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異動シーズン、転勤はサラリーマンの宿命なのか「転勤制度」の正体 出張オジサンの密かな楽しみ ハト派ドミノ利上げ停止も米3
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投稿者 うまき 日時 2019 年 3 月 25 日 21:14:44: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

迷走する日本の「働き方改革」への処方箋

異動シーズン、転勤はサラリーマンの宿命なのか
「転勤制度」の正体 
2019/03/25

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)


iStock / Getty Images Plus / Qvasimodo
 3月は転勤シーズン。顧客企業から異動の挨拶が殺到し、経営コンサルタントとして事務対応に忙殺されるシーズンでもある。昇格の栄転で意気軒昂たる人もいれば、行きたくもない転勤先を知らせる辞令に愕然とする人もいる。感情を露にすることを得意としない日本人でも、その書いたメールの行間を読めば、やはり言葉の端々に感情が滲み出るものだ。転勤はサラリーマンの宿命なのだろうか?

私は「転勤」でサラリーマンを辞めた
 私も転勤に苦い思い出をもつサラリーマンの1人だった。20年前、香港駐在中に日本への帰任辞令を受け取ったとき、ひどく落ち込んだ。海外の仕事が大好きだった。努力よりも結果、業績しか評価しない外国人上司は鬼のように厳しかったが、業績に追われる地獄のような日々に自分の価値を見出すことで無上の幸福を感じ、そして上司に感謝していた。

 帰任してみると、東京の職場は体育会系で厳然たるタテ社会の人間関係が存在し、数日も経たないうちに、「先輩を崇拝せよ」と冒頭に書かれた「職場の鬼の十カ条」たるメモを握らされた。仕事もやりたい仕事ではなかった。日々の出勤は苦痛でしかなかった。それがいずれ心の病につながるだろうと感じずにいられなかった。そのような状態で、自分も会社も満足できるパフォーマンスなど出せるはずもない。

 結局のところ、私の東京勤務は半年しかもたなかった。辞表を出して海外に舞い戻った私はついに天職と巡り合い、19年間経営コンサルタントの仕事を続けてきた。そういう意味では当時、「強制的」な転勤がなければ、私の人生はまったく違うものになっていただろう。

 最近、個人的な相談をよく受ける。脱サラして海外に飛び出して起業したいという若者の相談がほとんどだ。「日本国内の閉塞感が嫌で、海外で一旗挙げたい」というセリフに私は大体こう答える。「その閉塞感の中身とは何か、いま一度点検しよう」。というのは、閉塞感たるものにはある種の「守り」から来ている部分も含まれている可能性があるからだ。

「過保護」に起源する制度は時間の経過や外部要因の変化によって硬直化が生じ、それが進行して閉塞感につながる。そこで閉塞感を打開すべく、その制度から飛び出したところで、いままで受けてきた「保護」も同時に失われる。この副作用に耐え得るのか、自己耐性のチェックが必要になる。

「タテ社会」の人間関係による損得勘定
「先輩を崇拝せよ」と冒頭に書かれた「職場の鬼の十カ条」たるメモをもう一度考えてみよう。それを一方的に批判するだけでいいのか。

 上位者を崇拝することは、上位者を無条件に信用することだ。思考停止をも意味する。しかし、思考停止すなわち悪かというと、そう簡単に答えは出ない。論理的な議論をやめ、上位者に無条件に従う代わりに、上位者が守ってくれる。タテ社会の人間関係からは一定の秩序が生まれる。それが構成員に利益をもたらす場面も多々ある。いや、その利益目的でタテ社会の人間関係がつくられたのかもしれない。

 日本人が善とする「安心」や「保障」もある意味で、このタテ社会の人間関係から生まれている。たとえば、日大アメフト部の悪質タックル事件を例にしよう。2018年5月29日、日大アメフト部の部員たちは声明文を発表した。そのなかに、こんな一節がある――。

「これまで、私たちは、監督やコーチに頼りきりになり、その指示に盲目的に従ってきてしまいました。それがチームの勝利のために必要なことと深く考えることもなく信じきっていました」(参照:観客席の悲劇、日大アメフト事件の本質をえぐる)

 これはまさにタテ社会の人間関係の写実である。先輩や上司の指示について、それが正しいことかを考える余地がない。論理性どころか、善悪を基本的な倫理観で判断することすら本能的に放棄している。先輩や上司を崇拝する典型的な表現である。

