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中国に自爆攻撃も辞さず、フィリピン大統領 親中政策を採りつつ中国を批判、返す刀で米国も一刀両断 
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投稿者 うまき 日時 2019 年 4 月 12 日 13:42:41: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

中国に自爆攻撃も辞さず、フィリピン大統領
親中政策を採りつつ中国を批判、返す刀で米国も一刀両断
2019.4.12(金) 末永 恵
フィリピンでは、中国からの投資拡大で新中国移民が急増。人気のカジノも増加、マカオと並びアジアのカジノ産業を牽引する(IR統合リゾート「シティー・オブ・ドリームズ」、首都マニラ。筆者撮影)
 中国が1949年の建国以来、最大規模の海上軍事パレードを実施したのは、紛れもなく世界の火薬庫、南シナ海だ。

 ちょど1年前の2018年4月12日に決行された同パレードには、数十隻の艦艇や航空機、さらには1万人以上の人民解放軍が參加した。

 南シナ海を目の前にして、習近平国家主席は「世界最高峰の海軍を保有する重要性が、かつてなく高まっている」と兵士らを鼓舞し、南シナ海や南沙諸島(英語名スプラトリー)の覇権を競う米国や、領有権を争う東南アジアの周辺国を牽制した。

 さらに中国は今年2月、米軍が同諸島で「航行の自由作戦」の一環として軍艦2隻を航行させたことに、「中国の許可なしに我領域に侵入した」と反発、「中国の主権を侵害するもの」と非難した。

フィリピン、南シナ海での漁民の避難所建設を中止 中国の反発受け
フィリピンと中国が領有権を争っている南沙諸島(スプラトリー諸島)のミスチーフ礁(2017年4月21日撮影、資料写真)。(c)AFP/TED ALJIBE〔AFPBB News〕

 こうした状況下、4月に入って中国による大量艦船の航行も明らかになった。

 フィリピン軍関係者によると、南沙諸島にあるフィリピン実効支配のパグアサ島(フィリピン名、英語名はティトゥ)周辺海域で、今年1月から3月にかけて中国の艦船275隻が航行していたことが、明らかになった。

 これを受け、フィリピン政府は3月29日、外交ルートを通じ正式に中国政府に抗議した。4月4日の本コラムでは、その詳細を一報した。

 そして同日、フィリピン政府は新たに「パグアサ島に中国が艦船を航行させているのは、国際法下での我が国の主権と管轄権を侵害している」と異例の抗議声明を発表。

 5日には、2016年6月の就任以降、対中太陽政策を展開してしきたドゥテルテ大統領が、「パグアサ島に触れるならば、兵士に自爆攻撃を命じる」と珍しく中国を牽制した。

 これを受け、日本の大手メディアも7日になって、同島での一連の中国の大量艦船航行とフィリピンの中国に対する抗議行動を伝えた。

 フィリピンは、1971年から同島を実効支配しているが、中国が軍事拠点化を進めるスービ(中国名・渚碧)礁は、その周辺に位置する。

 これまでも同島付近への中国艦船の侵入に対し、少なからず抗議を行ってきたが、今回はこれまでと様相が違う。

 米国は3月、マイク・ポンぺオ国務長官がフィリピンのドゥテルテ大統領を訪問した際、「南シナ海での中国による人工島建設や軍事行動は、フィリピンだけでなく、米国の主権や安全保障、さらには経済活動を阻害するものだ」と非難。

 その上で、「南シナ海は太平洋の一部。従って、フィリピンの軍や公船、航空機に対し武力攻撃がなされた場合、米比相互防衛条約の下、相互的防衛義務を果たす」と中国を名指しで非難し、軍事行動への可能性を示唆した。

 米政府高官が、南シナ海での同盟国への防衛に公式に表明するのは初めて。米中貿易戦争を背景に、南シナ海や南沙諸島を巡る米中の対立はこれまでにない激しさを増していることの現れといえる。

 しかし、フィリピンはこうした米中の対立を快く思っていないようだ。そもそもフィリピンは米中という超大国を信用しておらず、南シナ海での武力闘争に利用されたり巻き込まれたりするのを怖れている。

 実は、こうした状況下でフィリピン政府は、1951年に米国と締結した米比相互防衛条約の見直しを協議したいという意向を持っている。

 3月の米ニューヨークタイムズ紙報道によると、フィリピンのロレンザナ国防相は「フィリピンはどの国とも対立せず、どの国とも戦わない。南シナ海で戦争に突入するのはフィリピンでなく、米国だ」と非難。

 米海軍は南沙諸島付近を駆逐艦に通過させる「航行の自由作戦」を定期的に実施しており、今年に入ってからはすでに2回実施し、その結果、「中国を激怒させ、対立を拡大させている」と米国を糾弾しているのだ。

 「米国は、西フィリピン海(南シナ海)で海軍艦艇の航行を増やしており、このままだと武力闘争に発展する可能性が高く、自動的にフィリピンが戦争に巻き込まれかねない」と、南シナ海をあえて、西フィリピン海と表現して、米国を牽制した。

