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米政治情勢、1850年代「内戦前夜」のようだ 窮地に立つトランプ大統領に最強の助っ人現る 離反しだした韓国と米国に共通する「超格差」の反動「弱者を支持」目当ての政権運営がもたらす矛盾と迷走
http://www.asyura2.com/19/kokusai27/msg/511.html
投稿者 鰤 日時 2019 年 10 月 10 日 21:23:50: CYdJ4nBd/ys76 6dw
 

米政治情勢、1850年代「内戦前夜」のようだ

ブラックストーンCEO
Benjamin Robertson
2019年10月10日 13:00 JST
米プライベートエクイティー(PE、 未公開株)投資会社ブラックストーン・グループの共同創業者であるスティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)は、米国の今の政治情勢について、「内戦前夜」といえるほど過熱し、分裂した状態にあるとの認識を示した。

  シュワルツマンCEOはブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「われわれは明らかにある種異常な局面、物事で人々を合意させることに伴う非常に大きな困難を経験しつつある」と発言。現在の論争の「敵対的な特質」は、「政治において人々が文民的ですらなかった」南北戦争直前の1850年代を思い起こさせると語った。

ブラックストーン・グループの共同創業者スティーブン・シュワルツマン氏

出典:Bloomberg)
原題:Schwarzman Says U.S. Political Battles Recall Pre-Civil War Era(抜粋)


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-10/PZ4ZPD6KLVR401?srnd=cojp-v2

窮地に立つトランプ大統領に最強の助っ人現る

立ち上がった7533万人のエバンジェリカルズ、「敵は東部エリートと民主党」
2019.10.10(木)
高濱 賛
アメリカ?政治

エバンジェリカルズのジェリー・ファルウェル師と写真に収まるトランプ大統領(バージニア州リンチバーグのリバティ大学で)
ギャラリーページへ
米議会の弾劾調査協力拒否
バイデン氏の「中国疑惑」取り上げる
 米国のドナルド・トランプ大統領とジョー・バイデン前副大統領による「ウクライナゲート疑惑」は、今度は中国まで巻き込み、泥沼化している。

「ウクライナゲート疑惑」を暴露した米中央情報機関(CIA)職員に次いで「第2の内部告発者」の可能性が高まってきた。

 その最中、黙っていられぬトランプ大統領は、10月8日、米議会による弾劾調査への協力を全面的に拒否すると通告した。

 米下院各委員会がトランプ政権高官たちに対して出した召喚要求や関連文書提出を一切退けたのだ。

 トランプ大統領はその一方で米議会に対し、バイデン前副大統領の「中国疑惑」も調査せよと言い出している。

 トランプ氏特有の「目には目を、歯には歯を」戦術だ。

「米議会はバイデン氏が副大統領時代に息子*1と一緒に中国でやっていた不当な利益漁りも捜査すべきだ」

「中国で(バイデン親子が)やっていたことはウクライナ(でやっていたこと)と同じくらい悪い。中国はバイデン親子を捜査すべきだ」

*1=バイデン氏の息子、ハンター氏は2001年に法律事務所兼ロビーイスト会社を設立。同社パートナーとしてウクライナの電気会社だけでなく、中国政府が設立した合弁投資ファンド「渤海華美」にも投資。同氏は同社の役員も兼務。同社は新疆ウイグル自治区のイスラム教徒住民監視に使用されている顔認証プラットフォームにも投資している。同氏は若い頃にアル中、麻薬中毒、義姉との不倫などを引き起こし、バイデン氏の「アキレス腱」と見られている。

 トランプ氏はバイデン親子が中国で何をしたのかについては言及はしていない。しかしトランプ氏は大統領だ。根も葉もない情報を元に言い出しているわけでもあるまい。

 トランプ氏のこの戦術は早くも功を奏している。

 民主党大統領指名争いではトップを走ってきたバイデン氏の支持率は降下し始めている。

グラハム師が支持の説教ツアー…
グラハム師が支持の説教ツアー
「トランプ大統領、危うし」と見て取ったトランプ応援団のエバンジェリカルズが動き出している。

 2016年の大統領選でトランプ氏を大統領に押し上げた宗教右翼「エバンジェリカルズ」を率いる牧師たちが中西部、南部を中心にトランプ支持キャンペーンを始めている。

 著名な保守派テレビ伝道師で「トランプ氏の祈祷師」とも言われているフランクリン・グラハム師*2は10月2日から10日間ノースカロライナ州でバスツアー伝道を展開、7か所で説教を続けている。

