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デジタル革命は雇用と働き方をどう変えるのか? 日本の活路を開くデジタル革命(4) 
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/515.html
投稿者 うまき 日時 2019 年 3 月 16 日 00:02:26: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

デジタル革命は雇用と働き方をどう変えるのか?
日本の活路を開くデジタル革命(4)
2019.3.15(金) 高野 研一
(高野 研一:コーン・フェリー日本共同代表)


◎連載「日本の活路を開くデジタル革命」バックナンバー
(1)「産業革命に追いついた日本、デジタル革命でも再び」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55315
(2)「日本企業が『デジタル破壊』から身を守る唯一の方法」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55463
(3)「デジタル革命が導くビジネスモデルの7つの方向性」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55611

 日本企業がデジタル革命に適応して生き残っていくために、いよいよ終身雇用の価値観を変えるべき時が来たのではないだろうか。

 産業革命とは、エンジンやモーターの登場により、生産物流システムが根底から変わり、巨大工場や大企業が台頭した時代であったということを連載の第1回で述べた。日本企業がそこで大成功できた理由の1つに、終身雇用の価値観があったことは間違いないだろう。

 巨大工場を成り立たせようとすると、大勢の人を採用し、教育し、定着させる必要がある。終身雇用制は、職の安定を提供することで、企業への帰属意識を高め、お互いに協力してライバル企業に打ち勝とうとするモチベーションを生み出すことに成功した。それが戦後の復興と相まって、日本の驚異的な経済成長を可能にしたといえよう。

 ところが、経済成長が止まると、今度は終身雇用制の弊害が目立つようになってきた。人が退職しないため、管理職ポストが空かず、昇進昇格のスピードが遅くなったり、雇用削減を伴うような事業構造改革がやりにくくなってきている。その結果、有能な学生は、将来性の見えない大企業に就職することを敬遠するようになっている。

 そこにいま、デジタル革命が起こり、既存のバリューチェーンのスクラップ&ビルドが始まったのだ。本来であれば、価値を生みにくくなった機能は自らスクラップし、新たに価値を生む機能の獲得に動かなければならない。しかし、人の入替を伴うようなスクラップ&ビルドには、終身雇用制の下では誰も前向きになれない。

 また、デジタル革命の時代には、大企業に代わってプラットフォーマーが台頭し、その周りにグローバルなエコシステムが形成されていくことは連載の第2回で述べたとおりだ。エコシステムとは「勝ち組企業連合軍」のことを指す。競争を勝ち抜いた企業はエコシステムの中に留まり続けるが、敗れた企業はエコシステムから退出していく。そうして、プラットフォーム自体が絶えず必要な機能、不要な機能をスクラップ&ビルドし続け、自己革新していくことができるのだ。

 そこでは、淘汰された企業から人が流出し、勝ち抜いた企業へと移っていく。企業も雇用も柔軟に変わりうることが前提条件になっていく。そうした環境の中で、日本だけ終身雇用制を続けていたらどうなるだろうか。おそらく世の中の進化のスピードについていけず、取り残されてしまうだろう。

雇用者と従業員が変えるべき価値観
 そこで、今こそ終身雇用制を捨てることが求められているといえる。

 幸いなことに、いまは人手不足の環境だ。こうしたタイミングに、正社員の雇用に関する既得権を緩和し、整理解雇の金銭解決を容認していく必要があるだろう。雇用の保障を緩和するからといって、怖れることはない。日本の外に出てみれば、むしろそれが当たり前なのだ。

 貢献している社員であれば、企業は手放そうとはしないし、給与を上げてでも引き留めようとすることすらある。仮に職を失ったとしても、1〜3年分のサラリーを経済的補償として得られれば、その間に自分に合った仕事を探したり、新たなスキルを習得したりできるのだ。

 転職によって給与が下がってしまうことも当初は出てくるだろう。しかし多くの場合、それは年功的に上がった給与が、本来の職務に見合った水準まで調整されるという話であり、これまでがもらいすぎだったと見ることも必要だ。むしろ、正社員だけが既得権益に守られ、非正社員は同じ仕事をしていても守られない状態が、公平・公正といえるのかどうかを考えてみる必要がある。

 もちろん、雇用慣行を変えるためには、我々の価値観も大きく変えなければならない。雇用する側は、「会社のため」という理由で滅私奉公を求めることはできなくなる。人が退職していくのは、「帰属意識が低い」とか「金の亡者」だからではなく、「自社に魅力が足りなかった」ということになる。このため、有能な人材を惹きつけようとすれば、年功にかかわらず昇進昇格の機会を提供しなければならないし、そのために別の人にポストを外れてもらうことも、「当たり前だ」と受け止めていく必要があるのだ。

