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中国の爆速成長が変えた「経済のルール」と、取り残された日本企業 「垂直統合」に固執すれば失血死が待つ(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/493.html
投稿者 赤かぶ 日時 2019 年 10 月 27 日 15:57:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 



中国の爆速成長が変えた「経済のルール」と、取り残された日本企業 「垂直統合」に固執すれば失血死が待つ
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67932
2019.10.29 野口 悠紀雄 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問 一橋大学名誉教授 現代ビジネス


1992年の、ケ小平の南巡講話をきっかけに進められた経済改革によって、中国製造業の猛烈な成長が始まった。これが世界経済の構造を大きく変えた。

■農民工が支えた製造業の急成長

中国の鉄鋼の生産は、1995年には約1億トンで、日本とほぼ並んでいた。しかし、その後急増し、たちまち日本を抜き去った。2019年上半期の中国の粗鋼生産量は、約5億トンであり、世界生産の53.2%を占めている。

鉄鋼に少し遅れて、自動車の生産が成長した。すでに80年代に中国3大自動車メーカーの1つの上海汽車がフォルクスワーゲンと提携していたが、90年代には外資系との合弁企業が次々に誕生し、先進国の技術を取り入れて発展した。

2000年以降に生産増が本格化し、09年には生産台数で日本を抜いて、世界一となった。18年では、中国の生産台数は2781万台であり、日本の973万台の3.2倍になっている。

このように、中国でさまざまな分野の製造業が発達し、世界の工場としての地位を固めるようになった。

中国の急激な工業化を支えたのは、「農民工」と呼ばれる出稼ぎ労働者だった。

中国では、従来、「農業戸籍」と「非農業戸籍」を区別し、人口移動を厳しく制限していた。

改革開放前には、人々は配給制度に依拠せざるをえず、また就業先は公的企業しかなかったので、都市への人口移動は起こらなかった。しかし、自由化によって戸籍の重要性が低下すると、内陸部の農民が大洪水のように都市に殺到したのだ。


photo by Getty Images

彼らの移動は「盲流」とか「民工潮」と呼ばれた。

農民工は労働組合を持たず、権益の保障はなく、社会福祉の恩恵を受けることもない。そして、最悪の労働環境の中で、最低の労働条件によって、最低の収入を得た。

95年に、私は北京と上海を訪れたことがある。朝の通勤時間の大通りは、自転車の大群によって埋め尽くされた。

そして北京駅で悪夢のような光景を見て、強い衝撃を受けた。広い駅構内のいたるところに、足の踏み場もないほど人の塊ができていたのだ。彼らは、床に布を敷いて生活していた。農村から出てきた人々が、泊まる場所もなく、駅で生活していたのだ。

農民工は、数が多いだけでなく、勤勉で従順だ。

朝8時前に出勤し、真夜中か午前まで働く。それでも足りずに、残業する。職を求めて来る若者が発する質問は、「残業があるか?」だ。あれば働く。なければ別の工場を探す。休日が多すぎると、休みのない工場に移る(月に何度も「連休」がある日本とは大違い!)。

「蟻族」と呼ばれる若者たちもいた。彼らは、農村からの出稼ぎである「農民工」ではなく、大学卒業者だ。しかし、深刻な就職難に直面する彼らの所得は、場合によっては農民工より低い。だから、夜遅くまで勉強して、チャンスをつかもうとした。

■貧困工場、影の工場

企業も猛烈な競争圧力に直面した。膨大な数の競争者がいる。分野を絞っても、競争相手は、数社でなく、数百社というオーダーになる.

だから、利益が圧縮される。とくに、製造部門がそうだ。

付加価値は中国に残らず、外国のブランド業者や小売業者に渡ってしまう。「濡れ手に3ドル」という言葉があった。これは、中国で1ドルで生産されたものが、小売業者にわたるときは4ドルになっているということだ。

劣悪な労働環境に対しては、当然、厳しい当局の監視がある。しかし、アレクサンドラ・ハーニー、『中国貧困絶望工場』(日経BP社、2008年)によれば、「陰の工場」という抜け道がある。

法律を遵守するモデル工場の他に、第2工場、第3工場があるのだ。そこでは、残業はごく普通に行われている。監視員は、モデル工場しか見ない。陰の工場は、外国人のジャーナリストからは厳重に隠されているので、外部にその存在は知られない。

労働法を守っていては、ビジネスはできない。注文に応えるには、残業を増やすしかない。労働規制や最低賃金は、政府の宣伝にすぎない。

地元の企業なら、地方の役人とのコネを利用して、うまくすり抜ける。これが汚職の温床になる。政治はカネになる。そして、労働者も違法残業を求める。かくして、過酷な条件下の労働が続いた。

■賃金が上昇すると「中国の時代」は終わるのか?

