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「水道崩壊」なにごとにも寿命がある インフラ劣化の問題は待ったなし「違法建築だから退去せよ」中国で私有財産権の危機 中国人民銀が10月のTMLF見送り、インフレ加速が緩和方針に影響か 依然高値圏にあるリート、今後も期待 
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/529.html
投稿者 鰤 日時 2019 年 10 月 31 日 18:37:59: CYdJ4nBd/ys76 6dw
 

(回答先: 日本株の投資妙味高まるか、企業の配当が記録的水準に拡大 S&Pが最高値更新、FOMC決定受け 米国株、利下げ休止示唆で… 投稿者 鰤 日時 2019 年 10 月 31 日 18:31:09)

「水道崩壊」なにごとにも寿命がある インフラ劣化の問題は待ったなし
2019.10.31(木)
新潮社フォーサイト
IT・デジタル?インフラ

日本で水道工事現場を見学する筆者の加藤氏(筆者提供)
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(文:加藤 崇)

 あなたがマンションを保有して、そこに住んでいるとする。数十年経ったある日、ビル建築のプロと称する人間から、「あなたのマンションは老朽化し、倒壊の危険性がある。思い切って取り壊し、新しいマンションを建てましょう」と伝えられる可能性は高い。ところが、一軒家なら想像しやすいが、マンションというのは、ロビーとエレベーター、自分の部屋以外、いったいどのようにできているのか見たことがある人は、実は少ない。日々行き来する場所にしか想像力が働かないのだ。

 多くの場合、新しく建てて住むことが多く、マンションが老朽化して倒壊する危険性のある代物に変わるなどと、僕たちの脳はとても想像できないのだ。ちなみに、日本のマンションの多くは高度経済成長期に建てられたもので、寿命が約50年ほどだ。

 いったいどういうことが起こるのだろう。

「マンションを買うときに、モデルルームで修繕積立金についての説明を受けて、真面目にそれを支払ってきた」と言う人がいるかもしれない。けれども、毎月毎年修繕を行っていれば未来永劫使用できるのだろうか。外壁やエレベーターの工事はできても、躯体の鉄筋コンクリートは必ず風化し、劣化していく。ではいつ建て替えるのか。その時、自分の区分所有権はどうなるのか。多くの人たちは、実はこうして、不安定な住まいに生きている。

目で見えないものをどう診断するか
 マンションのみならず、老朽化したインフラは社会問題だと言われて久しい。2012年の「笹子トンネル事故」、最近では2018年の大阪府「水道配管破裂」が記憶にある。

 崩落したトンネルに車や人が下敷きにされ、交通が麻痺し、水道配管が破裂して道路に水が溢れ、人々の通行が止まっている――こうした映像を見たとしても、その情報があまりにも断片的であるが故に、映像で目にする被害と、その本質的な原因との間にある「因果関係」を推定することはなかなかできない。結果として、多くの場合に「(この事故に関しては)何か特殊な事情があったに違いない」「これは特別なケースなんだ」と脳は都合よく解釈してしまう。

 しかし、だ。日々進行するインフラの劣化という現象、そして、その進行具合(スピード)を把握できなかったという背景が、必ずそこにはある。

特殊事情による発生割合は少ない

 特殊事情によるトンネル崩落や漏水事故の発生割合は、実は少ない。それ以上に、インフラの劣化による事故が起こる可能性の方こそ、日々高まっている。水道、ガス、電力、交通、通信、橋梁やトンネルといったインフラというのは、あって当然、年がら年中公共工事にお金が注ぎ込まれている印象があり、一口に「老朽化」と言われてもピンと来ないが、インフラ劣化の問題は、待ったなしの状況なのだ。

 人命にも関わるインフラ事故を未然に防止するためには、そのインフラがどのように劣化していくのか(劣化のメカニズム)、現在の劣化がどのくらいの程度か(劣化の状況把握・現状把握)、あとどれくらいの年月を越すことができるのか(劣化スピードの予想と、そこから逆算される余寿命の推定)について具体化することが必要だ。

 言葉では簡単だが、これが難しい。多くのインフラは、表面はすぐに確認できても、中がどうなっているかをこの目で見ることはかなわないからだ。


 たとえば橋梁やトンネルは、コンクリートの中で何が起こっているかを見ることはできない。音感センサーを使って、中身の状態を推定するのが精一杯なのが現状だ。それが地下に埋設されているインフラともなれば、状況を知る手立ては絶望的に少なくなる。

水道配管の状況を監視するソフトウェア
 道路の下に埋まっている上水道配管、ガスの配管などは、いったいどうなっているのだろう、これが見えるようになったら面白い――。