*2=フランクリン師の父親は米国の最も著名なキリスト教伝道師のビリー・グラハム師。昨年他界。歴代大統領の相談相手となっていた。

 父親があくまでも福音主義を説いたのに対して、フランクリン氏は保守的な政治色が極めて強く、反同性愛主義や反イスラム教主義を全面に押し出してきた。

 10月2日に同州グリーンビルで開かれた集会には1万3800人のエバンジェリカルズが結集し、トランプ大統領のために祈祷した。

「アメリカの決断」(Decision America)と銘打ったキャンペーンのスローガンは、単純明快だ。

「我々はトランプ大統領を守るための第一線に立とうではないか」

 ツアーに同行取材したAP通信のエレナ・ショア記者との単独インタビューでグラハム師はこう語っている。

「万一トランプ大統領が弾劾されるようなことがあれば、この国は崩壊するだろう。政治家たちは(弾劾などよりも)移民問題とか貿易問題といったアジェンダに集中すべきた」

「バイデン氏も疑惑の渦中にいるようだが、彼の疑惑についても調べる価値はあるだろう」

「私の父は『政治家には注意せよ。政治家はお前を利用することばかり考えているからだ』と言われた」

「私がトランプ大統領を評価するのは彼は政治家ではないことだ。彼は政治家ではないから常にトラブルに見舞われている」

「我々はトランプ大統領を守る先兵」…「我々はトランプ大統領を守る先兵」
 エバンジェリカルズはどうしてトランプ大統領を支持するのか。生の声はこうだ。

 集会に参加したクリスティン・ジョーンズさん(44)は前述のショア記者にこう答えている。

「トランプ大統領はキリスト教の理念を守り続けているからよ。彼はそのためにベストを尽くしているわ。たとえみんなに叩かれていても」

「私はトランプ大統領を守るためにその先兵になるつもりよ」

 中年男性のフランシス・ラッセターさん(66)はこうコメントしている。

「(民主党が党利党略でやっている弾劾騒ぎは)トランプ大統領を引きずり降ろすことを狙ったガラクタだよ」

「ここまで来たら(共和党対民主党の)内戦が起こるかだって? こればかりは分からんね。しかし、おぞましいことだ」

 米国の白人エバンジェリカルズは9300万人。ピュウ・リサーチ・センターの世論調査(2019年8月現在)によれば、このうち81%、つまり7533万人がトランプ大統領の政治を支持している。

 大統領就任当初の支持率は78%だったからあれから3年ほとんど変わっていない。

 米国のクリスチャンはプロテスタント、カトリックを合わせて人口の75%(2015年)。そのうち自らがエバンジェリカルズと答えている白人は25.4%に上る。

 エバンジェリカルズという一つの宗派はなく、主流プロテスタント各宗派にクロスオーバーしている。それでもバプテスト・ファミリー派、南部バプテスト派に一番多い。

ペンス副大統領もポンペオ国務長官も…
ペンス副大統領もポンペオ国務長官も
 トランプ大統領は自称長老派だが、エバンジェリカルズではない。しかし今や超側近の一人になっているマイク・ポンペオ国務長官は長老派エバンジェリカルズだ。

 牧師代行の資格ももっており、日曜学校で教えていたこともある。説教ではこう言い切っている。

「政治家の闘争とは『推挙』(The Rapture)*3の瞬間まで終わることはない」

*3=『推挙』とはキリスト再臨の時にキリスト教徒は不死の体になり、空間に引き上げられ、キリストに会う出来事をいう。前千年王国論者や天啓史観論者の間で信じられている。

 旧教のカトリック教徒の中にもエバンジェリカルズはいる。いい例がマイク・ペンス副大統領だ。

「ボーンアゲイン」(宗教経験で信仰を新たにしたクリスチャン)のエバンジェリカルズ・カトリック教徒だ。

 トランプ氏は2人のエバンジェリカルズに守られているのだ。これもエバンジェリカルズがトランプ支持の岩盤になっている理由の一つといえる。

「Moral Majority」転じて …
「Moral Majority」転じて
「Immoral Majority」に
 そのエバンジェリカルズが台頭したのは1970年代末だ。