 崇拝とは神を信仰する宗教次元の話である。宗教は信ずること、哲学は疑うこと。信じてからは疑えない。疑ってはじめて信じ得る。疑うことは、信じ得る根拠を得るための前提だ。しかし、タテ社会の人間関係はある意味で、哲学を排斥し、宗教を第一義的に捉え、「信じる」ことを善とする。

 上位者に対する信用や従属と引き換えに保護を受ける。見返りに利益や福利が期待される。日大アメフト部の部員たちいわく「深く考えることもなく信じきっていた」、そこに表出される思考停止の現象もこの法則とぴったり一致する。

 さらに、上位者への無条件の従属という延長線上で、上位者が指示や意思表示を明言しなかった場合には、「忖度」の必要性が生じる。忖度は一種の「思考」であるが、ただしその正体は物事に対する論理的思考や倫理的判断ではなく、上位者の本音となる意思を推し量る作業にすぎない。

 明示された上位者の指示に従う「低次・顕在的従属性」と、黙示された上位者の意思を忖度する「高次・潜在的従属性」という複合的従属性によって、組織内における保護や利益・福利を受ける度合が決まるというのが、日本式タテ型社会のメカニズムなのである。俗にいうと、「上のいうことを聞けば出世する」という仕組みだ。

転勤制度の正体とは?
 転勤制度は、「低次・顕在的従属性」グループに属し、日本企業の正社員制度の基盤である。

 正社員の雇用といえば、解雇しない(できない)ことが大前提になる。ただ、いくら正社員だからといって全員が優秀で定年まで勤め上げるとは限らない。どうしても適格ではない社員が出てくる。そうした社員を解雇できない場合、何らかの方法で調整する必要が生じる。そこで「人事権」の出番になる。

「人事権」とは何か。人事権という概念は、法律概念ではなく、法律によって直接定義されている権利ではない。雇用者である会社は、労働契約等に基づき、労働者の配置や異動・配転、賃金調整、人事考課、昇進・昇格・降格の権利を有すると解される。その権利を「人事権」という。

 実は「解雇権」も広義的属性において、人事権の一部として解釈され得るが、解雇行為との相互関係を比較するうえで、意図的に切り離して解説したい。したがって、拙稿における「人事権」とは、労働者の雇用期間中における地位や処遇の変動に関する雇用者である企業の一方的決定権限という限定的解釈を用いている。

 日本企業は実務面において、正社員に対して「解雇権」をもたない代わりに、広範な「人事権」を有している。転勤を含む異動の辞令を会社が基本的に不自由なく発令できるのは、その表れである。一種の「give and take」たる「対等の取引関係」とさえいえる。転勤制度は「低次・顕在的従属性」グループに属している以上、社員は原則として辞令を拒否することができない。ただ、法律面で社員が転勤命令に対して拒否権を有しているか否かは、ケースバイケースで複雑な問題であり、詳述を割愛する。

 雇用慣習や企業運営の基本的メカニズムとして、社員がもしこの種の「低次・顕在的従属性」を拒否した場合、つまり終身雇用制度上の基本的権利義務を拒否すると見なされるだろう。そこでたとえ転勤命令を拒否して即時解雇されなくとも、後日に受け得る人事上の不利益、特に潜在的不利益を覚悟しなければならない。これを、この種の「give and take」を素直に受け入れた社員との不公平を回避するために付される「バランシング制裁」として捉えれば、不当とは思えない。

 戦後の高度成長期を背景とする正社員終身雇用制度の一部として生まれた転勤制度は、その合理性と正当性を有していた。しかし、日本の「終身雇用」は崩壊しつつある(参照:崩壊に向かう日本の「終身雇用」)。それは「約束手形」の不渡りを示唆するものである。終身雇用を保障できないとなると、「give and take」という関係における双務性が崩れる。であれば、会社が社員に人事辞令を発し、一方的に転勤・異動させることもできなくなるはずだ。

 したがって、終身雇用メカニズムの希薄化には、転勤制度も同期して弱化されなければならない。数年後の日本は、3月の「転勤ラッシュ」が完全に消えるまでいかなくとも、風物詩たる地位を失うかもしれない。