 3年前の僕はそう考えた。アメリカはカリフォルニア州レッドウッドシティ市にある僕の会社(「Fracta」=フラクタ)では、コンピューターの頭脳を使って、地下に埋設されている上水道配管が、現在どのくらい劣化しているのか、それが5年以内に破損する(つまり漏水事故が起こる)確率はどれくらいあるのかを推定するソフトウェアを開発した。

 今では、全米50州のうち21州、45社の水道会社がこれを使ってくれており、少しずつ業界のリーダーとしての地位を固めている。

 上水道配管の状況監視に関して、これまでの水道会社のやり方はどのようなものだったのだろうか。地下に埋まっているものだから、目視できないということで、アメリカでも日本でも、配管の平均寿命を使って更新時期を推定してきた歴史がある。

 ところが、これが正確ではない。

 全米水道協会では、「ねずみ鋳鉄配管」の平均寿命は100年と謳っている。ねずみ鋳鉄配管とは、材料としてねずみ鋳鉄を使用した管のことで、主に水道本管に用いられてきたが、強度の問題で、ダクタイル鋳鉄管にその存在を取って代わられた配管のことだ。アメリカではこの配管がまだ多数地中に埋まっており、これが漏水の原因となっている。

 このねずみ鋳鉄配管、実際の寿命は60年から180年(ときには200年以上)と非常に分散が大きく、この分散を把握しない限りは、その水道配管の寿命を知ることはできない。これは人間の寿命にたとえると、分かりやすいだろう。人間の寿命は、遺伝的な要因のほか、その人の生活習慣や行動の特性によって、予測値が大きく異なる。

水道配管の寿命をこれまでより正確に推定
 日本人女性の平均寿命が87歳だという事実には一定の意味があるが、これは参考値にこそなれ、自分がちょうどピッタリ87歳で死ぬ確率は、実は思った以上に低いのだ。人間の細胞が劣化していくことはわかっていても、またそれがどのように劣化していくのかというミクロな劣化メカニズムが解き明かされていても、その「スピード」を合理的に推定できない限りは、人間の寿命を正しく言い当てることはできない。

 僕の会社は、現時点で人間の寿命を言い当てることはできない(まだ試していないので、将来できないとまでは言い切れない)が、道路の下に埋設されている水道配管の寿命を、これまでより正確に推定することには成功した。

 上水道配管の素材や形状、またその上水道配管が置かれた環境(土壌や天候などの様子)など1300に及ぶ要因を1つ1つコンピューターで解析し、それがどのように配管を劣化させていくのかというパターンをコンピューターに覚え込ませた。人工知能技術による「機械学習」の1つだ。

 モグラ叩きゲームにたとえると、盤面を上下左右4つの象限に区切ったとき、右上の象限、つまり全体の25%の面積からは、25%のモグラが出てくる。統計的には「無作為(ランダム)」と呼ばれる状況で、地面に埋まっている水道配管の寿命を言い当てようとするとき、水道会社の予測が、このくらい低い確率に落ち込むことも例外ではない。たとえば米国カリフォルニア州のサンフランシスコとサンノゼに挟まれたエリア(サンフランシスコ・ベイエリア)にある水道会社のうちの1社などは、実際のところこれに近い確率にとどまっている。

40兆円以上を節約できる可能性も
 一方、僕たちのソフトウェアを使って同じ現象(モグラの発生場所)を予測すると、左上の象限(25%の面積)から75%のモグラが出てくることがあり、その情報を水道会社に事前に伝えることができる。つまり、25%の配管セクションから、75%の漏水事故が発生しますよと予測できるのだ。驚くような数字かもしれないが、コンピューターと人間の予測能力には、それくらい違いがあり、またこの経済効果は想像以上だ。

水道産業には莫大なお金が
 細かい話は今後の連載で触れていきたいが、現実問題として、水道産業には莫大なお金が注ぎ込まれている。アメリカでは、向こう30年間で110兆円ほどの資金が、上水道配管の更新(交換)だけに使われるという(そうでなければ、年間24万件発生している漏水事故を止めることができないからだ)。しかし、何の病気もない70歳に対して不要な医療を提供することが正しくないように、更新が必要ない(つまりもっと長い期間使用することに耐えられる)配管を「今」交換する必要はさらさらない。

 この不必要な更新を先延ばしにしてあげること、たとえば敷設から既に100年経っていても、あと80年寿命がある配管については、きちんと80年使ってあげることで、およそ40%ほどの予算を削減できる。これがフラクタのソフトウェアの価値ということになる。110兆円の40%、つまり40兆円以上となれば、日本の(年間)国家予算の半分弱だ。それなら興味を持つ人もいるのではないか。

 フラクタでは2019年2月から、日本の水道インフラを助けるべく、活動を開始した。手始めに神奈川県営水道、神奈川県川崎市と一緒に、僕たちがアメリカで作った上水道配管劣化予測のアルゴリズムが日本でも適用可能かどうかに関する実証実験を開始した。

