保障で、就中両国の領土に対する侵略が行われた場合、「兵力を含むあらゆる手段」で支援することを約束している。


(Trifonenko/tkacchuk/iStock)
 この約束は、集団的自衛権を定めたNATO条約第5条を越えるものとされている。NATO 条約第5条は、締約国が攻撃を受けた場合、「必要とみなす行動を取る(…such action as it deems necessary…)」と規定しているが、アーヘン条約での支援は無条件とされている。

 これは、欧州が自らの運命を決める時期が来たとの認識に立ったものと言われる。そして、それはトランプ大統領のNATO観に由来するものである。トランプはNATOでは米国が不当に多くの財政を負担させられているとして、他の加盟国に防衛費を少なくともGDPの 2%支出するよう求めたが、基本的にNATOを税金の無駄使いとみなしている節があり、米国のNATOからの離脱さえ示唆している。このような状況の下で、欧州諸国が米国には頼れないと考えるのは当然である。

 米欧関係は、第二次世界大戦後の国際社会で大きな比重を占めてきた。米欧は基本的価値観を共有するのみならず、先進国経済圏として世界経済をけん引し、民主主義地域として戦後世界の秩序の維持発展に貢献してきた。しかし、米欧の一番強い絆はNATOに集約される安全保障面であったと思われる。冷戦後もロシアの脅威に対し、共同で対処してきた。 その絆が切れるということは、米欧関係にとって革命的変化である。欧州が米国に頼らずに自らの安全保障を確保しようとするのは画期的なことである。

 しかし、米国以外の締約国が、米国がNATOで果たしてきた役割を肩代わりするのは容易ではない。欧州ではこれまでも自身の手で欧州の防衛を強化しようとする動きが見られ、特に、マクロン大統領は、欧州統合軍の創設の必要性を強調してきた。 しかし、これまで米国が果たしてきた役割に代わるような欧州統合軍の設置には欧州諸国の防衛費の飛躍的な増加が必要で、実現には時間がかかる。

 アーヘン条約では、フランスがドイツに核の傘を提供したことが重視された。条約の条文中には核の傘に対する直接の言及はないが、マクロン大統領がインタビューに答えて、その点を明らかにしたという。 核の抑止は欧州統合軍の創設と異なり、時間がかかる問題ではない。ロシアの核攻撃に対する抑止には、必ずしもロシアと同じ核戦力は必要ない。抑止はロシアが堪えがたいと思う被害を与える能力があれば成り立つ。何が堪えがたい被害であるかの判断には主観的要素も入る。フランスの持っている約300の核弾頭とミサイルで、ロシアが堪えがたいと考えるような核攻撃をすることは可能であり、そうとすればフランスの核能力は対ロ抑止力を持っていると言える。ただ、ドイツを核の傘のもとに置くことは可能としても、欧州全体を置くことまでは考えてないだろう。その意味でフランスは米国の肩代わりはできず、米国が手を引いた後の欧州の核抑止は大きな問題である。

 トランプのNATO観で、NATOが崩壊したわけではない。しかし、その土台が大きく揺らいでいることは間違いない。これからの米欧関係は未知の領域に入っていく。その中で独仏の安全保障協力は重要な役割を果たすことになるだろう。

 1963年のエリゼ条約は独仏の戦後の和解を確認した歴史的文書であったが、アーヘン条約が米欧関係の基本的変化の中での独仏の協力を謳ったものとして、同様に将来歴史的意義のある文書であると認められることになる可能性がある。実際、同条約には、エリゼ条約の独仏和解と協力の精神のもと、21世紀の状況に合わせて、さらなる独仏協力と統合を促進するとの規定がある。ただ、内容が抽象的であるので、状況の変化等に応じ、どれだけ具体的に独仏関係の深化が進むかは未知数である。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15680  

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コメント
1. 2019年3月25日 14:41:49 : ZzavsvoOaU : aHVwMGJ2SHM5RE0=[59] 報告

現状、核抑止以上の有効な手段がないのだから当然のこと

>対サウジ原発供与秘密計画の発覚と中東核拡散の危険 

米国が売らねば、中露から買うだけ

より強力でコストパフォーマンスの良い環境に優しい兵器が出るまでは、核拡散は必然ということだ


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