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楢葉町避難指示解除４年、未来は暗い
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2019/09/10(火) 19:42:21 めげ猫「タマ」の日記
福島県楢葉町の避難指示が２０１５年９月５日に避難指示が解除されてから今月で４年になります。お祝いしたのですが
・事故前に比べ半減した人口
・富岡町に奪われつつある復興・廃炉拠点
・戻らない児童生徒
・回復しない農業
・迫り来る財政破たん
等の特徴があり未来は暗いと思います。
福島県楢葉町は福島県沿岸部にある町です（１）。以下に示します。
事故から８年半、汚染されている福島
※１（２）の数値データを元に（３）に示す手法で９月１日時点に換算
※２ 旧避難区域は（４）による
図−１ 福島県楢葉町と富岡町
図に示す通り国が除染が必要だとする毎時０．２３マイクロシーベルトを超えています（５）。事故から６年半を経て汚染されています。それでも安倍出戻り総理は「安全」だとして（６）、４年前の２０１５年９月５日に避難指示を解除しました（１）（４）。
楢葉町には福島第二（９）や楢葉遠隔技術開発センター（１０）等の原子力関連施設、東電の寄付で作られ一時は原発事故対応拠点となったJヴィレッジ（１１）があります。町の直ぐ北には指定廃棄物の最終処分場があります。搬入路は楢葉町にあります（１２）。直ぐ北（概ね２０ｋｍ以下）には福島の除染廃棄物を集積する中間貯蔵施設（１３）や福島第一原発があります。同町やその近くには原子力関連の職場が沢山あります。
以下に町内在住者数の推移を示します。
住民が半分程度しか戻っていない楢葉町
※（１２）を集計
図―２ 楢葉町民の居住先
図に示す様に徐々に町内居住者が増えています。８月３１日時点では
住民登録 ６，８７９人中町内在住３，８３３人（５５．７％）（１３）
で、過半数を超えています。ただし、事故前の２０１０年の人口が７，７０１人（１）ですので、半数以下です。
以下に楢葉町の転入者数を示します。
２０１５年９月以降に増えた楢葉町への転入者
※（１４）を集計
図―３ 楢葉町の転入者数
図に示す様に避難指示が解除された２０１５年９月に避難指示か解除されてから急増しました。避難指示か解除されたことにより、楢葉町内に住居を確保できれば楢葉町内に暮らせるようになりました。既に述べている通り、楢葉町やその周辺には原子力関係の仕事が溢れています。図に示す通り多くが男性です。避難指示解除以降の転入者は男性９２０人、女性４０２人の合計で１，３２２人です。福島第一で働く方は男性が圧倒的です（１５）。概ね原子力関係者だと思われます。この方達が全て楢葉町内に住むとは限りません（例えば避難している楢葉町民と結婚して新たに楢葉町民となる）、楢葉町に転勤になっても再び別の場所に転勤になり転出するなど、転入したかが全て残っている訳ではないにしても、それなりの人数です。特に昨年８月以降、今年７月末までの１年間を集計すると
町内居住者の増分 ３９７人
新規転入者 ２９８人
で、町内居住者の増分は殆どが新規転入者です。これからの人口回復には新規転入者を欠くことが出来ません。
２０１７年４月１日に北隣の富岡町の避難指示が解除になりました（４）。図―１に示す様に楢葉町に比べ富岡町の汚染が酷くなっています。でも、その分だけ福島第一や中間貯蔵しせつには近くになっています。以下に２０１７年４月以降と楢葉町と富岡町の累積の転入者数を示します。
富岡町に比べ少ない楢葉町の転入者
※（１４）を集計
図―４ ２０１７年４月以降の累積の転入者数
図に示す様に富岡町の方が多くなっています。
来年（２０２０年）３月末までに、常磐線が全線で復旧します。これに合わせ事故後は運行が止まっていた特急列車が復活することになりました（１６）。この特急列車は事故前は楢町内の木戸駅や竜田駅（１６）には止まらず（１７）、富岡町の富岡駅（１６）に止まっていました（１７）。福島は車社会とは言え（１８）、東京出張は公共交通機関を使う事になると思います。福島第一や第二の廃炉を担う東京電力は東京の会社です（１９）。中間貯蔵施設を運営するJESCO（２０）も東京の会社です（２１）。フクシマの原子力関係者は東京との行き来が必須です。廃炉拠点としては富岡町が有利です。さらには新規転入者向けと思いますが町営住宅の募集もしています（２２）。原子力ムラの皆様が放射能汚染をどのように評価するかわ分かりませが、公式には北隣の富岡町も「安全」とされています（６）。富岡町に復興・廃炉拠点を奪わつつあるようです。