 水道普及率が98%を超え、世界一低い漏水量を実現する日本。高度経済成長期に敷設した古い水道配管を問題と捉え、地震などの自然災害にも対応できるよう、積極的に更新投資を行ってきた。ところが、長く続いた経済の停滞の影響を受けつつ、更新投資は年々減少の一途を辿り(管路の更新率は平成13年の1.54%から、平成27年には0.74%まで減少)、人口減少と高齢化、節水型の洗濯機やトイレの普及とともに、水道料金収入の総額も減少している(2001年には年間2.5兆円だったものが、2016年には2.3兆円に)。特に地方部では、人口の減少幅が都心部と比べて大きく、水道事業体は施設の更新、投資に使用できる予算が非常に少ないのが現状であり、これほど真面目に水道事業に取り組んできたように見える日本であっても、問題は山積していると言える。

 今後の連載※では、アメリカ、イギリスの状況と、日本を含め世界中でフラクタが行っている事業の概要に触れつつ、日本の水道事業、とりわけ上水道事業というものが現在どのような状況に置かれているのか(配管の状況全般、他国との違い、都会と地方の違い、民営と公営の違いなど)、そして今後どのような方向に進むべきなのかを、最新テクノロジーの利用可能性を踏まえながら紹介したいと思っている。

※以降の記事は、新潮社フォーサイトの連載として公開される予定です。


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加藤崇
早稲田大学理工学部(応用物理学科)卒業。元スタンフォード大学客員研究員。東京三菱銀行を経て、ヒト型ロボットベンチャー「SCHAFT」の共同創業者(兼取締役CFO)。2013年、同社を米国Google本社に売却し、世界の注目を集めた。2015年、人工知能により水道配管の更新投資を最適化するソフトウェア開発会社「Fracta」を米国シリコンバレーで創業し、CEOに就任。著書に『未来を切り拓くための5ステップ』(新潮社:2014年)、『無敵の仕事術』(文春新書:2016年)、『クレイジーで行こう!』(日経BP:2019年)がある。2019年2月には『日経ビジネス』「世界を動かす日本人50」に、2019年4月には、『Newsweek日本版』「世界で尊敬される日本人100」に選出された。カリフォルニア州メンローパーク在住。

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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58086?page=4

 

「違法建築だから退去せよ」中国で私有財産権の危機
毛沢東の土地改革が繰り返されるのか?
2019.10.31(木)
福島 香織
中国

中国の習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ)
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(福島 香織:ジャーナリスト)

 ローンを組んだり退職金をつぎ込んだりして購入した不動産が、ある日突然、違法建築なので撤去します、出ていきなさい、と通知されたらどうだろう? そんなことあり得ない、と不動産所有者の権利が比較的強い日本人なら思うが、これが今、北京でまさに起きている現実だ。

 北京郊外で起きた別荘所有者たちのデモ騒ぎは、よくよく考えてみると、中国経済の暗雲到来を示す不気味なシグナルではないか。

紙切れ1枚で「強制排除」
 まず米国のラジオ放送局、ラジオ・フリー・アジア(RFA)の報道をもとに事件の概要から説明したい。

 現場は北京市郊外の、北京市 昌平区 崔村鎮 香堂村だ。この村は1999年以来の再開発で約3800戸の別荘や四合院(北京の伝統建築様式の住宅)が建設され、2003年の分譲会で都市部の小金持ちらが購入していた。

 10月18日、この村の鎮政府(「鎮」は町に相当)周辺にこの地域の別荘所有者ら3000人が押し寄せ、抗議の声を上げていた。抗議参加者がその様子をスマートフォンで撮影しネットに挙げたので、この事実は広く知られるようになった。

「我々の所有している不動産が違法建築だというのはどういうわけだ?」
「役人が来て、突然、撤去すると言われ、3日以内に退去せよと言われた。しかも何の補償もないという! 俺たちに路頭に迷えというのか」
「この別荘地は区、郷、村、3つのレベルの政府が合意したプロジェクトで、書類には3者の印と国土当局の印が押してある。鎮政府の一方的通知で、この契約が翻せるのか!」

 群衆はこう主張し、やがて「香堂村を守れ!」「強制排除に抗議する!」と叫び出し、一時は出動した警察とにらみ合いになり、一触即発の状況になった。

習近平派の官僚政治家が指揮
 10月19日、鎮政府名義の、1つの通知がこの別荘所有者たちに送られた。その通知によると、
「当該村10カ区における建築面積3万平方あまりについて、北京市計画自然資源委員会は、北京市城郷計画条例』29条規定に違反した違法建築と認定した」
「これら建物の建設業者、所有者、管理人はこの通知を受けてから15日以内に必要書類をもって、本機関に出頭し権利主張を行い、調査を受けるべし」
「期日を過ぎて権利主張を行わなかった場合、『中国城郷計画条例』関連規定に従い、強制排除を行う」・・・。