連載:迷走する日本の「働き方改革」への処方箋
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15730
崩壊に向かう日本の「終身雇用」

2019/03/06

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)

 日本は資源国ではない。胡坐をかいているだけでは食べていけない。日本人には勤勉要件を課されている。勤勉でさえあれば、将来という「約束手形」が保障されている。(参照:日本人に襲いかかる「経済的不安」の正体とは?)。しかしながら、バラ色の時代は終わった。


iStock / Getty Images Plus / tiero
ジャパン・アズ・オンリーワン
「約束手形」制度とは、将来の分配に供される資源が保障されていることを前提としている。この前提が崩れると、手形の現金化が難しくなり、「約束手形」の不渡りリスクが高まり、日本社会で善とされる「安全」や「安心」も毀損される。ところが、世界を見渡しても、「約束手形」制度がある特定の時期に成功を収めたのは日本くらいしかないことが分かる。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」ではなく、「ジャパン・アズ・オンリーワン」なのであった。

 私はアジアで長く経営コンサルタントの仕事をやってきたが、こんな制度を見たこともない。現地の人に聞いても、「約束手形」によって将来が保障されるなど想像すらできないし、たとえそれがあっても絶対に信用しないというのである。

 しかし一方では、非常に面白いことに、現地に進出した多くの日系企業は、日本本社の人事制度をそのまま持ち込んで使っているのである。つまり日本型の正社員終身雇用制度もどきの「約束手形」制度を現地で実施しているということだ。

 私はそうした日系企業の日本人経営トップにいつも少々意地悪な質問をする。「貴社は日本以外の海外拠点でも、終身雇用制度なのですか」。すると、十中八九は答えないか、言葉を濁すかで逃げるのである。そこでさらに掘り下げる。「海外で終身雇用をやってもいいのですか」……。さすがにこれ以上続けたら、敵視されかねないので、この辺で打ち止めにする。

 現地の雇用慣習はさておき、日本企業をはじめとする外国企業に限っていえば、途上国や新興国に工場をつくって操業したり、製品を販売したりするのは、安い人件費や市場のポテンシャル目当てであろう。状況が変われば、次の地域へ移動する。というのも、フロンティアを求めるのが資本主義の本質であるからだ。このような流動性を前提に終身雇用云々を語れるはずがない。そこで日本型の正社員終身雇用制度を導入したところで、高い確率で問題になる。ときには深刻な問題が起こる。

「終身雇用制度もどき」の災い
 日本型の終身雇用制度には3つの大きな特徴がある――。解雇しない(できない)こと、定期昇給(昇格)をすること、定年退職金が出ること。

 アジアなどの海外、特に新興国や途上国に進出した日系企業のほとんどは、現地で解雇しないことと定昇することの2項目だけは忠実にやっている(欧米企業よりはるかに温情的な雇用政策を取っている)ものの、退職金を出す企業は皆無に近い。なぜなら、現地拠点は一種の時限措置としての出先に過ぎず、いつその国から出るか、次はどこに移るかも分からないからだ。むしろこれは至極真っ当な経営判断ではあるが、問題は3分の2しかやっていない不完全終身雇用制度が引き起こす副作用にある。

 たとえばアジアの場合、ほとんどの国では慣習的な終身雇用制度がなく、その代りに法制度による厳格な解雇制限(シンガポールや香港などを除外)が課されている。これは日本の終身雇用と本質的な違いがある。生涯視野の「約束手形」ではなく、強制された「現金取引」に近い雇用関係なのである。

 さらにいえば、現地人従業員はこの点についてもよく理解している。彼たちはあえて日系企業に終身雇用の問題を提起しない。とりあえず目先の3分の2でも制度もどきでもいいから日本型終身雇用の「現物(現金)特典」を享受しながらも、「約束手形」にはかけらほどにも期待していないのである。

 一方で、日本人経営者だけは蚊帳の外に置かれ、「現物特典」を年々積み上げ、従業員の既得権益を肥大化させながらも、賃金支払額と生産性が乖離する年長従業員、特にそのうち一部モンスター化した従業員や管理職を目の当たりにしても、なす術がない。