 それができると、新たな価値観がもつメリットも見えるようになっていく。社員はもはや家族と離れて泣く泣く単身赴任をしなくてもよくなる。転勤よりも転職を選ぶことが可能になるからだ。あるいは、親の介護が必要な人や妊婦が、周りの目を気にしながら休暇をとる必要もなくなる。自分の望む働き方に合わせて、働く会社を選べばいいのだ。

働きたい時だけ会社と「契約」
 終身雇用の世界では、中途入社組は転校してきた生徒のように、どこか肩身の狭い思いを強いられる。しかし、雇用が流動的な世界では、皆が様々な企業で働いた経験を持っており、転職もクラス替えのようなものに感じられるようになる。

 とくにデジタル革命の時代においては、大きな事業を分業体制で実行してきた人たちよりも、小さくてもいいから、1つの事業を成長させた人の方が市場価値をもつようになっていくだろう。このため、大企業に終身雇用で勤めるよりも、ベンチャー企業を渡り歩いた方が、ビジネスパースンとしての価値を高められるチャンスははるかに大きくなる。

 また、連載第2回では、グローバルなエコシステムの中で、欧米人、ユダヤ人、インド人、中国人などの起業家たちと、仲間になって動ける人材が求められることについて述べた。日本の大企業の中にいるだけでは、こうした経験はなかなか積めない。むしろ、世界の様々な企業に就職し、グローバルでもトップクラスの外国人たちと接する経験が重要になっていくだろう。

 さらに、連載第3回では、デジタル技術の活用により、今後、クラウドソーシングが普及していくことについて述べた。これは、仕事に対する需要と供給をネットワークを介してマッチングするもので、「運転」という仕事をエリアごとにリアルタイムでマッチングするUber(ウーバー)のビジネスモデルが典型例といえる。これによって、多くの仕事が「雇用」ではなく、「契約」という形で仲介されるようになる。そうすると、自分の働きたい時だけネットワークに登録し、コンピュータに仕事を見つけてもらうことも可能になるだろう。これこそ究極の働き方改革だ。

会社に依存しないで老後に備えるには?
 こうした新しい環境の中で、我々はどのようなことに気をつけて生きていくべきなのだろうか。

 まず、会社に依存しないことが大切だ。人生100年時代においては、会社の寿命よりも、ビジネスパーソンとしての寿命の方が長くなるだろう。このため、自分のキャリアは自分で切り拓いていく必要がある。将来価値が下がるかもしれないスキルに依存することなく、常に新たなスキルを習得する習慣が必要になる。

 そのためには、副業やボランティアの機会を利用することも重要だ。日本においては、そうはいっても終身雇用制から一気に転換するのは容易ではない。そこで、会社が副業やボランティアを認め、社員はそれを利用して新たなスキルの獲得に務めることも重要になる。

 また、自分の評判を気にすることが重要になるだろう。クラウドソーシングで仕事を探す時代になると、ウーバーで乗客とドライバーがお互いを評価し合うように、個人の評価が記録として残っていくようになる。インターネットを通じて自分の評判が誰からも見られるようになっていくのだ。評判が悪いと、就職や結婚、借入れなどの際に、AIに自動的に弾かれてしまうかもしれない。だからといって怖れる必要もない。職場の上司から評価されるよりも、お客さんから評価されたいと思う人は多いのではないだろうか。

 稼げる時に稼いでおくことも大切だろう。いい就業先が見つかるかどうかは、これまでは卒業前の就職活動に拠っていたが、これからは常時、新たな仕事の紹介が舞い込んでくる時代になる。ベンチャー企業などで未公開株をもらえれば、上場時のキャピタルゲインで一攫千金を掴めることもある。その一方で、不況や企業買収などで、突然仕事がなくなることもある。

 最後に、稼いだお金は株に投資して、老後に備えることも必要だろう。デジタル革命期においては、産業革命の時のように、新興企業から爆発的な富が生まれる。そこに投資することで、人生100年時代を生きるための資金を確保することが重要だ。株価は数カ月単位で見ると上がったり下がったりするが、10年単位で見ると、分散投資さえしていれば、経済が破綻でもしない限り上がることが多い。長寿時代だからこそ、この10年単位の時間を利用して、株に稼いでもらう必要がある。これまでは「お金がないから株は買えない」というのが常識だったが、これからは「お金がないからこそ、株で稼がなければならない」時代になっていくのだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55738  

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