 不動産所有者が必要書類を揃えて権利主張を行えば、審査の上、多少の補償はするようなそぶりを見せているが、実際に補償があるのかは不明。こんな紙切れ1枚で、納得できるわけがない。

 仮にこれら別荘が強制撤去されると、その損失額は1戸当たり少なくとも500万元前後、全部合わせた資産価値総額は数十億元と推計される。


北京市郊外の昌平区にある明の十三陵(資料写真、出所:Wikipedia)
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習近平派の官僚政治家が指揮
 RFAが後日、鎮政府弁公室に電話取材を試みている。「なぜ彼らが合法的に購入した不動産が違法建築になるのか?」との質問に、電話を取った官僚は「村民委員会に質問してくれ。私には答えられない。私も状況は分からない。これは専門の業務部門が担当している件なので」と答えるのみだった、とか。

 RFAの取材で明らかになったのは、この別荘地強制撤去計画は、習近平派の官僚政治家、蔡奇・北京市書記が自ら指揮していること。今回、強制撤去された土地は来年(2020年)1月1日の新土地管理法執行までに更地にされ、競売にかけられること。昌平区はテストケースであり、これが成功すれば、この手法は全国に広がるらしいこと、である。

 昌平区では少なくとも百善鎮、流村鎮、南口鎮、十三陵鎮などの別荘地が撤去対象になりそうだという。こうした政策によって不動産を没収される不動産所有者は少なくとも全国で数十万戸単位になるのではないか、という噂も広がっている。

新たに財政収入が見込める手段
新たに財政収入が見込める手段
 前述したように、昌平区の不動産所有者は主に都市部の小金持ちだ。彼らはみな不動産購入証明を持っており、昌平区政府機関の認可印も押されている。2003年の分譲会の記録によると、鎮の党委員会書記が自ら司会を行い、「別荘地開発が鎮の経済発展を促進し、小康城鎮(そこそこ豊かな郊外)の建設のためのさらなるステップとなり、環境を改善することになる」と強調していた。これら不動産販売価格の5%がインフラ建設費用、管理手続き費などの名目で鎮政府に納められていた。

 あらためて言うまでもなく、地方政府のこれまでの財政収入の大半が、農地の再開発から生まれてきた。農村の集団所有の土地を郷・鎮政府、あるいはそれ以上の上級政府が、そこに住んでいる農民を追い出し、強制収用する、あるいは低い補償金で収用し、デベロッパーに譲渡あるいは貸し出して再開発し、これを都市民に高く売りつけてきた。地下鉄など公共交通の整備とセットにして付加価値を上げることもあった。

 この過程で、日本の地上げ屋も真っ青なアコギな強制土地収用が行われることもあった。村民が出稼ぎに行ってしまい、人が住まなくなった農村宅地を再開発した、というケースもあるが、強制収用は農村の“群衆事件”(暴動)の原因の上位でもあった。

 ただし、現在は大都市・中都市周辺の農村宅地はだいたい再開発が進み、新たな農村宅地の強制収用は難しくなってきている。早い話が、地方政府としては、ちょうど新しい土地管理法(以下「新土地法」)が施行されるタイミングで、すでに再開発した別荘地などを没収し、強制撤去して再開発すれば、また新たに財政収入が見込める、ということなのだ。

別荘の強制撤去の嵐が吹き荒れるか?
 一旦、再開発され分譲された別荘地の強制撤去問題として思い出すのは、陝西省西安市郊外の秦嶺北麓別荘・強制収用事件だ。習近平の直接の指示で行われたこの別荘強制撤去事件は、「生態環境保護」と「地方政府の汚職摘発」という建前があり、また背後には、元陝西省書記で元政治局常務委員兼中央規律検査委員会書記の“趙楽際おろし”という習近平の党内権力闘争の側面もあった。

 秦嶺北麓は国家公園に指定される重要な生態保護地区で、2003年に陝西省はこの地域でいかなる組織、個人も一切、不動産開発をしてはならないとし、2008年には秦嶺環境保護条例を制定した。しかし実際は2003年以降、別荘開発が行われており、その背後には陝西省党委員会ぐるみの汚職があった。

 環境保護・生態保護に力を入れている習近平は2014年、この問題に初めて言及し、2019年1月までに違法建築別荘1194棟を洗い出して1185棟を撤去、9棟を没収し、4557ムー(約3万アール)相当の土地を国有地として回収。この問題に関わった陝西省長の趙永正は失脚し、大量の陝西省、西安市の官僚が処分された。そして今行われている四中全会で、ひょっとすると当時の陝西省書記であった趙楽際にまで累が及ぶか否か、というところまで来ている。