 海外との対比事例から、日本型の終身雇用を中核とする「約束手形」制度の特異性が明らかになり、日本の常識が世界の非常識であることが示された。

日本の終身雇用の本質とは?
 法律上における「終身雇用」とは何を指しているのか。これを理解するために、海外の労働法令と比較してみよう。

 まず、日本の「労働基準法」第14条第1項「労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない」

 次に、中国「労働契約法」第14条「無固定期間労働契約とは、雇用単位(訳注:使用者)と労働者が終了の時の確定がない旨を約定する労働契約をいう」

 最後にベトナム「労働法」第22条第1項a号「無期限労働契約とは、当事者双方が契約の期間および効力を終了する期限を確定しない契約である」

 この通り、日中越の労働法においていずれも、「終身雇用」という概念が使われていない。「終身雇用」は法的概念ではない。どうしてもというのなら、「終了の時(期限)の確定がない雇用」、あるいは「期間の定めのない雇用」である。つまり、「無期雇用」のことである。

 中国やベトナムの無固定期間や無期限労働契約は、雇用期間の長短という「量」の次元にのみ明示規定されている。これに対して、日本の場合は、雇用期間の長短という「量」に関係なく、企業と従業員の終身における「心理的契約」という「質」の要件が黙示されているのである。つまり雇用終了の出口(通常、定年退職を指す)について心理的な契約によって「約束手形」たるコミットメントがなされているのである。

終身雇用制度が崩壊したとき
 高度経済成長とバブル期を経て、今日の日本では、「約束手形」の現金化はすでに資源や財源が不足する状態になっている。その解決策というと、終身雇用制度に終止符を打つという選択肢がまず浮上する。

 実際に昨今の日本では、終身雇用制度ははたして機能しているかというと、結論的には「崩壊しつつある」よりも、一部の企業ですでに「崩壊している」様相を見せている。就業規則上では定年60歳となっているが、業績悪化を受けて早期退職や希望退職を募るケースは年々増加の一途をたどっている。いずれも「約束手形」の財源不足に起因する不本意な措置とみていいだろう。

 リストラ、あるいはリストラに近い非自発的な退職は日本社会でまだまだ、ネガティブに捉えられている向きが強い。社会全体に転職に有利なシステムも整備されていない。転職率は欧米に比べると低く、1つの企業に長期にわたって勤務し続けるという働き方を好む人が大多数である。このように、現時点では終身雇用制度の完全崩壊について、日本人は心の準備ができていないといってもいいだろう。

 そもそも、終身雇用制度の完全崩壊とはどんな状態なのか。単純化してしまえば、正社員制度の崩壊、つまり1億総非正規雇用化である。日本人は親しみのない完全競争社会に放り込まれ、日本社会の普遍的価値観に照らして善とされない「弱肉強食」現象と共存していかなければならなくなる。

 私自身も日系企業から欧米系企業への転職経験をもっている。欧米系企業に入った当初の1年は地獄のような世界だった。上司には即時成果の提示を迫られる一方、先輩はまったく仕事を教えてくれない。温情あふれる日系企業とサバイバル重視の外資、対照的な職場にストレスを感じずにはいられなかった。

 終身雇用制度の完全崩壊とともに、日本社会にこのような競争メカニズムが果たして定着するのだろうか。

連載:迷走する日本の「働き方改革」への処方箋
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15541


 

「出張」するオジサンの密かな楽しみ、新幹線の席取りから夜の街まで

出張は大変だが、密かな楽しみでもある(写真はイメージです) Photo:PIXTA
多い人の場合は月に何度もある出張。年をとるに従って、長距離移動がしんどくなるものではあるが、とはいえ出張ならではの楽しみもある。いや、ささやかな楽しみぐらい、見つけたい気持ちになる。出張中のビジネスパーソンだって小さな自分だけのご褒美があって、いいじゃないか。(取材・文/フリーライター 藤井弘美)

ちょっとした非日常へ
出張は“命の洗濯”
 出張は日々の業務の一環である。出張先で行われる予定の会議、視察、研修、コンペといったタスクは場合によってはプレッシャーであり、出かける前から胃がキリキリと痛んで憂鬱に感じることもあろう。

 しかし、なんといっても出張である。口うるさい上司やみっともないところを見せられない部下、そして家庭すらももはや出張に赴いたおじさんを縛りはしない。普段の環境から解き放たれたおじさんの可能性は無限大である。