 保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」を創設した政治活動家、ポール・ワィリック氏とカリスマ的テレビ伝道師のジェリー・ファルウエル師(冒頭の写真のジェリー・ファルウエル氏の父親。すでに他界)と結成したのが「Moral Majority」だった。

 キリスト教の伝統的な価値観が衰退しているという危機感が2人を動かした。ファルウエル師のカリスマ力によって当初は2年間で350万人の信徒を獲得してしまった。

「Moral Majority」とは、「厳しい道徳観を持った大多数の大衆」。

 民主党の大統領だったビル・クリントン氏の不倫などに厳しい目を向け、世俗化する民主党に対抗する共和党をバックアップする政治勢力だった。

 今回紹介する新著『The Immoral Majority: Why Evangelicals Chose Political Power over Christian Values』の著者、ベン・ハウ氏は正真正銘のエバンジェリカルズの一人だった。


The Immoral Majority: Why Evangelicals Chose Political Power over Christian Values by Ben Howe Broadsite Books, 2019
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 すでに高い評価を得ている作家兼映画制作者である。同氏は本の中でこう記している。

「Moral Majorityの中核的存在だったエバンジェリカルズはどうなったのか。モラルや信仰心はどうなってしまったのか」

「トランプ氏は言ってみれば、伝統的キリスト教理念とか信仰心とは全く無縁。しかも異常なほどの女性遍歴、セクハラ疑惑や疑惑もみ消しを繰り返してきた」

「そのトランプ氏が大統領選に立候補し、あれよあれよという間に共和党予備選では他候補を押さえてしまった」

「トランプ氏の大躍進を支援したのはほかならぬ南部、中西部のエバンジェリカルズだった」

 著者は、彼らを「Immoral Majo…
 著者は、彼らを「Immoral Majority」、つまり「モラルに目をつぶり道義に反した多数の大衆」と皮肉ったのである。

 なぜ、信仰の厚いはずのエバンジェリカルズがトランプ氏を大統領として支援したのか――。著者はこう分析している。

「その理由は多岐にわたっている。一つは経済だ」

「南部、中西部の非都市圏に住む中産階層やその下の層の白人エバンジェリカルズはバラク・オバマ政権の8年間で失業や倒産に見舞われ、自分たちは経済的な恩恵を受けない『忘れ去れた存在』と考えた」

「第2は、聖書に書かれている聖句を一字一句信じるエバンジェリカルズにとって米国が向かう方向は、キリスト教の教えとは異なる方向に進んでいると感じ取ったことだ」

「人工中絶しかり、同性愛しかり。神のみ手によって創造され、支配されているこの世界が人間によって誤った方向に向かっていると信じている」

「地球温暖化を信じないエバンジェリカルズは64%。すべては神が支配する自然現象と考えている。不確かな科学的根拠で地球温暖化を問題にするのは誤りだと考えているのだ」

「大統領選予備選が始まった時、彼らはトランプ氏の主張する温暖化否定に飛びついた。さらに人工中絶反対、同性愛反対を唱えるトランプ氏を支持した」

 著者はエバンジェリカルズのこうした深層心理についてこう指摘している。

スターリンより左翼を嫌う…
「建前のモラル尊重よりも神のご意志を現世で実現するトランプ氏を指導者に選んだ。彼らは二値選択を好んだ。他の候補がトランプ氏のモラル観を批判すると、お前こそどうなんだ。偽善者が何を言うか、と反駁した」

「神様を一つの小部屋に収める一方で、実際の政治をもう一つの小部屋に入れたのだ」

「トランプ氏の政策をテレビやSNSが伝え、政治的分裂が起これば起こるほどエバンジェリカルズはトランプ氏の肩を持った。まさにWhataboutism(そっちこそどうなんだ主義)だった」

「本選挙でトランプ氏と争ったヒラリー・クリントン氏には夫ビル氏の不倫、浮気、欺瞞がつきまとって離れなかった」

「ヒラリー氏へのエバンジェリカルズの嫌悪感は反東部エリート観、反民主党観へと燃え移った」

スターリンより左翼を嫌う
「ジ・アトランティック」のピーター・ウィナー記者はエバンジェリカルズの反東部エリート(反西部エリートも含まれる)意識についてこう指摘している。

