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桁違いの中国最大の民営投資会社がデフォルト 正念場の中国経済、狂暴な「犀」が暴れ出した 
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投稿者 うまき 日時 2019 年 2 月 28 日 23:45:11: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

桁違いの衝撃、中国最大の民営投資会社がデフォルト
正念場の中国経済、狂暴な「犀」が暴れ出した
2019.2.28(木) 福島 香織
中国の太陽光発電関連産業が暗黒期に突入。中国経済に深刻な影響をもたらしている(写真はイメージ)
(福島 香織:ジャーナリスト)

 よく「ブラックスワン」とか「グレーリノ」という言葉が、金融経済用語として聞かれる。

 ブラックスワンは、マーケットにおいてほとんど予測ができない極端な事象が起きて、それが広大な影響を与えることを言う。黒い白鳥は存在しない、あり得ないと思われていたのに、存在が見つかったとき大きな衝撃を与えたことからそう呼ばれる。リーマン・ショックなどはブラックスワンだ。

 一方、グレーリノ、つまり灰色の犀(サイ)は、高い確率で存在し大きな問題を引き起こすにもかかわらず、軽視されがちな事象のこと。犀は図体が大きく、そこに存在することがわかっているが、目立たずおとなしいので軽視されがち、だがいったん暴れ出すと手が付けられない、ということが由来という。不良債権や不動産バブル、少子高齢化問題などは、普段からそこに危険の予兆として存在していることは誰もが知っているのに、長い間そこにあるために慣れてしまうという“灰色の犀”だ。

 とすると中国のマーケットは灰色の犀が群れを成して生息しているわけだが、一番狂暴なのはどれか、というと最近“社債デフォルト(債務不履行)”ではないか、という指摘が出てきている。

衝撃度が違った中民投の社債デフォルト
 企業債デフォルトは実は、昨年あたりから頻発しているので、ある意味、中国人も慣れてきていた。しかし、今年(2019年)に入って、中国最大の民営投資企業集団の社債がデフォルトして、その灰色の犀が思っていた以上に狂暴であることを再認識させられた。

「中国民生投資集団」(中民投、CMIG)の「16民生投資PPN001」という社債は1月29日が償還日だったが、償還が延期された。当初、技術的問題、と説明されていたが、結局債務不履行となった。償還できなかったのは、太陽光パネル投資の失敗や企業買収による負債からくる資金の流動性の困難が原因だったとか。

 2018年、民営企業の社債デフォルトは2018年に42社118件で総額1200億元規模にのぼっていた。もはやデフォルトラッシュといっていいぐらいで、社債デフォルトにはちょっと慣れかけていたのだが、この中民投のデフォルトは衝撃度が違った。

 中民投は、中華工商業聯合会という中国最大の民間企業商会の後押しを受けて、中国の大民営企業59社がそれぞれ2%を超えない範囲で出資する形で、国務院の批准を得て2014年に設立された民営企業の希望の星である。資本金500億元。総裁の李懐珍は、中央銀行や銀行監督管理委員会、民生銀行の幹部を務めた人物で、民営とはいえ、政府の全面的バックアップを得ていた。中国版モルガン・スタンレーなどとも呼ばれ、当初は「民営企業の育成や業界再編、地域経済の構造改革などに役割を果たす」などと、大いに期待が寄せられていた。

中国民生投資集団(CMIG)のホームページ画面
 2016年までには資本総額は3100億元を越える規模に急成長、「秒速で稼ぐ企業」などともいわれた。そんな大企業が社債デフォルトとは、中国の民営経済がどれほどいびつで行き詰まっているのか、ということを世界中に知らせてしまったことになる。

政府に梯子を外された太陽光パネル投資
 中民投は当初は太陽エネルギーパネル、鉄鋼物流、船舶の3分野に投資してきた。これらは中国の“過剰産業”だが、中民投はこうした過剰産業の企業整理を促進する役割も担わされていた。