 とはいえ、あまり大きく羽目を外すつもりもない。

 出張はあくまで「仕事」であるからしてサラリーマンとして、また家庭人として培ってきた良識にのっとった範囲で、束(つか)の間の小さな自由をささやかに楽しみたいだけなのだ。小学生の頃あれほど楽しみだった遠足よりも、ひょっとしたら出張の方が待ち遠しいかもしれない。毎日精神をすり減らして仕事をがんばっているのだ、少しくらい出張を楽しみにしたって罪はないはずである。

 さて、出張の「ささやかな楽しみ方」にはどのようなものがあるのだろうか。中年男性を中心とした聞き取り取材を行ったので、その結果をご報告したい。

移動は旅の醍醐味
新幹線・飛行機はお楽しみの宝庫
「いざ出張に赴かん」として、自宅や会社の扉を開いた瞬間から出張は始まる。心なしか、歩を進めるおじさんの背中に翼が生えているように見える。

 目的地へ向かう手段には主に新幹線か飛行機を用いることが多い。無事乗車・搭乗を済ませて座席に体を沈め、人によっては革靴を脱ぐなどすればそこから数時間、誰にも邪魔されることのない極上のプライベートタイムの始まりである。

「新幹線に乗るときは必ず駅弁を買う。どの駅弁にしようか悩んでいる時点ですでに幸せ。

 ビールも欠かせないが、『そのあと仕事が入っていなければ』という条件付き。だから日帰りの出張の際は、ビールは帰りの車中だけ」(42歳男性)

「新幹線は景色を眺めるのが楽しみで、東海道新幹線なら好きなポイントを完全に把握している。なので、(富士山などが見える)E席を確保するために出張が決まった時点で予約を入れる。見どころは富士山、大井川、伊吹山など。

 桜の季節はかなりの時間窓外を見ていて、『日本って本当にきれいな国なんだな』と改めて思わされる」(35歳男性)

「新幹線移動中は『仕事中』という自覚があるけれども、自分の時間として使えるところがいい。普段はデスクで電話や来客応対、上司の呼び出しなどでよく作業が中断させられるから、新幹線ではここぞとばかりに仕事のメールを返すことができて、それがありがたい」(37歳女性)

「慢性的な睡眠不足なので、移動といったら必ず昼寝。f分の1ゆらぎも手伝って最高の睡眠を取ることができる。目的地が着く直前に起きて準備。下車して少し歩けば頭がスッキリして、それから始まる仕事への意欲すら湧いてくる」(38歳男性)

「海外に出張に行くことが多く、飛行機は長時間同じ場所でじっとしていなければならないのであまり好きではありませんが、唯一の楽しみは映画です。まだ国内では公開されていない話題作を先取りして見ることができるので、お得な感じがあります」(46歳男性)

 車内・機内のアナウンスが目的に近づいたことを告げる。身の周りを手早く片づけたおじさんは、「その日それから何をするのか・すべきか」についてのプランニングを始めているはずである。自宅と職場から距離的にかなり遠いところまで来た。一抹のアウェー感を覚えるが、それが嫌いではなかった。おじさんは荷物を手にして立ちあがった。

誘惑盛りだくさんな夜の街
お昼に時間があれば観光も
 目的の駅・空港に着いたら今度はスーツケースを引いて次の目的地へと移動しなければならない。それから仕事に取り掛かる人もいれば、前乗りでホテルにチェックインをする人もいるだろう。

 夜の街は地方ごとに特色があって面白い。その特色を満喫しようという心意気は、その街に対するリスペクトの表れでもある。

「地場の酒と食い物、温泉が楽しみ。前もって調べて行く場合は全体的になかなかオツなもので、情報収集の段階でヨダレが出てきているのを自覚する。で、調べた店を探して実際にたどり着く面白さは子どもの頃にやったオリエンテーリングに共通するものがある。

 地元の飲み屋の大将にオススメの店を教えてもらう場合もある。こっちはこっちで、人と触れ合ってその輪が広がっていくような、えも言われぬ良さがある」(38歳男性)

「食事は昼、夜ともに必ず地元でオススメのところで取るようにしています。こちらも旅先でテンションが上がっていて、『地の料理に感嘆するため』に食べているようなところがあって、よっぽどじゃない限り何を食べてもものすごくおいしく感じるし、やっぱり実際ものすごくおいしいんですよねえ」(42歳男性)