こうした状況は、その後、徐々に変わってきた。

中国の製造業の平均賃金上昇率を見ると、2004年以降08年までの期間に、12.5%、11.8%、14.4%、16.0%、15.4%という高さだ。

内陸部でも、水準は沿海部より低いが、賃金上昇率は沿海部を超えた。

これは、中国経済が「ルイスの転換点」(工業化の進展によって、農業部門の余剰労働力が底をついた状態)を迎えたために起きた現象だと言われた。

09年夏以降、農民工(出稼ぎ労働者)を募集してもなかなか集まらない「民工荒」(労働者不足)現象が生じていると言われた。この背景には、工業化の進展だけでなく、1人っ子政策のために高齢化と少子化が深刻な問題になったという事情もあった。

こうした状況が続くと、中国生産の有利性は終わりになるので、賃金がもっと低い他のアジア諸国に生産拠点を移すべきだとの指摘もなされた。「これからはインドやベトナムやミャンマーの時代だ」という意見だ。

■常識を越えるフォックスコンの巨大工場

この頃に世界の注目を集めた企業として、フォックスコンがある。

これは、世界最大のEMSだ(EMSとは、電子製品などの組み立て作業を受託する企業)。

フォックスコンは、台湾の鴻海精密工業の子会社で、アップル製品の最終組み立てを行なっている。

ところで、同社の深圳工場で、2010年に3カ月あまりの間に12人もの自殺者が相次いだ。

同社は「自殺しない」という誓約書を書かせたとか、従業員の不満をなだめるため20%の賃金引き上げに応じた、などのニュースも報じられた。

自殺者が相次ぐのは、確かに異常だ。しかも、同工場での勤務体制は、1日15時間労働、月給が日本円換算で1万2000円未満というものだ。

ただし、重要なのは、深圳工場の巨大さが、われわれの常識を超えていたということだ。

当時の同工場の従業員は、45万人だった(中国全体では、95万の従業員がいると言われた)。

これだけの数の従業員がいるので、自殺者の総数も多くなる。自殺「率」でみれば、フォックスコンは、中国の平均を下回っていたのだ。

45万人の工場とは、われわれが知っている「工場」とは異質のものだ。これは都市である。しかも、かなり大きな都市だ(金沢市とほぼ同規模)。われわれが実感として把握できる範囲を超えているのである。

■水平分業が世界を変えた

フォックスコンのような企業は、製造業の生産方式に、根本的な変化を与えることになった。「垂直統合から水平分業へ」という世界的な動きが起きたのだ。

それまでの製造業の生産方式の主流は、大企業が、1つの工場内で、工程の最初から最後までのすべての過程を行うものだった。これを「垂直統合型の生産方式」という。

しかし、中国が工業化したことによって、複数の企業が市場を通じて作業を分担することが容易になった。

すべての工程を1つの企業内で行なうのではなく、個々の企業はもっとも得意な分野に特化し、複数の企業が全体として協業しあって、あたかも1つの企業のように生産活動を行なうのだ。これを、「水平分業型の生産方式」という。

中国が大量生産分野を担当して生産を行うことによって、工業製品の価格が世界的に下落した。このため、日本に生産拠点を置く企業は、コスト競争についていけなくなっていった。

やがて、日本企業も中国などのアジア諸国に生産拠点を移し、そこで生産を行うようになった。

このような環境変化の中で先進国がめざすべき道は、アップルに典型的にみられるように、賃金によって決まる製造過程でコスト引き下げ競争を行なうことではなく、開発や研究という付加価値が高い分野に特化し、中国企業と棲み分けていくことなのだ。しかし、これは日本型大企業が不得意な分野だった。

時代が大きく変わったにもかかわらず、日本企業はそれに対応することができなかった。

『中国貧困絶望工場』は、あるアメリカ人の言葉を紹介している。「まだアメリカ国内で労働集約型ビジネスを続けているなら、今すぐに手を引く方が、出血多量で死ぬよりましだ」。

■リーマンショックで壊滅的打撃

2008年8月8日には、北京オリンピックが開催された。

その直後の9月15日に、「リーマンショック」が起きた。アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻したのだ。

