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勢力図が変わる?! 米軍はシリア撤退、アサド勝利か 激動の中東、2019年の展望 
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投稿者 うまき 日時 2019 年 1 月 25 日 00:00:07: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

勢力図が変わる?! 米軍はシリア撤退、アサド勝利か
激動の中東、2019年の展望


保坂 修司
日本エネルギー経済研究所 中東研究センター 研究理事
2019年1月24日
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全3352文字
 2019年の中東の行方を展望する。

 域内諸国の対立が激化したりして、情勢が安定を欠くようになれば、石油の安定供給を妨げることになりかねない。イラク・イランを含む湾岸産油国に石油輸入を依存する日本にとって、この地域の情勢エネルギー安全保障上、死活的な重要性をもつ。米国の対イラン制裁再開、サウジアラビア・UAE(アラブ首長国連邦)とカタールの対立などけっして他人事ではないのである。

 直近で注目すべきは、米軍のシリア撤退だ。


シリアのアサド大統領(右)と同政権を支援するロシアのプーチン大統領(写真:ロイター/アフロ)
アサド政権の存続を見越した動きが加速
 シリアでは、過激派組織「イスラム国(IS)」が2017年にシリア国内の拠点を失って以降も混乱が続いている。さらに、米国のドナルド・トランプ大統領が米軍撤退を宣言したため、情勢が大きく変化する可能性が出てきた。

 これが良い方向に進むのか、悪い方向に進むのかは微妙である。中途半端なかたちで米軍がシリアから引けば、イラクの二の舞になりかねないという見立てがある。米軍は同国から2011年に撤退。それが結果的にイラクでのテロ活動を復活させ、さらにISを生んでしまったというわけだ。

 また、米軍の撤退により、シリア北部を押さえるクルド勢力が、トルコからの軍事圧力に直に晒されることになる。米軍は、シリアでIS打倒の中核を担ったクルド人部隊を支援してきた。そのクルドを、トルコはテロリストとして敵視している。

 実際、トルコは南下の下心を隠そうとしていない。クルド側は、トランプ大統領が撤退宣言をする以前からトルコの動きを見越したのか、敵対していたアサド政権と手を結ぶ戦略に出ていた。これが続けば、アサド政権を支援するイランやロシアは労せずして、シリアの大半の地域に影響力を拡大できることになる。

 米国政府は、いくら何でもこれはまずいと見たのか、軌道修正に躍起になっているようだ。しかし、アサド政権の勝利は近いという見方がますます有力になっている。反アサド勢力を支援してきた湾岸諸国でも、アサド政権存続を見越した動きが加速しつつあるからだ。UAEは、在ダマスカス大使館を再開すると発表した。クウェートなども後に続くと思われる。サウジも大使館を再開させるとの噂が出た(サウジはこれを公式に否定している)。

次ページサウジは、カショギ事件への非難を払拭できるか

サウジは、カショギ事件への非難を払拭できるか
 サウジアラビアの情勢に目を転じよう。

 カショギ事件から4か月、サウジは、ムハンマド皇太子の事件への関与を一切認めておらず、同皇太子を非難する声は依然として国外を中心にやんでいない。

 昨年10月、サウジの現体制に批判的なジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏がトルコにあるサウジ総領事館内で殺害される事件が発生。サウジの事実上の最高権力者といわれるムハンマド皇太子が関与したのではとの疑惑が強まり、サウジに対する世界の見方は一変してしまった。

 同国は6月、同皇太子はそれまで禁じていた女性の自動車運転を解禁。このことを国際社会は一応、好意的に受け入れたのだが。

 カショギ事件に端を発した非難を同皇太子が払しょくすることができるかどうか、今年最大の注目点だ。

 イエメン戦争の道筋もはかばかしくない。サウジとUAEを主体とする「有志連合」は2015年、イエメン正統政府を回復させるため、フーシー派に対する攻撃を開始した。正統政府は、シーア派のザイド派を中核とするフーシー派によって首都から駆逐されていた。

 この戦いが泥沼化している。サウジ側にとっては国連決議にもとづく正義の戦いであったはずだが、国際社会はこれが人道危機を引き起こしたとしてサウジやUAEの責任を問うようになっている。

先行きが危ぶまれるアラムコのIPO
 湾岸諸国の経済が石油価格の上昇頼みであることには変わりない。だが、この依存から脱却すべく、さまざまな政策を打ち出している。

 サウジのムハンマド皇太子が推進する「サウジ・ビジョン2030」が大きな注目を集めている。だが、この野心的なイニシアティブの未来は順調とは言い難い。カショギ事件など、サウジが強圧的な政策を取るのをみて、西側諸国は対サウジ投資を躊躇するようになっている。