以下に町内在住者の年齢分布を示します。
義務教育世代が少ない楢葉町
※（１３）を集計
図―５ 楢葉町町内在住者の年齢分布
図に示す様に５歳から１４歳の子どもがすくなくっています。避難指示解除前の５年前、楢葉町には０−４歳の子どもが２６１人いました（１４）。５年後、彼らは５−９歳に成長しています。８月３１日時点で楢葉町に居住している５−９歳の方はこの３１％（８１÷２６１×１００）の８１人です（１３）。過去５年間に楢葉町民として２４１人の方が生まれました（１４）。このうち楢葉町に居住しているのは５９％（１３９÷２４１×１００）の１３９人です。このようにして年齢別の再居住率を出してみました。
児童生徒が戻らない楢葉町
※（１３）（１４）を集計
図―６ 楢葉町の年齢別再居住率
図に示す様に小中高校生に相当する５から１９歳が低くなっています。楢葉町には児童・生徒は戻りません。
以下に楢葉町の１次産業の生産額を示します。
回復しない楢葉町の農業生産額
※（２３）を集計（過去分を含む）
図―７ 楢葉町の農業生産額
図に示す様に事故前は５億円近くあったのですが、避難指示解除の翌年の２０１６年では僅か数百万に落ち込んでいます。以下に楢葉町の米の収穫量の推移を示します。
回復しない楢葉町のお米の収穫量
※１ ２０１０年は（２４）を集計
※２ ２０１２年以降は全量・全袋検査数（２５）に、１検査当たりの重量（３０ｋｇ）（２６）を掛けて算出
図―８ 楢葉町の米の収穫量
図に示す通り回復していません。事故前の２０１０年には２，１７０トンでしたが、２０１８年は１２９トンです。楢葉町の農業は回復していません。
事故前の楢葉町は財政破綻した北海道・夕張市（２７）になぞられ、第二の夕張市と言われていました（２８）。事故によって復興財源が投入され見えなくはなりましたが、復興が終われば元に戻ります。さらに問題なのは福島第二の廃炉です。これで、交付金が無くなります。２０２０年分は同額が交付される事がきまりましたが、２０２１年以降は不透明です（２９）。
福島第二の交付金・２０２１年度以降は不透明と報じる福島県の地方紙・福島民報
※（３０）を９月６日に閲覧
図―９ 福島第二の交付金・２０２１年度以降は不透明と報じる福島県の地方紙・福島民報
交付金がなくなれば、さらに財政は厳しくなります。楢葉町には財政破たんが迫っています。
福島県楢葉町の避難指示が２０１５年９月５日に避難指示が解除されてから今月で４年になります。お祝いしたのですが
・事故前に比べ半減した人口
・富岡町に奪われつつある復興・廃炉拠点
・戻らない児童生徒
・回復しない農業
・迫り来る財政破たん
等の特徴があり未来は暗いと思います。
＜余談＞
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
楢葉町の避難指示解除４年について、福島の地方紙・福島民報は
「町内居住者は前年同期より約四百人増え、住民基本台帳人口の５５・５％になった。＜中略＞ 営農再開の動きも本格化し、震災前のような田園風景が戻りつつある。今春、コメを保管するカントリーエレベーターや水稲育苗センターが完成し、二〇一九年産米の作付面積は前年の三倍の約百七十五ヘクタールになった。」
と報じています（３１）。あたかも復興がなったかのようですが、町内居住者が前年同期より約四百人増えたのは住民が帰還したためでなく、原子力ムラの皆さんが越して来たためです。ただし、これからは楢葉町でなく北隣の富岡町にシフトしそうです。住民基本台帳人口の５５・５％になったのは、住民の帰還以外に楢葉町民を止めた方がいた事、原子力ムラの皆様が新たに住み着いた要因もあります。
「営農再開の動きも本格化し、震災前のような田園風景が戻りつつある。」
との記載ですが、農業は回復していません。
「二〇一九年産米の作付面積は前年の三倍の約百七十五ヘクタールになった。」