「エバンジェリカルズの生きるか死ぬかの闘争(Existential struggle)における邪悪な敵はロシアでもなければ、北朝鮮やイランでもなかった」

「彼らの真の敵は東部エリートをはじめとするリベラル派であり、左翼だった」

「私がエバンジェリカルズを取材してしばしば聞いた彼らの左翼に対する罵りや憤りはちょうどスターリン政権に対するものと相通するものがあった」

https://www.theatlantic.com/ideas/archive/2019/07/evangelical-christians-ace-deepening-crisis/593353/

 そこまで東部エリートや民主党リベラル派を…
 そこまで東部エリートや民主党リベラル派を忌み嫌い、トランプ大統領を守り抜こうとするエバンジェリカルズ。

 妥協を許さぬエバンジェリカルズの生きるか死ぬかの闘争劇がここにある。

「分裂国家」を収拾する手立てはあるのか。

『ニューヨーク・タイムズ』の著名な保守派コラムニスト、デイビッド・ブルックス記者が興味深い一文を書いている。

「Urban Guy」(都会エリートの男)と「Flyover Man」(中西部の田舎者)との会話を想像して、問題の核心を突いている。

都会の男:「中西部に住む白人の被害者意識は耳にタコができるほど聞いた。それより弾劾の話をしようじゃないか」

中西部の男:「もしお前さんが俺の悩みを聞いてくれて、(弾劾を支持する)上院の共和党議員たちが(トランプ大統領に代わる)俺たちの喋る英語で俺たちの悩みを語ってくれる共和党大統領候補を見つけ出し、どうしようもない民主党を粉砕してくれれば、俺は(トランプ大統領の)弾劾についてはオープンになれるね」

「それ以外に弾劾なんてまっぴらだ。弾劾を阻止することは俺たちのアイデンティの証明であり、プライドなのだ」

https://www.nytimes.com/2019/10/03/opinion/trump-voters.html

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離反しだした韓国と米国に共通する「超格差」の反動
日本との関係がますます悪化している韓国の文在寅政権は、アメリカとの関係もギクシャクしだしている。ところが韓国とアメリカをよくよく見ていると、抱えている国内問題には共通するものがある。ずばり「超格差社会」だ。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57884

 

離反しだした韓国と米国に共通する「超格差」の反動

「弱者を支持」目当ての政権運営がもたらす矛盾と迷走
2019.10.10(木)
T.W.カン
世界情勢?アメリカ?韓国・北朝鮮

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 先ごろ二週間ほど韓国に滞在し、母国である韓国の情勢について深く考えさせられた。日本、韓国ともに、論客のほとんどがこの二国間関係を日本ないし韓国の視点からしか捉えていないのだ。しかも、最近の両国関係の悪化局面の影響から、韓国vs.日本、文在寅(ムン・ジェイン)政権vs.安倍政権、または韓国の左翼勢力vs.日本の右翼勢力という構図の枠で語られることが多い。それも、最近は激しく。

ギクシャクする韓米関係の中の不気味な韓国とアメリカの類似点
 仕事柄、1年の4分の1はアメリカに、同じく4分の1は韓国に滞在するような生活を長く続けているが、そういう経験をしていると、韓国を取り巻く違った構図が見えてくる。韓国やアメリカには、日本人がちょっと想像できないくらいの格差社会が出来上がっている。その中で、大多数を占める弱者層の声が、その国の政治家に与える影響力も大きくなっている。その力学が日本と韓国の葛藤をより激しくしている面があるのだ。

 今回、韓国滞在中に文在寅大統領の側近・゙国(チョ・グク)法務長官候補(当時)の聴聞会を十数時間見ることができた。具体的な疑惑のやり取りについてはすでに日本でも報道されているので割愛する。振り返って総合的に見ると、二つのテーマが浮き彫りになったように感じる。

 まず一つ目は、゙氏の「言行不一致」(韓国語ではオンヘンブルイルチ)、すなわち進歩的改革を打ち出しているのに、身内は保守的手法により利益を得ているということだ。もう一つは、゙氏自身の発言で、「民主主義と社会主義は両立できると思う」というものである。