「その土地のキャバクラ。フリーで入って指名は決して入れず、いろんな女の子と話す。大きな都市は周辺都市から来ている女の子がわりと多く在籍していて、それぞれの街の話が聞けて面白い。あと、特にキャバクラなどに行かなくてもその辺を歩いているだけで結構楽しい。知らないところにいる自分の違和感を楽しむというか」(35歳男性)

“違和感を楽しむ”に関連して、かなり過激な楽しみ方をしていた人もいるようである。

「以前ドイツに出張に行った際、ご飯を食べようと思って財布だけ持ってホテルを出て、しばらくしたら迷ってしまったんですね。当時はスマホなんて便利なもの持っていませんでしたから、道を調べようにもわからない。ドイツ語が話せるわけではないから誰かに道を尋ねるのも躊躇がある。そもそもホテルの名前がうろ覚えなんです。

 それで2時間くらいあたりをさまよい歩いて、やっぱり道がわからず、不安で仕方がなくなって、いい大人なのに半ベソかきそうになっていたらようやく見たことある街並みに出て、無事部屋に戻ることができたんです。

 その時の刺激がちょっとしたクセになって、それ以来外国で食事に外出する時はあえて地図やスマホなどを持たず、あたりを散歩して軽い迷子になるようにしていました。あの心細さがたまらないのですが、伝わるかな……。今はもうやらなくなりましたが」(51歳男性)

 一歩間違えれば異国で迷子になったまま一生さまよい続ける……なんてことにはならないだろうが、なかなかリスキーである。同様の楽しみ方をされている方は自己責任のもと十分ご注意願いたい。

真のプライベートタイム到来
朝までは完全におじさんの時間
 宿泊先の部屋はおじさんにとって暫定の巣であり、何人(なんぴと)たりともその聖域を侵すことはできない(上司からの電話・メール連絡を除く)。

 朝まで、おじさんはその空間の支配者となって、思い思いの時間を過ごすのであった。

「普段自由な時間を取れることがなかなかないので、この機会に映画を見たり本を読んだりする。コンビニで食料とお酒を買い込むところからが始まり」(40歳男性)

「その日の仕事と翌日の準備を完全に終えたら、持参したトレーニングウェアに着替えてジョギングに出る。街によるが、午前0時以降になると人通りが少なくなるのでそれくらいが望ましい。その日早く寝て、翌日早朝に行くこともある。

 自宅にいる時もジョギングは週に3回やっていて、ジョギング自体が趣味というのもあるが、出張先で行くジョギングは見知らぬ風景が新鮮ですごく楽しい。空気も都内に比べてキレイだし」(46歳男性)

 おのおのアプローチの違いこそあれ、どうやら「知らない街の雰囲気を楽しむ」はおじさんたちにとって出張先で人気のアクティビティのようである。罪がなく、楽しもうとする心持ちさえあれば身一つで非日常感を楽しむことができる手軽さに、その理由があるのかもしれない。

出張先との人間関係
適度な距離感がカギか
 出張を重ねていくうち、自然と出張先でも人間関係が形成される。出張はたまにしか会えない人に会える機会にもなってくる。

「出張である工場に行くと、隣接した研究所に常駐している開発担当の課長がいつも応対してくれるのですが、妙に僕とウマが合いまして、役職の上下はあるものの友人のような感覚で付き合っています。だからあそこに出張があると彼に早速連絡して、『次はどこどこに飲みに行こう』なんて盛り上がります。

 僕がLINEをするのは家族のグループと、あと彼くらいです(笑)」(43歳男性)

 さて、ここまで男性の声を中心にご紹介してきたが、ここである女性による「出張の楽しみ」についてもご紹介したい。

「大阪支社に出張に行くことがあるんだけど、そこの人たちが大体すごくいい人で、地元のおススメのお店に連れていってくれるのが楽しみ。

 逆に支社の人が出張でこっちに出てくる時は、ランチも夕飯も仕事の関係者を集めておいしいところに食べにいく。

 普段面と向かったやり取りがないこともあって、相手がすごく親切にしてくれるのがうれしい」(37歳女性)