 趙楽際は共産党のキングメーカー、長老・宋平派閥に属しており、習近平の父、習仲勲と昵懇であったこともあって、第19回党大会では習近平の後押しで政治局常務委員入りし、王岐山の跡を継いで中央規律検査委書記についた。だが、宋平と習近平の関係が険悪になるにつれ、習近平の趙楽際に対する風当たりは強くなっていた。秦嶺北麓の別荘強制収用はそのこととも関係があると言われていた。

「エコは正義」の習近平
 この事件は陝西汚職と権力闘争の面が強調されて報じられてきたが、よくよく考えてみれば、別荘購入者たちはきちんと契約書を交わし、金を払い、合法的に別荘を所得していた。だが彼らの財産所有権は、習近平の掲げる“エコ(生態環境保護)は正義”という思想と“強権”の前に完全に吹っ飛んでしまっている。この別荘所有者の多くが党の高級官僚であったこともあり、庶民から見れば、ざまあ見ろ、という感じだろうが、同じ論法をあらゆる別荘地、再開発地に当てはめれば、こんな恐ろしいことはあるまい。

 この秦嶺別荘事件を踏まえて今年5月、国務院は全国違法別荘問題精査整理プロジェクトアクション電話会議を開き、この問題に関する国務院通知を行った。この通知が今回の平昌区の別荘没収通知につながっている。習近平の「生態文明思想」の指導のもと、全国で別荘の強制撤去の嵐が吹き荒れるかもしれない。

 問題はこうした別荘の持ち主が、必ずしも汚職官僚だけではない、ということだ。昌平区の別荘地などは、都市の中間層が所有者の主流ではないだろうか。つまり、「生態文明」を建前にすれば、一般庶民が虎の子を投じて取得した私有財産をいくらでも政府が奪えるという前例を昌平区の件は作ろうとしている、ということではないか?

 これは1946年から共産党が行った「農地改革」の建前のもとの地主からの土地・財産略奪のマイルドな再来、と見る向きもある。

結局、得をするのは地元共産党政府
 もう1つ注目すべきは、来年1月1日から施行される「新土地法」の意味合いだ。

 この法律が施行されると、農村が集団所有する農村宅地の使用権を自由に譲渡・売却できるようになるため、農民たちの土地の権利、私有財産権を強化するものと歓迎されていた。だが、少なからぬ農村政府、鎮政府はすでに農村宅地に住宅や別荘を建てて、都市民小金持ちに分譲してきた。

 現在、農村に多くみられる「別荘地」などの不動産は、農村の集団所有の土地の上に建てられ、不動産権は上物の「小産権房」と呼ばれる物件に限定される。これは土地使用権とセットで売り出される「大産権房」よりも値段が安く、都市中間層が購入しやすかった。

 現行の土地法では、農村宅地は農民に居住する権利があるだけで、その土地の使用権自体は譲渡できない。だが、大都市の住民は異常な不動産高のせいで郊外に住宅や別荘を欲している。一方、農村は貨幣経済の浸透のせいで、現金収入が欲しい。双方の希望を満たす形で、大都市周辺には、土地は農村の集団所有のまま、上物は都市民個人が購入するといういびつな不動産所有(小産権房)形態が急速に広がったのだ。

市場主義経済と決別か?
 昌平区崔村鎮のケースでは 20年前、村の党幹部がこうした小産権房を都市の小金持ちに売りつけ、鎮の財政収入源にした。この財政収入モデルは当時「社会主義新農村模範」などともてはやされたものだった。

 だが、来年1月1日からの新土地法が施行されると、土地の使用権そのものが他者に譲渡できるようになる。ならば、それを機に土地使用権と上物をセットにしてより高額に競売できるではないか。折しも習近平の「生態文明思想」を打ち出せば、ほとんどの農村・別荘地が違法建築とこじつけられる。農民の土地に関する権利を強化するとされる新土地法だが、結果的には中間層市民の私有財産権を踏みにじるために利用され、「結局、得をするのは地元共産党政府」という話ではないか。

市場主義経済と決別するシグナルか
 中国の土地・不動産問題は複雑だ。目下、都市部の不動産の高騰はバブルとみられ、そのバブルがそろそろ弾けるとの懸念が強まっている。

 同時に、そうした不動産が立っている土地は公有地である。不動産と土地の使用権がセットとなっている「大産権房」であっても、その土地使用権期限は開発開始から住宅地70年、商業用地40年といった期限がついている。土地使用権期限は購入時期や不動産が商業区か社区(住宅区)にあるかによってかなり差があり、浙江省温州市などの早期の再開発地域などではそろそろ使用権期限切れになる土地もある。期限切れが来た時の対応法は地域によってまちまちだ。更新料支払いによって使用権延長を認めるところもあるが、将来、法律一つで、いつでも国や機関、地方政府に土地使用権の返納を求められることもあり得るということが、今回の昌平区の件でうかがえる。