「言行不一致」は矛盾ではないのか…
 ゙氏がこれからいかなる運命を辿るかは未知であるが、この二つのテーマは韓国のみならず、日本やアメリカにとっても無関係ではない。キャリアや影響力からすれば比べ物にならないが、人格的にみると、゙氏、そして現韓国政権を支えている人たちにはトランプ的な要素とアメリカの民主党側大統領候補者のサンダース、ウォーレン的要素が混ざっているように見える。すなわち、日韓に見る葛藤は複雑にアメリカや世界の格差問題や民主主義の漂流とも絡み合っているのである。

「言行不一致」は矛盾ではないのか
 韓国では、日本以上に社会の中の格差が拡大している。この弱肉強食的社会構造は、強者である保守勢力が弱者を搾取するという構図で捉えられている。そして進歩系勢力は弱者のために不公平性を生む社会の歪みを是正するのが大義となっている。その象徴的政策というのが、゙氏が青瓦台の前民情首席、そして今回の法務長官として担う司法改革である。すなわち、捜査権と起訴権を両方行使できる検察権力の改革だ。

 ところが、韓国の国民が最も公平性を求める入試の過程において、゙氏の子どもたちは不公平と思われる手法で進学していると疑われるようになり、不法行為の有無が究明されるようになった。まさに、「言行不一致」の候補(当時)が司法を司る長官職に相応しいのか、国民の過半数以上が疑問に思った。

 アメリカにも言行不一致の人がいる。お馴染みのトランプ大統領だ。最近、アメリカのメディアからは、トランプ氏が中米からの不法移民に対して厳しい処置を取り続けているのは、中米やメキシコからの移民を犯罪者や麻薬業者とする氏の差別的表現に起因していると批判した。しかし、トランプはその発言記録を突きつけられても、「わたしは世界で最も非差別的な人だ」(least racist)と躊躇なく返した。今度の大統領選に向けいくつかの放送局がトランプ支持者に「再度、氏を支持するつもりか」と聞くと、多くの人が、「嘘つきであろうが人を裏切ろうが、氏に投票する」と回答したという。

 同じように、゙氏にも熱烈なサポーターが多い。彼はけっして恵まれない環境で育ったわけではない。政府幹部の資産公開資料によれば、50億〜70億ウォン(おおよそ5億〜7億円)の資産を持っているという。しかも、教授、すなわち学問畑の人がいかにここまで蓄えたのであろうか。そうした人が、韓国の4つの蟻地獄、すなわち教育、就職、不動産、老後を改善すると主張するのだからいびつに見える。そのような人がいかに恵まれない人の境遇がわかるのであろうか。不思議なことに、進歩系でこうした「言行不一致」の人ば氏だけではない。ある文政権の青瓦台元幹部スタッフも資産公開で5億円の資産を保有していた。こちらも大学教授だ。こうした人々を韓国では「江南左派」(カンナムチョアパ)と呼ぶ。

三つのタイプの市民…
 トランプ氏のほうは、億万長者どころかビリオネアー(10億ドル以上)だ。しかも、氏の父は若いころから彼に強力な弁護士をあてがい、不動産事業などでは使用人や下請けにとって不利な条件で整理などを押し通した。弱者の涙を共有したことのない人に弱者の期待が集まったのだ。

 対極に位置するのが、民主党大統領候補のエリザベス・ウォーレン氏だ。彼女は貧しい家で育ち、兄弟は軍隊に行き、自身は授業料が払えなく、苦学してやっと大学学位を取り、学校の先生になった。その後、政治の世界に入り、有力上院議員の座に上り詰めた。CNNなどで演説会やインタビューを見たが、さすが弱者共感とはこういうことを言うのかと思った。そのウォーレン上院議員はアメリカの50億円以上保有する世帯の流動資産に2%税をかけることにより教育や福祉などの支援の財源を捻出しようとしている。


アメリカで「急進左派」とされる民主党の大統領候補エリザベス・ウォーレン上院議員(写真:AP/アフロ)
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 ゙氏とトランプ氏には共通する側面がある。それはゲームプレーヤーだということだ。目的は権力の頂点に立つこと。そのためには現存の機会を掴む。その機会とは極度に開いた格差に悩む多くの弱者が熱烈に期待する既存勢力の破壊だ。そのためには手段を選ばない。矛盾であろうが、何であろうが。そうした力学が現在韓国でもアメリカでも民主主義という仕組みを新たな方向へ変形させている。