 「現在の米比相互防衛条約は、紛争の抑止力になるどころか、有事には、カオスを引き起こすだろう」と指摘し、同条約の見直しを米国に要請していく構えを見せた。

 また、ドゥテルテ大統領も3月、地元メディアに対し、次のように米国への不信感を露わにしている。

 「米国は『あなたたちを守る』と言った。しかし、肝心なのはどんな宣戦布告も議会の承認が必要だ。米議会がどれだけひどいか知っているだろう」

 つまり、中国を非難したものの、その原因の一端は米国にあり、有事の際にフィリピンを守れるのか怪しい米国に対する深い懐疑心が根底にある。

 中国による南シナ海進出は迷惑だが、それを増長させているのは米国だという認識があり、今回、米中対立の矢面に立たされるのは真っ平ごめんというスタンスを明確にしたわけだ。

 ドゥテルテ氏は大統領就任時から暴言、放言で“アジアのトランプ”という異名を持つが、なかなかの戦略家でしたたかさも兼ね備えている点も本家トランプ大統領とそっくり。

 米中どちらにも微笑み外交を展開する一方、言うべきことはきちんと言う。そういう外交手腕をドゥテルテは持っている。

 そのためには使えるものは何でも使う。その最たるものが、彼の「生い立ち」偽称だ。この出生秘密は、中国訪問で大いにその役目を果たした。

 これまでドゥテルテ氏は、「中国人はフィリピン社会に昔から根を張ってきた。私はフィリピン国籍だが中国の血筋を誇りに思う」と語り、母方の祖父が華人であることを強調してきた。

 しかし、フィリピンには華人系政治家が多く、南シナ海領土問題で国際仲裁裁判所に中国を訴えたべ二グノ3世アキノ前大統領も実は華人系だ。

 筆者はドゥテルテ氏の息子の親友に接触する機会に恵まれたことがあり、「あれ(ドゥテルテ氏が華人系)は嘘だよ。息子がはっきり言っている」という。日本の一部で報道されている「中国語が堪能」も嘘っぱちのようだ。

 フィリピンの華人は、人口約1億700万人(2018年末現在)のうちの約120万人と少数派。しかし、経済を牛耳っているのは少数派の華人。華人の経済力を味方にしたいドゥテルテ氏が作り上げた偽りの経歴のようである。

 さらに、麻薬撲滅を掲げるドゥテルテ氏にとって、「麻薬王3人」の華人系フィリピン人に“身内”と思わせるための戦略でも功を奏する。華人系は経済だけでなく、フィリピンを蝕む麻薬にも深く関係しているからだ。

 今年1月、フィリピンの長者番付で長年トップだったヘンリー・シー氏(施至成)が94歳で亡くなった。日本ではあまり知られていないが、アジアの長者番付で常にトップ10に入るフィリピンを代表する大富豪だった。

 彼の通夜には、故人と親交のあったドゥテルテ大統領の姿も見られた。

 12歳の幼少期に、中国のアモイから移住してきたシー氏は、貧しい少年時代を送りながらも、靴店「シューマート」を創業。

 のちに「SM」に名称を変更。今では、SMグループとして小売、不動産、銀行などを保有するアジアを代表する財閥に育て上げた。

 現在のフィリピン経済の基盤を作ったのは、第2次世界大戦後に台湾から来た商業移民だったといわれる。今でも「コファンコ財閥」など華人系企業が、フィリピン航空など国内の基幹産業を牛耳っている。

 ドゥテルテ大統領就任後、中国はフィリピンにとって最大の貿易相手国に躍り出て、中国からの対フィリピン直接投資は約20倍に膨れ上がった。

 その影響もあり、フィリィピンは今、「新中国移民」であふれ返っている。

 「2018年の前半だけで、500万人前後の中国人がマニラを中心に移住。しかし、合法違法を含め、正確な数字は分からない。実際は、もっと多いだろう」(不動産関係者)という。

 その移住者は、富裕層の投資家と労働者の「二極化」に分類される。

 中国からの富裕層は、世界一のカジノ都市マカオに比べ格安で遊べることから、カジノ産業の人気が急速に高まっているマニラなどの大都市の高級住宅地を爆買いし始めている。

 町には、今まで見られなかった中国語の広告や看板が増え、流通関係者は「大型のショッピングモールでは、中国語の表示や館内放送が流れるまでになった」と話す。

 一方、ブルーカラー労働者も急増している。

 首都マニラには、30万人もの労働者が中国から押し寄せている。中国より高い賃金が約束され、「建設現場や中国人顧客相手のカジノに就労する“都合のいい”労働者として津波のように押し寄せている」(労働経済アナリスト)という。

 いずれも、親中政策に転換させたドゥテルテ大統領の経済的副産物だ。

 3月にマニラを訪問したマレーシアのマハティール首相は「大量の外国人労働者の流入は、経済問題への悪影響だけでなく、政治的不均衡をもたらす」とドゥテルテ氏のチャイナ・マネーへの寛容政策に釘を差す一面もあった。

 次期大統領選を占う5月13日の中間選挙を目前に、2022年までの任期で再選が禁止されているドゥテルテ氏は、今回、中国を公式に批判。一方での軍事介入をちらつかせる米国も牽制した。

 南沙諸島をめぐる米中対立が激しさを増すなか、ドゥテルテ大統領の「天秤外交」がいよいよ真価を問われる時が来ているといえそうだ。

(取材・文・撮影 末永 恵)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56081  

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