 中でも太陽光パネルへの投資は、中国ネットニュースサイト「澎湃新聞」によれば、この5年で1500億元、発電設備の出力に換算すると20GW(ギガワット)という。2015年には寧夏に世界最大の単体太陽光パネル発電所を建設するプロジェクト(2GW規模)に150億元を投じた。その年の寧夏全域の太陽光発電量指標は、わずか600MW(メガワット:1GW=1000MW)程度である。それに対して、2016年6月に1期工事が終わった段階での寧夏送電網における電力生産能力規模は、380TW(テラワット:1TW=100万MW)と寧夏日報は報じた。あの砂漠のど真ん中で、そんなに電力が必要だったのか。

 いや、そんなことよりも中民投にとって重要だったのは、その時点で中国政府が太陽光発電導入の上潮ムードを盛り立てており、買い取り価格への補助金制度もあったことだった。習近平政権は環境保護に特に力を入れている。中国の場合、民営企業でも市場の需要より政治の空気を重視する。

 だが2018年、国家発展改革委員会、財政部、国家エネルギー局は、突如、中国の太陽光発電関連産業の発展に急ブレーキをかけるような通達を次々と発表する。1200億元の補助金不足が発覚したのをきっかけに、政府としても太陽光バブルを弾けさせるほかなかったのだ。

 一番影響が大きかった通達は、2018年6月の「進行中の太陽光発電所建設の計画をすべて一時棚上げする」というものだ。補助金はほとんど削減され、太陽光発電の電力の全面的値下げ、全面整理を通達した。これにより中国の太陽発電市場は1000億元規模も縮小、ほとんどの太陽光発電関連工場が停止し、関連企業がばたばた倒産に追い込まれた。太陽光発電関連産業は暗黒期に突入したのである。中民投は国家の電力政策にあおられて、梯子(はしご)を外された格好だ。

 今回の社債デフォルトの原因も、寧夏の銀行が関わっているという噂があり、おそらくは太陽光発電プロジェクトの失敗が影響しているのではないかと言われている。

経営戦略を転換し、役員を大幅に入れ替え
 このデフォルト騒動で、中民投が発行している債権17中民G1、18中民G1、18中民G2が軒並み取り引き停止になった。中民投は、民営企業に投資し、株主になり、経営に参与し、民営企業を立て直すというこれまでの経営戦略方針を転換。手持ちの優良な企業株を売り、利益が出ない企業は整理して、投資中心の戦略に変えていくようだ。

 中民投が持っている最も良質の資産といわれる上海の董家渡地域の開発プロジェクトの債権は、上海国有資産委員会の後ろ盾をもつ緑地ホールディングスに121億元で譲渡。この土地は、デフォルト騒動が表沙汰になる前に上海金融裁判所に差し押さえられていた。

 また、中民投傘下の筆頭投資会社である「中民文化投資集団」の経営からも手を引き始めているようだ。中民文化投資集団の株主は14法人だったが、7法人に減った。減った株主法人はみな中民投の子会社だった。

 その他の航空融資関連や健康融資関連や不動産開発、環境保健関係、病院医療関係の上場企業株なども今後売却して資産整理していくという。2015年に買収した上置集団や2016年に買収した億達中国など有名不動産開発企業も売却リストに入っているとされ、外国の戦略投資家たちとも目下接触しているという。

 昨年8月の段階で、それまでの責任をとって李懐珍が総裁職を降り、10歳若い52歳の呂本献が総裁になって債務問題処理を担当している。目下のところ中民投の総資産は3100億元、負債総額は2200億元以上で、純資産は800億元あまり。マイナスではないので流動性が回復すれば立ち直れると、呂本献総裁はコメントしている。

 役員も昨年10月までに大幅に入れ替えられた。ボードメンバーには、農作物種子売買や農産食品物流などで急成長を遂げている正大集団の幹部も加わっている。折しも今年から中国の農地改革を伴う“興村興郷”政策が本格化すると見込まれているので、この分野が中民投復活の鍵、という人もいる。