 サウジはこの「ビジョン」の中核として、世界最大の石油会社サウジ・アラムコのIPO(新規株式公開)を位置づけている。この先行きが危ぶまれる。たしかにトランプ大統領とムハンマド皇太子の関係はカショギ事件で破綻することはなかったが、これはあくまで属人的な関係だ。米国の新議会や経済界のサウジに対する見方はかなり否定的になっている。

 カショギ事件などで傷ついた国際的信用を回復することが、「ビジョン」を実現に導く重要なカギであることは言うまでもない。だが、同皇太子を守ることを前提とすると、取りうる政策には限度がある。

 しかも、サウジにおける女性の人権状況を懸念する声がここにきて急速に拡大している。サウジはこれらを一気に解決するため、「後見人制度」の撤廃という荒療治に出る可能性がある。サウジの後見人制度は、就学や就労、移動などさまざまな局面で、女性に、男性親族の後見人による許可を課している。同国の女性問題の本丸だ。

 また、サウジはイエメン戦争の終結に本腰を入れることも期待されている。ただ、どちらの問題も一筋縄では解決できず、ムハンマド皇太子の鶴の一声で何とかなるわけではない。いずれにせよ、日本もムハンマド皇太子主導のサウジ・ビジョン2030に積極的に協力する立場をとっている。カショギ事件への関心も日本ではすっかり下火になってしまったが、イエメン戦争の行く末などとともにきちんとフォローしていく必要がある。

次ページ米国はパレスチナ調停案を出すことができる

いまだ音を上げないカタール
 カタールはどうか。サウジとUAE(それにバーレーンとエジプト)が中心になって2017年、テロ支援や内政干渉などを理由に同盟国であるはずのカタールと断交した。経済封鎖も科し、同国をぎりぎりと締め上げている(カタール危機)。しかし、カタールが音を上げる様子はいまだみられない。

 カタールはイランやトルコとの関係を強化するなどしてこの苦境を凌いできた。それどころか、昨年は勝利宣言まで出している。カショギ事件やイエメン戦争での人道危機といったサウジやUAE側の敵失もあり、西側諸国はカタールに同情的な動きを示すようになっている。

 カタールは危機を通じて、国内の経済基盤を強化、周辺国に依存しないシステムを構築し、耐性を強めている。OPEC(石油輸出国機構)脱退は自信を深めた表れだろう。石油より天然ガスに傾注する政策は、経済的合理性もあろうが、OPECで中心的な役割を果たすサウジの言いなりになる気はないという政治的な意図があるとの見方も根強い。

 むろん、サウジやUAEがカタールの勝利を認めるはずはなく、事態は事実上膠着状態だ。2022年に予定されるサッカーのカタール・ワールドカップまで現状が続くとの観測が強い。カタールにとってワールドカップは国家的な行事であり、周辺国の協力も必要であろう。これをきっかけに仲直りというのは大会を盛り上げる意味でも悪くない。

米国はパレスチナ調停案を出すことができるか
 米国の新しい中東和平提案も2019年の注目点だ。同国は中東に位置するわけではないが、中東情勢を大きく左右する。米国はこの提案を「出す出す」と言いながら、依然として出していない。

 ただ、湾岸諸国を中心にイスラエルとの関係を構築する動きが活発になっている。両地域の外交関係樹立や、そこまでいかずとも通商関係樹立といったことが具体化すれば、中東に大きな地殻変動が起きる可能性がある。ただし、昨年、米国が大使館をエルサレムに移転したことを受け、各地で大きな反対運動が発生した。これから分かるとおり、この問題はきわめてセンシティブであり、そう簡単に達成できることではない。

 昨年末にはオーストラリアもエルサレムをイスラエルの首都と正式に認めた。同国ではこれまでもジハード主義系テロが発生しており、エルサレム問題が加われば、さらなる攪乱要因となる。

 最後に、数少ない明るい話題を。今年は日本・イラク国交樹立80周年に当たる。ただ、残念なことに、今のところ日本国内ではまったく盛り上がっていない。

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コメント2件
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オーストラリアがエルサレムを首都として認めたことは知りませんでした。一部の人に不都合な事実はマスコミで取り上げられないようです。

2019/01/24 09:35:09返信いいね!


ダサイタマジジィ

平長

中東情勢の紹介記事として良く書けています。
あの地域は2000年以上もめている地域で宗教的な対立が根本にあります。
ですから解決するのは最低でもあと2000年くらいは掛かります。
民主主義は51点勝利主義の結果ですが、彼の地域は100点主義...続きを読む

2019/01/24 16:15:59返信いいね!

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/012200003/?P=3&mds  

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