 中国の人口の半分近くは不動産など私有財産をほとんど所有していない農民だ。彼らは一部の不動産所有者に対しては「腐敗やずるいことをして蓄財している悪い奴」というイメージを抱いている。かつて地主から土地を没収したように、都市の小金持ちから不動産を没収することは、中国共産党がかつてやってきた、きわめて社会主義的な施策と言うこともできる。

 だが、もし、こういう手法を習近平政権が取り続けるようであれば、それは中国が市場主義経済と決別の方向に舵を切る、というシグナルかもしれない。そうなれば、中国経済がさらに減速するだけでなく、財産を奪われる側の中間層の不満と抵抗が社会の安定にどれほど影響を与えるかについても注意する必要があるだろう。

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中国の自動車市場、完全に成長が止まった模様
市場の縮小もさることながら、今季、最も中国の自動車業界関係者を慌てさせたのは、「新エネルギー車」市場の腰折れでしょう。

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米中ウオッチ】1日に協議、PMI悪化、世界最大5G、合併中止か
笠原文彦
2019年10月31日 13:23 JST
米中を巡る主なニュースは以下の通り。それぞれの記事を読むには、青地のリンクをクリックしてください。
• 中国と米国の貿易交渉トップが11月1日に電話協議−中国商務省
• 米中首脳の貿易合意実現に新たな障壁−チリがAPEC開催断念
• 米財務長官「中国の約束心強い」、市場開放や投資制限撤廃−ロイター
• ムニューシン米財務長官、11月の中国との部分的貿易合意は重要な成果
• 中国製造業PMI、10月に悪化−内需低迷や貿易戦争響く
• 中国は成長安定化をさらに重視へ、不確実性高まる中で−人民日報
• 中国で世界最大の5Gネットワーク始動−月約2000円から利用可能
• 香港金融管理局も追加利下げ、米に追随−リセッション入り濃厚
• HSBC、香港のプライムレート引き下げへ−11年ぶり
• 中国、ケムチャイナとシノケムの合併取りやめる計画−英紙FT
• アリババが11月にも香港上場か、最大150億ドル調達目指す−ロイター
• 「ティックトック」IPO、早くても20年後半か−海外強化優先
• 野村、中国で資産運用事業拡大を模索−上海部門幹部
• SOHO中国、総額8700億円の商業不動産売却を検討−関係者
• 英スタンダードチャータード、7−9月利益は予想上回る−経費抑制で
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-31/Q07ZYPDWRGG001?srnd=cojp-v2

 


