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10年後に“人余り”の可能性、政府は説明すべき 田原総一朗の政財界「ここだけの話」 改正入管法の抱える問題は大きい 
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投稿者 うまき 日時 2019 年 1 月 11 日 01:32:26: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

10年後に“人余り”の可能性、政府は説明すべき
田原総一朗の政財界「ここだけの話」
改正入管法の抱える問題は大きい

2019年1月11日(金)
田原 総一朗


安倍首相の下、改正入管法が成立(写真:つのだよしお/アフロ)
 2018年12月に出入国管理法改正案(改正入管法)が国会を通過。19年4月から施行される。僕がこの問題について最も違和感を覚えたのは、どのマスメディアも問題の本質について報じていないことだ。

 国会審議の時間が衆議院で17時間、参議院で20時間と短かかった点は指摘している。しかし、なぜ短時間だったのか、なぜまともに審議もされなかったのかについては、追及していないのである。

 改正入管法について、山下貴司法相は制度の内容をほとんど理解しておらず、野党の質問に対して「検討中である」との答えを連発した。安倍晋三首相も、下から上がってくる文書を読み上げているだけで、全体像を把握しているとはとても思えなかった。

 つまり、担当大臣も、総理大臣も、外国人労働者の受け入れ問題、あるいは入管法改正について、十分な理解がないまま審議が進められたうえ、審議の時間も限りなく短縮されていたのである。

 法務省はそもそも入管法改正について消極的だった。外国人労働者の状況、人手不足に陥っている現場をほとんど把握していない。どの分野でどのような人材がどれだけ不足しているのか、分かっていないのである。

 ところが、官邸からの強い要請により、法務省は対応せざるを得なかった。

 なぜ、官邸は入管法改正を急いだのか。全国の中小企業が深刻な人手不足の状況を訴えたからだ。このままでは倒産する企業が増加するとみた官邸は、外国人労働者の受け入れ拡大を急務と捉えた。

 しかし、ここに難しい問題があった。安部首相をとりかこむ「安倍応援団」は、基本的に外国人労働者の受け入れ拡大に強く反対している。さらに言えば、移民には断固として反対である。

 本来ならば、こういった対策を講じるのにふさわしいのは、労働現場をよく分かっている厚生労働省だ。しかし、厚労省がこの問題を扱うと、外国人労働者を受け入れるときに、「労働者」ではなく「人」としてどう対応すべきか、例えば福祉、社会保障、教育等の問題を考えざるを得ない。となると、厚労省から見れば、まさにこの問題は「移民政策」なのである。

 移民の問題と指摘されることは、安倍首相にとっては絶対に避けたい事態だ。ここで厚労省は、外国人労働者問題の担当には選ばれなかった。

大学を卒業した世代は働き盛りにシンギュラリティに直面
 もう一つ、人手不足の現状をよく把握している省庁と言えば、経済産業省がある。なぜ、経産省に協力を仰がなかったのか。

 経産省を担当にすると、大変困る事態になる。現在、60万人の労働力が不足していると言われており、政府の発表では5年後までに145万人が不足するとの試算がある。

 重要なのは、5年後の予測しかされていないという点だ。なぜか。

 経産省の試算によると、10年後には相当数の労働者が余ってしまうという。しかも、人工知能(AI)の発達によって今ある仕事がAIに代替されていく。10年後に人余りが想定されるのであれば、外国人労働者の受け入れ拡大は難しくなってしまう。ここで、経産省が担当になるという選択肢がなくなった。

 こう考えてくると、この問題は、非常に奥が深い。今後5年までに不足する労働力を確保すればよいという問題ではないのである。

 現在のAIは「特化型人工知能」だ。例えば、昨年、AI囲碁ソフト「アルファ碁」が囲碁棋士である韓国のイ・セドル九段と5連戦し、4勝1敗で勝ち越したことが大いに話題になった。しかし、アルファ碁は、囲碁はできるが、将棋やチェスはできない「特化型」AIだ。

 ところが30年代に入ると、複数のことができる「汎用型」のAIは開発されるといわれている。

 これが普及すると、どういったことが起こるか。2015年、英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授と、カール・ベネディクト・フレイ博士が、野村総合研究所との共同研究で驚くべき試算を発表した。

 このままAIの開発が進むと、日本で働いている人の約49%の仕事は、10〜20年後にはAIに代替されるというのである。

 さらに18年には、「シンギュラリティ(技術的特異点)」という言葉が注目された。AIが発達して人間の知性を超え、人々の生活に大きな変化が起こるという概念である。早ければ45年、遅くとも55年には、今人間のやっているあらゆることがAIに代替され、人の仕事の90%がAIに奪われてしまうという。