三つのタイプの市民
 私は最近、韓国に滞在した折に、文政権のサポーターの一人と話してみた。彼の息子は韓国の大手航空会社(財閥系)の社員で、その企業の優遇措置として海外研修に行っているそうだ。このように息子が保守系企業の恩恵を身内が受けているにも関わらず、彼は政治的には保守解体を強く主張している。矛盾しているように思えるが、韓国にはこのような人は意外に多い。

 私は、民主主義体制下で市民が示す意思の裏側の態度は3つに分類できると考えている。例えば、ある人はタバコを吸わない。だから、禁煙政策を支持し、それを主張する政治家に投票する。現実的にはひとつの政策だけではなく、多くの政策の集合体で投票先が決まるのであろうが、基本的には自分の利害をベースに考える。これを「利己主義」と呼ぶことにしよう。これが一つ目だ。

 さらに、成熟した民主主義社会においては、自分の利害より社会の利害や理想を優先する考えを持つ人がいる。先ほどのタバコの喩えを続けるなら、愛煙家が、副流煙は健康に悪いから自分はタバコが吸えなくなって不便を感じても、禁煙政策に賛成するというケース。これを「利他主義」と呼ぼう。これが二つ目になる。

社会主義は20世紀に死ななかったのか…
 では、前記した、保守系の恩恵を受けながら進歩系の改革を熱烈に支持する市民はいかに捉えるべきであろうか。こうした傾向は日本でも見たことがある。経営コンサルタントとして多くの組織改革を促してきた経験からすると、日本の大企業の経営陣から次の考えが透けて見える。「企業の競争力アップのため改革は大賛成だ」。ここまでは建前だ。次の本音を言う人はたまにしかいない。「だけど私がこの仕事から転出した後にしてほしい」。一種の抵抗勢力である。現行の恩恵を受けながら、スタンスとしては改革を支持する。国籍を問わずこのタイプを「超利己主義」と私は呼ぶ。これが三つ目だ。彼らは、現在の体制から一定の恩恵を受けていても、その権力構造を破壊するためなら手段を択ばない。そしてそのことを矛盾とも考えない。超格差社会が生んだ、現状打破を願う大衆とも言える。

 実は、この超利己主義の層をいかにうまく掴むかがそれこそ政治ゲームプレーヤーの知恵比べということになる。彼らの支持を得られれば、世論の大勢を掴むことが出来るし、改革も進めやすいからだ。ただ問題は、これが果して民主主義を良い方向に導くのかどうか、だ。弱者である彼らの声を掬い上げることは、必然的に社会主義の考えに近づいていくからだ。実際、韓国はもちろん、アメリカでも社会主義的思想が市民の共感を獲得しつつある。

社会主義は20世紀に死ななかったのか
 次に、゙氏の「民主主義と社会主義は両立できる」とした発言について考えてみたい。

 日本の論客の中には、韓国はアメリカから離れ、中国に近寄っているという流れを主張する人がいる。文在寅氏が優先課題として掲げている北朝鮮融和政策と関連して、こうした傾向があることは否定しない。しかし、もう少し深く分析する必要があるのではないか。

 ベルリンの壁崩壊後、アメリカのブレジンスキー元安全保障アドバイザーが『大いなる失敗』(The Grand Failure)という本を書き、20世紀の社会主義は大規模な、そして弊害の多かった実験であったが、失敗に終わったと主張した。ところが最近、変形した社会主義が再び注目を浴びるようになってきている。これは紛れも無く極度に開いた格差のためであろう。

 こうした格差認識を決定付けた歴史的転換点がアメリカと韓国の両国にある。アメリカの場合は2008年のリーマン・ショックだ。ウォール・ストリート(金融エリート)という「1%」が弱者の「99%」を食い物にした、と人々はウォール街を占領しデモした。ちなみに、この年中国では北京オリンピックが開かれ、国民は自信を高揚させたと同時に、リーマンの悪影響を目の当たりにし、アメリカ流資本主義の限界を意識するようになった。

 韓国の場合は2016年の朴槿恵(パク・クネ)前大統領と親友崔順実(チェ・スンシル)による不正発覚である。それ以前のセウォル号沈没事件の際、高校生など乗客(弱者)の救助を朴氏は優先しなかった。それとその後親友とされる崔氏の蓄財に政権の一部を導員し、企業まで巻き込んだこととの間のコントラストが市民を極度に怒らせ、朴氏は弾劾された。これにより左派政権が誕生したのである。