依然高値圏にあるリート、今後も期待できる?
プラス要因も控え、あと数年は期待できる余地がある
小島 淳/2019.10.31

 リート(REIT:Real Estate Investment Trust、不動産投資信託)の運用実績が好調を持続しています。今年4月に「好調なリート、その理由と今後の使い方」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56238)で、2018年秋ぐらいから運用実績が上昇していることを紹介しましたが、その後も好調を維持しています。
 東証に上場するリート(Jリート)の総合的な値動きを示す東証REIT指数は10月23日に今年の最高値である2254.28ポイントをつけました(2019年10月29日現在)。同じく最安値は1月4日の1750.87ポイントですから、この10カ月間で約29%も値上がりしたことになります。
 なかなかの高騰ぶりです。専門家のなかには上がりすぎという指摘がある一方で、まだ上昇余地があるという声もあるようです。運用実績が好調なので投資してみたいと考える人は多いかもしれませんが、実際の判断には迷うところです。前の記事から半年が経ち、リート投資の現状と見通しを再度考えてみます。
12年ぶりの高値圏にあるリート
 次のグラフは東証REIT指数(配当なし)の運用実績推移です(青の線)。基準日である2003年3月31日の時価総額を1000とした場合に、現在の時価総額がどの程度かを示しています。値動きの特徴がわかりやすいようにTOPIX(東証株価指数)と比べています(オレンジの線)。いずれも配当金を含んでいません。
(出典:一般社団法人不動産証券化協会、https://j-reit.jp/market/02.html
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 同指数の設定来最高値は2007年5月31日の2612.98ポイント。ただ今年7月からは2000ポイントを超えており、「12年ぶりの高値圏へ」などという報道もグラフを見るとうなずけます。
 また、2015年あたりから(グラフの右4分の1)はTOPIXと値動きが逆になっていることがはっきりしており、TOPIXに連動することをめざす投資信託(投信)やETF(上場投資信託)とリートを同時に保有することで分散効果が期待できることが見て取れます。
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堅調な賃料収入と長引く低金利が背景に
 リートの好調さの背景にはさまざまな見方がありますが、大きく2点を挙げることができます。1つめは、良好な不動産市況を背景とした堅調な賃料収入です。リートの中心的な投資対象であるオフィスビルでは、特に都市部での空室率が極めて低く、賃料も上昇傾向にあります。また、訪日外国人が増えるに従って、彼らによる物件取得が特に地方都市において不動産市況に好影響を与えているといわれています。
 2つめは長引く低金利です。現在でも国内金利は極めて低いまま。リートは基本的に銀行などから資金を借り入れて不動産を取得します。金利が低ければ資金調達コストも低くなり、リートにとっての追い風要因になります。
 リートの好調さは、国内株式だけでなく他の投資対象と比べても同様です。QUICKがまとめた2019年7月〜9月における投信の投資対象別の運用成績では、「国内REIT型」が+13.3%で1位になっています。2位は海外REIT型(+4.51%)、3位は国内株式型(+2.79%)と続いています。国内REIT型は四半期ベースでは8期連続(2年間)でプラスのリターンとなっており、これは投信全分類のなかで国内REIT型だけです。
スプレッドは過去平均より高いが減少傾向
 4月の記事「好調なリート、その理由と今後の使い方」でも述べたように、リート投資の最大の魅力は分配金にあります。2019年9月末現在、リートの平均予想分配金利回りは3.51%、東証1部株式の配当利回りは2.42%。分配金利回りは市場動向の把握や銘柄選択の大きな判断材料になります。なかでも、(イールド・)スプレッドと呼ばれるリートの予想分配金利回りと長期金利(10年国債利回り)の差は代表的な指標といえます。
 次のグラフは過去10年間の、リートの平均予想分配金利回り(青の線)、長期金利(赤の線)、東証1部株式配当利回り(オレンジの線)、スプレッド(水色の線)の推移です。2019年9月末のスプレッドは3.73%と、過去平均の3.46%よりは高いものの2019年に入ってからは減少傾向を見せています。
(出典:一般社団法人 不動産証券化協会、https://j-reit.jp/market/03.html
拡大画像表示
 しかし、2013年のアベノミクス開始直後には、スプレッドが一時2.5%まで低下するほどリートが買われました。現在は3.7%以上あり、まだまだ健全な水準にあるという指摘もあります。ここ2年ほどの東証REIT指数の上昇は、分配金の増加と長期金利の低下という利回り面での自然な理由によるものだという考え方です。
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FTSEが「グローバル株式指数」へ組み入れ
 さらに最近、リートにとって中期的な成長要因となることが期待できるできごとがありました。2019年10月、ロンドン証券取引所の子会社で指数算出会社であるFTSEが、2020年9月から日本のリートを「FTSEグローバル株式指数」に組み入れると発表したのです。今後、四半期ごとに4回に分けて25%ずつ組み入れ、2021年6月に組み入れが完了する予定です。
「FTSEグローバル株式指数」は世界49市場の株式やリートを組み入れており、機関投資家の間で広く使われています。同指数に連動するように運用される投信や海外ファンドなどでは、同じリートを指数と同比率分、新しく買い付けなければなりません。ある証券会社の試算によると、日本の大型リート9〜10日分の売買代金に相当する買い需要が生まれるとしています。指数の買い付けが終わるまでの2年近く、リートとってのプラス要因になると考えられます。
 リートの現状をまとめると、歴史的な高値圏にあるものの利回り水準はいまだ健全といえる水準にあり、今後のプラス要因も控えていることから、あと数年は期待できる余地がある――というところでしょうか。
リートに投資する3つの方法の長短
 個人投資家がリートに投資したい場合、(1)リートの個別銘柄を買う、(2)リートを組み入れた投信を買う、(3)リートに投資するETF(上場投資信託)を買う、の3つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあります。
 リートの個別銘柄は証券会社で買うことができます。2019年10月現在、東証に上場しているリート(Jリート)は63銘柄。株式と同様に売買することができます。不動産に直接投資するよりは少額から投資できますが、最低投資金額は数万円〜80万円超まであり、10万〜20万円が多いようです。投信やETFに比べると高くなっています。
 リートを組み入れた投信を買うのが最も手軽かもしれません。モーニングスターの分類では、国内REIT型が89本、国際REIT型は231本あります。「つみたてNISA」で購入できればベストなのですが、現在は複合指数型や海外型のなかで投資対象の一部としてリートを組み入れている投信しかありません。リートだけに投資する投信を選びたい場合は別に購入する必要があります。
 リートに投資するETFは14銘柄(外国の法律で組成された外国籍ETFを除く)。「東証REIT指数」に連動することをめざしてリート市場全体に投資するETFが10銘柄、「高利回りJリート指数」に連動することをめざして予想分配金利回りが比較的高い銘柄に投資するETFが1銘柄、「東証REIT Core指数」に連動することをめざして時価総額が比較的大きい銘柄に投資するETFが3銘柄あります。
 ETFの運用コストの低さはインデックス投信と双璧でしょう。ETFはこれまで流動性の低さが指摘され、売りたいときに売れない、買いたいときに買えない可能性がありました。しかし、東証が2018年7月に「マーケットメイク制度」を導入。指定された証券会社などの専門業者(マーケットメイカー)が買い注文・売り注文をいつも出し続けることで流動性が高まり、より売買しやすくなっています。
 マーケットメイク制度の対象ETFは銘柄別に設定されています。リートETFはほとんどが対象となっていますが、購入時には確認が必要です。
 東京都心部では新しい大型オフィスビルがどんどん建ち上がり、それを見るたびに不動産市場の勢いを感じます。論理的な市場見通しで成長余地があるといわれますが、肌感として「こんなに建てて入居する企業がどれほどあるのか」と思わずにはいられません。リート投資は、長期の資産形成というより“数年間楽しめればいい”と捉えた方が賢明なのかもしれません。
 専門家のなかには「リートの価格変動リスクは株式と同程度」と指摘する人もいます。リートへの投資は、株式や債券との分散投資を基本に、少額の積み立てで時間分散も図りたいところです。