 今年大学を卒業した世代にとっては、まさに彼らの働き盛りの時期にシンギュラリティが起こる可能性がある、というわけだ。

仕事の大部分がAIに代替されたとき、人は何をすべきか
 AI研究者の中で最も大きな問題は、その時に人間はどうすればいいのか、である。例えば、仕事がなくなり、やるべきことが全くなくなってしまうことも考えられる。あるいは、ビッグデータ中心主義となり、あらゆる仕事や判断がAIによって代替され、人間の存在理由がなくなってしまうのではないかとの意見まで出ているという。

 人間のみが持つ能力とは何か。創造力、意志決定の力である。しかし、これもAIが獲得するのではないかとの見方まである。創造力とは、体験から得た知識の重なりによって構築されてゆく。これもAIによって実現される可能性があるという。

 このままAIが発達していくと、ホワイトカラーの仕事はほとんどなくなるだろうといわれる。例えば、10年後の銀行は、現在の80%の人材が不要になるという。他の業種でも、必要な労働力が大幅に削減されるだろう。

 このような時代になったら、どうすればいいのか。筑波大学の落合陽一准教授は、「皆、仕事をつくることができるようにならなければダメだ」と主張する。これまでの仕事は、会社から与えられるものだった。しかし、これからは仕事を自らつくっていかなければならない。それはまさに創造力であり、芸術に近いものではないか、と言うのである。

 このような時代になると、教育のあり方も変えていかなければならない。従来の教育は、教師が正解のある問題を出し、生徒はそれに答える勉強をしてきた。ところが、正解のある問題はすべてAIが解答を導き出してしまう。

 従って、新しい時代に向けて、人間の創造力を拡大するような教育に変えていかなければならない。落合氏は、「大学入試の手法も変えるべきだ」と主張している。現在の大学入試は正解のある問題が出題されるが、これからの時代に必要な能力ではない。

 ただ、実現は簡単ではないだろう。創造力のある人間をどうやって選べばよいのか。例えば論文という形式も一つの策ではあるが、それを評価する人材がいないという問題もある。

 このように、シンギュラリティの時代に向けて、教育のあり方を含め、様々な問題が横たわっているのである。

「答えの出ない問題は言わない」では議論は何も進まない
 こういった大きな問題があるということを、文部科学省と経産省はすでに把握している。経産省によるデータでは、5年後に145万人の人手不足となるが、10年後には人手が余ると出ているのである。

 本当に「人余り」に陥った時、政府はどう対応するのだろうか。悪いシナリオを考えると、政府は「ごまかし」で処理していく可能性がある。

 本来であれば、政府はこういった問題を国民にきちんと説明すべきである。10年、20年後のことを予測することは難しいということも言うべきだ。

 ところが、政府は、こういった「答えの出ない問題」は言うべきではないと考えているようだ。人手不足の問題のみならず、米国との安全保障も問題を曖昧にしている。18年12月18日発表された防衛計画の大綱でも、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」型護衛艦の空母化の問題も曖昧にしたままだ。こういった問題は、たくさんある。

 曖昧にしたまま、問題だけが顕在化してゆく可能性がある。政府はこういった様々な問題について、国民に分かりやすく説明をしなければならない。問題を隠しているというよりも、説明ができないのだろうが、ならば、説明ができない理由を国民に伝えなければならない。その上で、議論の場をつくるべきだ。

 本連載は、今回をもって終了となる。こうした発言の場を与えていただき、やりがいを感じた。また何らかの形でお目にかかりたいと考えている。

『AIで私の仕事はなくなりますか?』(講談社+α新書) 田原 総一朗著

 84歳になったジャーナリスト・田原総一朗が、人工知能=AIに挑む。

 AIは社会をどう変えるのか/AIは日本人の雇用を奪い、「勝ち組」と「負け組」の格差を拡大させる悪魔の技術なのか/世界の企業はグーグルの下請けになるのか/日本の産業を「小作人」化の悪夢からどう救うか/銀行のビジネスモデルは崩壊寸前?/中国の「情報独占」の恐怖……などの疑問を、世界最先端の研究者たちに真正面から問う。

 グーグル=グレッグ・コラード、プリファード・ネットワークス=西川徹、トヨタ・リサーチ・インスティチュート=ジェームス・カフナー、東京大学=松尾豊、ドワンゴ人工知能研究所=山川宏、経済産業省=柳瀬唯夫ら世界を代表する面々が総登場する、驚異の一冊!


このコラムについて
田原総一朗の政財界「ここだけの話」
ジャーナリストの田原総一朗が、首相、政府高官、官僚、財界トップから取材した政財界の情報、裏話をお届けする。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122000032/010900102/?  

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