不動産バブルという、もう1頭の犀
 ただ中民投が2019年に償還せねばならない社債は総額533億元規模にも上る。無事切り抜けられるかは不透明。民営企業業界そのものを立て直し、活性化する任務をおったメガ投資集団が挫折しかけているという事実は、今年いよいよ民営企業債デフォルトが灰色の犀となって暴れ出す、という予測を生んでいる。

 犀は1頭だけではない。不動産バブルは社債デフォルトと番(つが)いの犀だ。

 中国は実体経済の悪化を受けて、企業債の乱発がかねてから問題にはなっていた。その償還ラッシュは2019年から急増し、2021年にピークともいわれている。中国2大格付け機関の1つ、中誠信国際の推計では、年内に償還予定の社債総額は5.7兆〜6.2兆元規模(国有企業債、民営企業債、CRMWなど)。特に地方政府融資プラットフォームの債権、民営企業債権、中小不動産関連債権の償還が危ういとされている。

 中でも不動産関連債権の償還は4026億元規模、これは2018年の倍の規模だ。また中信建設投資の推計では、2019年は4804億元規模の不動産関連債権の売り戻しを投資家たちは選択するとみられている。それを合わせると、償還期限を迎える不動産関連の債権は、第1四半期だけでも2263億元以上だという。国内債権だけではなく、海外の中国資本発行人のドル建て債権も同じような状況らしい。

 ところが、2019年春節があけてまもなく、大手不動産企業が一斉に債権を発行している。マレーシアのフォレストシティ開発を手掛けていた碧桂園はじめ、中国恒大、中国奥園、融信中国、正栄地産、禹洲地産、緑地中国、世茂房地産などだ。2月18日までの集計で1546億元あまり(うち海外が729.9億元)の規模となった。2018年同期の規模を超える。不動産バブルがもう限界だといわれているのに、これはどういうことか。

「中国当局が不動産市場に対する規制を緩和する」という見込みが流れているからというのもあるが、ほとんどが償還のための債権発行だとみられている。新ローンで旧ローンを返済するのだ。このクラスの大手不動産企業ですら自転車操業に陥っている。

 今年早々、人民大学の向松祚教授が、中国に「ミンスキーモーメント」(バブルが崩壊に転じる局面)が来る可能性を強く訴えていたことが話題になった。その時、向教授が最大の“灰色の犀”として指摘していたのは不動産バブルだ。中国の不動産市場規模は売り出し中不動産の延床面積から推計すると60兆ドル。全世界の1年分のGDPを合わせても70兆ドルあまりなのに、そんな馬鹿な話があるか、ということだった。

 中国の株式市場A株の利潤の4分の3をわずか40社余りの不動産企業と銀行が占め、GDPの48%を占める家計債務の7割以上が不動産・住宅関連ローンで、地方政府収入の7割を占める政府性基金の9割が土地譲渡関連という状況で、不動産バブルが崩壊すれば、地方政府財政から企業から一般家庭まで阿鼻叫喚となるのは目に見えている。

 不動産バブルと社債デフォルトという番いの犀が走り出せば、金融システミックリスクという犀の群れ全体が大暴れして、中国の市場を踏み荒らし、そこから飛び出して世界を踏み荒らしまくるかもしれない。

 犀の角を不老長寿の薬と信じている富裕中国人は、密猟のやりすぎでアフリカの犀を絶滅の危機に追い込んできた。今、中国経済・金融マーケットに生息する犀は、中国を絶望的危機に追い込むかもしれない。これは犀の呪いというべきか?
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55622  

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コメント
1. 2019年3月01日 19:26:28 : o4ZxWSpuaU : cmp4OUZBQlJQcUU=[145] 報告
灰色の 犀を抑えて 見栄を張り

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