好調なリート、その理由と今後の使い方

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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58100

 


最新経済ニュース2019年10月31日 / 17:24 / 17分前更新
UPDATE 1-中国人民銀が10月のTMLF見送り、インフレ加速が緩和方針に影響か
Reuters Staff
2 分で読む

(エコノミストの見方などを追加しました。)

[上海 31日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は31日、四半期ごとに実施していた「標的型中期貸出制度(TMLF)」を通じた資金供給を、制度導入後初めて見送った。人民銀行は今月、貸出金利の指標金利も据え置いており、景気支援姿勢に不透明感が漂っている。

人民銀行は31日、公開市場操作(オペ)を4日連続で見送った。声明では、銀行システムの流動性が「適度に潤沢」とし、TMLFには言及しなかった。

TMLFは資金繰りの厳しいセクターへの融資促進が狙いで、昨年12月に発表、今年1月に導入された。4半期に1回のペースで実施されており、市場では、10月下旬に実施されると予想されていた。

人民銀の金融政策局トップ、Sun Guofeng氏はTMLFについて、各四半期の最初の月の第4週に実施する形式は維持すると述べた。

アナリストは、景気や企業活動の支援へさらなる措置が求められるものの、最近のインフレ加速や債務拡大への懸念から当局はより積極的な措置に及び腰になっているとみる。

OCBC銀行(シンガポール)の大中華圏調査責任者トミー・シー氏は、対象を絞った資金供給措置であるTMLFの見送りは「(人民銀が)金融政策で保守的な姿勢という誤ったシグナルを市場に送る可能性がある」と指摘。

「今月のローンプライムレート(LPR)(最優遇貸出金利)は、金利スプレッドがさらに縮小する余地が限定的であることを示している」と述べた。

人民銀行は21日、市場が3カ月連続の引き下げを予想していたLPRを据え置いた。

一部市場ウォッチャーは、インフレ加速が金融緩和を阻んでいるとみている。9月の消費者物価指数(CPI)は前年比3%上昇と、約6年ぶりの上昇率だった。豚肉など食品の値上がりが押し上げ要因で、コア指数は比較的落ち着いている。

米中貿易協議や今週開催されている共産党の重要会議をにらんだ動き、との指摘もある。

みずほ証券のエコノミスト、セレナ・ゾウ氏は、数カ月前に貸出金利改革が発表された後も、貸出金利はなかなか下がらないと指摘する。

「小規模な地方銀行が融資困難なこともあって、金融政策の波及が滞っている。この状況は、中期貸出ファシリティ(MLF)金利の引き下げや定例オペでは解消は難しい」とし、銀行預金準備率の引き下げの方が効果的との見方を示した。

OCBCのシー氏は、12月に銀行預金準備率が引き下げられる可能性があると述べた。

一方で、TMLF実施の期待を捨てていない投資家もいる。

香港のポートフォリオマネジャーは「きょうは、共産党第19期中央委員会第4回全体会議(4中全会)の最終日。会議の結果を待つ必要がある」と述べ、11月初めにTMLFが実施されると予想した。
https://jp.reuters.com/article/china-markets-tmlf-idJPL3N27G25O?il=0  

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コメント
1. 2019年10月31日 18:42:22 : OO6Zlan35k : L3FGSWVCZWxFS3c=[261] 報告

>躯体の鉄筋コンクリートは必ず風化し、劣化していく。ではいつ建て替えるのか。その時、自分の区分所有権はどうなるのか。多くの人たちは、実はこうして、不安定な住まいに生きている

都市ですら寿命がある

ましてや、所詮、家やマンションなど消耗品に過ぎない

いつ中国のように追い出されるかもしれないし、震災で消えるかもしれない


そして、そもそも自分の心身自体が、消耗品に過ぎない

執着しなければ何の問題もない


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