 最近、欧米のメディアでは、アメリカの社会主義化に警鐘を鳴らす報道が目を引く。アメリカの民主党は極左とも言えるバーニー・サンダース上院議員、エリザベス・ウォーレン上院議員と、中道左派でオバマ政策を継承しようとしているバイデン元副大統領との間の論戦が注目を集めているが、アメリカ企業や富裕層は極左勢力の台頭に戦々恐々としている。「金持ちから奪い、貧困層に与える」(Take from the rich and give to the poor)という表現がアメリカにあるが、まさにそれを教育や福祉政策を通して実行しようとしている。

 サンダース氏もこうした中、自身をどう位置付けるか模索しているようだ。北欧の「社会主義」はうまくいっていると言ってみたり、中国は莫大な数の人々を貧困から救い出したと言ったと思えば、中国の国家主導型社会構造や経済システムには警戒心を示してみたりもする。

超格差社会が育む社会主義的思想…
 トランプ氏と習近平氏のどちらの交渉能力が上手か競い合うようになってから、アメリカの報道は、中国が自国市場や企業をガードしながら、アメリカの自由市場の弱点を突く、一見賢く、一見不公平にも見える動きを明らかにしてきた。例えば最近の取材では、中国の国家情報員がアメリカの元諜報員達をリクルートし、アメリカ企業の機密情報を巧みに取得していたことが明かにされた。最後に記者がこうした事件を調査した検察官に「どの国も諜報活動は行っているのでは」と聞いたところ、中国の場合、国家が企業のために相手国の企業機密情報まで諜報するケースがここ数年あとを絶たないと言っていた。逆に、他の国の場合は国家同士、そして民間同士の諜報活動が主となるケースが多いそうだ。

超格差社会が育む社会主義的思想
 果して、今後の世界においては、当分の間(30年サイクルを主張する学者もいる)、中国に見るような国家主導型の社会・経済システムが幅を利かすようになるのだろうか。そして、これからの「社会主義」というのは、果して20世紀に見た全体主義的色彩を必然的に含むものなのであろうか。

 現在の香港情勢を見ても分かるように、国家主導型の社会構造や経済システムは、民主主義を必ずどこかで抑圧する。一方で、自由主義経済の行き着く先に出現した超格差社会は、大衆の中の社会主義的思想を育むことになる。

 こうした動きの中、従来の北東アジアの政治構造、すなわち、中朝露対日韓米、という二つの軸はどうなっていくのであろうか。韓国だけが中朝に接近するという従来の見方の一歩先を読むとアメリカ自体どうなっていくのかを見極める必要がありそうだ。民主主義と自由経済に飼い馴らされてきた私にとってこの過渡期は心配だ。社会主義や国家主導型経済システムは経済発展や技術開発、そして人権を妨げる傾向があることを経験から知っているからだ。

 日韓米を行き来している直感からすると、かつて日本は「総中流社会」といわれたこともあり、今日本がいくら自らを格差社会と認識しようが、韓国やアメリカにおける格差の大きさに対する実感が湧きにくいのではないだろうか。仮にトランプ再選の場合においても、カリフォルニアやマサチューセッツなどで幅を利かす左派勢力がいかにアメリカの国政に影響を及ぼし、日本にはこうしたアメリカ、そして北東アジアといかに向き合うのか、巧みな舵取りが求められる。

もっと知りたい!続けて読む

トランプ失脚後睨み急展開の世界情勢
米民主党が多数派を占める下院だけではなく、上院の4つの委員会もトランプ政権要人の召喚に踏み切った。上院の4つの委員会とは外交、歳出、国土安全、情報活動各委員会だ。ドナルド・トランプ大統領はたまらず、10月2日のツイッターで怒りをぶちまけた。

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古森 義久

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57872  

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コメント
1. 2019年10月11日 08:37:59 : f9xW5fJpHI : czJFTkV3Z2owR2M=[1] 報告
なるべくして、なる。
2. 2019年10月11日 19:00:31 : fG31PJakfk : ZHRkQVNRQ2hrbEE=[26] 報告
綺麗事 嫌ってなびく トランプに

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