 話を聞いているだけで胸が温かくなるような世界である。お互いを思いやる心が両者の間を反復しているうちにどんどん増幅して新たな幸せを生んでいる図式である。

 しかし彼女が軽く指摘している通り、そうした関係も適度な距離感によって保障されているのかもしれない。距離が近くなってくるとどうしても欠点やあらが目についてくるものだ。たまにしか会えないからこそ心地いい相手というのはいるはずで、そういった相手が出張先にいる人は、出張の楽しみが増える分、幸福といえるのではないだろうか。

 企業戦士たちの体力は加齢とともに削られ、若い頃はあまり感じなかった疲れが体にたまるようになっていく。昔はなんてことなかった日帰りの出張ですら、今は翌日、翌々日に疲れを重く残すことがある。

 しかし出張は体力的に大変な半面、楽しむ姿勢で臨めば悪くないものに変わるかもしれない。出張を心待ちにして、日常から離れた環境で命を洗濯しようとするビジネスパーソンたちのささやかな楽しみ、ささやかな努力が、現在の日本経済を支えているのであろうと感じさせられた今日この頃である。
https://diamond.jp/articles/-/177591


2019年3月25日 The Wall Street Journal
欧米中銀の政策転換、「ハト派ドミノ」に危惧

 【チューリヒ】欧米の主要中銀が急きょ、金融政策をハト派路線へと転換した影響が世界に広がっている。その結果、より規模の小さい国では、経済がおおむね健全であるにもかかわらず、政策金利は今後何年にもわたり低水準、もしくはマイナスに張り付いたままとなる恐れがある。

 こうした金融緩和政策は、不安定な資産バブルの温床となる可能性があるほか、次回のリセッション(景気後退)時に、中銀の対応余地を狭めることにもなりかねない。

 スイス国立銀行(中央銀行)は今後数年にわたりマイナス金利政策を維持する方針を示している。スイスは米国やユーロ圏主要国に比べれば規模は小さいが、世界の大手銀行や企業が本社を置いており、これらの企業は為替相場や金融環境に敏感だ。金融市場は相互依存を強めており、規模の小さい国の問題が規模がより大きい国へと一瞬にして飛び火する危険がある。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は20日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25?2.5%に据え置くとともに、年内の利上げ見送りを示唆した。昨年12月時点では、今年1?3回の利上げを見込んでいた。

 その2週間前には、欧州中央銀行(ECB)がさらに踏み込んだ措置を講じた。銀行への低利融資を通じた新たな刺激策を発表。少なくとも年内いっぱいは主要金利である預金金利をマイナス0.4%に据え置くとし、当初の想定より長くマイナス金利を維持する考えを示した。

 スイス中銀は21日、主要政策金利である預金金利をマイナス0.75%に据え置いた。金利水準は2015年1月から変わらず。またインフレ見通しを今年は0.3%に、来年は0.6%にいずれも引き下げた。スイス中銀は海外の成長と物価が弱含んでいるとしたほか、「主要通貨国の政策金利見通しが引き下げられた結果」と説明した。

 一方、ノルウェー中央銀行は全体の流れに逆行。政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げて1%とし、年内の追加利上げを示唆した。産油国であるノルウェーは原油高が景気の追い風になることから、他の欧州諸国とはやや事情が異なる。だがそれでも、「貿易相手国の利上げ見通しがより緩やかになった」として、長期の金利見通しについては引き下げている。

 年内利上げに踏み切るのはノルウェー中銀だけではないかもしれない。英イングランド銀行(中央銀行)はこの日、政策金利を0.75%に据え置く一方、英国が新たな通商協定への移行期間を伴い、合意した条件で欧州連合(EU)を離脱すれば、「継続的な金融政策の引き締め」が必要になるとの認識を改めて表明した。だが、無秩序な離脱となれば、利下げの可能性も排除しないとしている。

 FRBやECBの金融政策決定が、ドルやユーロを使用しない国々にとってもなぜ重要なのか? スイスのほか、ユーロ圏に加盟はしていないが、距離的に近いスウェーデンやデンマークなどの国は、貿易の大部分をユーロ圏に頼っている。そのため、成長やインフレは為替の影響を極めて受けやすくなる。中銀が金融刺激策を実施すると、通常はその国の通貨が下落するため、ECBが2週間前のように新たな刺激策を打ち出すと、スイスフランなどの欧州諸国の通貨に対して、ユーロは下落する傾向にある。ECBは巨大なため、スイスなどの国々は、その影響を相殺する手だてが限られる。