これによって世界的な金融危機が発生し、世界貿易が壊滅的な打撃を受けた。

中国でも、それまで成長を牽引してきた輸出産業が、壊滅的な打撃を受けた。

中国経済の貿易依存度は、大変高い。輸出産業の生産が急激に縮小したことによって、08年後半から09年にかけて、中国経済は大混乱に陥った。

「世界の工場」と言われた広東省の東莞市では、外資系などの企業の倒産、撤退が相次ぎ、玩具工場が集積していていた地区は、ゴーストタウンと化した。中小企業の工場が多い深圳市でも、廃虚のような空き工場が目立つようになった。

台湾系、香港系、韓国系の企業が経営する服飾、靴、玩具などの工場の状態が急激に悪化し、未払い給与や借金を踏み倒して「夜逃げ」していることが社会問題化していると報道された。

工場閉鎖などによって、約1億3000万人の農民工のうち、15.3%が失業し、約2000万人が帰郷した。故郷の農村に帰ろうにも列車の運賃が払えないとも報道された。

株価も、惨憺たる状態になった。上海総合指数は、ピークであった07年10月末の5954から、08年10月末の1728まで低下した。

■4兆元対策で危機を克服

2008年11月9日、失業の急増に対応し、国内需要を拡大するため、中国政府は、10年末までに総額4兆元(約57兆円)規模の投資を実施するとの緊急経済対策を発表した。

農村の基盤整備や鉄道・高速道路の建設、港湾整備などの財政投資の前倒しのほか、銀行に対する融資規制の撤廃を行うとした。中国のGDPは07年で3兆2800億ドルだったので、経済対策の規模はその16%程度に当たるほどの巨額なものだった。

しかし、その効果は大いに疑問だと考えられていた(私もそう思っていた)。

まず、この数字は水増しだとの指摘が多かった。4兆元のうち新規事業は4分の1に過ぎず、残りはすでに決定済みの支出や、地方の予算をあてにした数字だというのである。

また、中国の輸出産業は国内経済と切り離されているので、仮に4兆元政策で内需が増加したとしても、それが輸出産業を助けることにはならないと考えられた。

しかし、結果的には、中国はリーマンショックを克服して立ち直った。いまになって振り返ると、これは驚き以外の何ものでもない。

ただし、この時の負債増は、いまにいたるまで、中国経済の深刻な問題として残っている。


 

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コメント
1. 赤かぶ[36956] kNSCqYLU 2019年10月27日 15:58:14 : 48FW7XOL3U : ODEvY0JSVUxLeU0=[27029] 報告


2. 赤かぶ[36957] kNSCqYLU 2019年10月27日 15:58:43 : 48FW7XOL3U : ODEvY0JSVUxLeU0=[27030] 報告


3. 2019年10月27日 20:38:09 : jXbiWWJBCA : Rm5WWGpiTzAwU2c=[237] 報告

>中国はリーマンショックを克服して立ち直った。いまになって振り返ると、これは驚き以外の何ものでもない。ただし、この時の負債増は、いまにいたるまで、中国経済の深刻な問題として残っている

さらに米中貿易戦争は、リーマンショック以上のダメージを今後、中国経済に与える可能性は十分ある

油断して、奢っていると、中国の世界覇権時代は、日本同様、幻に終わることになるし

それ以前に、生態系と地球環境の悪化による人類文明自体の崩壊の確率が高まっている

4. 2019年10月28日 16:01:49 : yDRW9rmySw : cE1JUGg1VDJqVXc=[90] 報告
すばらしいですね。
よかった・・・
数え切れぬ試練を通して今や力強く成長なさったみなさん。
本当によい顔をしておられます。

労働は尊いもの。労働を通してしか、
人間の魂は成長できないと真底思います。

みな、善良なアブラハムの子孫ということに
なるのでしょうね。アブラハムの兄弟以前のご子孫も
アジア方面にほとんどが流れてきていらしゃるのですね・・・。

この方々の美しい魂に永遠の栄えがありますよう。

5. 2019年10月28日 18:25:52 : yDRW9rmySw : cE1JUGg1VDJqVXc=[91] 報告
この場を借りて、どうしても書いておかねばならないことがありました。
それは、中国の(または世界・日本の)
現場の作業に従事しておられる方々が提供してくださっている
(とりわけ)「重い労働」に対しての
心からの感謝です。

であるからこそ、
その方たちがお受けになる、人間普遍の権利としての
待遇や生活の質、富が地上でこれだけ偏在していることへの
怒りを感ぜずにはいられません。それは
必ず変化せねばならないはずです・・・


6. 2019年10月28日 20:03:49 : bLbVVSfKBo : Q0txSzNoeHg1TG8=[329] 報告
アメリカは 破裂の時を 待ち構え

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