そうですが、事故前の水田は４２３ヘクタールありました（２４）。復興が進んでいない楢葉町の復興があたかも順調なような報道です。こんな報道がまかり通る福島では、福島の皆様は不安だと思います。
福島を代表する夏野菜にピーマンがあります（３２）。９月ですが今もシーズンです（３３）。福島ののピーマンは生食でも味わい良く、加熱すると柔らかくなり、独特のにおいも和らぎ風味の良いそうです（３２）。福島県は福島産は「安全」だと主張しています（３４）。でも、福島県福島市のスーパーのチラシには福島産ピーマンはありません。
※（２４）を引用
図―１０ 福島産ピーマンが無い福島県福島市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県福島市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-3016.html
(１)楢葉町 - Wikipedia
(２)航空機モニタリングによる空間線量率の測定結果 | 原子力規制委員会中の「福島県及びその近隣県における航空機モニタリング（平成29年9月9日〜11月16日測定） 平成30年02月20日 （KMZ, CSV）」
(３)めげ猫「タマ」の日記 半減期でしか下がらない福島の放射線（２０１７年）
(４)避難区域の変遷について−解説− - 福島県ホームページ
(５)国（環境省）が示す毎時０．２３マイクロシーベルトの算出根拠｜東京都環境局 その他について
(６)東京新聞:子ども帰還見合わせ要請 国連報告者「年間１ミリシーベルト以下に」:国際(TOKYO Web)
(７)福島第二原子力発電所 - Wikipedia
(８)国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 福島研究開発部門 楢葉遠隔技術開発センター
(９)Jヴィレッジ - Wikipedia
(１０)福島県における取組み｜放射性物質汚染廃棄物処理情報サイト｜環境省
(１１)中間貯蔵施設の概要｜中間貯蔵施設情報サイト：環境省
(１２)楢葉町内居住者数について｜楢葉町公式ホームページ
(１３)(１２)中の行政区別・年代別集計表（R1.8.31)
(１４)福島県の推計人口（令和元年8月1日現在）を掲載しました。 - 福島県ホームページ
(１５)「あのとき、おなかに子供がいました」福島第一原発の女性オペレーターは、5年後も現場にいた。 | ハフポスト
(１６)常磐線 - Wikipedia
(１７)ひたち (列車) - Wikipedia
(１８)【車社会の行方・高齢ドライバー】判断の『遅れ』...重大事故に：福島民友ニュース：福島民友新聞社 みんゆうNet
(１９)会社概要｜会社情報｜東京電力ホールディングス株式会社
(２０)中間貯蔵事業について
(２１)会社概要
(２２)借上げ型町営住宅『上の町団地』（うえのまちだんち）の随時募集について／富岡町
(２３)福島県市町村民経済計算 報告書 - 福島県ホームページ
(２４)作物統計調査 市町村別データ 平成22年産市町村別データ 農林水産関係市町村別データ 2 水稲（2011年１月28日公表） 福島県 年次 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口中のExcel
(２５)ふくしまの恵み
(２６)全量全袋検査 - Wikipedia
(２７)夕張市 - Wikipedia
(２８)財政破たんから7年、夕張市のいま 「夕張予備軍」はどれくらいある？（THE PAGE） - Yahoo!ニュース
(２９)楢葉、富岡に同規模交付金 経産省来年度概算要求 第二原発廃炉 | 福島民報
(３０)福島民報社
(３１)復興の歩み着実に 楢葉町、避難指示解除から４年 | 福島民報
(３２)夏 | ふくしまの野菜 | JA全農福島
(３３)福島県の旬（出回り時期） 野菜編
(３４)安全が確認された農林水産物（公開用簡易資料） - 福島県ホームページ中のやさい編 [PDFファイル／214KB]
(３５)イオン 郡山フェスタ店のチラシ・特売情報 | トクバイ
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