 スイスと同様、スウェーデンやデンマークも長年にわたりマイナス金利政策を講じており、早期に状況が変わる公算は小さいとみられている。

 ノルディア・アセット・マネジメントのマクロストラテジスト、セバスチャン・ガリー氏は、FRBやECBから「受ける重力は極めて強力だ」と指摘。「その結果、(ユーロ非加盟の欧州中銀の)大半はECBの金融政策を踏襲することを余儀なくされ、不適切な資本配分や住宅バブルなどの問題を招く」と語る。

 主要中銀から影響を受けているのは、欧州諸国に限らない。韓国銀行(中央銀行)の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は21日、「市場予想以上に緩和的な」FOMC声明を受けて、韓国中銀の金融政策運営に「一段の余地」が生まれたと指摘。現在の引き締め停止を維持する考えを示唆した。

 またこの日は、インドネシア銀行(中央銀行)が4カ月連続で金利据え置きを決定。フィリピン中央銀行も政策金利を据え置いた。ING バンクによると、FRBが年内利上げを見送ると見られる中、インドネシア中銀は早期に利下げに転じる可能性もあり、フィリピン中銀も一段と緩和的なスタンスを講じる余地が生まれるとしている。

(The Wall Street Journal/Brian Blackstone)
https://diamond.jp/articles/-/197703

2019年3月25日 野地 慎 :SMBC日興証券 チーフ為替・外債ストラテジスト
利上げ停止も米30年債利回り上昇で高まる景気減速リスク
「クリスマスの悪夢」とされた大幅な株安を目の当たりにしたFRB(米連邦準備制度理事会)は、年明け以降、急速にハト派にシフトし、当面の利上げが見送られるとの思惑が市場では支配的だ。
 米国債市場でも2年債や10年債の利回りが政策金利に近い水準で安定してきており、利上げ見送りが織り込まれつつある。
 ただ、30年債利回りは緩やかに上昇し始めており、3%の大台を上回る局面も目立ってきた。5年債と30年債のスプレッドは明らかに拡大傾向である。

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 中期債と超長期債の利回りスプレッドの拡大は金融緩和局面かつリスクオンとなる局面で生じやすい。期間が短めの国債利回りは金融緩和(今回は利上げ見送り)の影響で低位で安定する一方、その緩和が促す株高などによって景気拡大への期待が徐々に強まり、それが長めの期間プレミアムを押し上げることで超長期債の利回りを上昇させる構図だ。
 利回りスプレッド拡大は、株価が上昇し、米国経済の先行きへの期待が高いことを反映しているものといえ、好感できるものだろう。
 ただ、景気を支えるために利上げ見送りを決めたFRBにとっては、30年債利回り上昇が景気に及ぼす悪影響も気になるところである。
 足元では、株高の一方で同時に米国経済の減速を示唆する統計が発表される状況だが、中でも、住宅市場の減速は顕著である。
 30年の住宅ローン金利は5%に近づいた後、足元で低下してきてはいるものの、2018年5月に10年債利回りが3%を上回っていた当時とほぼ変わらない4.5%近傍で下げ渋っていることが分かる。

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 中長期債と超長期債の利回りスプレッドが拡大している分、30年の住宅ローン金利が下げ切れないでいる状況と説明できるが、これでは利上げ見送りの効果も半減してしまう。
 減速が続く米国の住宅市場においてはローン金利高止まりとともに住宅価格の割高化も指摘され始めている。価格の下落が先に生じた場合、家計が保有する住宅の価格下落が逆資産効果で個人消費を抑制する可能性も低くはない。
 FRBは保有資産の見直しも視野に入れており、MBS(住宅ローン担保証券)の償還分を国債で再投資することを計画している。
 このことも国債利回り対比での住宅ローン金利の上昇を促すと予想される。FRBが利上げ停止宣言によって生じた株高に甘んじ、一方で住宅ローン金利の上昇を見過ごした結果、景気減速の種が膨らんでいくリスクにも留意が必要である。もちろん景気減速懸念から株安が進行すれば、おのずと30年債利回りは低下していこう。
(SMBC日興証券 チーフ為替・外債ストラテジスト 野地 慎)

https://diamond.jp/articles/-/197698
 

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